ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1257話 予想以上

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 そんな事は正直どうでもいい。襲撃があったのだ。護衛についている精鋭達がまずとった行動は、馬を切り離し馬車の車輪の軸を切り裂いた。

 えっ!?

 何で自分の護衛している馬車の車輪を切ったり、馬を解放するのはどういうことだ?

 俺がびっくりしていたのに気付いて、近くにいた俺の護衛に当たっているリリーが俺に教えてくれた。ちなみに今日リリーが俺の護衛についているのは、レイリーに今日の護衛について話を聞いていたため、俺の近くに置いて説明させるためのようだ。

 で、そのリリーからの説明によると、馬車を使って罪人を逃がさない為なのだとか。車輪の軸に関してはすぐに直す事ができるので、特に問題ないのだとか。馬に関しても、危険のない所で待機しており呼び笛を鳴らせばすぐに戻ってくるようだ。

 すぐに直せるし馬も戻ってくるなら、馬車ごと持って行かれないようにするこの方法はありなのかもしれないな。

 そして最後に、もしこれが街の外で魔物の襲撃であれば、最悪馬車の中の罪人を魔物の餌……囮にしてその場を離脱する。そう言う戦法もとれるのだとか。思ったよりレイリーが黒かった。馬車を簡単に作れる技術力のあるディストピアならではの方法ともいえるか。

 馬は戦線を離脱してレイリーと精鋭は迎撃態勢に入っている。けど、馬車を守る様子が見られない。近くにいるもの同士で3~4人のチームを組んでいた。

 護送対象を護らずに迎撃を優先か? どういう意味があるのだろうか?

 これにもリリーが答えてくれた。

 罪人は、もし馬車から解放されてもすぐに戦力にならないので、馬車を壊されてもいいので迎撃を優先しているのだとか。

 ツィード君が改良した奴隷の首輪が最近ヴァージョンアップをして、アタッチメントを付けると魔力を吸収し続けるのだとか。アタッチメントに蓄えられた魔力は、実験や研究などに使われ重宝しているらしい。

 奴隷の首輪がもし壊れたり外れてしまったりした場合を想定して、罪人に魔力を残さないようにするために開発されたアタッチメントなんだとさ。

 そもそも、ツィード君が改良した奴隷の首輪って破壊が難しいんだよね。装着者が首輪が壊れる可能性を思い浮かべたら、反射的に体を動かして首輪を護ろうとさせるのだとか。

 そこまでの強制力は通常の首輪には無かったのだが、この世界に来て研究を重ねた結果、できちゃったテヘペロ! って俺に報告があった。頭痛を感じたが、悪い事では無いのでそのままにしていたな。

 なので、解放された所で何の問題も無いので、罪人を護る行動はとらないのだとか。

 今回は、身柄を確保するための襲撃だと分かっているのであれだが、こいつら憎し! で自分の手で殺そうと行動する者がいるのでは? と思い、そういった時の対応方があるのか聞いてみた。

 あるんかい!

 今回も精鋭は襲撃があるとだけ聞いていたが、細かい内容は聞かされていない。護送車を壊し馬を逃がす、そのまま戦闘する、護送対象者を死んでも護り抜く等々状況に合わせて指揮官が指示するんだってさ。

 で、今回の指揮官はレイリーの副官を務めている2人で、その2人が今回は護衛対象を放置して戦闘する事を指示したのだとか。てっきりレイリーが全指揮をとっているものだと思っていた。

 でもさ、死んでも護送対象を護り抜くって言うのは無くさないか? 自分の命を最優先にしてもらいたいのだがってリリーに言ったら、呆れた顔でため息までつかれてしまった。

 死んでも護り抜く護送対象は、俺を中心として妻や娘たちもその対象になっているらしい。それ以外は、命令でも自分の命が最優先なんだってさ。

 俺はともかく、妻や娘たちを命を懸けて……って言うのは嬉しけど、そのために誰かの命をってなるとそれは違う気がするんだよな。よし! これが終わったら、兵士が命を懸けないで済むように対策を考えよう!

 そんな説明を受けている間にも戦闘が進んでいく。

 襲撃が起こってから約10分が経過しただろうか? 襲撃者グループは4分の1、50人程が戦闘不能になっている。

 レベル的には精鋭が300前後に対して、今回の襲撃に参加している奴らは大体150~200程である。それが200人、精鋭の4倍の数がいるので慎重に戦っているようだ。

 それにしても、聖国というか、神殿騎士団なんだけど、奴らって平均レベルって王国の近衛に引けを取らないんだよな。王国の近衛は、数はそんなに多くないが、神殿騎士団の中でもエリートって呼ばれる奴らのレベルが高いんだけど、それでも王国の近衛の10倍近くは普通にいるからな。

 養殖して育てられた騎士だろうが、それでもレベルが上がればそれだけで強いからな、それを言うなら、養殖をしていない帝国にあれだけ強い奴らがいるのも不思議な話だ。魔物の領域が広かったり、俺が知らないだけでダンジョンがたくさんあるのかな?

 こっちの精鋭は、全員が片手剣に盾というスタイルなんだな。

 俺の管理下にある街の兵士は、武器に関しては自由にさせているので個性が強いのが普通なのだが、この精鋭は没個性的なんだよね。

 だけどそのおかげで、誰がどの位置にいても連携がしっかりとれているのが一目瞭然だ。

 同じ装備にして連携を繰り返す事によって、どの立ち位置にいても誰とでも連携をとれるようにしたのだろう。これに戦術も加わってきたら、レベル差があっても手こずりそうだな。

 っと、何で自分で戦う時の事なんて考えているんだ?

 敵から魔法や矢が飛んで来て前にいる者が盾や剣で防ぐと、後方にいた仲間が防いだ者を追い越して、魔法使いや弓使いの間にいる敵の前衛に攻撃を仕掛ける。

 乱戦になっているとはいえ、上手い奴になれば魔法でも矢でも援護をしてくる。そんな援護をしてくる奴らの攻撃を3人目が防ぎ、最初に攻撃を防いだ者が2人目が攻撃していた敵前衛を一緒に排除する。

 3人目は、敵の援護を警戒しつつ仲間の援護を行っている。

 1人目と2人目が敵前衛の排除を完了すると、敵後衛に向かって左右に分かれて突っ込んでいく。

 敵後衛や護衛の敵は、左右から突っ込んでくるこちらの精鋭に気をとられ、3人目の存在が一瞬頭から消えてしまう。

 その隙をついて3人目が、全体重を乗せ最大のスピードでシールドチャージを行う。敵護衛は不意打ちにあい弾かれてしまい、護衛を失った敵後衛は残りの2人に蹂躙される。

 他の場所でも、似たような戦法だったり、全く違うが連携をとって確実に敵を無力化していっている。

 終わってみれば、多少のケガ人は出たが戦闘続行不能までの傷を負った者はいなかった。

 それも、50人いる精鋭の内3人が回復魔法の使える者がいて、その者とチームになった精鋭は、援護にまわっていたのだ。動きに支障が出るレベルの傷を負ったら、そのチームから交代要員が入って、傷を負った者は傷を治療するために後方へ下がる。

 みんながみんな同じ動きができる、一種の機械兵みたいな感じだった。
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