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第1250話 チキンナゲット
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「スカーレット様から話は聞いております。今日は、一緒に加工品を作りたいのだとか。ご主人様がなさる事では無いと思いますが、お願いだという事ですので一緒に作りましょう。何か作りたい物の希望はあったりしますか?」
「あえて上げるなら、鶏系の何かを作りたいかな? 自分が好きだから、どういう風に作っているか気になるしね!」
「鶏ですか……鶏、鶏、そろそろ補充しようとしていたチキンナゲットとかいかがですか? そこまで難しい物ではないですので、簡単に作れると思います」
「チキンナゲットか、前に作った気がするけど、ほとんど手伝っていなかったからよく覚えていない。よし! チキンナゲットを作ろう!」
移動中に色々な話をしてくれた。この建物は、俺の家で食べる加工品をほぼすべて作っているそうだ。加工品と言っても、主な物は燻製だったりソーセージ各種、揚げる前まで加工した物等々を作っているのだとか。
たくさん作った物に関しては、ディストピアから離れて頑張ってくれている領主代行やその家族、文官武官に送られているそうだ。向こうにもブラウニーは常駐しているが、こういった物を作る余裕は無かったりするので、助かっているのだとか。
まぁチキンナゲット位なら、簡単に作れるので加工品としてはどうなのかとも思いますが、無いよりはある方がいいという事で作っています、だってさ。
「チキンナゲット自体は簡単にできてしまうので、作っている間に何かほかに作りたい物を考えて下さいね。もし浮かばないようでしたら、今日作ろうとしていた物を作っていきますのでよろしくお願いします」
加工場に到着すると既に食材が準備されており、他のブラウニーも集まっていた。普段は分担作業で行ったりする様だが、今回はチキンナゲットという事で、特に分担せずに食感が少しずつ違う物を作っていくのだとか。
俺に1人のブラウニーが付いてくれて、他のブラウニーはそのまま作業を始めた。俺についてくれたブラウニーが、手順を交えながら説明してくれる。
工程はいたって簡単だった。胸肉をまずは一口大より小さく切って、それを叩いてミンチ状にする。ミンチ状にした胸肉に、片栗粉・卵・塩・胡椒・ニンニク等を入れて粘り気が出るまで混ぜる。それを成形して揚げたら完成。
工程は簡単で分かりやすいのに、いろんな種類をどうやって作るのかと言えば、食感が変わるようにミンチの度合いを変えたり、追加で中に入れる食材を変えたりして複数の物を準備しているのだとか。
いつも美味しいと食べていたのだが、食べ比べをした事があったわけでは無いので、食感の違いなどは全く分からなかった。味についても、個人的に好きな甘めのバーベキューソースに粒マスタードを加えたオリジナルソースで、個々の味を細かく覚えていたわけでは無いので、判断できなかったのだろう。
説明を受けてから俺は少し悩んだ。チキンナゲットって何が重要なのだろうか? やっぱりサクッとした食感が個人的には好きなので、上げた時に周りがさっくり仕上がるようにしたい! でも、それはしっかり揚げたりすればいいだけなので違うよな。
という事は中身か? あんまり鶏肉の食感が生きているのもチキンナゲット感がないから……でも、あまり柔らかすぎても嫌だから、どうすればいいんだ?
分からなかったので、お付きのブラウニーに助言を求める。ただミンチにするだけであればミキサーを使うらしいが、そうするとつなぎを入れても柔らかさが強くなってしまうらしい。なので、手間はかかるけど包丁で叩いて多少食感が出る位にしてはどうか? という話になった。
追加で入れる食材は、素人が無理に考えても微妙な物しかできないので、今回は特に何もしない。だけど、1つだけ工程を多く入れる事にした。
ブラウニーのレシピでは、混ぜて成形したらそのまま揚げるのだが、この間に一工程。成形した物に片栗粉をまぶしてはたいてから揚げる。という形にした。
特に深い意味は無かったのだが、唐揚げを作る時にカリッと揚げるコツは、漬け込んだ後のお肉に片栗粉をまぶして、しっかりと余分な片栗粉を落とした方がカリッと上がると聞いた覚えがあるので、それを試してみたのだ。
そして、一手間加えた事もあり、俺が思っていたようなサクッとした食感になった。他のブラウニーが作ったチキンナゲットがサクッとしていないわけでは無いが、自分が作った事もあるためか美味く感じた。
ブラウニーと試食をしていたら、
「「「とーたん!」」」
と娘たちが俺を呼ぶ声が聞こえた。
どうやらミリーたちがスカーレットに、俺がここで何か作っているという話を聞いて、娘たちを連れて散歩に来たようだ。
衛生上の問題で、娘たちは作業場の外から俺を呼んでいたので、すぐに抱っこする事は出来なかった。一通り作業が終わって、エプロンなどを外して娘たちの元へ。
部屋に入って抱っこしようとしたら、俺の方を見ておらずブラウニーが揚げているチキンナゲットに視線が釘付けだった。この娘たちは本当に食事優先な感じだよな。俺と同じ物が食べれるようになってから、特にその傾向が強くなっている。
お付きのブラウニーがその状況を予測していたみたいで、揚げてきた物を1人1個分持ってきてくれていた。
俺は、娘たちの気をチキンナゲットでひいて、抱っこをしながら1人ずつ食べさせてあげる。
妻たちもチキンナゲットをもらって食べていた。そうすると「いつもよりカリッとしてるわね」「サクサク感がいいわね」等と言っていた。やっぱり揚げる前に片栗粉をつけると、成形してすぐ揚げるよりはサクッと揚がったらしい。
たまたま上手くいったのかもしれないが、外カリ中ジュワは正義だな。それにあげてから時間が経ってしまうとどうしても、サクッと感やカリッと感が薄くなってしまうので、しょうがないかもしれないな。
「あえて上げるなら、鶏系の何かを作りたいかな? 自分が好きだから、どういう風に作っているか気になるしね!」
「鶏ですか……鶏、鶏、そろそろ補充しようとしていたチキンナゲットとかいかがですか? そこまで難しい物ではないですので、簡単に作れると思います」
「チキンナゲットか、前に作った気がするけど、ほとんど手伝っていなかったからよく覚えていない。よし! チキンナゲットを作ろう!」
移動中に色々な話をしてくれた。この建物は、俺の家で食べる加工品をほぼすべて作っているそうだ。加工品と言っても、主な物は燻製だったりソーセージ各種、揚げる前まで加工した物等々を作っているのだとか。
たくさん作った物に関しては、ディストピアから離れて頑張ってくれている領主代行やその家族、文官武官に送られているそうだ。向こうにもブラウニーは常駐しているが、こういった物を作る余裕は無かったりするので、助かっているのだとか。
まぁチキンナゲット位なら、簡単に作れるので加工品としてはどうなのかとも思いますが、無いよりはある方がいいという事で作っています、だってさ。
「チキンナゲット自体は簡単にできてしまうので、作っている間に何かほかに作りたい物を考えて下さいね。もし浮かばないようでしたら、今日作ろうとしていた物を作っていきますのでよろしくお願いします」
加工場に到着すると既に食材が準備されており、他のブラウニーも集まっていた。普段は分担作業で行ったりする様だが、今回はチキンナゲットという事で、特に分担せずに食感が少しずつ違う物を作っていくのだとか。
俺に1人のブラウニーが付いてくれて、他のブラウニーはそのまま作業を始めた。俺についてくれたブラウニーが、手順を交えながら説明してくれる。
工程はいたって簡単だった。胸肉をまずは一口大より小さく切って、それを叩いてミンチ状にする。ミンチ状にした胸肉に、片栗粉・卵・塩・胡椒・ニンニク等を入れて粘り気が出るまで混ぜる。それを成形して揚げたら完成。
工程は簡単で分かりやすいのに、いろんな種類をどうやって作るのかと言えば、食感が変わるようにミンチの度合いを変えたり、追加で中に入れる食材を変えたりして複数の物を準備しているのだとか。
いつも美味しいと食べていたのだが、食べ比べをした事があったわけでは無いので、食感の違いなどは全く分からなかった。味についても、個人的に好きな甘めのバーベキューソースに粒マスタードを加えたオリジナルソースで、個々の味を細かく覚えていたわけでは無いので、判断できなかったのだろう。
説明を受けてから俺は少し悩んだ。チキンナゲットって何が重要なのだろうか? やっぱりサクッとした食感が個人的には好きなので、上げた時に周りがさっくり仕上がるようにしたい! でも、それはしっかり揚げたりすればいいだけなので違うよな。
という事は中身か? あんまり鶏肉の食感が生きているのもチキンナゲット感がないから……でも、あまり柔らかすぎても嫌だから、どうすればいいんだ?
分からなかったので、お付きのブラウニーに助言を求める。ただミンチにするだけであればミキサーを使うらしいが、そうするとつなぎを入れても柔らかさが強くなってしまうらしい。なので、手間はかかるけど包丁で叩いて多少食感が出る位にしてはどうか? という話になった。
追加で入れる食材は、素人が無理に考えても微妙な物しかできないので、今回は特に何もしない。だけど、1つだけ工程を多く入れる事にした。
ブラウニーのレシピでは、混ぜて成形したらそのまま揚げるのだが、この間に一工程。成形した物に片栗粉をまぶしてはたいてから揚げる。という形にした。
特に深い意味は無かったのだが、唐揚げを作る時にカリッと揚げるコツは、漬け込んだ後のお肉に片栗粉をまぶして、しっかりと余分な片栗粉を落とした方がカリッと上がると聞いた覚えがあるので、それを試してみたのだ。
そして、一手間加えた事もあり、俺が思っていたようなサクッとした食感になった。他のブラウニーが作ったチキンナゲットがサクッとしていないわけでは無いが、自分が作った事もあるためか美味く感じた。
ブラウニーと試食をしていたら、
「「「とーたん!」」」
と娘たちが俺を呼ぶ声が聞こえた。
どうやらミリーたちがスカーレットに、俺がここで何か作っているという話を聞いて、娘たちを連れて散歩に来たようだ。
衛生上の問題で、娘たちは作業場の外から俺を呼んでいたので、すぐに抱っこする事は出来なかった。一通り作業が終わって、エプロンなどを外して娘たちの元へ。
部屋に入って抱っこしようとしたら、俺の方を見ておらずブラウニーが揚げているチキンナゲットに視線が釘付けだった。この娘たちは本当に食事優先な感じだよな。俺と同じ物が食べれるようになってから、特にその傾向が強くなっている。
お付きのブラウニーがその状況を予測していたみたいで、揚げてきた物を1人1個分持ってきてくれていた。
俺は、娘たちの気をチキンナゲットでひいて、抱っこをしながら1人ずつ食べさせてあげる。
妻たちもチキンナゲットをもらって食べていた。そうすると「いつもよりカリッとしてるわね」「サクサク感がいいわね」等と言っていた。やっぱり揚げる前に片栗粉をつけると、成形してすぐ揚げるよりはサクッと揚がったらしい。
たまたま上手くいったのかもしれないが、外カリ中ジュワは正義だな。それにあげてから時間が経ってしまうとどうしても、サクッと感やカリッと感が薄くなってしまうので、しょうがないかもしれないな。
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