ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
176 / 2,518

第176話 住人獲得の思案

しおりを挟む
 住人が順調に増えてきたが、その半分以上が奴隷の状況は正直微妙な気がする。農奴やダンジョンに潜っている戦奴に関しては自分を買い戻せるように、農産で得られた野菜の販売やダンジョンから持ち帰ったドロップ品を他の街の相場で買い取っている。

 だけど、自分を買い取った後にこの街を出てく人が増えたらそれはそれでしょうがないかな。出来れば残ってほしいけどな。

 他の町へ派遣している子たちに関しては、自分を買い戻すことはできないがその分俺たちからの支援を強化している。戦奴たちに関しては、死ぬ確率を下げるために適正の高い人材に回復魔法を覚えさせているが、宝珠代の分だけ自分の値段が高くなっている。

 数年単位で稼ぐのにかかる金額ではあるがそれを受け入れて宝珠を使っている。パーティーで稼ぐか個人で稼ぐかは分からないが、ヒーラーのいるパーティーの便利さを覚えてしまったら抜けられないだろうけどね。

 せっかく広い海水の湖を作ったのに、そこで作業できる人材がおらんのはもったいないな。ダンジョンで海とつなげているし、メロウに頼んである程度の環境を整えてもらったのに、海水を作る以外今は活躍の場がないから活用したいのだ。

 といっても魔物がいる世界で漁業ができる人がそう多くはないと聞いている。遠浅の海なら魔物もほとんどいないがそうでないとそれなりの数がいるようだ。

 鉱山に戦闘鉱員がいるように、海には戦闘漁師がいるようだがダンジョンではないので安定した稼ぎにはならないし、不安定な船の上での戦闘であるため人気はないのだ。

 獣人がいるのだから魚人もいたりしないのかな? 疑問に思ったのでいろんな人に聞いてみたがそれらしい情報はあったが、実際に見たことのある人の情報は無かった。ん~何か知る方法ねえかな。チビ神なら知ってそうだけど都合よく覗いてたりしないよな……チラチラ……

『うざいわね! それにチビ神っていうんじゃないわよ! えっと、魚人だっけ? いるわよ、獣人みたいに陸に住んでるわけじゃないから接点が少ないだけで、それなりの数がいるわよ。

 大陸より外海の小島等に住処を作って生活しているわね。あんたが通した海底ダンジョン? って言ったかしら、それの出口から少し行ったところにある小島にも住んでいる魚人がいたはずよ』

 おぉ! 珍しくチビ神が役に立つ情報を出してくれたな。今より安全な生活の場を提供できるからこっちに移住してきてくんないかな?

『それは自分で交渉するしかないでしょ、私が知るわけないじゃない』

 人の思考を勝手に読んで、俺のせいみたいに言うのやめろや! でも、いい情報をくれたチビ神には礼を言おう! たすかったよ、ありがとさん。

『ちょ、ちょっと! な、何お礼なんかいっちゃってるわけ? 別にあんたに褒めてもらいたくて出てきたわけじゃないんだからね!』

 ここに来てツンデレか? ってデレたことなんてあったっけ? まぁそんなのはどうでもいいか、魚人とのコンタクト方法を考えよう。助かったよ!また何かあったら呼ぶわ。

『便利屋扱いしないでよね! 私が召喚したから面倒見てあげてるだけなんだからね!』

 いい情報を手に入れた、さっそく海に行く支度をしよう! ということで、娘たちを集合させる。

「皆さんにお知らせがあります。今度は海に行こうと思います!」

 また俺が何かを始めたよ、とちょっと白けた目で見る娘たち、ぞくぞくするからやめてくれ! そっち系の趣味はないんだ! 俺の事をいつもは全力で守ってくれるのに、最近は俺の発言に対してこういった態度をとることがあるんだよな。

「そんな冷たい目で見るのはやめてくれよ。きちんと理由があるから聞いてくれ。ちょっと前に聞いた魚人の話覚えてるか? どうやら本当にいることがわかって、恐らく住んでいる場所が分かったから会いに行こうと思っているんだ。できればここの湖の住人になってもらえたらと思ってね」

「そうでしたか。てっきり前みたいに開拓に飽きてきたとかそういう理由ではなくてよかったです。護衛する立場から勝手な行動をされると困りますが、きちんとした理由があり状況が判断できるのであれば問題はないですね。どういった装備を準備すればよろしいですか?」

 ちょっと棘のある言い方だけど俺の事をおもっての発言なんだろうな。もともと俺の護衛のために集めた娘達だもんな。この気遣いに感謝しよう。

「必要な装備か、とりあえず船と海中用の武器かな? 電撃を与えれるような魔道具を組み込んだものがあると効果的かもしれないな。アリス、ライム、この前俺が頼んでおいた魔導エンジンが形になったって言ってたけど、力の方はどんな感じだ?」

「そうですね、さすがにウォーホースほどの速度を出せるほど力はありませんが、がそりん? ですか? それを使う普通のエンジンよりは、かなりの小型化に成功していますので、複数積むことで力は何とかカバーできると思います」

 そっか、複数のエンジンを積んでカバーすればいいのか? どうやってつなげるんだ? そこらへんは後で考えればいいか。アリスたちができるっていうんだからできるのだろう。

「まさかこんな所で役に立つとは思わなかったけど、研究してもらっといてよかった。一から作ると時間もかかるので、どんな船を召喚するか考えようか」

 リブロフへ攻め入った時に天幕で使った二〇〇型の液晶テレビを使って、召喚できる船を眺めている。駆逐艦なども見たが戦闘が可能な船は運用が困難なので見向きもされなかった。

 最終的に選んだのは、スーパーメガヨットのアルティミスシリーズのヨーロッパモデルの全長二〇〇フィート(約六十一メートル)の船だった。

 そもそも数多くのヨットやクルーザーが召喚できるか意味不明だったが、オーダーメイドでも船内の内装は、ここまで自由にできるものではないだろうというレベルでいじれたので、激的な改造を施してみた。

 動力は魔石を使用するので燃料を入れる部分まで、丸々居住空間になり少し広くなっている。機関室もコンパクトになった魔導エンジンなので半分ほどのスペースで問題がなくなっていた。

 それにより本来は四階で構成されている船が五階になっている。見た目はそのままなのに、中身が別物に代わっていく。軽くなった分、錘を仕込んだりしている。

 一番下の階は寝室と浴室、二階はキッチンとトイレと食堂、三階はくつろぎスペースと迎撃用の通路がある、四階は操縦室、五階は空を見れる展望フロアのような作りにした。この船を召喚するのに使ったDPは、約一二〇〇万DP。今まで作ってきたダンジョンより余裕で高額になっている。

 シルクとツィードを中心として四大精霊たちには、俺の要望にこたえられる魔道具を組み込んだ武器を作ってもらうことにした。ハープーンを打ち出して直接電撃を伝えるものや、槍の穂先に爆裂の魔道具(使い捨て)を付けて投擲して使うものの2種類を準備してもらっている。

 とはいえ、今回は六人の精霊にもついてきてもらうので、水のエリアなら怖いものなしのアクアがいるから戦力的にも問題はないはずなのだ。

 アリスとライムには、魔導エンジンを取り付けてもらい、各種の調整をしてもらっている。どうやって覚えたのか不思議なほどの技術を見せつけて作業をしている。

 俺は防御面の担当だ。この大きな船にアダマンタイトコーティングを施していく。召喚する際に薄い板で出して、船体に沿わせてからコーティング作業に入る。それによってかなりの魔力の節約になったが、サイズがサイズだったので全体にコーティングを施すまでに五日もかかってしまった。

 準備も整ったので、海に向かうことにした。さてどうやって行こうか? こんな大きい物をしまえる収納アイテムなんてないぞ、どうしよう?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...