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第509話 決裂?
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朝になり準備を始める。といっても、起きて作った拠点をいつでも使えるように、色々と手入れして出て行くだけだけどな。
「準備できたかな。今日はエルフと遭遇するけど、絶対にこっちから攻撃を仕掛けるなよ。攻撃を仕掛けられたら全力で相手していいけど、絶対に殺すな。どうにもならない時は、スタングレネードを使って無力化するからその間に捕えよう。
スタングレネードを使えば、街の方からも人が来るだろうけど、そこから話し合いをするしかないかな。できる限りそうならないように、知り合いのいる可能性の高いリンド、頼むぞ!」
「頼まれても、向こうの出方次第じゃないかな」
それもそうか……長生きしているから、それなりにレベルも高いしリンドと違って、魔法とか弓の遠距離攻撃のスキルも高いんだよな? 遠距離攻撃はそれだけで十分脅威になる。何より数が多いんだよな。
「じゃぁ、そろそろ出発しようか」
五人と三頭は森の中を進んでいく。一応マップ先生を確認しながら進んでいるが、今の所近くに来る様子はなさそうだ。ヴローツマイン側だからちょっと警戒が強いかと思っていたら、全方位が満遍なく警戒されていた。
のんびりと……とは言えない速度で、森の中を進んでいる。お昼になるまでに街まで十五キロメートル程になったので、そこで食事をする。
いつものように火を使った手の込んだ料理は出来ないので、ブラウニーたちが準備してくれた、シチューと白パンを取り出して食事を始める。飲み物は、冷たい水を水筒からコップに注いで飲んでいる。
シチューもアツアツの状態で収納のカバンから取り出されているので、あたり一帯に濃厚ないい匂いがしているのは間違いない。これで森の魔獣に気付かれるかな? 来たら切り捨てればいいんだから関係ないか。問題はエルフたちか?
「みんな、エルフたちが俺たちの存在に、気付いたっぽいぞ。こっちは索敵範囲内に反応があるまでは動くなよ。反応があったら、皿を置いて警戒態勢に入ろう。警戒の言葉をあげるのは、レイリーがしてくれ」
エルフの反応があるまでは、のんびりと食事をしていた。
「周りに敵有! 全周囲警戒!」
レイリーの厳しい声に反応して俺たちは、それぞれ違う方向を警戒している。しばらくすると、
「ドラゴニュート……獣人……ドワーフ……ハーフドワーフ?……それに人間か」
よくわからないが、魔法が発動している気配があり風が吹いているので、風に声を乗せて俺たちに届かせているのだろう。
「何者だ、なんていうつもりはない。エルフだろ? 敵意は無い。ヴローツマインで技能集団の長をやってたリンドが、主を連れてエルフに会いに来た。話がしたい」
「ドワーフのリンドか? やっていた、過去形という事は、そこの人間のせいか!!」
おっと、よくわからないが殺気が膨れ上がったな。しかも五人いるのに俺だけに集中している。これはヤバいか? 結界魔法は今はまだ見せたくないからな。少しオーバー気味に魔力を込めて、俺たちの周囲に、
【ダウンバースト】
俺たちの周りに下降気流の嵐が発生した。魔力で作られているため、圧縮された空気の壁が下降気流のように、下に向かって吹き荒れる。次の瞬間に俺に向かって、魔法や矢が飛んできたが、ダウンバーストに阻まれて、地面に吸い込まれて威力が無くなる。
やばいな。普段温厚なレイリーがキレた。それに合わせたようにカエデ、ミリー、リンドもキレたな。ドッペルとはいえ、何も聞かないまま俺に攻撃を加えたための反応だろう。ただレイリーのキレ具合がヤバい、合わせたように怒り出した三人が、若干冷静になるくらいのキレ具合だ。
「貴様ら、いきなり攻撃を仕掛けるとは何事か! 死なない程度に、根性を叩きなおしてやるからな!」
「二〇〇年も生きていない若造がよく吠える。そこの人間に肩入れする理由が分からんな。その人間を殺して、お前たちを開放すればすべてわかるだろう」
これダメだわ。温厚な種族だと思ってたけど、予想以上に脳筋種族みたいだな。近接も遠距離も魔法も満遍なくこなせてしまう程に、戦闘漬けになってるなら人の話聞かないかもな。スタングレネード使うか?
「レイリー」
「大丈夫です。私にお任せください。お三方、シュウ様の事をよろしくお願いしますぞ」
うん、全然大丈夫じゃないな。無表情で目が暗殺者みたいに、獲物は殺すだけみたいな目で、相手に何の興味も示していない。ただ相手をどう料理してくれようか? そんな目だ。
【ホスティリティハウル】【アンカー】
レイリーがスキルを発動していた。
ホスティリティハウルとは、使用者本人が敵とみなした者の心に、使用者への敵愾心をもたせてヘイトを集める叫び声だ。チェインは物理的にヘイトを稼ぐのに対して、ホスティリティハウルは精神的な部分からヘイトを稼ぐスキルだ。
アンカーは、使用者に敵意を持っているモノが、ある一定の範囲外に逃げる事を阻止するスキルだ。
「さて、蹂躙を始めるぞ……」
気付いたらレイリーの装備が変わっていた。俺がドワーフたちとネタで作った、執事服に似せた黒鋼の鎧を着ていた。
黒鋼は鋼が黒いだけかと思ったが、老ドワーフ曰く、鋼にドラゴンの鱗の粉末を混ぜると鋼と反応して黒くなるらしい。魔法防御力はドラゴンの鱗程に高くないが、物理防御力はドラゴンの鱗の上をいくらしい。その黒鋼で作った、燕尾服を模した鎧は優れた防具であることは一目瞭然だった。
剣は片刃の幅広い物で盾はカイトシールドである。もちろん両方とも黒鋼で作った特注品だ。執事に見えなくもないがフル装備をすると、暗黒騎士と呼んだ方がいいビジュアルだった。
「準備できたかな。今日はエルフと遭遇するけど、絶対にこっちから攻撃を仕掛けるなよ。攻撃を仕掛けられたら全力で相手していいけど、絶対に殺すな。どうにもならない時は、スタングレネードを使って無力化するからその間に捕えよう。
スタングレネードを使えば、街の方からも人が来るだろうけど、そこから話し合いをするしかないかな。できる限りそうならないように、知り合いのいる可能性の高いリンド、頼むぞ!」
「頼まれても、向こうの出方次第じゃないかな」
それもそうか……長生きしているから、それなりにレベルも高いしリンドと違って、魔法とか弓の遠距離攻撃のスキルも高いんだよな? 遠距離攻撃はそれだけで十分脅威になる。何より数が多いんだよな。
「じゃぁ、そろそろ出発しようか」
五人と三頭は森の中を進んでいく。一応マップ先生を確認しながら進んでいるが、今の所近くに来る様子はなさそうだ。ヴローツマイン側だからちょっと警戒が強いかと思っていたら、全方位が満遍なく警戒されていた。
のんびりと……とは言えない速度で、森の中を進んでいる。お昼になるまでに街まで十五キロメートル程になったので、そこで食事をする。
いつものように火を使った手の込んだ料理は出来ないので、ブラウニーたちが準備してくれた、シチューと白パンを取り出して食事を始める。飲み物は、冷たい水を水筒からコップに注いで飲んでいる。
シチューもアツアツの状態で収納のカバンから取り出されているので、あたり一帯に濃厚ないい匂いがしているのは間違いない。これで森の魔獣に気付かれるかな? 来たら切り捨てればいいんだから関係ないか。問題はエルフたちか?
「みんな、エルフたちが俺たちの存在に、気付いたっぽいぞ。こっちは索敵範囲内に反応があるまでは動くなよ。反応があったら、皿を置いて警戒態勢に入ろう。警戒の言葉をあげるのは、レイリーがしてくれ」
エルフの反応があるまでは、のんびりと食事をしていた。
「周りに敵有! 全周囲警戒!」
レイリーの厳しい声に反応して俺たちは、それぞれ違う方向を警戒している。しばらくすると、
「ドラゴニュート……獣人……ドワーフ……ハーフドワーフ?……それに人間か」
よくわからないが、魔法が発動している気配があり風が吹いているので、風に声を乗せて俺たちに届かせているのだろう。
「何者だ、なんていうつもりはない。エルフだろ? 敵意は無い。ヴローツマインで技能集団の長をやってたリンドが、主を連れてエルフに会いに来た。話がしたい」
「ドワーフのリンドか? やっていた、過去形という事は、そこの人間のせいか!!」
おっと、よくわからないが殺気が膨れ上がったな。しかも五人いるのに俺だけに集中している。これはヤバいか? 結界魔法は今はまだ見せたくないからな。少しオーバー気味に魔力を込めて、俺たちの周囲に、
【ダウンバースト】
俺たちの周りに下降気流の嵐が発生した。魔力で作られているため、圧縮された空気の壁が下降気流のように、下に向かって吹き荒れる。次の瞬間に俺に向かって、魔法や矢が飛んできたが、ダウンバーストに阻まれて、地面に吸い込まれて威力が無くなる。
やばいな。普段温厚なレイリーがキレた。それに合わせたようにカエデ、ミリー、リンドもキレたな。ドッペルとはいえ、何も聞かないまま俺に攻撃を加えたための反応だろう。ただレイリーのキレ具合がヤバい、合わせたように怒り出した三人が、若干冷静になるくらいのキレ具合だ。
「貴様ら、いきなり攻撃を仕掛けるとは何事か! 死なない程度に、根性を叩きなおしてやるからな!」
「二〇〇年も生きていない若造がよく吠える。そこの人間に肩入れする理由が分からんな。その人間を殺して、お前たちを開放すればすべてわかるだろう」
これダメだわ。温厚な種族だと思ってたけど、予想以上に脳筋種族みたいだな。近接も遠距離も魔法も満遍なくこなせてしまう程に、戦闘漬けになってるなら人の話聞かないかもな。スタングレネード使うか?
「レイリー」
「大丈夫です。私にお任せください。お三方、シュウ様の事をよろしくお願いしますぞ」
うん、全然大丈夫じゃないな。無表情で目が暗殺者みたいに、獲物は殺すだけみたいな目で、相手に何の興味も示していない。ただ相手をどう料理してくれようか? そんな目だ。
【ホスティリティハウル】【アンカー】
レイリーがスキルを発動していた。
ホスティリティハウルとは、使用者本人が敵とみなした者の心に、使用者への敵愾心をもたせてヘイトを集める叫び声だ。チェインは物理的にヘイトを稼ぐのに対して、ホスティリティハウルは精神的な部分からヘイトを稼ぐスキルだ。
アンカーは、使用者に敵意を持っているモノが、ある一定の範囲外に逃げる事を阻止するスキルだ。
「さて、蹂躙を始めるぞ……」
気付いたらレイリーの装備が変わっていた。俺がドワーフたちとネタで作った、執事服に似せた黒鋼の鎧を着ていた。
黒鋼は鋼が黒いだけかと思ったが、老ドワーフ曰く、鋼にドラゴンの鱗の粉末を混ぜると鋼と反応して黒くなるらしい。魔法防御力はドラゴンの鱗程に高くないが、物理防御力はドラゴンの鱗の上をいくらしい。その黒鋼で作った、燕尾服を模した鎧は優れた防具であることは一目瞭然だった。
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