ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第832話 出発

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 会議の後、妻たちに散々からかわれて恥ずかしくなったので、会議室を抜け出していた。隣には寄り添うようにニコが……って、お前ってそんなに大きくないだろ! と思いながら下を見ると、スライムタワーを作ってニコが一番上に乗り、俺の寄り添ってくれていたようだ。

 何がしたいのかいまいちわからなかったが、ふらふらしている様子がちょっとおもしろくて落ち着いたのだ。

「よし、お前ら! 中庭に行って拭いてやるぞ!」

 ニコたちスライムにそういうと、プルプル震えだしてスライムタワーが崩れた。喜んでいるみたいなので、さっさと中庭に行って拭いてやろう。

 さて、このスライムだが、綺麗好きなんだよな。というかスライムは、ダンジョンの掃除屋と呼ばれているから綺麗好きなのは知られているが、汚れがあったら食べてしまうという習性なだけであって、綺麗好きと言っていいのか分からないが、ニコたちは正真正銘の綺麗好きなのだ。

 お風呂も毎日欠かさずに入るし、部屋や屋敷の掃除もシルキーの指導の元完璧にこなすのだ。

 そんなニコたちスライムは、ギンたちの獣型魔獣のブラッシングと同じ意味合いで、体を拭いてあげると喜ぶのだ。特にキュッキュ! という位に磨いてあげると、機嫌よく高速でプルプルするのだ。その姿が可愛くて、ついつい拭いてあげちゃうんだよな。

 一番初めにギンたちのブラッシングしている時に、手ぬぐいを持ってきた時にはビックリしたもんだ。訳が分からずに様子を見ていたら、触手を器用に使って手ぬぐいをしぼり、他のスライムを拭き出したのを見て、自分もやってほしいという事を主張してきたのだ。あれには本当にビックリしたな。

 スカルズの7人がカレリアに到着するのは明日なので、準備を考えると明後日の出発になるだろう。あ、そういえば、スカルズは4人から7人になったんだよね。

 話の流れからなんとなくわかると思うけど、初めにいた4人と一緒に行動させてたケモ耳3人娘も、いつの間にかお揃いの装備をゲットしていて、7人で行動しているとの事だ。

 レッドドラゴンをずっと一緒に狩ってれば、そういう事もありえるか? ケモミミ3人娘に起きた悲劇を聞いてしまったら、自分たちと状況を重ねて、憤りを覚えて妻たちに直訴しに行ったのが、今回の始まりだったらしい。仲間思いなのは良いけど、自分の力量は見誤らないようにね!

 スライムたちも満足したのか、スライム団子になって寄り添い重なり合って、多分寝ている。他の色のスライムはいる場所が変わるんだけど、唯一変わらないのがニコなんだよな。

 数が少ない時は中心にいたんだけど、順調に分裂して増えるとスライム団子を作る時は、必ず頂上に乗るのが不思議なんだよね、8匹くっついたら巨大化しないかなっていつも思ってるけど、それはないみたいだ。

 そんな心休まる光景を見ながら、俺もウトウトし始め寝てしまった。

 どれくらい時間が経ったのか分からないが、目が覚めるとお腹や両腕に重さを感じた。目を開けてその正体を確認すると、右腕にイリア、左腕にネル、お腹の上でシェリルが丸くなって寝ていた。

 しかも、自分たちだけタオルケットにくるまっており、俺はちょっとだけしかその恩恵を受けていなかった。でも、この娘たちが温かいから気にならなかったけどね。

 時間が気になる所だが、3人が気持ちよさそうに寝ているのを起こすのはしのびないので、起きるまでそっとしておくことにした。近くでは、変わらずスライムたちが寝ており、あれ? てっぺんにいたニコがいなくなっていると思ったら、少し離れた場所にたたずんでいた。

 今上に乗っているスライムに押しのけられたのだろうか? それとも転がり落ちて空いた所にあのスライムが納まったのだろうか? まぁどっちでもいいか。スライムの生態なんて分からないしな。

 1時間程、スライムをながめたり、空をながめたりしていると3人が起きて、おはようと言って俺の頬にキスをしてくれた。そうなんだよな。最近、おませさんになってきたのか、年少組の子たちが朝起きた時とかに、頬にキスをしてくれるようになったんだよね。

 初めは口にしたがっていたが、まだ早いと言うと頬にし始めたのだ。さすがに頬を拒否する理由も無かったので、みんなが飽きるまで続けようと思っている。

 3人が起きたので時間を確認すると、もう少しで夕食の時間になりそうだったので、慌てて準備をして意識をカレリアにいるドッペルに移す。

 カレリアには商会のメンバーがいるとはいえ、綾乃はあんまり接点がなく、ボッチになってしまうので食事は一緒にとる事にしている。食べ終わってから、本体で食べる事を繰り返してるけどな。

 明日にはスカルズの皆も到着するから、一緒に食事するのも今日までなんだけどな。スカルズの皆と綾乃は、ゲーム仲間でもあるので仲は良い。スカルズがいれば、ダンジョンについてくるとか言いそうだな。

 翌日には、スカルズが到着して、俺はダンジョンアタックの準備をしていた。念のため、俺たちがいない間は、連れてきていたリビングアーマーを着せていたドッペルと、リビングアーマーたちに守りをまかせる事にしている。

 綾乃が到着したスカルズを見て、何でここに来たのかを聞いてしまった。

「私も行く! みんながいるなら大丈夫!」

 スカルズの皆は苦笑しているが、嫌がっている様子は無いのでお荷物になるが連れていく事が決定した。綾乃以外は移動速度が遅くなるから、探索の時間が長くなりそうだと考えていた。

 ダンジョンアタック当日、街を出発して、ダンジョンの入口がある王国軍の駐屯地に向かって馬車を走らせる。
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