ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
737 / 2,518

第737話 150階にいたもの

しおりを挟む
 部屋に入ってからは苦戦する事もなく、時間だけがかかったが問題なく倒すことができた。

「体が大きいとやっぱりタフだな。職業というか装備している武器か? それによって硬さが違うとは思わなかったな。盾持ちはタンク扱いという事もあり硬いし、魔法使いの立ち位置の杖は他の2匹に比べて柔らかかったな。誤差の範囲内だと思うけどな」

 俺たちと同じで、シュリを除く他のメンバーは、打たれ強さなどを考えると大して変わらないのである。それでも差が出るのは、専門にしている立ち位置のせいだろう。立ち位置によって身に着けている技術が違うので、その部分で多少の差が出る感じだ。今回の大きい堕天使もそんな感じだろう。

「それにしても、いっぺんに魔力を絞り出すのってきついな。なんていうか、体の芯まで重くなって、動きたくなくなるあの感じは、何度経験しても慣れるもんじゃないな。ライムにイリアも付き合わせてごめんな」

 ライムの頭をなでるのは躊躇われたが、イリアはなでてほしそうな顔をしていたので、なでてあげると『もっと強く!』と訴えるように頭を手に押し付けるように、背伸びをしてグリグリ押し付けてきた。

 こういう仕草を見ると本当に可愛く思えるよな。もし娘だったら、嫁に出さん! とか言ってしまうのだろうか? って俺の妻の一人だけどな。将来、妻たちとの間に子供がもし2人ずつできたとしたら75人を超す大大大家族になるな。

 年長組と姉御組の夜の積極的な様子を見ると、3~4人は軽く産みそうなんだよな。そんなに子供ができたとして、俺はみんなの名前と顔を覚えれるのかな?

「……ん様! 御……様! ご主人様ってば!」

「んぁ? どうしたイリア?」

「さすがに長いの! 頭がはげちゃう!」

「え? そんなに長い時間なでてた?」

「かれこれ5分は経ってると思う……」

 どうやら、色々考えていてトリップしてしまっていたらしい。

「ごめんごめん、ちょっと明後日の方向に考えが飛んでたみたい。さて、大きいのが3体とイレギュラーがあったから、1階に1組ずつじゃないという可能性も……ここまで強いのがゴロゴロいるのも困る。

 何より次の階が150階という、嫌な階という事もあるからな。この階で何もあってほしくない! ウィスプを先行させて様子を見ながら進んでいこう」

 今まで以上に慎重になりながら、通路をゆっくりと進んでいく。それにしてもウィスプって、戦闘力がほとんどないからかコスパがいいんだよな。

 壁を通り抜けられる、霊体系魔物ってどこに魔石があるんだろうな? もし解体できても確実に魔石は取れないから、倒してドロップ品に変わるというのは便利だな。レイスみたいな奴にはまだあった事なかったっけ?

 通路をゆっくりと進んでいくが、俺が考えていたような最悪な事態もなく、階段までたどり着く事が出来た。そこで今、昼食をとっている。早めだったが、このダンジョンの特性と、王国にあった神のダンジョンの事を考えると、150階、151階と連戦になる可能性が高いのだ。

 150階はダメージフロアなので休む事ができないから、そのまま151階に行かなくてはいけない可能性が高い。

「150階なんだけど、まったく情報が手に入れられていない。ウィスプの侵入を防ぐ何かが張ってあって、先行させても部屋にたどり着く前に消滅しちゃうから情報が手に入れれてない。だから今から、人造ゴーレムにカメラをつけて先行してもらう」

 リンドと一緒に作業をして、5体の人造ゴーレムの準備をしていた。無線では何かに阻害される可能性を考慮して、有線で情報のやり取りができるようにした。人造ゴーレムの力をもってすれば、200~300メートルのコードでも、簡単に引っ張る事が可能だ。むしろコードが耐えられるかが心配だ。

「通路は今までと変わった様子は無いな。今までの階ならそろそろ部屋があっても、おかしくないんだけどな……通路が長いな。他と違うと怖いなっと、通路が途切れたな。そろそろ部屋かな。まじか! 今までエリアが入れ替わるタイプだったのに、ここに来て巨大な大部屋……モンスターハウス?」

 モンスターハウスといえば、国民的RPGの龍の探索の4作品目の商人が、ダンジョンに潜ってお金稼ぐゲームに出てくる、モンスターがたくさんいる部屋の事だ。

 モンスターハウスと呼んだ部屋の中には、ゲーム中で語られる鬼畜仕様の、大量にモンスターがいたわけでは無いが、普通のSランクのパーティーなら生存を諦める大戦力がそこにいた。堕天使3体組が3組、合計9体もいたのだ。

「うげぇ……ダメージフロアで、この数の大きな堕天使か……ちょっと作戦を立てないとダメだな。さすがに、今までのような微妙な作戦はなしだな。気になるのは、撤退が可能な部屋なのかどうかだな。前の神のダンジョンみたいなトラップがあると困るしな。どうするか?」

「ご主人様! このダンジョンって穴開けられるの?」

「ん? 王国の神のダンジョンと同じなら、壁自体は壊せると思う。だけど、一番外側にある壁からちょっと先にある、謎の物質は壊せないかな」

「じゃぁさじゃぁさ! 階段付近から穴を掘って、今さっきの部屋とつなげる事はできるって事?」

 ネルがそんな事を言ってきた。

「穴は掘れると思うけど、ダンジョンだからしばらくしたら、修復するんじゃないかな? 俺のダンジョンになったわけじゃないから、修復機能が働くはず」

「穴を掘って、金属や何かで補強しても穴が塞がっちゃうかな?」

「んん? それって今まで試した事なかったな。今日はそれを試してみようか。比較しやすいように4つにチーム分けしようか」

 4つ? と首をかしげる妻たちに説明していく。俺もぱっと思いついただけだから、きちんとした理由があるわけじゃないんだけどな。

 1つ目は階段に穴をあけ金属で補強しながら進む班。2つ目はこの階で普通に穴をあけて放置する班。3つ目は150階で穴を掘って通路だけ補強して、穴の先は蓋をしないで放置をする班。最後はこの階で掘った穴を全部金属で補強して放置する班。

 2は全く補強しない時の修復スピードを見るため、3は穴を通路の先だけ塞がないで、どれだけ修復するのか、4は全面を塞いでいても修復するのかを調べるために、穴を掘ってもらう形だ。

 ダンジョンの最下層付近で、まさか鉱員みたいなことをするはめになるとはね……
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...