ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第504話 ドッペルの有用性

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 のんびりとブッ君で小説を読んで過ごし、二日が過ぎた。

 今日は、妻たちと一緒にドッペルの可能性についての調査が行われる。

「一応、今回の目的は、ドッペルを使って外を出歩けるのか? とか、憑依していない時のドッペルの様子の観察と、いくつの姿になれるのかの確認ってところかな? なので、ダンジョンの研究に使ってたドッペルを連れてきたから」

 うん。いつ見ても不気味だ。見た目が全く同じなんだから怖くもなるわ。

「ご主人様~、ご主人様と似てるドッペルさんは、自分の意志で話せるの?」

「ん? 召喚してから話した事は無いけどできるのかな?」

「マスター、問題なく会話することができます」

「おぉ、俺の声ってこんな感じで聞こえてるのか? 不思議だな~。会話できるならだいぶ楽になるな。他の姿になれるのか?」

「私なら、四つの姿になることができます。私たちドッペルゲンガーはLv五十毎に一つ、姿を真似る事の出来る数が増えます。今の所マスターの姿しか登録されていませんので、あと三つ程姿を登録することができます」

「お~便利だな。ちなみにその姿って存在する人じゃないと、真似する事って出来ないのか?」

「ある程度調整は出来ますが、一度決めてしまうと修正は聞かなくなります」

「ドッペルって意外に制限が多そうだな。そうだ、ドッペルが相手に成り代わる事があるって、聞いたことがあるんだけど、実際の所はどうなの?」

「そうですね、実在する人物であれば相手を倒して吸収することによって、本人と同じになりますね。本当の意味で同じになるので、その時点でドッペルはドッペルである事を忘れてしまいます」

 誰かに聞いたのか? それとも魂に情報が書き込まれてたりするのかな?

「何人かの動画を見せるから、混ぜてもらえるか?」

「どうが……動画ですね! あれであれば、混ぜる事も出来ますが、いい物ではないかもしれません」

「固定しなければ問題ないんだよな? ならとりあえず混ぜてみようか、ダメだったら破棄すればいいだけだしな」

「了解しました。やらせていただきます」

 俺の顔はどちらかというと、薄い方で多少濃い顔にちょっとあこがれていたので、沖縄の濃いめの人の動画を集めてみた。

 身長は一七五センチメートル程で、細マッチョにもう少し筋肉をもったような感じにしてもらっている。

 俺は沖縄の人たちというか、ちょっとほりの深い人はカッコいいと思うんだが、妻たちの評価はあまりよくなかった。この世界の人たちも比較的濃い人が多いのに、何でだろうな? 俺と結婚して喜んでいるくらいだから、みんな俺みたいな薄めの顔が好きなのだろうか?

 女性だけじゃないけど、めっちゃ美人な彼女のいるブサメンとかいるし、顔じゃないってことか? 金はあるからか? しようと思えば一〇〇人や一〇〇〇人だけじゃなくて、街一つ分くらい不自由なく食べさせてやれるけどな。

 なんてのんびりと考えていたら、俺のドッペルから声がかかった。

「どうでしょうか?」

「ん? おぉ、かっこいいな。沖縄に居そうな、さわやかなイケメンだ! それを登録しておいてもらっていいか? 後この世界の一般的な顔も作ってほしいな、この世界の平均的な体形で」

 監視室に移動して、冒険者をやっている中から平均的な顔と体形を作っている。俺はその様子をながめているが不気味だな。ドッペルってどっちかというと、ニコみたいなデフォルメしたスライムみたいな形状なのだろうか?

「あ~この世界にいそうだな。というかこんな顔いるだろ。それも登録しておこうか。後一個か……っと待った、憑依されてない時のお前って、どうなってるんだ?」

「マスターの望みが、自分の身体を使ってあそこのダンジョンの研究という事なので、憑依されていない時は動いていません。私たちが勝手に育って、攻略するのでは意味がないのですよね? なので何もしていませんでした」

「おぅ、思ったより融通が聞くんだな。知識はどんなもんだ?」

「マスターが憑依しているので、言語や基礎知識はマスターに近いくらいは知識があります。でも記憶は倒して姿を映した対象を喰らわないと、得られないのでそういったものは一切わかりませんね」

「さらに便利な奴だな。俺が憑依していない時は、俺からゲットした知識で、仕事をしろって言うとしてくれるのか?」

「それがマスターの命令であれば、否はありません。喜んで働かせていただきます」

「それがドッペルとしての性なのか?」

「ドッペルとしてではなく、マスターに召喚されたモノとしての意志です」

「あ、そういうもんなんだ。例えば俺が憑依できるドッペルを複数作って各街に配置して、必要な時に憑依して、それ以外は街のために働いてほしいって言ったら、手伝ってくれるのか?」

「もちろんです!」

「ドッペルってこんなに便利だったのか、ただ俺の姿で何人もいたら大変だよな。自分の街に各一人ずつくらいの配置にしようかな? 基本は相談に乗るだけの人、という事がいいか? それなら大きく逸脱しそうなことはないだろう。どんな条件を出しておくのがいいかな? みんなはどう思う?」

「シュウ君、あまり話についていけないんだけどどういう事?」

「ドッペルには意識を憑依させる事ができる、ってところまではいいよね? 憑依した相手の記憶とか以外の知識を、ある程度ドッペルが吸収するみたいなのね。憑依されてない間は、俺の命令って言えばいいのかな? それを忠実に実行してくれるみたいなんだ。そこにどんな条件を出そうかってことだな」

「シュウ、何となくわかったけど、姿はどうなるの? 憑依している時と、していない時はどうやって判断するの?」

「俺が憑依している時は俺の姿で、それ以外は誰かに固定しておけば、問題ないかな? 複数の人間が違うタイミングで憑依する事は出来るか?」

「残念ながらそれは出来ません。意識共有スキルは一度発動すると、パスがつながり他の人が入る隙間が無くなるので、無理です」

 自分から聞いてなんだが、何でスキルの知識がそんなにあるんだ?

「ドッペル一体に対して憑依できるのは一人か。街の数だけ作って配置する予定だし、まぁ問題はないか。他にも何人分か配置しておくか? 俺じゃない時の見た目は、適当に決めるとして、ドッペルに任せて問題ないだろう」

 話し合いの結果、ドッペルの行動には制限はかけないことになった。ただドッペルの意識の時には、俺の所有する敷地内の移動しかできないようにした。他には現代知識に近い事は、相談に乗っても答えないようにしている。そこらへんは俺が判断するという事で落ち着いた。

 各街への派遣は一ヶ月後に決まり、Lv一〇〇まではDPで強引に上げたが、それ以降はダンジョンにこもってもらい、レベルを上げてもらう事になった。特性的にはスライムに近く、眠らなくても平気なのだそうだ。なので本当に一日中狩り続けるみたいだな。
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