ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
792 / 2,518

第792話 あっけない終息

しおりを挟む
『あんた! 何てことするのよ! さすがにダンジョンを水攻めするとか、鬼畜の所業よ!』

 うっせうっせ! 黙れ! 大規模な水魔法で攻め落としただけだろ! もしそれがルール違反だったら出来ないようになってるんだろ? できるって事は、ルール違反ではないって事だろ? じゃぁ、文句を言われる筋合いはない! と言うか、後ろでゲラゲラ笑ってるやつらは何だ?

『もしかしたら、ダンジョンバトルじゃないダンジョン攻略が始まるかもしれないって、神たちが集まってきたのに、15分もしないうちにダンマスが死んで、あんなことできるのか! みたいな感じでゲラゲラ笑ってるのよ! あんたの非常識っぷりが原因よ!』

 非常識って言われても、禁止されてないんだから何の問題もないだろ?

『あなたには口で勝てそうにないわね』

『ちょっといいかの? シュウ君やい、さすがに今回のダンジョン攻略は、どうかと思うのだが……確かにルールで禁止はしてなかったが、それをできるものがいると思っていなかったからなのだよ。さすがに今回の件で、ルールを見直す必要が出たわい。次からその方法は、使えないから注意するように!』

 ハゲ神、元を正せばハゲ神が向こうのダンマスに肩入れしたのが原因だろ!

『うっさいわ! ハゲておらん! ちょっと髪が薄いだけじゃ! それに、今更お主がただのダンジョンマスターに苦労するわけなかろうが! 楽しんでもらえると思って準備したのにのぅ』

 本当にハゲてるのか……神様も万能じゃないんだな。プププッ! って、そもそも神が肩入れする方がおかしいだろ! そういう嫌がらせは止めろよ!

 後、俺とダンジョンバトルしたことのある、俺がダゴンって呼んでる魔物がいるダンマスにも伝えておけよ。リバイアサンの水攻めがダメで、あっちの水攻めがありなのは理不尽だからな!

『あっちは、全体に影響を及ぼせないから、何の問題もないじゃろう。お前が支配下においたリバイアサンは文字通り次元が違うからのう。ダンジョンバトルには参加不可能にしておくぞい』

 はぁ? ちょっと待てよ! あいつがよくて、リバイアサンがダメとかインチキすんなよ! せっかく小さくなれる事が分かったのに、参加不可とか理不尽だ!

『お主、リバイアサンがいなくても何の問題もないじゃろうが! ふぅ、お主と話すと調子が狂うわい。だが、お前さんだけに不利になるのはさすがにルール違反だから、メリットを何かつければ問題ないじゃろ?』

 そのメリットとは?

『何がいいかの? ダンジョンバトルで、お主が有利になる事はさすがにできないからのう……報酬に色をつければ文句はないじゃろ?』

 ふむ、そんなもんかな? どうせ、リバイアサンを出し過ぎれば、戦いたがるダンマスが減るしな。その辺で手をうっておくか。

『そうしてくれ、リバイアサン……天災級の魔物が、ダンジョンバトルに参戦するのは、本当に予想外だったからのう。リバイアサン以外にも天災級の魔物を、参加不可にしておくべきじゃな。支配下に置くのなら結構な数ができるからな。その条件を満たせるかは甚だ疑問だがの』

 ダンジョンバトルは参加不可か。でも、ダンジョン攻略には使ってもいいって事だよな。話の流れでダンジョン攻略に使えない! と思わせておいてってとこだろう。ったく油断も隙もねえな。これで神のダンジョン攻略が楽になったな。

『ウグッ! ちょっと待ってほしいんだがな。さすがに天災級の魔物を、ワシのダンジョンで使うのは、勘弁してもらいたいんじゃがな』

 やっぱりな。本当に油断ならねえな! やっぱりダンジョンバトルには制限できても、普通のダンジョン攻略には制限をかけられないようだな。

『ちょっとあんた! 創造神様に向かって失礼じゃない! 少しは遠慮しなさいよ! ハゲ神様は少し毛が薄いだけなんだからね!』

『ウグッ』

 ハゲ神に止めを刺すなよ。そもそも、お前らが俺を拉致しなければ、こんなこと言う事も無かったんだよ!わかれよ!

『ちょっと……ワシは、髪の毛が薄いだけなんじゃよ? ほんのちょっと薄いだけなのに』

 別にハゲてたっていいじゃん。隠そうとするから恥ずかしく感じるんだよ! 誇れとは言わないが隠さない方がいいと思うぞ。

『……』

『ちょっと! あんたの所為で、ハゲ神様が黙っちゃったじゃない!』

 チビ神、お前さ、自分でハゲ神って言ってるのに気付いてるか? お前だってハゲてると思ってるんじゃねえかよ。

『へぇっ? そ、そ、そんなことないわよ?』

 あーそうだねー思ってないんだろうねー

『どうして棒読みなのよ! 信じてないわね!』

 もちろん信じてない! と言うか、もう話すことは終わったのか? 敵がいないとはいえ、ダンジョンを進みながら会話をするのは面倒なんだが。

 そんな事を言っていたら干渉が終わっていた。敵のいないダンジョンを、全力で下に向かって行く。

 マッピングに関しては、神のダンジョンで実績がある、ウィスプ軍団でこのダンジョンの構造を丸裸にしてから、侵攻なので楽なものである。戦力として、三幼女がリバイアサンも連れてきているので、過剰戦力もいい所だろう。

 あ、例のごとく、リバイアサンは俺の命令より、三幼女の命令を優先していた。俺の命令というかお願いは聞かないけど、同じ内容のお願いを三幼女がすると、何故か問題なく実行してくれるという、納得のいかない状況である。この世界の魔物は、ロリコンばかりなのでは? という疑惑が俺の頭をよぎった。

 ダンジョンに入って1時間、到達階層は34階。そして次の階には、ダンジョンコアがある事が確認された。なぜ34階で足を止めているかと言うと……

「これって一応ボスだよな?」

「多分そうだと思うけど、これはちょっと……」

 何とか返事をしたリンドの思いを肯定するように、まわりの妻たちも頷いていた。

 目の前には、このダンジョンのボスだと思われる、打ち上げられた魚みたいに、死んだ目をした……おそらく爬虫類系の魔物が複数体いたのだ。体の一部が、ダンジョンと同化して見えるので、おそらくカメレオンみたいな、擬態能力のある魔物だと思われる。

 同じ魔物が複数体でボスをしている事は、ダンジョンとしてみるとあまり多くないので、奇襲とかいう意味では優れた戦法かもしれないが、リバイアサンの水攻めには勝てなかったようだ。

「と言うか、最奥にいるボスだから、それなりに強くて水攻めで死ねなかったって感じか? 先にダンジョンマスターが死んでしまって、こんな状態か……止めを刺さないと先に進めないから」

 さくっと止めを刺して、ダンジョンコアを奪取して、今回のトラブルの原因は解決した。後は、グリエル・ガリア・ゼニスに任せれば問題ないだろう。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...