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第1164話 呆気なく終わった
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俺はマップ先生の検索結果を見て頭を抱える思いだった。そしてみんなに小さな声で、
「あっちの方向に勇者と仲間が5人いる」
そう伝える。ただ問題なのは、勇者がいるって事は、俺が魔物だと分かってしまうという事だろうか? 今の俺ってドッペルに憑依中だもんな。それに、生身だったとしても勇者の称号を持っている奴には、ダンマスってバレるんだったよな。
さて、どうしたものか……
「鬼人の皆さん、お願いします。私とシュリ、ミリーさんは、ご主人様に付きます。前線の指揮はライムに任せます」
ピーチがそう言うと、鬼人が前に出て武器をかまえる。今回連れてきた鬼人10人は、諜報関係より戦闘が得意なタイプなので、戦力としては申し分ない。
ダマたちもすでに戦闘態勢に入っており、小さいフォルムだった聖獣3匹は元の姿に戻っている。バッハだけは小さい姿のまま、ニコを足で掴んで飛んでいた……それってどういう状況?
戦力的に考えれば襲ってこないと思うんだけど、それより、何でこんな所に勇者がいるんだ? しかも隠れて様子をうかがっていたわけだろ? この時期にサラディルにいるって事は戦争に関係してんのか?
考えても分からんよな。今までに見た事ある勇者に比べると、レベルが高いんだよな……しっかりと鍛えている感じなのが実に面倒だ。
膠着状態が続いて5分程、勇者たちが姿を現す。
「あなたたち、そこの一番後ろにいるのは魔物です。離れてください」
ここに来て俺はもう1度ビックリした。出てきたのが、女勇者だったからだ。
「あなた方はその魔物に騙されているのです。早く離れてください!」
語尾が強くなった。こっちは誰も反応していない。
「どく気が無いようですね。そこの魔物は、ドッペルゲンガーと言って人の姿形、思考等を模倣する厄介な奴です。言われても分からないと思いますが、その男はすでにあなたたちの知っている者とは別人なのです!」
「あなたはドッペルゲンガーの特性を、すべて把握しているのですか?」
ピーチがそう勇者に尋ねる。
「もちろん。ドッペルゲンガーはその能力で、仲間に化け機会を見て1人ずつ殺していくのです。手遅れになる前にその男を殺してください」
その言葉に耐えられなくなったのは、妻たちだった。『その男を殺して』の部分で一気に殺気が膨れ上がった。鬼人はどうか分からないが、武器をかまえていつでも動けるような体勢になっている。
「その程度ですべてを把握していると、甘いですね。ドッペルゲンガーとは本来身代わりのために用意された、影武者の様な存在です。見た目をそのままコピーする事が出来、憑依して操作する事だって可能なんです。そんな事も知らずに、すべてを把握していると言えるんですか?」
その内容は知らなかったようで、驚いた表情を見せた。交渉中とは言えないが、その表情はダメじゃないだろうか?
そうすると、勇者の近くにいた聖職者風の見た目の男が何かを耳打ちしている。
「それを証明する事は出来るのですか?」
「そもそも、何故私たちがあなたに証明する必要があるのでしょうか? 今この街が隣国と戦争しているこの時期にここにいるという事は、あなたたちは……その国の関係者という事ですか? サラディルに何の用事があってきているんです?」
聖職者風の男が勇者の前に出て話を続けた。
「それをあなた方に教える必要性は見いだせません。聖職についている者として、魔物の存在は許せません。特に人に化けるドッペルゲンガーという悪しき存在は、万死に値します」
さてこいつらはどういった存在なのかが気になるけど、姿を見せたって事は勝てると思っているのかな?
「では、どういたしますか? 私たちと戦いますか?」
ピーチが相手を挑発するように馬鹿にした感じでそう言い放つ。
勇者たちに緊張感が走る……聖職者風の男は勇者に引っ張られ後ろに下がった。
「可能であれば、そこの男だけを引き渡して引いてください。私は勇者です。それにSランクの冒険者でもあります。その意味が分からないわけではないですよね?」
勇者はともかくとして、Sランクの冒険者という事はそれなりの実力があるという事だよな。実際に平均レベルが300超えているパーティーなんだから強いのだとは思うけど……相手が悪い。
「Sランクの冒険者……だからどうしたというんですか? それよりも、このタイミングでここにいるという事は、この戦争に加担している可能性が高いですね。国王にお土産として捕まえていきますか?」
ピーチが更なる挑発をする。言葉なく勇者たちは武器を抜いた。
勇者のパーティーは、勇者・聖職者・魔法使い・盾使い・槍使い・弓使いの6人だ。バランスは良いと思う。前衛3枚、中衛1枚、後衛2枚と言った感じのフォーメーションだ。
鬼人の5人が距離を詰めていく。鬼人の装備は全員双剣であり、戦闘メインとはいえ重たい物は装備していない、スピード重視の戦い方だ。
相手の魔法使いが、風の魔法を使い攻撃を仕掛けるが、ライムによって相殺される。その現実に驚いているが動きを止めないあたり、今までの勇者たちとは強さが違うな。
弓使いがライムをめがけて矢を放つ。もし貫通すれば即死する頭を狙ってる。俺が手を出そうとする前にピーチがすでに結界を張っていた。反応が早いな。
盾使いは、自分に鬼人を引き付けるために【バーストチェーン】を使っていた。相手であれを使っているの見るのは、初めてじゃないか? でもさ……それって格上の5人に対して使うのは無謀だぞ。
ほら見た事か、近付いていた鬼人は一気に距離をとった。盾使いは逃がさないとばかりにスキルで生み出した鎖を引っ張るが、競り負けて俺たちの方に引きずられてくる。アリスが近寄っていて、重装の上から浸透勁を使って意識を刈り取る。
そのまま縛り上げられ回収された。
「それより、俺たちだけにかまってていいのか? ここは敵地なんだぞ。周りをよく見た方がいい」
残りの5人は聞く耳を持たずどうするのか作戦を立てている様子だが、せっかくの忠告を聞かなかったのが運の尽き。
隠密状態のスライムが一斉に5人に飛び掛かる。ニコを除いて19匹がそこにいて、地面に押し倒していく。どんなにあがいても、お前たちよりLvが高い上に複数いるんだから勝てるわけないぞ。
卑怯者とか言っているが、知った事では無い。せっかく注意もしてやったというのに……
戦闘が始まる前から、簡易シェルター型ダンジョンにいたみんなには、情報が伝わる様にしていたので、向こうの判断でスライム部隊が送られてきていたのだ。俺はマップ先生を見て気付いていたので、それを利用した形だ。
とはいえ、こいつらをどうしたものだか……真紅の騎士団の団長さん戻ってこないかな?
「あっちの方向に勇者と仲間が5人いる」
そう伝える。ただ問題なのは、勇者がいるって事は、俺が魔物だと分かってしまうという事だろうか? 今の俺ってドッペルに憑依中だもんな。それに、生身だったとしても勇者の称号を持っている奴には、ダンマスってバレるんだったよな。
さて、どうしたものか……
「鬼人の皆さん、お願いします。私とシュリ、ミリーさんは、ご主人様に付きます。前線の指揮はライムに任せます」
ピーチがそう言うと、鬼人が前に出て武器をかまえる。今回連れてきた鬼人10人は、諜報関係より戦闘が得意なタイプなので、戦力としては申し分ない。
ダマたちもすでに戦闘態勢に入っており、小さいフォルムだった聖獣3匹は元の姿に戻っている。バッハだけは小さい姿のまま、ニコを足で掴んで飛んでいた……それってどういう状況?
戦力的に考えれば襲ってこないと思うんだけど、それより、何でこんな所に勇者がいるんだ? しかも隠れて様子をうかがっていたわけだろ? この時期にサラディルにいるって事は戦争に関係してんのか?
考えても分からんよな。今までに見た事ある勇者に比べると、レベルが高いんだよな……しっかりと鍛えている感じなのが実に面倒だ。
膠着状態が続いて5分程、勇者たちが姿を現す。
「あなたたち、そこの一番後ろにいるのは魔物です。離れてください」
ここに来て俺はもう1度ビックリした。出てきたのが、女勇者だったからだ。
「あなた方はその魔物に騙されているのです。早く離れてください!」
語尾が強くなった。こっちは誰も反応していない。
「どく気が無いようですね。そこの魔物は、ドッペルゲンガーと言って人の姿形、思考等を模倣する厄介な奴です。言われても分からないと思いますが、その男はすでにあなたたちの知っている者とは別人なのです!」
「あなたはドッペルゲンガーの特性を、すべて把握しているのですか?」
ピーチがそう勇者に尋ねる。
「もちろん。ドッペルゲンガーはその能力で、仲間に化け機会を見て1人ずつ殺していくのです。手遅れになる前にその男を殺してください」
その言葉に耐えられなくなったのは、妻たちだった。『その男を殺して』の部分で一気に殺気が膨れ上がった。鬼人はどうか分からないが、武器をかまえていつでも動けるような体勢になっている。
「その程度ですべてを把握していると、甘いですね。ドッペルゲンガーとは本来身代わりのために用意された、影武者の様な存在です。見た目をそのままコピーする事が出来、憑依して操作する事だって可能なんです。そんな事も知らずに、すべてを把握していると言えるんですか?」
その内容は知らなかったようで、驚いた表情を見せた。交渉中とは言えないが、その表情はダメじゃないだろうか?
そうすると、勇者の近くにいた聖職者風の見た目の男が何かを耳打ちしている。
「それを証明する事は出来るのですか?」
「そもそも、何故私たちがあなたに証明する必要があるのでしょうか? 今この街が隣国と戦争しているこの時期にここにいるという事は、あなたたちは……その国の関係者という事ですか? サラディルに何の用事があってきているんです?」
聖職者風の男が勇者の前に出て話を続けた。
「それをあなた方に教える必要性は見いだせません。聖職についている者として、魔物の存在は許せません。特に人に化けるドッペルゲンガーという悪しき存在は、万死に値します」
さてこいつらはどういった存在なのかが気になるけど、姿を見せたって事は勝てると思っているのかな?
「では、どういたしますか? 私たちと戦いますか?」
ピーチが相手を挑発するように馬鹿にした感じでそう言い放つ。
勇者たちに緊張感が走る……聖職者風の男は勇者に引っ張られ後ろに下がった。
「可能であれば、そこの男だけを引き渡して引いてください。私は勇者です。それにSランクの冒険者でもあります。その意味が分からないわけではないですよね?」
勇者はともかくとして、Sランクの冒険者という事はそれなりの実力があるという事だよな。実際に平均レベルが300超えているパーティーなんだから強いのだとは思うけど……相手が悪い。
「Sランクの冒険者……だからどうしたというんですか? それよりも、このタイミングでここにいるという事は、この戦争に加担している可能性が高いですね。国王にお土産として捕まえていきますか?」
ピーチが更なる挑発をする。言葉なく勇者たちは武器を抜いた。
勇者のパーティーは、勇者・聖職者・魔法使い・盾使い・槍使い・弓使いの6人だ。バランスは良いと思う。前衛3枚、中衛1枚、後衛2枚と言った感じのフォーメーションだ。
鬼人の5人が距離を詰めていく。鬼人の装備は全員双剣であり、戦闘メインとはいえ重たい物は装備していない、スピード重視の戦い方だ。
相手の魔法使いが、風の魔法を使い攻撃を仕掛けるが、ライムによって相殺される。その現実に驚いているが動きを止めないあたり、今までの勇者たちとは強さが違うな。
弓使いがライムをめがけて矢を放つ。もし貫通すれば即死する頭を狙ってる。俺が手を出そうとする前にピーチがすでに結界を張っていた。反応が早いな。
盾使いは、自分に鬼人を引き付けるために【バーストチェーン】を使っていた。相手であれを使っているの見るのは、初めてじゃないか? でもさ……それって格上の5人に対して使うのは無謀だぞ。
ほら見た事か、近付いていた鬼人は一気に距離をとった。盾使いは逃がさないとばかりにスキルで生み出した鎖を引っ張るが、競り負けて俺たちの方に引きずられてくる。アリスが近寄っていて、重装の上から浸透勁を使って意識を刈り取る。
そのまま縛り上げられ回収された。
「それより、俺たちだけにかまってていいのか? ここは敵地なんだぞ。周りをよく見た方がいい」
残りの5人は聞く耳を持たずどうするのか作戦を立てている様子だが、せっかくの忠告を聞かなかったのが運の尽き。
隠密状態のスライムが一斉に5人に飛び掛かる。ニコを除いて19匹がそこにいて、地面に押し倒していく。どんなにあがいても、お前たちよりLvが高い上に複数いるんだから勝てるわけないぞ。
卑怯者とか言っているが、知った事では無い。せっかく注意もしてやったというのに……
戦闘が始まる前から、簡易シェルター型ダンジョンにいたみんなには、情報が伝わる様にしていたので、向こうの判断でスライム部隊が送られてきていたのだ。俺はマップ先生を見て気付いていたので、それを利用した形だ。
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