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第1310話 ファーストエンゲージ
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『何か来た』
ユグドラシルの警告で監視室に緊張が走る。
樹海の端に魔物では無い反応が出たのだ。3D表示されている光点を見つめる。それは1つではなく、10個程あるのだ。
本当は早く詳細を調べるべきなのだが、緊張していて誰も調べようとしていない。
光点の動きはそこまで早くない。魔物の方が素早く動いている。
5分程そんな状況が続いたが、調べないわけにはいかないので光点に触れて詳細を表示する。
「まさかこう来るとは思ってなかった。可能性はあったけど、考慮に入れてなかったわ」
そこに表示されたのは日本人の名前、いわゆる召喚された勇者という事だ。基本的に人に干渉する事は無いと思っていたので、まさかと言った感じだ。
ここで同郷の人間と戦えってか? 全く神ってのは嫌になる。今更人を殺す事に何を思うわけでもないけど、神に利用されて使い捨てられる日本人がかわいそうだと思ってしまった。
「それにしても今回は3人なんだね。こいつらどうすんの?」
近くにいた綾乃がそんな事を聞いてくる。
「こいつらがどういう情報を聞いて、ここに向かっているか分からないからな。中立地域の都市を回避して直接向かってきているのが気になるんだよね。だって、狙いはあきらかにここでしょ? 俺を狙うなら正しいけど、ここが巻き込まれるのは困るな」
「神が何を伝えているか分からないでござるが、もしでござるよ? もし、神がシュウ殿が住民すらだまして神敵になった……みたいな事を伝えていた場合は、皆殺しを視野に入れている可能性はあるでござるよ?」
バザールの言う事もよく分かる。甘い判断をして下手な犠牲を出すわけにはいかないので、初めの判断を間違えられない。
「勇者は俺にとっては天敵だからな。あいつら、魔物やダンジョンマスターに特効があるらしいんだよね。一度死にかけたしな。ファーストコンタクトはどうするか」
「レベルを見る限りでござるが、600もあれば特効があっても問題ないと思うでござる」
「ご主人様、フォボスを使って足止めしてから接触してはどうですか?」
「そういえば、召喚できるSランクの魔物にフォボスっていたな。でもさ、あいつ等なら足止めは出来るけど、話し合いの前に特殊能力を使わせたら、話し合いにすらならないんじゃないか?」
「それはあるよね。1度試しにフォボスの恐怖をくらってみた事あるけど、あれはヤバいよね。何かが怖いとかじゃなくて、心の底というか精神が直接恐怖を感じるから、気を強く持っているとか関係ないんだよね。正直、ちびっちゃうかと思ったわ」
『チビじゃないわよ!』
はぁ? いきなり何言ってんだよ! しかも俺のセリフじゃねえし! 綾乃の言葉に反応して声送ってくん無し!
「すまん、ちょっと話しててくれ、チビ神がなんか声送ってきやがった」
『だからチビじゃないわよ! 失礼しちゃうわね!』
つか初めに反応したのは、小さい意味のチビじゃなくて、漏らすという意味のチビに反応して声を送ってきやがっただろうが! もしかして漏らしたのか?
『んなわけないでしょうが! まったく、信じられないわ! っと、そんなこと話してる場合じゃなかったわ。神が動き出したのよ!』
勇者をこっちに向かわせてるってあれか?
『何で知ってるのさ!』
監視体制を変えたからな。それで、こっちに向かってきている勇者は敵か?
『半分程洗脳されているわね。元々、向かってきている勇者は、ダンマスや魔物を過剰に攻撃しているメンバーらしいわ。それを知って神が干渉した感じね』
元々主戦派的な感じか。話し合いが成立する気がしねえな。確認できている勇者が3の従者が8なんだけど、従者が主戦派っぽい奴らなのか? それとも勇者がごり押ししている感じなのか? どっちか分かったりするか?
『恐らく後者だと思うわ。前に私があんたの事を自慢した時に、いい感じに勇者を誘導できたとか話していたバカがいたから、そいつ関連の勇者だと思うのよね。その大陸は度が過ぎると、勇者すら殺すからね。その従者がバランスを保っていたんじゃないかと思うわ』
チビ神が感じている何かがあるんだろう。ファーストコンタクトはかなり大事になってくるよな。まぁそこら辺はみんなで考えればいいか。まぁ情報感謝しておくわ。どうせこの戦闘もお前ら神共は娯楽で楽しむんだろうからな。
『まぁね、私が召喚したあんたは最強だかんね! やっておしまい! って感じよ。分かっていると思うけど、勇者3人に従者8人だけど、バカ神共がけしかけているって事を忘れちゃだめよ』
そう言う事か、面倒な事になったな。これは絶対に話し合いが成功しないパターンだ。
「みんな、話をぶった切ってすまないが、話し合いは無しにする。無駄な犠牲が出る」
俺を除いたメンバーで、勇者に対する対応を考えていてもらったが、チビ神に教えてもらった事を念頭に考えるとこういう結論になる。
「何か情報をもらったでござるか?」
「そう言う事、実は……」
チビ神から聞いた事を俺なりにまとめて話す。
「……だから、おそらくルール違反にならないか、ルールの裏をかいた方法で勇者に支援していると思う。少なくとも、こちらの戦力を把握している神共がけしかける位だから、対抗する手段が何かしらあると考えた方がいい」
「なるほどね。レベルやステータスでは測りきれない何かがある可能性は高いわね。じゃぁ、相手の強さをはかるために、人造ゴーレムやスケルトンを出すのかな?」
「人的被害は避けたいから、人造ゴーレムはともかく、スケルトンには悪いけど、量産できる強い戦力として前線に行ってもらおうかと思う。バザールはここでスケルトンに指示を、綾乃は人造ゴーレムのサポートをしてもらおうかな」
「承知したでござる。スケルトンは100体ほどでいいでござるか?」
「そんなもんでしょ。人造ゴーレムで動かせるのは、通常が43と異形型が32って所かしら、それを当てるって事でいいわよね?」
「人造ゴーレムってそんなにあるのか。壊された所で痛手にはならないし、スケルトンも魔石を落とすだけだしな。っとバザール、斥候タイプでスピードの速いスケルトンに、グレイプニルを持たせてやってくれ。
もし捕獲できずに全員がやられそうだったら、グレイプニル持ちだけでも帰還させてくれ。勝つために渡すけど、万が一にも鹵獲されたら面倒だからな」
他にも少し話してから、準備を始める。
ユグドラシルの警告で監視室に緊張が走る。
樹海の端に魔物では無い反応が出たのだ。3D表示されている光点を見つめる。それは1つではなく、10個程あるのだ。
本当は早く詳細を調べるべきなのだが、緊張していて誰も調べようとしていない。
光点の動きはそこまで早くない。魔物の方が素早く動いている。
5分程そんな状況が続いたが、調べないわけにはいかないので光点に触れて詳細を表示する。
「まさかこう来るとは思ってなかった。可能性はあったけど、考慮に入れてなかったわ」
そこに表示されたのは日本人の名前、いわゆる召喚された勇者という事だ。基本的に人に干渉する事は無いと思っていたので、まさかと言った感じだ。
ここで同郷の人間と戦えってか? 全く神ってのは嫌になる。今更人を殺す事に何を思うわけでもないけど、神に利用されて使い捨てられる日本人がかわいそうだと思ってしまった。
「それにしても今回は3人なんだね。こいつらどうすんの?」
近くにいた綾乃がそんな事を聞いてくる。
「こいつらがどういう情報を聞いて、ここに向かっているか分からないからな。中立地域の都市を回避して直接向かってきているのが気になるんだよね。だって、狙いはあきらかにここでしょ? 俺を狙うなら正しいけど、ここが巻き込まれるのは困るな」
「神が何を伝えているか分からないでござるが、もしでござるよ? もし、神がシュウ殿が住民すらだまして神敵になった……みたいな事を伝えていた場合は、皆殺しを視野に入れている可能性はあるでござるよ?」
バザールの言う事もよく分かる。甘い判断をして下手な犠牲を出すわけにはいかないので、初めの判断を間違えられない。
「勇者は俺にとっては天敵だからな。あいつら、魔物やダンジョンマスターに特効があるらしいんだよね。一度死にかけたしな。ファーストコンタクトはどうするか」
「レベルを見る限りでござるが、600もあれば特効があっても問題ないと思うでござる」
「ご主人様、フォボスを使って足止めしてから接触してはどうですか?」
「そういえば、召喚できるSランクの魔物にフォボスっていたな。でもさ、あいつ等なら足止めは出来るけど、話し合いの前に特殊能力を使わせたら、話し合いにすらならないんじゃないか?」
「それはあるよね。1度試しにフォボスの恐怖をくらってみた事あるけど、あれはヤバいよね。何かが怖いとかじゃなくて、心の底というか精神が直接恐怖を感じるから、気を強く持っているとか関係ないんだよね。正直、ちびっちゃうかと思ったわ」
『チビじゃないわよ!』
はぁ? いきなり何言ってんだよ! しかも俺のセリフじゃねえし! 綾乃の言葉に反応して声送ってくん無し!
「すまん、ちょっと話しててくれ、チビ神がなんか声送ってきやがった」
『だからチビじゃないわよ! 失礼しちゃうわね!』
つか初めに反応したのは、小さい意味のチビじゃなくて、漏らすという意味のチビに反応して声を送ってきやがっただろうが! もしかして漏らしたのか?
『んなわけないでしょうが! まったく、信じられないわ! っと、そんなこと話してる場合じゃなかったわ。神が動き出したのよ!』
勇者をこっちに向かわせてるってあれか?
『何で知ってるのさ!』
監視体制を変えたからな。それで、こっちに向かってきている勇者は敵か?
『半分程洗脳されているわね。元々、向かってきている勇者は、ダンマスや魔物を過剰に攻撃しているメンバーらしいわ。それを知って神が干渉した感じね』
元々主戦派的な感じか。話し合いが成立する気がしねえな。確認できている勇者が3の従者が8なんだけど、従者が主戦派っぽい奴らなのか? それとも勇者がごり押ししている感じなのか? どっちか分かったりするか?
『恐らく後者だと思うわ。前に私があんたの事を自慢した時に、いい感じに勇者を誘導できたとか話していたバカがいたから、そいつ関連の勇者だと思うのよね。その大陸は度が過ぎると、勇者すら殺すからね。その従者がバランスを保っていたんじゃないかと思うわ』
チビ神が感じている何かがあるんだろう。ファーストコンタクトはかなり大事になってくるよな。まぁそこら辺はみんなで考えればいいか。まぁ情報感謝しておくわ。どうせこの戦闘もお前ら神共は娯楽で楽しむんだろうからな。
『まぁね、私が召喚したあんたは最強だかんね! やっておしまい! って感じよ。分かっていると思うけど、勇者3人に従者8人だけど、バカ神共がけしかけているって事を忘れちゃだめよ』
そう言う事か、面倒な事になったな。これは絶対に話し合いが成功しないパターンだ。
「みんな、話をぶった切ってすまないが、話し合いは無しにする。無駄な犠牲が出る」
俺を除いたメンバーで、勇者に対する対応を考えていてもらったが、チビ神に教えてもらった事を念頭に考えるとこういう結論になる。
「何か情報をもらったでござるか?」
「そう言う事、実は……」
チビ神から聞いた事を俺なりにまとめて話す。
「……だから、おそらくルール違反にならないか、ルールの裏をかいた方法で勇者に支援していると思う。少なくとも、こちらの戦力を把握している神共がけしかける位だから、対抗する手段が何かしらあると考えた方がいい」
「なるほどね。レベルやステータスでは測りきれない何かがある可能性は高いわね。じゃぁ、相手の強さをはかるために、人造ゴーレムやスケルトンを出すのかな?」
「人的被害は避けたいから、人造ゴーレムはともかく、スケルトンには悪いけど、量産できる強い戦力として前線に行ってもらおうかと思う。バザールはここでスケルトンに指示を、綾乃は人造ゴーレムのサポートをしてもらおうかな」
「承知したでござる。スケルトンは100体ほどでいいでござるか?」
「そんなもんでしょ。人造ゴーレムで動かせるのは、通常が43と異形型が32って所かしら、それを当てるって事でいいわよね?」
「人造ゴーレムってそんなにあるのか。壊された所で痛手にはならないし、スケルトンも魔石を落とすだけだしな。っとバザール、斥候タイプでスピードの速いスケルトンに、グレイプニルを持たせてやってくれ。
もし捕獲できずに全員がやられそうだったら、グレイプニル持ちだけでも帰還させてくれ。勝つために渡すけど、万が一にも鹵獲されたら面倒だからな」
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