ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
483 / 2,518

第483話 水門に苦戦する

しおりを挟む
「さぁ! 今日も頑張っていこう!」

 いつものように朝の掛け声をすると、ノリのいい三幼女と土木組は『おぉ~っ!』と掛け声を出してくれる。姉御組の、カエデ・ミリー・リンドは若干鬱陶しそうな顔をしている……そんなに冷たい目で見るな! やっぱり掛け声って大切じゃんか!

「シュウ君の事は置いておいて、みんな昨日の夜に言ってたように、みんなが作った水路の溝に水を流していくよ。不備があったら修正していくから、しっかり確認するんだよ」

 ミリーも最近冷たいな。なんていうのはどうでもいい、夜にはデレてくれるからな。ミリーに先導されて今日の作業が開始される。現場について足りないものがあることに気付いた。到着するとリンドに早速突っ込まれてしまった。

「シュウ、水路に水を流すための調整する門がないわよ」

「うん、俺も今気付いた。誰でもいじれるように、魔導具じゃなくて普通の道具で出来るようにしないとな。そうするとやっぱり、ネジタイプがいいか? いやまてよ、それだと本当に誰でも回せてしまうから、クランクを差し込んで、歯車を回して調整できるタイプがいいか?」

「そうね、領主館付近にあるとはいっても、本当に誰でも回せるのは拙いわね。クランクというのはわからないけど、話しの流れから取り外しのできる何かってことよね? それでいいと思うわ」

 よし、クランクを差し込んで回すタイプの物を作ればいいわけか。土木組にちょっと教えてみようかな? 多分いきなり作れっていうのは無理だ。でも、ベアリングの効果を理解してもらうのは、大切だと思うから今回ついでに見てもらおうか。

「みんな、ごめんね。今日は水門を作る所から始めるね。ちょっと複雑だけど今のみんななら、そこまで難しくないと思うから、見てほしい。歯車をかみ合わせて水門を作るんだけど、今回はその歯車とそれに使う、ベアリングの効果を見てもらおうと思う」

「は~い」

 了解の返事かと思いきや、手を上げて質問したそうにしている土木組のリーダーの子だ。

「どうした?」

「歯車の方は、まだ教えてもらってないけど、ベアリングというのは綾乃おねーちゃんに教えてもらいました! すごく簡単に回せるようになる部品ですよね?」

 おぅふ、綾乃がすでにベアリングを教えていただと……

「多分そうだと思うけど、みんな作れるのか?」

「みんなで作る感じです! 三人一組で作れるようになりました! 一人が真球を作って、もう一人が真球をセットする部品を作って、最後の一人が部品に真球を入れて、調整する役割で覚えました! 一人で全部は難しいだろうって言われたので、みんなで考えて今の方法で作れるようになりました!」

 理にかなってる、しかも自分のできる事できない事をしっかり把握しているな。

「じゃぁ、みんなに今から言うのを作ってもらおうかな。直径八センチメートルの棒が入る物を六つ、作ってもらっていいかな?」

 地球では、これだけで作れと言われてもまず無理だろう。そもそも地球なら真球を作るのに機械の力が必要だけど、クリエイトゴーレムなら素材さえ問題なければ、イメージだけで何とでもなるんだよな

 しばらく様子を見ていると、鉄のインゴットを取り出し、近くに黒い物体が、炭素かな? しっかりとグラムを計っているようだ。後で聞いたら約一パーセントで作っているとの事だ。単純明快で分かりやすいから。

 この世界の規格では、鉄のインゴットは五〇キログラムで作られているのだ。五〇キログラムの一パーセントは五〇〇グラムなので、五〇キログラムのインゴットに500グラムの炭素を混ぜ込むそうだ。これだと正確に言うと一パーセントではないが、だいたいで問題ないのでこれでいいと聞いたそうだ。

 どうやって混ぜるのかといえば、クリエイトゴーレムを使って混ぜ込むのだが、まだ均一にするというイメージがしっかりとできないようで、クリエイトゴーレムを使って粘土のように一生懸命みんなでこね回していた。

 二十分位こねくり回して、だいたい均一になった鋼の元にクリエイトゴーレムを更に行使して、イメージをもとにした熱処理を行う。そうすることで鋼が完成する。

 できた鋼を同じ分量に切り分けていく。分銅を使って正確に測っている。クリエイトゴーレムで少量だけを、くっつけたりはがしたりするのは、お手の物なので簡単に行っていた。

 よく考えられてるな。分担などは自分たちで考えたと思うが、作成工程に関しては綾乃が主導したんだろうな。俺や綾乃なら、均等に混ぜるのにたいした労力じゃないけど、土木組に合わせて、混ぜるイメージ方法を考えたり、天秤と分銅を使った分量を正確に測る方法なんかをよく考えたな。

 重さが正確なら、真球を作れば大きさは同じになるからな。他のにも色々問題はあるけどな。

 それにしても何個作る気だ? 分けた鋼を真球にするメンバー以外が、だいたいの大きさに丸めて、丸められた鋼を真球にするメンバーが、どんどん真球に変えていく。残りのメンバーは、真球を入れる部品を作るのと、作られた真球を確認するのに分かれている。

 真球を確認するのにどうするかと思えば、綾乃に依頼されて作った真っ平らな板にアダマンコーティングを施した板を取り出して、真球を上で転がして目視で確認している。動きの悪い物や転がる際にカチカチ音がする物は、真球のメンバーに戻される。

 ああやって真球の選別をしているのか、確かベアリングを作る工場で同じような光景を見たことあるな。確か真球を調べるのは、同じ高さから転がして落として同じ軌道をとらない物をはじいてたっけな?

 一時間もする頃には、指定された数を全グループが作成し終えていた。問題なく使用に耐える物が出来ている。子供たちって本当に凄いな。

「水門を作っていこうか。今回に関しては歯車は三個。まずは、クランクを刺すところに使う歯車。この歯車は小さめだ。力が弱くても問題なく回せるよう調節している。一個目の歯車は横回転なので、縦回転にするための歯車が二個目だね。

 そして三個目が一番重要、歯車が大小の歯車がくっついたものになるけど、片方は二個目の歯車と同じで大きい物だ。で、それと一緒に回る二つ目の歯車は小さくする。小さい歯車はそのまま水門の板を上げ下げする機構に直結する。まぁ言葉で説明してもよくわからないだろうから、俺が作ってみるね」

 みんなの前でベアリングを作って、次に歯車を作っていく。みんなが感嘆の声を上げている。もう何度も作ってるからな、真球も大した手間がかからん。真球に関してはイメージというよりは、概念で作っているので、失敗する事はほとんどないな。

 わかりやすいように水門の枠だけ作って、どうやって動かすかを説明する。最後になって気付いた。門に水圧がかかると、上げ下げに力が必要となってくるので、門の左右のこすれる部分もベアリングのように真球をはめ込んでいる。

「さぁ、水門を作って水を流すぞ!」
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい
ファンタジー
 六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。  そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。  そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。 小説家になろう、カクヨムにて同時掲載 カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】 なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...