ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
846 / 2,518

第846話 戦争はすでに始まっている!

しおりを挟む
「「「「「「ん……ん?」」」」」」

 そう言って、男5人女6人が目を覚ます。全員が人造ゴーレムに立たされて、押さえつけられている状態で、猿轡をされているので声を出せないでいる。

 ん~ん~言っているがとりあえず一言。

「王国で犯罪者の皆さん、捕まった気分はどうですか?」

 とりあえず、煽ってみた。そうすると、男5人は俺を殺すと言わんばかりに睨んでくるが、その状態じゃな。

「まぁ一応弁解を聞いてみるか。ツィード君、そのリーダーっぽい奴の猿轡を外してくれ」

「りょーかいであります!」

 ツィード君が猿轡を外して第一声、

「てめぇ! こんな事していいと思ってんのか! 俺たちはトリプルの冒険者パーティーだぞ!」

「もちろん知ってるよ。王国で犯罪を犯して、帝国に逃げたんだろ?」

「逃げたんじゃねえ! 帝国に行くために土産が必要だったんだよ! それに今は、王国の貴族の願いでここに来てるんだ、帝国も王国も黙っちゃいねえぞ!」

「へ~、1つ言っておくぞ。王国はお前たちを犯罪者と認定していて、王国内の冒険者ギルドでは、お前たちは単なる犯罪者だって事をしらんのか?」

「それがどうした! ゼクセンの貴族が俺らの事を保証してるんだ、王国の木端共が付けた犯罪者のレッテルなんてないに等しいわ!」

「ちなみに、お前らを捕まえてほしいって依頼してきたのは、この国の王様だからな。王国の貴族の威光は効かないぞ。さてどうする?」

「なっ! だからって、帝国で認定されているトリプルの冒険者を、勝手に拘束していいと思ってんのか!」

「思ってるよ。お前さ、トリプルの冒険者ってどんな冒険者がなれるか知ってるか?」

「シングル以上の冒険者は、実績も実力も無ければなれないんだよ! そんな事も知らないのか! 今までの貢献を考えれば、お前なんかより俺らの方が優先される。だからこのまま冒険者ギルドに連れていけば、お前らが犯罪者として捕まるんだよ! 今解放するなら許してやるから、な?」

「清々しいまでの屑っぷりだ」

「てめぇ! クソが!」

「知ってるか? トリプルの冒険者の本当の意味をな……このランクの冒険者は、戦闘能力をもった犯罪者予備軍みたいな奴らを指すんだよ。冒険者ギルドとして、管理しにくい奴らを総称してトリプルって言うんだぜ。だから冒険者ギルドからすれば、ダブルの冒険者の方が優秀って事なんだよ。

 ランクが高いからって、何してもいいって思っているような、お前らに相応しいランクって事だ。だから、冒険者ギルドに連れて行っても俺らが捕まる事はない。それに初めに言ったろ。国王から依頼されて、冒険者である俺は、お前らを捕まえに来てるんだってな」

「王国と帝国が戦争を始めるきっかけをお前が作ったんだ。2つの国の人間に恨まれて死にやがれ! 帝国の人間が俺たちの事をきっと助けてくれるさ! その時にお前は後悔するだろうな!」

「本当にそう思ってるの? たかがお前ら如きのために、戦争が始まるって……寝言は寝てから言えよ。たかがレベル400に満たない冒険者5人のために、帝国が動くって?お前ギャグのセンスあるな。

 帝国のインペリアルガードは、全員レベル300超えてるんだぜ? そんな奴らがいるのに、問題行動を起こすお前らなんか助けるわけないって」

 汚い言葉を何度も吐いていたが、繰り返しになってきたので再度猿轡をはめて、違う男の奴を外す。

 結果は、リーダーと思われる奴と同じ事を言っていた。聞くに堪えなかったのですぐにハメなおす事になったけどな。続いて女性陣の話を聞いてみると、騙された!とか俺に乗り換えようと、誘惑してきたりしてきたのだ。

 すぐに俺の妻、カエデとミリーとリンドが来て『うちの旦那に色目使うと殺すぞ!』みたいな事を言っていて、ちょっとタマがヒュンッてしました。

 騙されたとか言ってるけど、この女たちも見捨てられた2人の女から、色々と内情が聞けてるからな。いい男がいれば喰って、トリプルの男たちにひどい事をされたと泣き付いて金を毟り取ってたり、自分よりチヤホヤされている女がいれば、男共に壊させたりしてたって言ってたからな。

 見た目は……そこそこ? 奴隷になったら、ゴーストタウンのオークの檻にでも入れておくか?

「まぁ君たち、何を言ってもその首輪をつけられている以上、どうにもならないんだけどね。あっ! 無理に外そうとすると……って、お前もしかして正規の外し方以外に、外す方法知ってるのか……」

 手で触ってもいないのに、奴隷の首輪の罰則が発動したのを見て、そう理解した。全身に電気がはしっているようで痙攣している。

 この奴隷の首輪には、世間に出回っている首輪の外すコードを流すか外そうとすると、首輪が装着者の魔力を使って放電をするように作られているのだ。ツィード君が改良した奴隷の首輪改は、防犯面でかなり優秀になっている。

「まさかあれに気付いている奴がいるとはな……結構頭がいいのか?  それとも何かの資料を読んだのか? どっちでもいいか。どうせ死ぬまで外す事の出来ない首輪がついてるんだからな」

 首輪がついている事に気付いたリーダー以外の10人は、絶望した表情になっていた。

「お前らさ、自分たちが今までやってきた事を考えれば、奴隷に落ちるだけなら温いもんだろ? 今まで殺してきた人や凌辱された挙句に、奴隷にされた人たちに比べれば、まだまだ優しい処置だろ?

 お前らはどのみち戦争が終わったら俺の奴隷になって、ゴーストタウンの見世物になってもらうからな。精々、精神が壊れないように頑張れよ」

 現状どうにもできない事が分かり、抵抗しようにも人造ゴーレムが押さえつけているのでどうにもならないと、理解せざるを得なかったのだろう。それが、あの絶望した表情という事だな。

「うっし、胸糞悪かったけどスッキリした! あっちの子たちはどうだ?」

「みんな、カレリアの治療院に行くって。それにシュウ君のあいつらを言い負かしている姿を見れて、少しは気が晴れたみたい。説得も楽だったわ」

「そりゃよかった。嫌がらなければ、是非ゴーストタウンでの見世物に招待しないとな。オークの方も気が晴れるかもしれないけど、ホモークの方はそういう目にあった女性たちからは、スッキリするっていう話だからな。馬車を離して連れていこうか」

「犯罪者の方は、明日の朝でいいんじゃない? 人がいる時間帯に堂々と連れ帰ればさ」

 おっと、ミリーが黒いこと言ってるぞ! 大丈夫か! そして、ミリーの言っている事に妻たちの半数以上が同意してる! 同意してないのは、状況を理解できていない年少組と土木組だけだった。そのまま素直に育ってくれ!

「あいつらはあのままでいっか。乾かないように適度に水をかけてやってくれ。明日になったら、そのまま人造ゴーレムを走らせて連れていこう。カエデ、そっちは任せていいか?」

「了解よ。カレリアに彼女を連れて行くわ。遅くなるから私たちは向こうで寝るわね」

 最大の問題は排除できたと思う。トリプルの冒険者たちがいなくなったと知った時の、ゼクセンの領主の顔が見て見たいもんだ。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...