ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
337 / 2,518

第337話 ゴーストタウン

しおりを挟む
「まじか~」

 何か見てはいけないものを見てしまった気がする。樹海って人が住める場所じゃないって聞いてたのにな。

「「「なにこれっ! すっごーーーーい!!」」」

 無邪気に目の前の隙間から見える景色を、喜んで見ている三幼女を尻目にカエデ組とリンド組を呼ぶことにした。距離にするとどれだけ離れているか分からないので、分岐地点まで戻ってニ組に集合を掛けた。

「「これはさすがに大発見ね」」

 カエデもリンドも唖然とした顔で、隙間から見える景色にびっくりしている。

 どんな状況かを説明すると、掘り進んでいった先に巨大な空洞があったらしくそれを掘り当てた感じだ。位置的にはその巨大な空間内の地面から五メートル程の位置を掘り当てた形だ。その巨大な空間に街と呼べた規模の建物群が見えていたのだ。

 過去形になっているのは、街の建物がだいぶ朽ち果てており人が住んでいる気配のないゴーストタウンのようになっているのだ。

「どうしよっかな? とりあえず掌握して危険がないか調べないといけないかな」

 DPで掌握しようとしていたのにできなくて首をかしげていると、ミリーから声がかかった。

「シュウ君、どうかしましたか?」

「ちょっと問題があってな、ダンマスのスキルで掌握できないんだよね。考えられることは掌握できないってことは、俺以外のダンマスが掌握していて、起動しているダンジョンコアがどこかにあるってことだと思う」

「という事は、ここはダンジョンなんですか?」

「そこは判断に困るかな。俺がフレデリクや他の街にしているように、掌握しているだけっていう可能性もあるし、ダンジョンっていう可能性もあるし、最悪街だった場所だからここに住んでいた者が、アンデッド化している可能性もあるわけだ。どうしたもんだかな」

「封印しないのであれば、探索しておくべきだと思いますよ。元冒険者ギルドの受付の人間としては、冒険者の語る未知の探索は下手なおとぎ話より、よっぽど心が揺さぶられましたからね。私としては当事者になれるので、是非入ってみたいと思いますね」

 ミリーの話を聞いていた年少組が「ここに入れるの?」「探検?」「未知との遭遇?」等々中に入って探索できるかもしれないという可能性を示されて騒ぎ出した。

 もちろん俺としてもゴーストタウン何か探検する機会がないわけじゃないけど、森の北の廃墟とは違ってここは目に見える原因は無いので、そういったものを探すのも楽しそうではあるな。

「さて、中に入るのはいいんだけど、この街がゴーストタウンになった原因が分からないから、むやみに中に入っていくのは危険かな。まずは中の空気が安全か、毒などが無いか調べないとな」

 そんなことを話していると、裾を引っ張る感触があって視線を下に落とすとイリアが、

「精霊たちがここの空気は問題ないって言ってるよ。人間には影響でる毒物は無いって!」

 うん、精霊便利だな。そんなことまで分かるのか。俺も精霊魔法とか覚えてるけど、未だに会話は成立した覚えがない、俺の言う事は理解してくれているみたいなので、あまり困ってはいないんだけどな。

「じゃぁダンジョンと想定して、隊列を組んで進んでいくよ。ダンジョンだけど市街戦を想定、囲まれない様に注意しながら、前衛陣は円形に隊列を組んでその中に後衛を入れての進軍。斥候は離れずに近くで索敵をしながら進んでいくぞ。敵が見えたらまず報告を!」

 指示を飛ばして隊列を組んでいく。俺が指示を出している間にライムが階段を設置していた。

「すぐにディストピアにいるメンバーが来るから、その間に近くの建物などを調べよう。一緒に人造ゴーレムも持ってきてもらって、この入口に設置して守ってもらおうか。じゃぁいくよ」

 一番近くにあった建物は、一番危険に近いためか兵舎の様なものが建てられている、何に対してこの兵舎はここに建てられてるんだろう?訓練をしやすいからか?

 中には死体は一切なかったが、色んなものが散乱したり壁や机、床などに剣による傷があった。これだけ傷があるのに死体が一切ないっていうのは奇妙な話だな。

 北にあった押しつぶされた街は、おそらく神の移動式ダンジョンのせいだろうけど、今回に関しては死体が一切ないっていうのは、アンデッドになった可能性が高いか? 死体を食べるスライムがいたとしても骨は残すから、何かしらに使われたのは間違いないだろう。

「兵舎っぽい建物の中には、死体だけじゃなくて武器防具も一切なかったな。誰か見た人はいるか? やっぱり誰も見てないか。衣服とかは合ったのに防具だけ無いって事はもう確定かな?」

「そうだろうな。ここにトレジャーハンターがこれたとして武器防具だけを持っていくのは分かるけど、死体まで片付けるかは謎だからね。冒険者で魔力や燃料に余裕があるなら焼いた可能性はあるとおもうけど、ここに来るのにそこまでの装備を持ち歩いたり、無駄に魔力を消費するわけないからね」

「お? 残りのメンバーも集合したみたいだな。じゃぁ本格的に探索していこうか」

 ディストピア組と一緒に来た従魔の狼組が必死に鼻を押さえているような仕草をしている、臭いのか?

「シュウ君、みんなが臭がってますね。多分今さっきの予想は当たっていて、嫌なことにスケルトン系だけじゃなくてゾンビ系もいるとみていいかもしれませんね」

 ミリーから言われた事は俺も思いついていた。それにカエデやリンドもそれを肯定するように大きく頷いていた。

「ただのスケルトンやゾンビだけならいいんだけどね。レギオン系だと冒険者ギルドではシングル以上の冒険者複数に指名依頼が出るタイプの危険度が高いクエストですね」

「レギオン系っていうのは、単なるスケルトンやゾンビの軍団じゃないのか?」

「ただの軍団であれば集団とか呼ぶのですが、レギオンとなると支配するものがいて、その支配するものを倒さない限り無限に軍団が増え続ける厄介な魔物なんです」

「支配するものを倒せば、問題は解決ってことか?」

「正確には、支配するものと増え続けるものを合わせたのが一つの魔物なんです」

「軍隊だけど、一つの魔物って事か。だからレギオン系って事なのかな? それにしても厄介な相手ってことだよな。隠れて増やした雑兵をぶつけてればいいんだからな。いやになっちまいそうだ。とりあえずディストピアに行かせないように人造ゴーレムに命令を出しておくか」

 ミリーやリンドから初めて聞いた魔物のレクチャーを受ける事にした。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...