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第856話 シルキーたちの執念
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する事がなかったので、テラリウムにかかりっきりのミドリ以外のシルキーたちと、料理について話し合っている。
今までは、俺の知っている料理法、簡単な和食の調理法だったり、中華の料理法だったり、それらをベースにして本などを読み、自分たちの調理法へ昇華させていた。
他の調理法ができないわけではないが、俺の好みが和食や中華、狭義の意味での洋食〈日本で独自に発展した西洋風の料理を指す日本料理の1種〉を中心に調理していたので、あまり他のモノに興味を示さなかったということもある。
なので今回は前にも話していたフレンチの技法を、シルキーたちに聞いてもらう事にした。
フレンチ……フランス料理は、フランスで発祥した様々な食文化の総称で、現代では世界三大料理の一つに数えられている。つまり、おいしい料理を作るための技法が沢山あるということだ。
日本料理は素材の味を活かす事が多い。それに対してフランス料理は、素材に手を加え味を更に引き出す技法といえばいいのだろうか?
日本料理もフランス料理も、それだけではないが俺が勝手に理解している違いは、そんなものだ。
フランス料理の献立は、オードブル・メインディッシュ・デザートの3種で構成される事が多いと聞いたことがある。
フランス料理の代表的な料理で思いつく物といえば、オードブルで言うと、テリーヌ・フォアグラ・ポトフ等が有名だろうか? メインディッシュに関しては、俺には正直よくわからない。デザートは、ミルフィーユ・エクレア・クレープ・パフェあたりが、分かりやすいだろうか?
俺は料理人ではないので詳しい事はよくわからないが、調理に使う技法であって、日本料理だからフランス料理の技法を使ってはいけないという事はないはずだ。なので、シルキーたちに料理漫画ばりのプレゼンをしてみた。
今、シルキーたちが作ってくれている料理は、非のないほど美味いのは分かっているけど、フランス料理の技法を取り入れたら、もっと料理が美味しくなるのではないか? と訴えてみたところ、シルキーたちは乗り気になり鼻息を荒くして、調理する姿などが見れる映像がないか詰め寄られた。
いろいろ検索してみると、フランス料理の映像だけでなく、日本料理や中華、その他の映像資料も見つかったので、一緒に出しておいた。
一応すすめた身として一緒に映像資料を見る事にした。
一番初めにDVDにセットされた映像資料は、『ブッフ・ブルギニョン』というフランス料理だった。牛肉の煮込み料理である。ブルゴーニュ風とあるが、どこかの地名だろうか?
かたい肉を下処理して、煮込んで、味をしみこませて提供する料理である。細かい技法等はよくわからなかったが、シルキーたちはそれを見ながら、お肉を柔らかくする方法なら、煮る以外にもたんぱく質を分解してくれる酵素が……ウンタラカンタラと言って料理談義が始まっていた。
この様子を見て、俺はついていけないと判断して、シルキーたちの部屋を後にした。
おやつ前あたりに、ブラウニーたちが慌てて俺のところにやってきた。
「ご主人様! シルキー様たちが部屋から一向に出てこないんですが、どうしたらいいでしょうか!?」
というものだった。あのシルキーが通常業務を放り出して、映像資料にかじりついているみたいだ。ブラウニーに事情を説明して、何度も頭を下げて理解してもらった。その後すぐに、今日の献立は決まっているので問題ないのだが、明日の献立は決まっていないので、どうしたらいいかと尋ねられてしまった。
朝食は、ビュッフェ方式なので何種類もある中から選んで作るだけなので問題ないが、昼や夜はどうすればいいのか半泣きになって尋ねられたのだ。
献立ってシルキーたちが全部決めているんだな……なんてどうでもいいことを考えてしまった。
基本的に、献立より俺の希望の方が優先なのは、今までの経験で理解しているので、ブラウニーにこれ以上の迷惑をかけないように献立を希望しておく。
明日の昼は、丼物を数種類用意してほしい事。その献立の中に親子丼とかつ丼を入れてもらった。他にもブラウニー達の裁量でいくつか準備してほしい事を伝えておく。
夕食に関しては、鶏のから揚げ、油淋鶏、フライドチキン等、鳥の揚げ物系を希望しておいた。最近は揚げ物が少なかったので、久しぶりにガッツリと食べたいと思っていたのでちょうどいい!
俺の予想に反して、3日ほどシルキーたちは部屋にこもって、映像資料と格闘していたようだ。妻たちにも食べたい物を聞いて、献立として依頼しておいた。
4日目の朝になると、朝食を食べるために食堂へ向かって廊下を歩いていると、廊下中に響き渡るような音で、ドカンッと鈍い音がした。何事かと思っていると、原因はすぐに分かった。
シルキーたちが、こもっていた部屋から飛び出して、勢い余って扉を壊してしまった音だった。
「「「ご主人様! 申し訳ありません! 少しでも早くご主人様に報告をしたくて焦ってしまい、扉を壊してしまいました!!」」」
「シルキーたちの頑張りを考えれば、それくらいどうって事ないから気にしなくていいよ。後で直しておくから。で、何を報告したいんだ?」
「それは! ご主人様に用意してもらったフランス料理の技法について、いくつか理解できたので、今日の料理にさっそく使ってみようと思いまして!
本当は、全部極めるために頑張ろうとしたのですが、1つの野菜の切り方にも何種類何十種類もあり、すべて覚えていたら時間が足りないと思ったので、すぐに利用ができそうな技法を覚えてチャレンジしてから、他のをゆっくり覚えようと思います!
今日の朝食に1品出してみようと思いますので、試食をお願いしたいです!」
シルキーが熱くなっている。止めるよりは、やらせてしまったほうがいいだろう。許可を出すと、スカーレット・アマレロ・コバルトがキッチンへ飛んでいく。
「それにしても、今から作れるほど簡単なものがあるのだろうか?」
そう独り言を言いながら、食堂へ向かいシルキーたちの作る朝食の1品を待っていると、すぐに出てきた。
「見た目は、お茶漬けだよな? これがフランス料理の技法を使った料理?」
「一先ず食べてください!」
すすめられるままにお茶漬けを食べる。見た感じは、焼きおにぎりで具材は鮭のようだ。出汁をかけほぐして食べていく。初めは普通のお茶漬けだったのだが、ザクッとした食感を感じた。あられとは違う食感だ。
食べていると、ザクッとした食感だけでなく、パリッとした食感も感じられる。焼いたお米の部分じゃないし、鮭に何か工夫があるのかな?
「初めての食感なんだけど、鮭に何かしたの?」
「正解です! 前に食べさせていただいた、お茶漬けの素ってありましたよね? その際にあられが入っていて、食感を楽しむこともできたのを思い出して、お茶漬けに使われる具材の鮭に、ポワレという技法を使ってみました。
簡単に言うと、鮭の皮をパリパリに焼くのにちょうどいい技法ですね。そのパリパリ感があられの代わりになればどうかと思い試してみました。三つ葉や塩こぶ、海苔などもアクセントに入れてみましたがいかがですか?」
「俺は、こういうの好きだぞ! 鮭の皮とかあまり好きじゃなかったけど、今回のこれはおいしく食べれたよ」
俺のセリフに喜んで少しはしゃいだ後に、シルキーたちはその場で眠ってしまった。3徹もしてDVDを見ていたようだ。もう少し抑えるように言っておくべきだったか?
今までは、俺の知っている料理法、簡単な和食の調理法だったり、中華の料理法だったり、それらをベースにして本などを読み、自分たちの調理法へ昇華させていた。
他の調理法ができないわけではないが、俺の好みが和食や中華、狭義の意味での洋食〈日本で独自に発展した西洋風の料理を指す日本料理の1種〉を中心に調理していたので、あまり他のモノに興味を示さなかったということもある。
なので今回は前にも話していたフレンチの技法を、シルキーたちに聞いてもらう事にした。
フレンチ……フランス料理は、フランスで発祥した様々な食文化の総称で、現代では世界三大料理の一つに数えられている。つまり、おいしい料理を作るための技法が沢山あるということだ。
日本料理は素材の味を活かす事が多い。それに対してフランス料理は、素材に手を加え味を更に引き出す技法といえばいいのだろうか?
日本料理もフランス料理も、それだけではないが俺が勝手に理解している違いは、そんなものだ。
フランス料理の献立は、オードブル・メインディッシュ・デザートの3種で構成される事が多いと聞いたことがある。
フランス料理の代表的な料理で思いつく物といえば、オードブルで言うと、テリーヌ・フォアグラ・ポトフ等が有名だろうか? メインディッシュに関しては、俺には正直よくわからない。デザートは、ミルフィーユ・エクレア・クレープ・パフェあたりが、分かりやすいだろうか?
俺は料理人ではないので詳しい事はよくわからないが、調理に使う技法であって、日本料理だからフランス料理の技法を使ってはいけないという事はないはずだ。なので、シルキーたちに料理漫画ばりのプレゼンをしてみた。
今、シルキーたちが作ってくれている料理は、非のないほど美味いのは分かっているけど、フランス料理の技法を取り入れたら、もっと料理が美味しくなるのではないか? と訴えてみたところ、シルキーたちは乗り気になり鼻息を荒くして、調理する姿などが見れる映像がないか詰め寄られた。
いろいろ検索してみると、フランス料理の映像だけでなく、日本料理や中華、その他の映像資料も見つかったので、一緒に出しておいた。
一応すすめた身として一緒に映像資料を見る事にした。
一番初めにDVDにセットされた映像資料は、『ブッフ・ブルギニョン』というフランス料理だった。牛肉の煮込み料理である。ブルゴーニュ風とあるが、どこかの地名だろうか?
かたい肉を下処理して、煮込んで、味をしみこませて提供する料理である。細かい技法等はよくわからなかったが、シルキーたちはそれを見ながら、お肉を柔らかくする方法なら、煮る以外にもたんぱく質を分解してくれる酵素が……ウンタラカンタラと言って料理談義が始まっていた。
この様子を見て、俺はついていけないと判断して、シルキーたちの部屋を後にした。
おやつ前あたりに、ブラウニーたちが慌てて俺のところにやってきた。
「ご主人様! シルキー様たちが部屋から一向に出てこないんですが、どうしたらいいでしょうか!?」
というものだった。あのシルキーが通常業務を放り出して、映像資料にかじりついているみたいだ。ブラウニーに事情を説明して、何度も頭を下げて理解してもらった。その後すぐに、今日の献立は決まっているので問題ないのだが、明日の献立は決まっていないので、どうしたらいいかと尋ねられてしまった。
朝食は、ビュッフェ方式なので何種類もある中から選んで作るだけなので問題ないが、昼や夜はどうすればいいのか半泣きになって尋ねられたのだ。
献立ってシルキーたちが全部決めているんだな……なんてどうでもいいことを考えてしまった。
基本的に、献立より俺の希望の方が優先なのは、今までの経験で理解しているので、ブラウニーにこれ以上の迷惑をかけないように献立を希望しておく。
明日の昼は、丼物を数種類用意してほしい事。その献立の中に親子丼とかつ丼を入れてもらった。他にもブラウニー達の裁量でいくつか準備してほしい事を伝えておく。
夕食に関しては、鶏のから揚げ、油淋鶏、フライドチキン等、鳥の揚げ物系を希望しておいた。最近は揚げ物が少なかったので、久しぶりにガッツリと食べたいと思っていたのでちょうどいい!
俺の予想に反して、3日ほどシルキーたちは部屋にこもって、映像資料と格闘していたようだ。妻たちにも食べたい物を聞いて、献立として依頼しておいた。
4日目の朝になると、朝食を食べるために食堂へ向かって廊下を歩いていると、廊下中に響き渡るような音で、ドカンッと鈍い音がした。何事かと思っていると、原因はすぐに分かった。
シルキーたちが、こもっていた部屋から飛び出して、勢い余って扉を壊してしまった音だった。
「「「ご主人様! 申し訳ありません! 少しでも早くご主人様に報告をしたくて焦ってしまい、扉を壊してしまいました!!」」」
「シルキーたちの頑張りを考えれば、それくらいどうって事ないから気にしなくていいよ。後で直しておくから。で、何を報告したいんだ?」
「それは! ご主人様に用意してもらったフランス料理の技法について、いくつか理解できたので、今日の料理にさっそく使ってみようと思いまして!
本当は、全部極めるために頑張ろうとしたのですが、1つの野菜の切り方にも何種類何十種類もあり、すべて覚えていたら時間が足りないと思ったので、すぐに利用ができそうな技法を覚えてチャレンジしてから、他のをゆっくり覚えようと思います!
今日の朝食に1品出してみようと思いますので、試食をお願いしたいです!」
シルキーが熱くなっている。止めるよりは、やらせてしまったほうがいいだろう。許可を出すと、スカーレット・アマレロ・コバルトがキッチンへ飛んでいく。
「それにしても、今から作れるほど簡単なものがあるのだろうか?」
そう独り言を言いながら、食堂へ向かいシルキーたちの作る朝食の1品を待っていると、すぐに出てきた。
「見た目は、お茶漬けだよな? これがフランス料理の技法を使った料理?」
「一先ず食べてください!」
すすめられるままにお茶漬けを食べる。見た感じは、焼きおにぎりで具材は鮭のようだ。出汁をかけほぐして食べていく。初めは普通のお茶漬けだったのだが、ザクッとした食感を感じた。あられとは違う食感だ。
食べていると、ザクッとした食感だけでなく、パリッとした食感も感じられる。焼いたお米の部分じゃないし、鮭に何か工夫があるのかな?
「初めての食感なんだけど、鮭に何かしたの?」
「正解です! 前に食べさせていただいた、お茶漬けの素ってありましたよね? その際にあられが入っていて、食感を楽しむこともできたのを思い出して、お茶漬けに使われる具材の鮭に、ポワレという技法を使ってみました。
簡単に言うと、鮭の皮をパリパリに焼くのにちょうどいい技法ですね。そのパリパリ感があられの代わりになればどうかと思い試してみました。三つ葉や塩こぶ、海苔などもアクセントに入れてみましたがいかがですか?」
「俺は、こういうの好きだぞ! 鮭の皮とかあまり好きじゃなかったけど、今回のこれはおいしく食べれたよ」
俺のセリフに喜んで少しはしゃいだ後に、シルキーたちはその場で眠ってしまった。3徹もしてDVDを見ていたようだ。もう少し抑えるように言っておくべきだったか?
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