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第903話 従魔の生態と新しい流行
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朝起きて甲板に出ると、そこでは小さな3匹の従魔達が戯れていた。その様子だけを見れば、可愛らしく微笑ましいのだが、本当の姿をさらしていたら……普通の冒険者なら絶望を感じる相手達だっただろう。
地上をありえない速さで走る四足歩行獣の白虎。天空の覇者黒龍。水中の悪魔玄武。実際には、こいつらより強い魔物はいるが、人の歴史に出てくる中では、ありえない強さの魔物とされている3匹なのだ。
地上の魔物という形で限定すれば、エルダートレントは今のダマでは勝てないだろう。単純にLv差という物もあるが、トレントは植物系の魔物で回復力に秀でているため、削りきる前にダマのダメージが許容範囲を超える。ダマにとっては、相性が悪い相手なのである。
天空の覇者とは言っているが、黒龍はブラックドラゴンとも呼ばれており、ドラゴン種の中では強い方であるが、ドラゴンで限定してもその上が存在しているのだ。もしバッハが本当に最強だったら、ワイバーン一家で倒す事なんてできなかっただろう。
水中の魔物で言えば、玄武よりリバイアサンの方が圧倒的に強いからな。あっちは俺のいう事なかなか聞いてくれないから、新しい水中の従魔がほしくてシエルにあったんだもんな。
そんな3匹が小さい姿でじゃれあっているのだから、可愛く見えてもしょうがないよな。
甲板に設置している椅子に座ると、3匹が俺に気付き近付いてくる。
『主殿! 早起きですにゃ。バッハの気配がしたのでシエルと一緒に甲板に来ていたのにゃ!』
『わらわには、いい迷惑なのだ。まだ眠いというのに』
ギャーギャー
「あ、バッハってそういえば念話できないんだっけ? 念話って霊獣のお前らにしかできないんだっけ?」
『あっ、自分、最近話せるようになりましたよ? 何となく、ギャーギャー言ってる方が自分らしいかなって、思って普段はしゃべってませんが!』
チビ龍がドヤ顔と分かるような表情をして、胸を張り翼の先を腰に当てている。お前らって、本当に器用だよな。体も小さく出来るようになったんだから、話せてもおかしくないか? それなら、リバイアサンも話せるようになるのかな?
「バッハもしゃべれるようになったんだな。元々人間の言葉は理解してたからあまり気にならなかったけど、意思疎通するのにダマを介さなくても、出来るようになったのは助かるな」
俺はそう言って、バッハの頭をなでる。その様子を見ていたダマとシエルが、自分も撫でてほしいのか俺の両隣に座って体を擦り付けてくる。仕方がないな~と思いながら撫でてやると、めっちゃ喜んでいる様子がうかがえた。
3匹で何をしていたのか聞くと、ダマはともかく残りの2匹。バッハとシエルは、元の姿で船の上で動き回る事は出来ないので、小さい姿で朝の散歩ならぬ運動をしていたようだ。
アマレロが朝食ができたと呼びに来たので、3匹を回収して食堂へ降りていく。
そういえばシエルって何を食べているのだろう? 食堂に入って3匹を解放すると、自分たちのスペースである小さな机の所へ向かい、器用に椅子に座って行儀よく配膳されるのを待っている。
最初に椅子に座ってる姿を見た時は、シュールだな……とか思ってたけど、見慣れた今は何も思わないが、シエルの座っている姿は初めて見たな。今まで一緒に食べてきたと思うけど、気にしてなかったからいたかも覚えてないんだよな。
船の食堂は家に比べて狭いので、ビュッフェ方式ではなくシルキーたちが考えたメニューで運ばれてくる。御代わりはたくさん用意されているので、お腹いっぱい食べられないという事はない。
食べ始めて、そっと3匹の様子を見ると、俺たちと同じメニューが机に並べられていた。さすがに獣たちの手では箸は使えないので、箸で食べる事はないく顔をさらに突っ込みながら食べている。
シエルもダマやバッハと同じで、人間の食べ物が好きなのかもしれないな。この様子だと既に、シルキーたちの管理下にあると考えても間違いないだろう。
食事が終わるとダマが椅子から降り、壁に設置されている穴に顔を突っ込む。そうするとシャー! という音がしばらくしてから顔を出し、隣に準備されていたタオルを器用に使って顔を拭いている。
この穴は、食事の度にダマが口の周りを汚すので洗ってやるのが面倒になり設置した、従魔用水圧顔洗浄機である。
バッハとシエルは普通に拭けばいいのだが、この従魔用顔洗浄機は手元で水圧と出てくる水の位置や方向が変えられ、特殊機能として歯磨き粉を混ぜた水も出せるため、顔を洗った後に歯も磨けるようにしているのだ。
クロたちは、歯磨き機能をあまり使いたがらず、歯は俺や妻たちに磨いてもらうのが好きなのだが、毎回やるのは面倒なので、週に1回だけ磨いてやることになっている。あれ? カメって歯があったっけ? んっ? 頭は蛇か? 後で聞いてみよう。
今日も拠点造りを始める。俺は酸素ボンベを背負って水中に潜ることにする。バッハは元のサイズに戻り、重たい柱を何度も何度も持ち上げては俺の所に下ろしてくれている。
水中で聞き取れるか分からないが、シエルに話しかけてみる。
「なぁシエル。お前の口の構造ってどうなってるんだ?」
『見てみます? あ~ん』
シエルが口を開けてこっちに見せてくれる。
「へ~顔は蛇っぽいのに、口の中の構造はカメっぽいんだな。ありがとさん。おっと、あの柱を打ち付けてくれ」
水中のシエルは、水を得た魚……じゃなくてカメか。本当に水中では役に立つのだ。水を圧縮して硬くしたそれで、柱を打ち付けてくれるのだ。本当に便利である。
その日の内に訓練スペースとして使う予定の範囲の柱はたて終わり、半分ほどまでは床を張れている。
次の日には、訓練スペースの床を張り終わり、休息中だった兵士たちに使い心地を試してもらっているが、予想外の不評があったのだ。
床がアダマンタイト。金属であるため、感覚がズレてしまうのでどうにかならないか? という物だった。
その解決方法は簡単で、規模の小さいアースサージを使って土を作り出し、それにクリエイトゴーレムをほどこして魔核をはめ込む。そうすれば多少抉れたりしても、勝手に直ってくれる万能グランドの完成だ!
そこで訓練だけではなく、遊べるようにもしたいな~と思い、完成した午後と次の日を使って、更に縦に20メートル、横に50メートル程訓練スペースを広げて、サッカーコートを作ってみた。
サッカーなら芝生がよかったので、何とかならないかと思いいくつか試してみた所、掌握しているエリアに家を建てる要領で、芝生のエリアも作ることができたので、これ幸いと思いすぐにクリエイトゴーレムを解除してDPで整備した。
ダンジョンの中という扱いにはならないが、ダンジョンの一部なので手入れが簡単なのが素晴らしい!
兵士たちにルールを説明して、サッカーの動画も見せてチャレンジしてもらうと……以前失敗した野球とは違い、試合として成立していると言ってもいいかな?
まだサッカーをよく知らないので、小学生の学校の校庭で行うサッカーみたいなのだが、身体能力のそれが地球とは違うので、一種の格闘技みたいになっている。
こうして、兵士に教えたサッカーがディストピアでも流行り出し、そこからゴーストタウンに広がりサッカー大会が開かれるようになる。
中立地帯の俺の領地であるディストピア、グレッグ、ミューズ、ヴローツマインでは、サッカーカフェもオープンして、試合の生中継や、地球の各種試合がずっと流れているテレビが設置されている。
あっ、特殊ルールとして、ボールを壊したらイエローカードという追加ルールもできた。この世界の身体能力で蹴り続けているとボールが壊れるので、加減させるために追加したルールだ。
特に気負って力いっぱいシュートした際にボールがはじける事があったので、そうならないように加減してシュートを打つようになっていた。
地上をありえない速さで走る四足歩行獣の白虎。天空の覇者黒龍。水中の悪魔玄武。実際には、こいつらより強い魔物はいるが、人の歴史に出てくる中では、ありえない強さの魔物とされている3匹なのだ。
地上の魔物という形で限定すれば、エルダートレントは今のダマでは勝てないだろう。単純にLv差という物もあるが、トレントは植物系の魔物で回復力に秀でているため、削りきる前にダマのダメージが許容範囲を超える。ダマにとっては、相性が悪い相手なのである。
天空の覇者とは言っているが、黒龍はブラックドラゴンとも呼ばれており、ドラゴン種の中では強い方であるが、ドラゴンで限定してもその上が存在しているのだ。もしバッハが本当に最強だったら、ワイバーン一家で倒す事なんてできなかっただろう。
水中の魔物で言えば、玄武よりリバイアサンの方が圧倒的に強いからな。あっちは俺のいう事なかなか聞いてくれないから、新しい水中の従魔がほしくてシエルにあったんだもんな。
そんな3匹が小さい姿でじゃれあっているのだから、可愛く見えてもしょうがないよな。
甲板に設置している椅子に座ると、3匹が俺に気付き近付いてくる。
『主殿! 早起きですにゃ。バッハの気配がしたのでシエルと一緒に甲板に来ていたのにゃ!』
『わらわには、いい迷惑なのだ。まだ眠いというのに』
ギャーギャー
「あ、バッハってそういえば念話できないんだっけ? 念話って霊獣のお前らにしかできないんだっけ?」
『あっ、自分、最近話せるようになりましたよ? 何となく、ギャーギャー言ってる方が自分らしいかなって、思って普段はしゃべってませんが!』
チビ龍がドヤ顔と分かるような表情をして、胸を張り翼の先を腰に当てている。お前らって、本当に器用だよな。体も小さく出来るようになったんだから、話せてもおかしくないか? それなら、リバイアサンも話せるようになるのかな?
「バッハもしゃべれるようになったんだな。元々人間の言葉は理解してたからあまり気にならなかったけど、意思疎通するのにダマを介さなくても、出来るようになったのは助かるな」
俺はそう言って、バッハの頭をなでる。その様子を見ていたダマとシエルが、自分も撫でてほしいのか俺の両隣に座って体を擦り付けてくる。仕方がないな~と思いながら撫でてやると、めっちゃ喜んでいる様子がうかがえた。
3匹で何をしていたのか聞くと、ダマはともかく残りの2匹。バッハとシエルは、元の姿で船の上で動き回る事は出来ないので、小さい姿で朝の散歩ならぬ運動をしていたようだ。
アマレロが朝食ができたと呼びに来たので、3匹を回収して食堂へ降りていく。
そういえばシエルって何を食べているのだろう? 食堂に入って3匹を解放すると、自分たちのスペースである小さな机の所へ向かい、器用に椅子に座って行儀よく配膳されるのを待っている。
最初に椅子に座ってる姿を見た時は、シュールだな……とか思ってたけど、見慣れた今は何も思わないが、シエルの座っている姿は初めて見たな。今まで一緒に食べてきたと思うけど、気にしてなかったからいたかも覚えてないんだよな。
船の食堂は家に比べて狭いので、ビュッフェ方式ではなくシルキーたちが考えたメニューで運ばれてくる。御代わりはたくさん用意されているので、お腹いっぱい食べられないという事はない。
食べ始めて、そっと3匹の様子を見ると、俺たちと同じメニューが机に並べられていた。さすがに獣たちの手では箸は使えないので、箸で食べる事はないく顔をさらに突っ込みながら食べている。
シエルもダマやバッハと同じで、人間の食べ物が好きなのかもしれないな。この様子だと既に、シルキーたちの管理下にあると考えても間違いないだろう。
食事が終わるとダマが椅子から降り、壁に設置されている穴に顔を突っ込む。そうするとシャー! という音がしばらくしてから顔を出し、隣に準備されていたタオルを器用に使って顔を拭いている。
この穴は、食事の度にダマが口の周りを汚すので洗ってやるのが面倒になり設置した、従魔用水圧顔洗浄機である。
バッハとシエルは普通に拭けばいいのだが、この従魔用顔洗浄機は手元で水圧と出てくる水の位置や方向が変えられ、特殊機能として歯磨き粉を混ぜた水も出せるため、顔を洗った後に歯も磨けるようにしているのだ。
クロたちは、歯磨き機能をあまり使いたがらず、歯は俺や妻たちに磨いてもらうのが好きなのだが、毎回やるのは面倒なので、週に1回だけ磨いてやることになっている。あれ? カメって歯があったっけ? んっ? 頭は蛇か? 後で聞いてみよう。
今日も拠点造りを始める。俺は酸素ボンベを背負って水中に潜ることにする。バッハは元のサイズに戻り、重たい柱を何度も何度も持ち上げては俺の所に下ろしてくれている。
水中で聞き取れるか分からないが、シエルに話しかけてみる。
「なぁシエル。お前の口の構造ってどうなってるんだ?」
『見てみます? あ~ん』
シエルが口を開けてこっちに見せてくれる。
「へ~顔は蛇っぽいのに、口の中の構造はカメっぽいんだな。ありがとさん。おっと、あの柱を打ち付けてくれ」
水中のシエルは、水を得た魚……じゃなくてカメか。本当に水中では役に立つのだ。水を圧縮して硬くしたそれで、柱を打ち付けてくれるのだ。本当に便利である。
その日の内に訓練スペースとして使う予定の範囲の柱はたて終わり、半分ほどまでは床を張れている。
次の日には、訓練スペースの床を張り終わり、休息中だった兵士たちに使い心地を試してもらっているが、予想外の不評があったのだ。
床がアダマンタイト。金属であるため、感覚がズレてしまうのでどうにかならないか? という物だった。
その解決方法は簡単で、規模の小さいアースサージを使って土を作り出し、それにクリエイトゴーレムをほどこして魔核をはめ込む。そうすれば多少抉れたりしても、勝手に直ってくれる万能グランドの完成だ!
そこで訓練だけではなく、遊べるようにもしたいな~と思い、完成した午後と次の日を使って、更に縦に20メートル、横に50メートル程訓練スペースを広げて、サッカーコートを作ってみた。
サッカーなら芝生がよかったので、何とかならないかと思いいくつか試してみた所、掌握しているエリアに家を建てる要領で、芝生のエリアも作ることができたので、これ幸いと思いすぐにクリエイトゴーレムを解除してDPで整備した。
ダンジョンの中という扱いにはならないが、ダンジョンの一部なので手入れが簡単なのが素晴らしい!
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こうして、兵士に教えたサッカーがディストピアでも流行り出し、そこからゴーストタウンに広がりサッカー大会が開かれるようになる。
中立地帯の俺の領地であるディストピア、グレッグ、ミューズ、ヴローツマインでは、サッカーカフェもオープンして、試合の生中継や、地球の各種試合がずっと流れているテレビが設置されている。
あっ、特殊ルールとして、ボールを壊したらイエローカードという追加ルールもできた。この世界の身体能力で蹴り続けているとボールが壊れるので、加減させるために追加したルールだ。
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