ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1200話 秘密兵器?

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 こちらの作戦は……陣地へ引き込み、聖国に数の利を生かせないように塹壕内で大盾を前面に出した、ファランクスを元にした攻勢防御とでも呼ぶ隊形で戦闘を開始した。

 この方法なら戦闘できる人数が減るため、平均レベルの高い俺たちに有利になるのだ。平地による会戦でも、前線の兵士以外は弓兵とかを除けば戦闘に参加できていない人員が多いが、指揮官の技量次第では隊列を自在に変えて対応されてしまうので、絶対数が少ないこちらは不利になる可能性が高い。

 特に俺たちの軍は、各隊毎の練度は高いかもしれないが、ディストピア・ゴーストタウン・グレッグ・ミューズ・ヴローツマインの5つの街から集まっているため、連携が拙い部分が目立つのだ。

 だからレイリーは、平地に並んで戦闘をするより、個々に分かれて対応できる塹壕内での戦闘を決めたと言っていた。

 実際にその作戦は上手くいっており、聖国側は後ろからくる自軍の兵士の所為で、戦闘をしている兵士が撤退もできずに沈められている。

 それに対してこちらは、スムーズに交代できるように連日の訓練が効果を発揮している。

 スムーズに交換する方法は、大盾をその場に置いて人員だけ入れ替えたり、横穴を作って交換の際に大盾を持った人員を配置しておく等、いくつもの方法を準備している。

 そのおかげで、戦闘時間が長くなっても疲労は少なくて済んでいる。ただ、問題も出てきている。士気が高いため前に前に押し出てしまうため、交換するタイミングが難しくなっているのだとか。

『レイリー様! ダブルの冒険者たちが動いたそうです。同じ場所では無く、クランでまとまって塹壕に突入してきました』

 すべての魔導無線の声を拾える俺の魔導無線から、そう報告が届いた。

 見渡せるように作った塔のような場所から見下ろす形で戦場を見ているが、塹壕の中は覗けない。ん~これって塹壕っていうのかな? 高さが5メートル以上もあり迷路みたいになっている。戦闘が行われているかは、ポールアックスの動きを見れば分かる形だ。

 5メートルなら上を移動しようとする奴が出てくるが、それに対しては塹壕の上に作られたトーチカという、ちょっと矛盾した感じがする場所から、弓使いが狙い撃つ形で上がってくる敵を落としている。

『スカルズの皆さん、ポイント13にお願いします。ポイント7には、あいつを投入しよう。こちらの被害は出来る限り少なくする。副官の2人は、ポイント7の指揮を頼む。暴走させないように注意してくれ』

 ん? あいつって誰だ? 暴走するって……危なくないか? 妻たちにも聞いてみるが、軍に属している妻はいないので、知っている者はいなかった。軍の指揮系統に聞いてみるが、説明をしている暇がないと解されてしまった。

 レイリーからは、危険は危険ですがそれは、こっちではなく相手側が危険という意味です。ポイント7は地図に記してありますので、しばらくしたらマップ先生で情報を検索してみてください。と言われた。全体の指揮に忙しいのに・・・すまん!

 レイリーの指示が出ると、塹壕の上を跳んで移動している黒い集団と、それ以上に動きの速い小柄な重装備の鎧姿がそれぞれの方向に進んでいた。鎧姿の後ろを見覚えのある2人が追いかけている、副官かな?

 レイリーに言われた通り、しばらく待ってからマップ先生で検索する。そこで、目が飛び出そうになった。

 レベルは400と普通の兵士にしてはかなり高い。だけどそれだけならこれほど驚かなかった。驚いた理由は、ステータスが同じレベルのシュリと同等位だったのだ。シュリと同じ英雄症候群という事だろう。

 そしてその年齢が問題だ……10歳。いくら何でも幼過ぎるだろ。これは後でレイリーを問い詰めないといけないな。

 そして、その子がたどり着いた場所の敵を示す光点がどんどん消えている。これが示す事は、敵兵がかなりの勢いで死んでいるという事だ。確かに敵対した相手が危険だな。

 時々その子がいる場所から人影が見える。先程まで全身鎧だったため気付かなかったが、獣人の子のようだ。どういう経緯でこうなっているのか気になるけど、レイリーがつかっているという事は、何か理由があるのだろう。

 そしてマップ先生の情報で、その子とダブルの冒険者が衝突する寸前だと分かった。ん~映像が欲しい。

『ポイント7付近の兵士は、後方に撤退。ライガがダブルの冒険者と接敵した。周囲の塹壕が壊れると仮定。私たちは後退を指揮します。隊長はラインの再構築をお願いします』

 あの周囲は壊れる事が前提で話が進むようだ。俺とは違うが、上から戦場を見ているレイリーが壊れる範囲を想定して、それに対応した前線の構築を指示している。

 30分もしない内に、ダブルの冒険者2人とそのクランは前線から撤退していた。理由は違うがもたらした結果は同じだ。

 スカルズの向かった方は、狭さもあったが塀の上も使える利点を最大に生かして、立体的に攻める事によってクランメンバーを4割程削り、ダブルの冒険者にも毒竜のナイフを突き立てたようだ。毒をくらったと判断して撤退したのだとか。

 ライガが相手にした方は、クランメンバーの8割が死んで、片手を失ったダブルの冒険者が命からがら撤退して、それを追いかけようとしたライガを止めるのに副官2人が苦労していた。

 単独では最高戦力の2人が撤退した事により、今回の衝突は終わり敵兵が撤退を開始していた。こちらは追撃を開始し、迷路のような塹壕を逃げにくい状況で、殿を務めた者たちを容赦なく殺していった。

 敵兵は、3000人に近い数が死んでいる。それに対して、こちらは5人の兵士と14人の冒険者が亡くなってしまった。

 5時間程の戦闘で、3000人近く死んだとか。戦場に出たのが両軍合わせて12000人……25パーセントに近い人間が1回の戦闘で死んだのか。多くないか?

 聖国に関していえば、戦場に出た40パーセント以上が死んでいる。戦争で30パーセントも失えば、撤退するレベルだ。死んだほとんどが、神殿騎士では無く一般兵だったけどな。

 そして死んだ3000人の内、3割の900人がライガによって殺されている。戦争だから文句はないが、10歳の少年を戦場に出して人殺しをさせるとか……明日も攻めてくることを考えたら、レイリーに手間をかけさせるのは気がひけるが、確認をしておかないといけない!

 そう思い、レイリーを呼び出した。
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