ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,026 / 2,518

第1026話 工房は……

しおりを挟む
「う~ん……出来るの早くね?」

 俺はゼニスを呼び出して次の日には、バザールと綾乃と考えた建物の設計図を渡している。それから1週間後にゼニスに呼び出されて、工房を立てる場所に案内してもらったら、すでに建物がほとんど出来上がっていた。あの設計図通りに……

「いくら何でも早い気がするんだよね・・・どうやって作ったの?」

 地球の建築技術でも、この工房をこんなに早く建てるのは無理だと分かる。だけど、実際に建物が出来上がっているのだから、聞きたくもなる。

「それはですね、土魔法使いによる建築を取り入れてみたのです。冒険者ギルドに依頼を出し、土魔法使いとゴーストタウンの大工たちと組ませて、建設させたらあっという間でしたね。1階部分と外壁、屋根、中心となる柱は、すべて石造りにしてみました」

 そうなのか、建物の中の大半は木造……ってそれでもはえーよ!

「まぁ、値段は気にせず、出来る限り早くと言ったのは俺だけど、さすがに早くてびっくりだよ。どんだけかかったんだ?」

「そうですね。早く作るために多少無理をしたので、金貨で5000枚と言った所でしょうか? シュウ様の資産には影響ないですね。後、隣接しているいくつかの建物も購入して、整備を進めています」

「5000枚? 最近扱う金額が大きすぎて感覚が麻痺してるけど、結構な額だよな? っと、何で建物を買ったの?」

「シュウ様が自分たちで工房の手入れや掃除をするのであれば売り払いますが、そうでなければ住み込みで働く人も出てくると思いますよ? それ以外にも、シュウ様たちのアイディアを作成するスタッフも必要ですよね? そう言った人たちの住む場所です」

「そうだった。俺たちで完結させるわけじゃないし、ブラウニーたちの手助けがないなら、誰かを雇わないといけないもんな。盲点だった。購入した建物の整備は念入りにしておいてくれ。後、あそこらへんに浴場を作るから、男女別で入れる設計をしておいて」

「了解しました。サイズはどの位で?」

「男女ともに10人位入れるサイズで作ってほしいな。後、建物だけでいいよ。お風呂、公衆浴場が浸透してきているといっても、お風呂の設置は厳しいだろ? そっちは俺たちでやるよ」

「確かに、普通の大工たちには厳しいですね。ですが、老ドワーフの誰かを呼べば、指導してくれると思います」

「あいつら、仕事と呼んでくる爺共じゃないよな。仕事終わりに酒とつまみを用意するから、誰でもいいから来てもらうか?」

「それだと、全員来ると思いますがいいでしょうか?」

「マジか、さすがのん兵衛の老ドワーフだな。まぁあっちの仕事に問題なければ、全員来ても問題ないだろう。俺から言うか? ゼニスから言うか?」

「そうですね、私からがいいと思います。在庫の確認してからその話に流しますので、仕事が残っているかはすぐにわかります。もし残っている様でしたら、1人に絞って連れてきますね」

 酒のためなら仕事を放りだすのか、あの爺たちは……困ったもんだ。その辺はゼニスに任せれば問題ないようなので、頼んます!

「あ、お風呂は木がいいですか?」

「後々の事を考えると、木はどうなんだ? あれは、管理が大変だからな。すぐにカビが生えて大変だぞ? 俺のクリエイトゴーレムによる魔核が無ければ、おそらく大半の風呂がカビだらけになるぞ?」

「そういえば、木のお風呂は大変だという話でしたね。では、石材でお風呂を作成を依頼します」

 お風呂は石造りに決まった。ってか、タイル? でも、タイルなんてないよな。そこら辺は老ドワーフに任せていいよな。きっとそれがゴーストタウンの風呂のデフォルトになるか?

「あ、もう工房の方は使えるのか?」

「何もないですが、使おうと思えば問題ありませんね」

「そっか、じゃぁ他の2人も呼んで中を仕上げてしまおう」

 バザールと綾乃を呼んで、工房の中を整備していく。

「それにしても、すぐにできたでござるな」

「1週間前に設計したのがもうできてるなんてね。シュウ、あんたがDPで作ったわけじゃないよね?」

「せっかくお金を使うための方針だったのに、DPなんて使うわけないじゃん。内装だけは俺たちでやるつもりだったしな」

「贅沢な悩みだね。そういえば、私たちが設計した工房以外にも、工房がいくつかあるみたいだけど、あれは何?」

「あ~ここの工房は俺たちの仕事場になるけど、魔導具なんかは俺たちが作るんじゃなくて、ここで働く人間が作れる物を設計するのが目的だからな。近くの建物もいくつか買い取って、住み込みの人たちも雇う事になってるから。って事で、便利グッツなんかも作れるようにしないとな」

「なる程でござる。自分たちが作ると、この世界ではオーパーツでござるからな」

 俺たちは一応、自分たちが作っている物の異常性を理解しているが、それを忘れて色々没頭してしまう問題がある。

「そういえば、秘密基地はどうするの?」

「秘密基地は、たまに使えばいいんじゃないか? ブラウニーたちは仕事が増えたって喜んでるから、管理は任せてもいいと思うぞ」

 いろんな話をしながら、工房の中を整備していく。

「あっちの工房はどうするの?」

「あっちは、俺たちが使うわけじゃないからな。工房で働く人たちが揃ってから、自分たちで作らせてもいいんじゃないか?」

「それは良いでござるな。自分たちで使う道具は自分たちで作るでござるか。それなら、自分たちもそうするでござるか?」

「内装はクリエイトゴーレムで整備しちゃったけど、この工房の決まりとして自分たちの物は、自分たちで準備……作る事にするか? もちろん魔導具も、クリエイトゴーレムに頼らない物をつくるか!」

「面白そうね! そういえば、工房にほしいと思ってたドリルとかも作ってみよ!」

 楽しそうな未来に対して3人はワクワクしていた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...