ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第713話 魔拳の考察

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 この階に入って2度目の戦闘が終了した。特に問題もなく、Sランクまではいかないがそれなりに強い魔物だという事が分かった。

「この程度っていったらあれかもしれないけど、人造ゴーレムやスケルトンに任せても大丈夫だと思うか?」

 嫁達に聞いてみたが、スケルトンの1匹が前に出てきて、俺たちに任せろ! みたいなジェスチャーをして俺にアピールしてくる。

「本当に問題ないか?じゃぁ、5匹で1匹を相手にしてくれ。バフォメットがいれば、人造ゴーレムに回してくれ。あいつらに一番相性のいい魔物が、純粋物理系のバフォメットだと思うからな。いなかったら適当に割り振ってくれ」

 スケルトンは骨なのに、俺たちの言ってることが分かるから重宝している。俺はそれと別に、人造ゴーレムにも指示を出しておく。

 5体で1匹を相手して、残りの15体も5体1組で3組作り、魔物の数が多ければ各自対応をするように命令を出しておく。戦闘に入らない個体に関しては、各戦闘を見学して情報を蓄えさせる予定だ。

 隊列を組みなおして126階を進んでいく。先頭にスケルトン10匹がいて、その後ろに人造ゴーレムがついている。

 俺たちは馬車の護衛で馬車の周りにいるが、従魔は自由だった。ニコたちスライムは何が面白いのか、無音でダンジョンの廊下の壁や床を這いずり回り、不意を突いて俺や妻たちに奇襲をかけて遊んでいる。

 ハクに関しては、アクロバット飛行を狭い通路で行っており、器用だなって思いながらながめていた。クロとギンに関しては、俺の両サイドをキープしており、いつでも撫でてもらえるように、自分の頭を俺の横に来るように器用に歩いている。

 仕方がないので撫でてあげると、他の従魔も集まってきてもみくちゃにされてしまった。ダンジョンの中で遊ばない! とピーチに怒られてしまった。

 しばらく進んでいると、また3体の魔物の気配が索敵の範囲内に現れる。スケルトンも感じ取っていたようで、人造ゴーレムを5体連れていき部屋に先行する様だ。

 その後に残りの人造ゴーレム達が続いていた。俺たちもその後を追うように、馬車を移動させながら移動を開始する。部屋に到着すると、すでに戦闘が始まっていた。

「やっぱり3匹で、魔物の種類も一緒だな。この階は出てくる魔物の数と種類は一緒なのかな?」

 どうでもいい事を口にしながら、戦闘を観戦している。

「ご主人様。人造ゴーレムとバフォメットの相性はよくないようですね。魔法が効きにくい体と考えれば、アークデーモンの方が相性が良かったのではないでしょうか?」

 5対1でバフォメットの相手をしている人造ゴーレムは、相性が悪いと思われていても善戦をしている。攻め切れていないのは、火力不足でダメージが余り与えられていないといった感じだろうか?

「バフォメットが一番相性がいいかなって思ってたけど、ダメージが与えられてないようだね。でも今の所ピンチでも何でもないから様子を見ておこうか。スケルトンの方は……」

 バフォメットの攻撃力と武器では、人造ゴーレムを壊すことはできないので問題はないだろう。反応速度だけで言えば俺たちより上なのだ。盾持ちが2体もいれば陣形を崩すのは至難だろう。

 スケルトンの様子を見てみる。タンク、アタッカー、アーチャー、メイジ、ヒーラーの5体で相手取っていた。

 タンクは俺たちみたいに、注意を引いて攻撃を一手に受けている。アタッカーとアーチャー、メイジがスキルや魔法を使って腕や足、尻尾などの末端を攻撃して削り取っている。

「やっぱり、スキルが使えるのと使えないのとだと、与えられるダメージに差があるっぽいね。何とかダメージを蓄積しているけど、体を削りきる事はできなそうだな。やっぱり人造ゴーレムは、どれだけ強化してもSランクの魔物にはかなわないかもしれないな」

「そうね。でも、Sランクに届かなくても、十分な戦力だと思うけど?」

「確かにカエデの言う通りだな。そもそもSランクの魔物に対抗して作ったわけじゃないからな。人造ゴーレム達の強化は今すぐできるわけじゃないし、今はダンジョンの攻略に力を注ぐべきだな!」

 スケルトンは問題なく倒してくれるだろう。ただ大きなダメージを与えられるスケルトンが、両手剣の1匹だけなので時間がかかっているようだ。消化試合みたいな感じになってきているので、俺はハイデビルの魔拳について考えてみる事にした。

 普通の魔法は、使う本人にも影響を与えるけど、あの魔拳は使う本人にダメージを与える様子は無かった。

 個人的な考えをいえば、魔法より付与魔法に近い気がするんだよな。武器に付与魔法した時は、使った本人には影響を与えないが、攻撃した相手には効果があったからな。

「ん~でも、魔拳は付与魔法っぽいけど違うんだよな。だけど付与魔法っぽい。この矛盾はなんだろな?」

「ご主人様、どうかしたの?」

 独り言を言っていると、クロの背中に乗っていたイリアが声をかけてきた。

「いや、ハイデビルが使っていて、俺が魔拳って呼んでいるスキルか魔法か分からないけど、あの魔拳がどうやって使われてるのか分からないから、考察してたんだよ。

 それで、付与魔法っぽいけど違うのに、所々が付与魔法っぽいから、何か見落としでもあるのかなって思ってたんだよ」

「ふ~ん、魔拳……あれって付与魔法じゃないよね。どちらかと言うと攻撃魔法っていえばいいのかな? それに近い近い方だと思うよ!」

「え!? イリアはあれが分かるの?」

「ん~、わかるというか、付与魔法っていうのは、付与する属性によって攻撃力やスピード何かをあげる魔法だよね? 性質を考えると、付与魔法より攻撃魔法の方が近い性質が近いと思うの。ちょっと考えたんだけど、魔拳に近い性質の攻撃を私たちも使えるの!」

「どういうことだ?」

「私たちも魔拳についてよく知らないけど、あの魔拳は火や雷をまとって攻撃するんだよね。私たちが使っている聖拳も聖属性をまとって、攻撃するスキルだよね?

 聖拳は、手に魔力をまとってその魔力を変質させて攻撃してると思うんだけど、そう考えると聖拳ってスキルと言うより、魔力で攻撃するから魔法攻撃に近い性質だと思うの。そう考えると、魔拳も同質のスキルと言うか魔法じゃないかなって思ったの」

「なるほどな。そう考えると、魔法剣とか参考にならないかな? あれは魔法を武器に叩き込んで攻撃に利用するから、武器の劣化が早いけど、魔法の力を使って攻撃してるからな。魔法剣と聖拳を調べたらヒントがあるかもな。イリス、ありがと」

 イリスにお礼を言って頭をなでる。
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