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第1046話 銅線は完成!
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圧力式脱水機が完成したその日の夕方に、1つの工房から銅線が完成したと報告が入った。
早速その工房に向かって完成した品を見分しに行った。
「おぉ~すごいでござるな。本当に細くなっているでござるよ。問題は、物に巻き付けた時に折れたりしないかでござるな」
そう言ってモーターに使う位の太さの物に巻いていく。特に問題なく巻き付ける事が出来た。これならコーティングしても問題なさそうかな?
「あなたたち凄いのね。よくこんな細い物を作れたわね。無茶は承知でお願いしたけどすごいわ」
2人は感心しているが、俺は銅線にちょっと違和感を覚えた。その感覚に従って何となく鑑定を行ってみると、銅線とは出ているのだが、銅の比率が俺の渡した物より大分下がっているようだったのだ。
俺が渡したのは、ドワーフたちが加工に手間をかけた、99.99パーセント程の純度を誇る銅板だったのだが、それが80パーセント位にまで下がっていたのだ。
科学技術がないのに99.99パーセントの純度を誇る銅を作り上げるドワーフにもビックリしたが、その純度を何故下げてまで加工したのかが気になった。
「工房主、一応確認なのだが、この銅線は俺が持ってきた銅をそのまま加工したのか?」
工房主は少し表情が変わったがすぐに元に戻った。おそらく注意していた俺だから気付けたことだろう。何かあるのかな?
「シュウ様が持ってきてくださった銅をそのまま加工しております。圧延の過程で多少苦労はしましたが、望む細さまで加工するのに時間がかかってしまいました」
本当に額面通りなら問題ないんだけど、約20パーセント分の銅はどうしたんだ? ここにあるのは俺が持ってきた100キログラムと同じ量しかないのだが、20キログラム分の銅はどこに行った?
それに純度が下がると伝導率が悪くなるので、モーターに使うにはあまりふさわしくない。
俺が何か違和感に気付いたと分かったのか、綾乃もバザールも話をしながらその違和感の正体について聞いてきたので、メモする振りをして銅の純度が変わっていると紙に書いて教える。
そうすると、2人共スキルを発動して銅線を鑑定したようだ。納得した顔をして、俺と同じ結論、残りの銅は何処にいった?と考えたようだ。
「ところで工房主、自分が渡した銅と色が違う様に思えるのだが気のせいだろうか?」
そう言って銅のインゴットを取り出して、巻き取られた銅線と見比べる。明らかに色が違うのが分かる。
「銅も細くすると多少色が変わるみたいですね。光の反射具合の違いでしょうか?」
とりあえず、すっとぼけた工房主は確信犯のようだ。
「そうですか、工房主。我らを甘く見ないでいただきたい。金属に弱いとはいえ、騙すとは……何で騙したのかは気になりますが、今回は置いておきましょう。私の依頼は、持ってきた銅をそのまま使っての加工です。混ぜ物をした銅での加工ではありません。せっかく高い技術を持っているのにとても残念です」
工房主は、あれこれいろんな説明をしてきたが、騙そうとしていたのは確実なのですべてを無視した。無理を言ったのは分かっているので、銅線は回収したが、残りの20キログラムについては不問とした。そして成功報酬の金貨はもちろんなし。
こちらの希望を満たせないだけだったら、それにかかった費用について検討はするが、騙そうとして悪意を持った相手まで、手を差し伸べようとはさすがに思わなかった。
そして今は関係ない話だが、技術は優れているのにその工房は、領主を騙そうとしたとして、取引から手を引く商人が続出。ついには潰れてしまったらしい。
「それにしてもよく気付いたでござるな。全然分からなかったでござる」
「確かによく気付いたわね。私なんて見比べてもよくわからなかったわ。あれだけ細くできる技術があるのに、何で20キログラム程度の銅なんかを、くすねようと思ったのかな?」
「何でだろうな? さすがに俺にはよくわからないな。後でゼニスにでも聞いてみるか。それに、俺も銅線とインゴットを見比べて、やっとわかった程度だぞ。何か違和感を感じて鑑定したらわかったって感じだな」
「そうだったんだ。でもさ、ドワーフじゃなくても技術があれば、作れることが分かったわね。それは大きな収穫じゃない? 後4つも工房が残ってるんだし、期待してまってみようよ」
確かに綾乃の言う通りだ。ドワーフしかできないわけでは無かった。問題があるとすれば、そこまで細いものを作る機会が無かったので苦労していると言った所だろう。
でも何でドワーフの爺さんたちは、簡単にやってのけるのだろうか? どうせ聞いても分からないだろうから、聞くだけ無駄だろう。あいつらは、経験による自分の判断を勘のような話し方をするので、聞いても分からないんだよね。擬音も多いし……天才系の感覚派みたいなものだろうか?
そして他の工房から連絡があったのは、次の週だった。
細くする事に成功した工房は2つ、残りの2つはいい所まで行ったのだが、俺たちが希望する細さまで加工する事が出来なかったようだ。でも、2つの工房もしっかりと仕事をしてくれたので、商会から援助を約束しておいた。今回使った分は最低でも補助してあげよう。
そして完成させることに成功した2つの工房は、どうやら仲のいい工房のようで、2つの工房で総力を挙げて作ったみたいだ。しかも200キログラム分の銅線を作ってくれていた。これには俺も感動して、継続的に注文する事にした。
その際にもっと細くできないか研究してほしいと、研究資金を提供するのでお願いしてみたところ是非に! との事で話がまとまった。
他の太さの銅線も注文する事を話すと快く了解してくれた。
工房への支援関係はゼニスに話して、担当者にお願いしてもらおう。下手に俺がやるよりはそれがいいに決まってる。後は、この銅線を特殊加工してくれる人捜しか、錬金術系の人が得意そうだけど、評判の術師がいるかな? 探してみよう。
早速その工房に向かって完成した品を見分しに行った。
「おぉ~すごいでござるな。本当に細くなっているでござるよ。問題は、物に巻き付けた時に折れたりしないかでござるな」
そう言ってモーターに使う位の太さの物に巻いていく。特に問題なく巻き付ける事が出来た。これならコーティングしても問題なさそうかな?
「あなたたち凄いのね。よくこんな細い物を作れたわね。無茶は承知でお願いしたけどすごいわ」
2人は感心しているが、俺は銅線にちょっと違和感を覚えた。その感覚に従って何となく鑑定を行ってみると、銅線とは出ているのだが、銅の比率が俺の渡した物より大分下がっているようだったのだ。
俺が渡したのは、ドワーフたちが加工に手間をかけた、99.99パーセント程の純度を誇る銅板だったのだが、それが80パーセント位にまで下がっていたのだ。
科学技術がないのに99.99パーセントの純度を誇る銅を作り上げるドワーフにもビックリしたが、その純度を何故下げてまで加工したのかが気になった。
「工房主、一応確認なのだが、この銅線は俺が持ってきた銅をそのまま加工したのか?」
工房主は少し表情が変わったがすぐに元に戻った。おそらく注意していた俺だから気付けたことだろう。何かあるのかな?
「シュウ様が持ってきてくださった銅をそのまま加工しております。圧延の過程で多少苦労はしましたが、望む細さまで加工するのに時間がかかってしまいました」
本当に額面通りなら問題ないんだけど、約20パーセント分の銅はどうしたんだ? ここにあるのは俺が持ってきた100キログラムと同じ量しかないのだが、20キログラム分の銅はどこに行った?
それに純度が下がると伝導率が悪くなるので、モーターに使うにはあまりふさわしくない。
俺が何か違和感に気付いたと分かったのか、綾乃もバザールも話をしながらその違和感の正体について聞いてきたので、メモする振りをして銅の純度が変わっていると紙に書いて教える。
そうすると、2人共スキルを発動して銅線を鑑定したようだ。納得した顔をして、俺と同じ結論、残りの銅は何処にいった?と考えたようだ。
「ところで工房主、自分が渡した銅と色が違う様に思えるのだが気のせいだろうか?」
そう言って銅のインゴットを取り出して、巻き取られた銅線と見比べる。明らかに色が違うのが分かる。
「銅も細くすると多少色が変わるみたいですね。光の反射具合の違いでしょうか?」
とりあえず、すっとぼけた工房主は確信犯のようだ。
「そうですか、工房主。我らを甘く見ないでいただきたい。金属に弱いとはいえ、騙すとは……何で騙したのかは気になりますが、今回は置いておきましょう。私の依頼は、持ってきた銅をそのまま使っての加工です。混ぜ物をした銅での加工ではありません。せっかく高い技術を持っているのにとても残念です」
工房主は、あれこれいろんな説明をしてきたが、騙そうとしていたのは確実なのですべてを無視した。無理を言ったのは分かっているので、銅線は回収したが、残りの20キログラムについては不問とした。そして成功報酬の金貨はもちろんなし。
こちらの希望を満たせないだけだったら、それにかかった費用について検討はするが、騙そうとして悪意を持った相手まで、手を差し伸べようとはさすがに思わなかった。
そして今は関係ない話だが、技術は優れているのにその工房は、領主を騙そうとしたとして、取引から手を引く商人が続出。ついには潰れてしまったらしい。
「それにしてもよく気付いたでござるな。全然分からなかったでござる」
「確かによく気付いたわね。私なんて見比べてもよくわからなかったわ。あれだけ細くできる技術があるのに、何で20キログラム程度の銅なんかを、くすねようと思ったのかな?」
「何でだろうな? さすがに俺にはよくわからないな。後でゼニスにでも聞いてみるか。それに、俺も銅線とインゴットを見比べて、やっとわかった程度だぞ。何か違和感を感じて鑑定したらわかったって感じだな」
「そうだったんだ。でもさ、ドワーフじゃなくても技術があれば、作れることが分かったわね。それは大きな収穫じゃない? 後4つも工房が残ってるんだし、期待してまってみようよ」
確かに綾乃の言う通りだ。ドワーフしかできないわけでは無かった。問題があるとすれば、そこまで細いものを作る機会が無かったので苦労していると言った所だろう。
でも何でドワーフの爺さんたちは、簡単にやってのけるのだろうか? どうせ聞いても分からないだろうから、聞くだけ無駄だろう。あいつらは、経験による自分の判断を勘のような話し方をするので、聞いても分からないんだよね。擬音も多いし……天才系の感覚派みたいなものだろうか?
そして他の工房から連絡があったのは、次の週だった。
細くする事に成功した工房は2つ、残りの2つはいい所まで行ったのだが、俺たちが希望する細さまで加工する事が出来なかったようだ。でも、2つの工房もしっかりと仕事をしてくれたので、商会から援助を約束しておいた。今回使った分は最低でも補助してあげよう。
そして完成させることに成功した2つの工房は、どうやら仲のいい工房のようで、2つの工房で総力を挙げて作ったみたいだ。しかも200キログラム分の銅線を作ってくれていた。これには俺も感動して、継続的に注文する事にした。
その際にもっと細くできないか研究してほしいと、研究資金を提供するのでお願いしてみたところ是非に! との事で話がまとまった。
他の太さの銅線も注文する事を話すと快く了解してくれた。
工房への支援関係はゼニスに話して、担当者にお願いしてもらおう。下手に俺がやるよりはそれがいいに決まってる。後は、この銅線を特殊加工してくれる人捜しか、錬金術系の人が得意そうだけど、評判の術師がいるかな? 探してみよう。
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