ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第709話 異変

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 順調に進んで8日が過ぎた。今いる階は125階の入口につながる階段の前だ。

「125階はどうやらボス部屋じゃなさそうだね。マップ先生を見る限りでは75階以外と同じエリアの入れ替わるダンジョンだね。そのまま行こうか」

 ちなみに、110階と120階にも魔物が普通に出てきている。ダメージフロアは変わらずあるものの、魔物が強くなって出てきているのだ。色々と面倒な事になっているが、進んでいく必要があるのでズンズンと進んできている。

 125階は今までの階と変わらず、移動していくとエリアが移動するのは変わっていない。魔物も上の階と同じ種類の魔物しか出てきていない。

「気を引き締めないといけないのにダレるな・・・ちょっと気合入れなおさないとな!」

 パンパンッ!

 シュウは両手で頬をたたき気合を入れなおす。動いていないと落ち着かなくなったため前線に出て戦闘を開始する。強くなっている魔物を相手に一対一で大薙刀で切り殺した。

 なんてことはない、突っ込んで殴りかかってきたデーモンの拳を柄で逸らしてから、体勢を崩した所に大薙刀の一閃。殴りかかってきた右手を二の腕の半ばくらいから切り落とすと、金切り声のような雄叫びを上げてこちらをにらんでいるのが分かる。

 大きく開けた口から不意に炎系のブレスが吐かれるが、デーモンのとる攻撃の可能性として予想していたので魔法構築が余裕で間に合う。【ウォーターヴェール】を使用してブレスを防ぎ、デーモン側に発生した霧に紛れて接近して首を切り落とした。

「やっぱり、動物系も亜人系も悪魔系も頭がある魔物は、基本的に首を切り落とせば死ぬんだな。弱点でも力量の差があると切り落とせないのは、ゲームっぽいよな。ヒットポイントみたいなのがあって、それが削りきれないとなると、ちょっと切込みが入るくらいとかって聞くからな。

 実際に75階の空飛び蛇は、急所と思われる頭や首を攻撃しても、矢も魔法もはじかれたって言ってたしな。攻撃した時も尻尾や体に比べて、硬かったって言ってたメンバーもいたからな」

 この世界は本当にゲームだと思う部分が多々見られる。一番はドロップ品だよな。普通に考えても、倒した魔物が質量保存の法則を無視して、ドロップ品以外が消えるもんな。

 どこに消えているか分からないけど、地球出身の人間としては違和感しかない。この世界では当たり前で何がおかしいか、初めは理解してもらえなかったけどな。

 ゴブリンを倒したとして、討伐部位になってる耳を落としたり、睾丸を落としたりするのだ。

 体の一部……ドロップ品は、体の体積の1パーセント未満しかないのだからな。残りは本当にどこに消えてるのやら? ダンジョンマスターの俺なら、DPって言えるかもしれないけど、他の人たちなら経験値に変わるって所か? 謎が多すぎる。

 こんなことを考えてはいるが、1度戦闘に出ては休憩をしてまた戦闘をする。気を切らせないように程よく緊張感をもって戦闘ができるように努めている。

「126階への階段か。時間はまだ結構あるな。もう1階分進もうか。マップ先生で分かってるように、今までと変わらないような作りだ。一点気になると言えば、今までより若干通路や部屋が広いってくらいだな。

 いままでにもこのサイズの通路や部屋もあったから、誤差の範囲かもしれない。でも何かあるか分からないから、注意だけは切らさないように」

 みんなでお互い状態を確認して、問題が無かったためダンジョンを進んでいく。126階は、禍々しい霧は相変わらず発生しているが体に影響は出ていない。それに通路の見た感じも特に変化はない気がする。異常がないかを確認しながら進んでいく。

「止まって!」

 先頭を歩いていたシュリの横にいるライラから、止まるように指示が出た。どうしたのか聞いてみると、

「上の階は、1つのエリアに魔物の数が最高で20匹近くいたのに、このエリアには3体しか魔物の気配しかない、マリーはどう?」

「私も3匹しか感じられないですね。後、その気配が今までの魔物に比べて、大きく感じるんだけどどうかな?」

 ライラとマリーの発言を聞いて、索敵に集中してみる。

「確かに3匹しかいないな。今までの魔物の2回り近く大きいか? それに強そうな気配もしているな。でも戦ってみない事には分からないから隊列を整えたら行こうか」

 今までこのダンジョンは、何とかの不思議なダンジョンみたいに通路と部屋があって、モンスターハウスみたいに部屋に入らないと、魔物がこっちに反応してこなかった。だけどこの階からは変わっていたようだ。

「シュリ、スケルトンたち、前に出ろ! 防御態勢!」

 補足していた魔物が急に行動を開始して、俺たちの方に攻めてきたのだ。しかも4人も並べば窮屈に感じる通路に入ってきたのだ。現れた魔物は上の階に出てきたデーモンやデビル、バフォメットに似ているが感じていた気配通り、二回り程デカかった。

 アークデーモン、ハイデビル、バフォメットといった感じだろうか? あれ? そういえば、上の階でバフォメットを見た時に、何でミドルとか勝手に思ったんだろうか?

 このダンジョンに来て鑑定のスキルが一切効かないので、見た目とかで名前を付けていたのだ……なんて考えてる場合じゃない!

「ここじゃ狭いから、部屋まで何とかして移動するぞ! シュリ! 間を抜けて後ろのバフォメットを連れて部屋まで行けそうか?」

「問題ありません。後ろにいるバフォメット1匹だけでいいのですか?」

「きちんとした戦闘力が分からないから、無理はダメだ。後ろのバフォメットだけを連れて、先にこいつらのいた部屋に行ってくれ。リリー! デーモンの方を壁際に押し込め! 俺がデビルの方を反対の壁に押し付ける!

 道が空いたらシュリを先頭に、ピーチとアリス、ライムは後を追ってくれ。全力でサポートをするように! 行動開始!」

 俺はみんなに指示を出している間に持ち替えた盾でスキルを、使いデビルを壁に強引に移動をさせる。後ろではリリーも同じようにデーモンを壁際に押さえ込んでいた。

 次の瞬間シュリが気合を入れた声をあげ、俺たちが空けたデーモンとデビルの間をぬけていく。2匹は通り過ぎたシュリを止めようと、振り返ろうとしていた。

「敵を前にして振り返るな。【シールドチャージ】」

 抜けていったシュリがバフォメットに【挑発】かけ、走って脇をぬけていく。すぐに振り返ったと思ったら今度は、【チェイン】を使って強引に引き摺るようにして、こいつらのいた部屋に連れて行った。その後をピーチ、アリス、ライムが追って走っていく。

「今度はリリーが部屋に連れて行ってくれ。そしたら従魔、人造ゴーレム、スケルトン以外は部屋に走り抜けてくれ。みんなが行ったら俺も向かう。あ、ミリーは残って馬車と残ったこいつらを連れて、後から追いかけて来てくれ」

 そういってデーモンとデビルも部屋に引き戻して、戦闘を仕切りなおす。
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