ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,023 / 2,518

第1023話 緊急事態!?

しおりを挟む
 3人が街に戻っていった後、一応マップ先生で3人をマーキングしておいた。

 あいつらのいる場所で立ち位置が決まると思うので、とりあえず注目しておこう。

「っと、忘れる前に教皇に手紙を出しておかないとな。内容は、グリエルに任せよう! 俺にこういう文章を考えるのは無理だ!」

 なので、魔導無線を立ち上げてグリエルに事情を説明する。

 グリエルもガリアも聖国の内情について少しびっくりしていたが、俺の注文通り文面を考えてくれた。俺は、それを手書きで紙に書いていく。4回失敗してしまい5回目できちんとかけた。

 スキルで自動翻訳があるとはいえ、日本語ベースで頭の中で考えると、文章の言葉の意味がズレる事があって大変なんだよね。だから、キリエに確認してもらいながら作成している。

「一番近くの街は、あの兵士たちが帰ったろくでもないと思われる所だから、次の街の冒険者ギルドで依頼を出そうか?」

「それでしたら、一旦ディストピアに戻ってゴーストタウンで活動している冒険者に頼んではいかがですか? あそこでしたら、ご主人様の依頼とわかれば、必ず上位の冒険者が運んでくれますよ」

「そうなの? 重要って事で、多少金額を上げて信頼できる冒険者に運んでもらおうか」

「ディストピアに戻れば封蝋ができますし、それがいいと思います」

 それにしても、何で封蝋をしなきゃいけないんだろうな? 糊でいいじゃん! とか思ってるんだけど、俺の管理下にある街なら問題ないが、他の街となると信用がないからダメなんだってさ。めんどいな。


 この後、ディストピアへ帰る道中は何もなかった。まぁ何もなかったんだが、その理由は、馬車が早すぎて途中にいた盗賊たちを、置いてきぼりにしただけなんだけどな。足が速いって素晴らしい!

 とりあえず、ディストピアについて一番初めにした事は、グリエルたちに呼び出されたので、庁舎に向かって聖国での出来事を報告する事だった。

 バリス教の事と、勇者が受けていた扱いを中心に話した。他の事は正直、興味が無いと言わんばかりの態度をとられたので、さらっと触れる程度で終わりにした。

「……と言う事で、思ったより聖国、バリス教は腐ってなかったみたいなんだよね」

「ん~、にわかに信じがたい話ですな。今までのミューズに対する感じを考えると、さすがに鵜呑みに出来ませんな」

 ゼニスも俺の話を聞いており、そんな事を言った。

「ですが、今回の話を聞く限り、中央の監視を受けていない、地方領主の中にミューズに来たような奴らが多いって事なんでしょうね。これを機に聖国の内情が良くなってくれるといいのですが、大国となれば末端まで目が届きにくいですからね。

 トルメキアは、小さい国だったのに中央があれでしたし、腐敗とは無縁な組織……難しいでしょうね」

「グリエル! ディストピアは腐敗とは無縁だろうが!」

 ガリアがグリエルに向かって怒鳴っていた。こいつがこんなに声を荒げるのは初めてだな。普段怒らない人が怒ると怖いって本当だな。

「ガリア、待ってくれ。そういった意味で言ったわけではない」

「では、どういう意味なのだ!」

「そもそもの話、ディストピアは普通の組織とは違う。目標や目的を共有しているという意味では組織だ。我々の基本行動はシュウ様のため! という目的に沿って活動している。だが、ディストピアはシュウ様の街だ。となれば、街単位で見た時には組織と呼べなくなる。そういう意味では腐敗とは無縁だろ?」

「……確かにその通りだ。シュウ様のために街の人間が動いているんだから、街の中の人間の関係は組織と呼べるが、街としてみるとシュウ様が生活しやすい場所として、ディストピアを作ったのだから、そういう意味では、確かに普通の組織とは違いますね」

「分かってもらえたようで何よりだ。ただ、言葉足らずだった。すまなかった」

「いや、こちらも過剰に反応しすぎた。すまない」

 ん~何か俺の知らない所で、予想以上に危ない思考の持ち主が増えてないか? 俺のため? 待て待て、自分のために生活してくれればいいのに、何で俺のためなんだ? もっと自由になろうぜ。

 俺が遠い目をしていると、

「シュウ様、安心してください! 我々は、シュウ様に不利益になる事は絶対にしません!」

「あ~気にしないでいいよ。いろんな仕事を押し付けて悪いと思ってるし、多少のミスは気にするなって。それに、お前たちに倒れられたら困るから、無理してるんだったら早めに言ってほしい。本当に頼む」

「はっはっは。気にしすぎですぞ、シュウ様。我々は好きで仕事をしていますからな。それに、ディストピアでは、まじめに働けは働いただけ給料が保証されてますからね、やりがいがあるってもんです!

 賄賂等はもらわなくても、十分お金をもらえてますからね。そんなくだらない事をして、今の職を手放すバカはいませんよ」

 労働時間だけを見ると、ブラックもブラック、真っ黒黒なのだが、その分給料はあり得ない程の額になっている。だが、お金で受け取るのは生活していくうえで必要と思う金額だけで、その他は俺のスキルで召喚した物をねだるので、それを渡している。

 この世界では、どれだけお金を積んでも得られない物だからな。お金よりそっちの方が欲しくなるってものだ。

 3人の最近のお気に入りは、グリエルはP〇4、ガリアはニンテン〇ースイッチ、ゼニスは高級なお酒。1人だけ毛色が違うが、この世界の普通で考えるとグリエルとガリアがおかしいと思う。でも、ここでないと手に入らないからな。

 あっ! グリエルとガリアは、子どもたちと話したり遊ぶツールとして重宝しているようだ。

 報告も終わり、のんびりと話していると、家で待機しているシルキーから連絡が入った。

「シュウ様。お三方が大変なんです! 早く帰ってきていただいてもよろしいですか?」

「えっ!?!? すぐ帰る! すまん、もう行くわ!」

 慌てて庁舎を出て全力で走って家に向かった。

 まだ予定日には早いのに……3人共揃って早産? 大丈夫なのか!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...