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第804話 光が見えてきた?
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あれから司祭たちに動きはなく、1週間が経過した。なのでこの俺たちが来てから、冒険者で行方不明になった者はいなかった。樹海に素材を取りに行って、死んで行方不明になってしまう冒険者もいるにはいるが、そこまで無謀な事をする冒険者は、すぐに死ぬか大怪我をしてこの街を離れてしまうらしい。
司祭たちに動きはなかったが5人の冒険者に扮した奴らは、すべての事情を話すことで治療費を減額に成功したが、今までの悪事を治療にあたった俺の協力者が、冒険者ギルドにリークした事で、犯罪奴隷として売られることとなった。
特に女の冒険者2名は、見た目はそれなりによかったので、ろくな人生は待っていないであろう。
この時点でわかると思うが、この冒険者グループは司祭たちと協力関係にはあったが、実際に会った事はなく、こいつらから司祭の悪事を証明する事が出来なかったのだ。こいつらの証言だけであれば、真っ黒も真っ黒なのだが、決定的な証拠が無いため、グレーという事で現在の状況では捕まえる事が出来なかった。
問題は、テイマーの3人組の犯罪の称号持ちだったが、3人とも捕まったその日の内に自殺をしてしまった。厳重に警備をしていたが、舌を噛み切りその上で手首の血管も噛み切り、さらには自分で喉を潰し頸動脈もちぎり自殺をしてしまった。
3人とも同じ死に方で……さすがに看守がすぐに見つけたが、回復魔法を使える人間が近くに居らず、間に合わなかった。
「何度報告書を読んでも、この自殺の仕方はすげえな。よく自分で実行できたもんだ。貴重な情報源だったから、すぐにツィード君を派遣したのに、目覚めてすぐに実行に移したんだろうな。
情報を渡したくないから、自殺をしたのは分からなくもないけど、これはな。情報を自分でしゃべってしまったら、何かがあったのかな? 何があっても絶対に死ぬ! という意志さえ感じる死に方だったもんな」
「そうですね。家族が殺されるとか? ですかね?」
ライムがそういう風につぶやいた。
「もしそうだったとしても、自分たちを利用した人間が、その家族を助けるとは思わないんだけどな。俺の予想なら、連絡が取れなくなった時点で用済みだから、殺すか奴隷として売られるかのどちらかだろうな。
もし家族を人質に取られて、犯罪を犯していたのであれば同情する気持ちはあるけど、自分たちも同じ事をしていたのだから、自業自得でもあるよな。罪のない冒険者を奴隷にしている手伝いをしていたのに、家族を助けてくれとか言われても、正直助けたいとは思えんな」
「今だから言えることですが、もし私たちの誰かが捕まったのなら、自分たちの力で取り戻します。その力が無かったあの人たちには同情しますが、この世界で力が無いのは……」
「ピーチ、それ以上はいいよ。人質に関してはこちらの勝手な憶測なんだし、ただ金のためにやっていた可能性だってあるし、洗脳されてそうする事が当たり前と思っていたかもしれない。今回のこの事件は、予想以上に面倒な案件なのかもしれないな」
何の収穫もなく、1週間が過ぎた事によって俺はじれていたのだ。普通十日やそこらで、事件が解決する事は少ないのだが、何も動きが無かったので苛立っていたのだ。ただ本来の目的である、妻たちに可能な限り軍曹式訓練に、参加させたくなかったという事を忘れていた。
「あのテイマー3人組以外に協力者がいないとは限らないが、1組が捕まった事によって警戒しちゃったかな? 5人組の方は、大した情報も持ってなかったもんな。
ただ単にお金がなかった時に声をかけられて、集められたパーティーなだけだったしな。それにしても何で職業を偽ってたんだろうな? 偽ってたから警戒したってのもあるんだけどな」
ブツブツ言いながら自分の考えを頭でまとめていた。
それから3日、特に変化がなく過ぎていった。そして4日目に司祭に動きがあった。今まであっていなかった4人の司祭が1ヵ所に集まって何やらしているのだ。今まで会っていなかっただけなのか、それとも定期的に集会をしているのか……以前は詳しく監視していたわけでは無いので、そこら辺が不明だ。
司祭に付き添っている護衛のような人間が、何やら動き出していた。次の日に冒険者ギルドに何度も足を運んでいたようで、何組かの冒険者パーティーに接触しており、そのうち2パーティーが司祭と接触していた。
そこで何が行われたかは分からないが、接触した1パーティーが他の司祭とも接触していた。3日目になると、称号に信者というものがついていた。
「この3日でこいつらに何があったんだ。こんな簡単に信者になるもんなのか? それに洗脳された形跡はないんだよな、まじで何があったんだか」
「ご主人様?」
「どうした、クシュリナ」
「1つ気になったんだけど、マップ先生で表示される状態異常って、スキルとかによるものですよね? スキルを使用しない洗脳技術があったとしたら、それってどうやって表記されるんですか? ご主人様のいた世界には、魔法やスキルが無いのに洗脳できる人たちがいたんですよね?」
「ん~確かに、スキルや魔法を使わない洗脳技術があった場合、マップ先生に表記されるのだろうか? この世界の仕組みから考えると、状態異常に含まれない気がするな。そう考えると、一連の問題は何となく見えてきたか?」
スキルや魔法を使わないで洗脳する事によって、犯罪の称号も付かず信者に仕立て上げていた可能性が生まれた。となると、ミューズに限らず信者となった人間には、注意が必要となるだろう。
そして一番の問題は、洗脳している司祭が信者ではないという事だ。明らかに宗教を利用している人間だという事になる。自分たちが利益を上げるために他人を利用する……俺が一番嫌うタイプの人間だ。
犯罪の称号がついていないため、どうするべきか悩むところである。こいつらに食い物にされた人間は、数知れないだろう。その中には、質の悪い悪人もいただろうが、それ以上に何も悪くない人の方が圧倒的に多かったはずだ。どうにかならんものかな?
「シュウ君、1つ提案なんですが、ミューズの街に宗教関係者の立ち入りを禁止してはどうですか? 領主権限でその位やっても問題ないですし、犯罪になりません。思想の違いという事で、切り捨てる事が可能です。それで文句を言うようでしたら、嫌ならミューズに来なければいい、と言えばいいと思います」
ミリーがそういう風に言ってきたので、グリエルに相談して宗教関係者の一切の立ち入りを禁止にした。
それと同時に、中立地域で本人の意思表示無く治療行為を行った場合は、近くにある各都市毎に指定された治療代以上を請求した場合は、犯罪者として拘束する事を公布した。そしてその設定金額は、非常に安い物となっている。簡単に言えば、子供のお小遣い程度だ。
そして公布したことによって、中立地域でそういった行為をすると、犯罪者の称号がつくようになった。
どういった原理なのかは分からないが、この世界の法則で一定の人間に認められると、称号がつくようになるらしい。なので悪法を世界の法則として、認識させることはできないという事だ。法律のすべてが適応されたら、犯罪者だらけになるからな。
ちなみに、悪法で国民を縛っている国では、衛兵や貴族、王族は軒並み犯罪の称号持ちという国も存在している。
基本的に特権階級の人間は、街に出入りする際に称号確認が必要ではないので、自分が世界の法則で犯罪を犯しているという認識が無いのだ。称号がついたと分かっていても、システムの誤作動みたいな認識しかしないので、どうにもならないのだが……
司祭たちに動きはなかったが5人の冒険者に扮した奴らは、すべての事情を話すことで治療費を減額に成功したが、今までの悪事を治療にあたった俺の協力者が、冒険者ギルドにリークした事で、犯罪奴隷として売られることとなった。
特に女の冒険者2名は、見た目はそれなりによかったので、ろくな人生は待っていないであろう。
この時点でわかると思うが、この冒険者グループは司祭たちと協力関係にはあったが、実際に会った事はなく、こいつらから司祭の悪事を証明する事が出来なかったのだ。こいつらの証言だけであれば、真っ黒も真っ黒なのだが、決定的な証拠が無いため、グレーという事で現在の状況では捕まえる事が出来なかった。
問題は、テイマーの3人組の犯罪の称号持ちだったが、3人とも捕まったその日の内に自殺をしてしまった。厳重に警備をしていたが、舌を噛み切りその上で手首の血管も噛み切り、さらには自分で喉を潰し頸動脈もちぎり自殺をしてしまった。
3人とも同じ死に方で……さすがに看守がすぐに見つけたが、回復魔法を使える人間が近くに居らず、間に合わなかった。
「何度報告書を読んでも、この自殺の仕方はすげえな。よく自分で実行できたもんだ。貴重な情報源だったから、すぐにツィード君を派遣したのに、目覚めてすぐに実行に移したんだろうな。
情報を渡したくないから、自殺をしたのは分からなくもないけど、これはな。情報を自分でしゃべってしまったら、何かがあったのかな? 何があっても絶対に死ぬ! という意志さえ感じる死に方だったもんな」
「そうですね。家族が殺されるとか? ですかね?」
ライムがそういう風につぶやいた。
「もしそうだったとしても、自分たちを利用した人間が、その家族を助けるとは思わないんだけどな。俺の予想なら、連絡が取れなくなった時点で用済みだから、殺すか奴隷として売られるかのどちらかだろうな。
もし家族を人質に取られて、犯罪を犯していたのであれば同情する気持ちはあるけど、自分たちも同じ事をしていたのだから、自業自得でもあるよな。罪のない冒険者を奴隷にしている手伝いをしていたのに、家族を助けてくれとか言われても、正直助けたいとは思えんな」
「今だから言えることですが、もし私たちの誰かが捕まったのなら、自分たちの力で取り戻します。その力が無かったあの人たちには同情しますが、この世界で力が無いのは……」
「ピーチ、それ以上はいいよ。人質に関してはこちらの勝手な憶測なんだし、ただ金のためにやっていた可能性だってあるし、洗脳されてそうする事が当たり前と思っていたかもしれない。今回のこの事件は、予想以上に面倒な案件なのかもしれないな」
何の収穫もなく、1週間が過ぎた事によって俺はじれていたのだ。普通十日やそこらで、事件が解決する事は少ないのだが、何も動きが無かったので苛立っていたのだ。ただ本来の目的である、妻たちに可能な限り軍曹式訓練に、参加させたくなかったという事を忘れていた。
「あのテイマー3人組以外に協力者がいないとは限らないが、1組が捕まった事によって警戒しちゃったかな? 5人組の方は、大した情報も持ってなかったもんな。
ただ単にお金がなかった時に声をかけられて、集められたパーティーなだけだったしな。それにしても何で職業を偽ってたんだろうな? 偽ってたから警戒したってのもあるんだけどな」
ブツブツ言いながら自分の考えを頭でまとめていた。
それから3日、特に変化がなく過ぎていった。そして4日目に司祭に動きがあった。今まであっていなかった4人の司祭が1ヵ所に集まって何やらしているのだ。今まで会っていなかっただけなのか、それとも定期的に集会をしているのか……以前は詳しく監視していたわけでは無いので、そこら辺が不明だ。
司祭に付き添っている護衛のような人間が、何やら動き出していた。次の日に冒険者ギルドに何度も足を運んでいたようで、何組かの冒険者パーティーに接触しており、そのうち2パーティーが司祭と接触していた。
そこで何が行われたかは分からないが、接触した1パーティーが他の司祭とも接触していた。3日目になると、称号に信者というものがついていた。
「この3日でこいつらに何があったんだ。こんな簡単に信者になるもんなのか? それに洗脳された形跡はないんだよな、まじで何があったんだか」
「ご主人様?」
「どうした、クシュリナ」
「1つ気になったんだけど、マップ先生で表示される状態異常って、スキルとかによるものですよね? スキルを使用しない洗脳技術があったとしたら、それってどうやって表記されるんですか? ご主人様のいた世界には、魔法やスキルが無いのに洗脳できる人たちがいたんですよね?」
「ん~確かに、スキルや魔法を使わない洗脳技術があった場合、マップ先生に表記されるのだろうか? この世界の仕組みから考えると、状態異常に含まれない気がするな。そう考えると、一連の問題は何となく見えてきたか?」
スキルや魔法を使わないで洗脳する事によって、犯罪の称号も付かず信者に仕立て上げていた可能性が生まれた。となると、ミューズに限らず信者となった人間には、注意が必要となるだろう。
そして一番の問題は、洗脳している司祭が信者ではないという事だ。明らかに宗教を利用している人間だという事になる。自分たちが利益を上げるために他人を利用する……俺が一番嫌うタイプの人間だ。
犯罪の称号がついていないため、どうするべきか悩むところである。こいつらに食い物にされた人間は、数知れないだろう。その中には、質の悪い悪人もいただろうが、それ以上に何も悪くない人の方が圧倒的に多かったはずだ。どうにかならんものかな?
「シュウ君、1つ提案なんですが、ミューズの街に宗教関係者の立ち入りを禁止してはどうですか? 領主権限でその位やっても問題ないですし、犯罪になりません。思想の違いという事で、切り捨てる事が可能です。それで文句を言うようでしたら、嫌ならミューズに来なければいい、と言えばいいと思います」
ミリーがそういう風に言ってきたので、グリエルに相談して宗教関係者の一切の立ち入りを禁止にした。
それと同時に、中立地域で本人の意思表示無く治療行為を行った場合は、近くにある各都市毎に指定された治療代以上を請求した場合は、犯罪者として拘束する事を公布した。そしてその設定金額は、非常に安い物となっている。簡単に言えば、子供のお小遣い程度だ。
そして公布したことによって、中立地域でそういった行為をすると、犯罪者の称号がつくようになった。
どういった原理なのかは分からないが、この世界の法則で一定の人間に認められると、称号がつくようになるらしい。なので悪法を世界の法則として、認識させることはできないという事だ。法律のすべてが適応されたら、犯罪者だらけになるからな。
ちなみに、悪法で国民を縛っている国では、衛兵や貴族、王族は軒並み犯罪の称号持ちという国も存在している。
基本的に特権階級の人間は、街に出入りする際に称号確認が必要ではないので、自分が世界の法則で犯罪を犯しているという認識が無いのだ。称号がついたと分かっていても、システムの誤作動みたいな認識しかしないので、どうにもならないのだが……
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