ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第425話 龍参上

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「シュウ殿お疲れ様です。本当に一人で倒されてしまうとは、さすがです」

「これくらいでほめるなよ。俺じゃなくても、レイリーだってこれくらいできるだろ? 年長組のメンバーも一人で倒せるだろうし、カエデもリンドもいけるだろ? ミリーはちょっと相性悪いから、微妙かもしれないけどな」

「できるかもしれないですが、実際に行うかは別です。その行動力があるシュウ殿はさすがです」

 レイリーはこの後に、仲間がいるのにあえて危険をおかす人間は、戦闘狂と呼ばれる部類の人間だけとの事だった。俺って戦闘狂になってしまったのか!? 男が一度は夢見る世界最強の人間になる! っていう中二的な何かが、今出てきてしまったのかな?

 あれでAランク上位の戦闘力なのか、亜竜でもワイバーンと地竜モドキが戦えば、確実にワイバーンが勝つだろうな。対人となればワイバーンより、地竜モドキの方が危険度が高いのかな? どちらにしても倒せることは、わかったからどうでもいいか。

 Aランクの魔物までは、何かが飛びぬけて強いけど、それに見合った弱点がある感じだな。Sランクは、おそらく弱点がほとんどなくなり、さらにステータスが高くなっているのだろう。次の龍が楽しみだ。

「少し休憩したら最後の階に向かおうか。龍ってことだから、おそらくSランクの何かが出てくるはずだから、気を引き締めていこう」

 俺はさすがに一人で相手にしたので疲れたから、少し横になっている。地面に横になろうとしたら、どこからかブラウニーが現れてベッドを設置したのだ。気持ちよく横になれるから文句はないのだが、俺の心が読まれていることにびっくりだよ。

 妻やブラウニーたちは、昼食の準備をしているようで、食欲をそそる香りがしている。朝食食べてまだ時間がほとんど経ってないのにな。お前たちは休憩しなくても大丈夫なのか?

 それにしても地龍モドキとの戦闘は微妙だったな。これなら亜人達の方がよっぽど楽しい。だってあいつらは、創意工夫をして攻めてくることがあるから、今回の地龍モドキみたいに単調な攻撃じゃないからな。

 レイリーにあれがAランク上位か聞いてみたら、普通の冒険者、それもAランクになりたての者たちでは、地龍モドキの皮膚を貫通してダメージを与える事が出来ないから、Aランク上位と言われているそうだ。

 Aランク上位の冒険者なら、武器もそれに伴って良くなるので、有効打を与えられるのだが、だからと言ってわざわざ倒さないようだ。手間に見合うリターンじゃないらしい。亜竜を狩るのは、それに特化した人たちのパーティーや、シングル以上の冒険者位だとの事だ。

 色々あるんだな、亜竜はともかく本物の龍なら頭はいいはずだから、面白い戦闘ができるのだろうか? これは、いかん! これじゃ本当に戦闘狂じゃないか!

 一時間ほど休憩して、最終階層の四十階へと向かう。

 またこのパターンか、扉には龍がいる事を強調しており、死ぬ覚悟はできてるのか?といった内容がつらつらと書かれている。

 それだけ言うんだったら日本語じゃなくて、この世界の言葉で書いておくべきだろう! それとも日本人しか、ここまで到達できないと思っているのか? ここで帰るわけなんてないんだけどな!

「よし、どうでもいい門の文字は放置だ! そのまま俺たちは突入するぞ!」

 そう宣言をして、片方の高さ五メートルほどある扉をあけていく。良く動くもんだな……中には、全身が赤いドラゴンがたたずんでいた。

『われの眠りを妨げる愚か者は、お前たちか?』

「ん? あいつがしゃべったのか? 魔物なのに?」

「シュウ殿、ドラゴンは知能が高いですが、人間の言葉をしゃべる事は確認されていません」

『われの寝床に侵入してきたのだ、その命この場で刈り取ってくれよう』

「これドラゴンがしゃべってるわけじゃないな。ここのダンジョンマスターが、この階層のギミックで録音した音を流す……とか準備したんじゃないかな? どういう演出か分からないけどな」

 赤いドラゴンを、鑑定のスキルで見て情報を抜き取っていく。

「あの赤いドラゴン、あれ? 何で龍って言わないんだ? どうでもいいか、あいつはレッドドラゴンっていうらしい。別名ファイアドラゴンってことで分かる通り、火を使った攻撃をしてくるぞ。魔法組は水のヴェールは、いつでも展開できるようにな。タンクは四方に散って交代でヘイトを稼いでくれ」

 通称ピンポンと呼ばれる方法で、ターゲットを次々に変えさせ、同じタンクを続けて攻撃できないようにする戦略だ。ブレスがあるので、集まらないように注意もしておく。

「俺が前に聞いた情報だと、龍は地龍ですら空を飛ぶことができるから、遠距離攻撃の手段を準備しておくように。遠距離は地上に降りてきても、翼の付け根を集中的に狙ってくれ。飛べなくなったら、足を集中的に攻撃して機動力を奪え!」

 色々命令を出していくが、最終的には臨機応変に対応しろってことなんだけどな。

「色々言ったけど、自分がいいと思う事は率先して行え、人の邪魔はするな。無理だけは禁止だ!」

 レッドドラゴンは、扉の中に入ってこない俺たちをじっと見ている。

 レッドドラゴンって日本の龍でも西洋の龍とも違うな。あえて近い物をあげるなら、ロマン〇ングサ〇の三作目のドラゴン系に、体形が似ているだろうか? 翼に比べて胴体が小さく翼を広げると……あれ? 三十メートル位ねえか? 体自体は頭から尻尾までで、十メートル程なのだが翼でかすぎねえか?

 レッドドラゴンがでかくて、気付いていなかったがこの階層って天井が、五〇〇メートル位か? 部屋の広さもパッと見た感じ、数キロメートル単位の広さに見える。

 あ~、これってどう考えても、レッドドラゴンに有利なフィールドだよな。どうやって地面に引きずり下ろすか……一狩り行くゲームみたいに、閃光玉でぴよって落ちてこないかな?

「タンクは、動き回って気をひいてくれ、タゲ回しは飛行している高さが低くなってからになると思うけど、臨機応変に対応してくれ。初めてのドラゴンに挑みますか」
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