ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1089話 準備完了?

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「さて、今日から探索パートに入ろうと思います!」

 パート? アルバイトとパートのパート? 等々つぶやきながら、何言ってるのみたいな目でこっちを見ている。そんな目で見るなってば!

 昨日までが建築パートなら、今日からは探索パートだろ! って、すいません! まじめにやります!

 年長組の強い視線を受けて、背筋を伸ばし姿勢を整えてから再び話し出す。

「冗談はこれくらいにして、街の建設お疲れさまでした。今日からはダンジョンを探索していこうと思う。本当はフレデリクに戻るつもりだったけど、ここにちょうどいい場所が作れたから、ここから憑依する事にします。それにあたって、ドッペルを呼んでいるから、ピーチたちはそっちの準備をお願い」

 そういって、妻たちに指示を出して準備を始めさせる。次に、

「ガリア、俺たちが潜っている間はお前が指揮をとって迷宮都市の調整をしてくれ。ドワーフたちは、ガリアの指示に従って都市を作っていてくれ。土木組はドワーフの指示に従ってくれ」

 ここまで街の形ができてしまったら、俺の出番はない。迷宮都市としてではなく普通の都市としても、問題ない造りにしてくれとガリアにお願いしている。なので、今日からはその方向で街が作られていくことになるだろう。

 迷宮都市と普通の都市の違いなんて、迷宮……ダンジョンがあるかないか、の差かと思っていたがメインになる物、名産、都市の売りになる物が違うと、街の作りが多少変わってくるらしい。そなの? と思うが、ガリアがそういうのだからそうなのだろう。

 と言う事で、ダンジョンが使い物にならなかった時のために、農耕都市としても問題ないように都市を調整してもらう予定だ。もしダンジョンが使えるものだった場合は、街の売りが2つになる予定だ。

 1週間前に農耕も主軸にする事をグリエルに伝えると、俺の管理下にある街や、その近くの街に農業に興味のある人の移住を、求めている事を宣伝しているらしい。まだ1週間なのに、2000人近い移住希望者がいるらしい。

 正確にはこの宣伝は、グリエルの依頼を受けてゼニスが商会を通じて情報を拡散している。そのため、受付は商会になっている。領主館にすると、他の仕事ともかち合って大変になるので、ゼニスがかって出たらしい。

 そして、今やこの地域で一番の金持ち商会として有名な俺の商会が、主導になって進めているという事もあり、これからもどんどん集まってくる可能性が高いらしい。

 特に、農家の3男以降の子供や、女の子の多い家族などが移住を希望しているらしい。新しい街なら、全体的に年齢層が若くなるため、子どもたちの将来の事、結婚などを考えて移住してくる家族もいるそうだ。

 ただ、これには続きがあって、家族で移住してくる場合、農業をしていた親を連れて来ていただける場合は、街から金一封が出る事を公表している。理由は簡単、知識に勝る経験は無いので、それを取り込むための方策だ。これはゼニスが提案してグリエルが許可を出している。

 そのお金をディストピアの方から出そうとしていたので、待ったをかけ俺のポケットマネーを使う様に命令しておいた。溜まっていく一方のお金をどうにか消費するために、可能な限り使ってくれと、土下座までしてお願いしている。

 お金なんて死蔵していてもいいことが無いので、お願いして消費している。それでも、入ってくるお金の方が多くて困っている。

 それはさておき、準備が終わったみたいなので俺たちは、ドッペルに憑依してダンジョンへ潜るために装備を身に着けていく。

「やっぱり生身で装備するのとドッペルで装備するのは、なんか違うな。ほとんど変わらない体型なはずなのに、少し誤差があるんだな」

「そうですね。体にフィットしない装備だと少し不安がありますね」

 このドッペルを作ったのって半年前位だと思ったんだけどな。自分のドッペルをいくつか作っている中で、一番最後に作った奴を連れてきたはずなのに、体系が変わってるってどうなんだ?

 そして年長組、年中組は、コメントに困る事を言い合っている。どうやら今の装備を着けると、胸の部分が余ってしまうため、詰め物をする? みたいな事を言っているのだ。

 年少組は生身の方が、単純に身長が伸びているため、装備が多少大きいみたいだ。

「よし、今日は装備の調整だと、自分たちの装備がなくなって困るから、新しい装備の調整をしよう。武器自体は問題ないから、防具の調整をしようか」

 後発で来たドワーフたちに収納の鞄を、装備が足りなかったら使えと渡されている。この鞄は老ドワーフたちから預かったそうだ。あいつらは、この事に気付いていたんだな。ただの飲んだくれと思っていたが、装備に関してはさすがと言わざるを得ない。

 しかも、分かっていたかのように、俺たちのドッペルにある程度あわせた装備が詰め込まれていた。

「おじいちゃんドワーフのみんなってすごいね!」

 年少組は、老ドワーフの事をおじいちゃんドワーフと最近は呼んでるみたいだな。老ドワーフも年少組の事を孫みたいにかまう事があるから、酒臭くない時は色々教えてもらってるみたいだし、慕ってはいるんだろうな。

「微調整するだけで良さそうだから、さっさと調整してダンジョンに潜ろうか」

 30分もかからずに調整が終わり、ダンジョンの入口の前に来た。

「さて、今回は事前調査は全くなしだし慎重に進んでいこう」

 そういった側から、シェリルがトコトコと前に出て、ダンジョンの入口に向かって息を吸って……

 ゴォォォォ!!!

 えっ!? 口から炎を吐いた。いつの間にそんな芸当を?

「シェリル、いつからブレスを吐けるようになったんだ?」

「これブレスじゃないよ! 私だけじゃなくて、年少組の皆できるんだよ!」

 得意げに年少組が前に出てきて、息を吸い込んで入口に向かって、

 ゴォォォォ!!!

 出来るのは分かったけど、何でみんなでブレスを吐いてるんだ?

「年少組! 集合!」

 ピーチが年少組を集めた。どうやら何でブレスをしたのかを聞いているようだ。俺が慎重にと言ったのを曲解して、安全なら問題ないじゃん! って感じで、入口付近の魔物を焼き殺したらしい。

 成長したかと思ったら、まだ思考の面で幼い所があるようだ。でも、怒る事でもないから、その辺で説教はやめてくれ。そして、行動を起こす前にはしっかり報告するように注意しておく。

「では改めて、行こうか!」
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