ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1339話 戦争準備完了

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 兵器開発を初めてから1週間が経過した。

 カタパルトとそれに使う弾については、目処がたった。問題なのは、弾の生産性がすこぶる悪いことだろう、

 兵器開発と言えば仰々しい感じがするが、もともとあるものを改造したり構造を流用したりしているので、大した労力ではないのだ。カタパルトの改良に関しては、ドワーフがやってくれてるしな。

 弾の改良に時間をとられてしまったのだ。

 最終的に弾は、子弾の重さと数、広がる範囲を調整することによって完成した。

 流石に拡散範囲半径100メートルは、この世界にしては広すぎると判断した。半径は50メートルに抑え、子弾の数は5000本に決まった。魔石の粉で子弾を弾き出す速度をあげることで、攻撃力を少しあげている。

 微々たるものであっても、多少でも威力が高い方がいいにきまっている。

 カタパルトにフレシェット弾と同じものを使ったのは、兵士に怪我をさせることが目的だったのだ。

 開発の過程で、行動不能にさせるだけなら、少しの傷でもいいのでは? と言う話になった。

 攻めてくる相手が何を考えているか分からないが、こちらに仇なす敵であることは決まっている。なので、毒を使ってもいいのではないか? という結論に達した。

 致死性の毒は流石に非道すぎると思い、子弾に弱い毒を仕込み少しの傷でも、下痢や嘔吐をするような毒を用意している。

 何処かのSランク冒険者チームに使った、クダスンデスほど効果は高くない。せいぜい体調不良の時位の症状までのものだ。

 正直クダスンデスで良くないか? と言う話になったのだが、あの惨事を目の当たりにするのが嫌だったので、我慢がギリギリできるラインで考えたのだ。

 バレルの水源は、今回攻めてきている軍のいる方向とは逆だが、この付近で大量の水を確保できる場所はそこしかないので、もし水源で汚物処理をされたら街に影響がでるからな。

 とりあえず、子弾の量産は頑張ってもらうしかないということになったので、各街で余裕のある工房で作ってもらうことにした。

 完成した子弾は、随時メギドの街に届けてもらうことになっているので、到着したら兵士に頑張ってもらう予定だ。

「シュウ殿は、もういくでござるか?」

「動きがあったみたいだから、そろそろメギドに向かうよ。バッハに運んでもらえばすぐ着くしな」

「バザール、あんたはいかないの? スケルトン軍団は役に立つでしょ?」

「某でござるか? 後詰めはシュウ殿がいるから、某は必要ないと思うでござる。そんなことより、最近農園を放置気味でござるから、しっかりと手入れをするでござる! 家畜たちの様子も見ておかないといけないでござるからな!」

 綾乃は、バザールのことを薄目で見ている。呆れている様子だ。

 まぁ、リバイアサンも連れていくし、バハムートもワイバーン家族も、他の従魔も連れていくから、もしもの時も大丈夫だと思っている。

 バザールのスケルトン軍団は、過剰戦力と言わざるを得ないだろう。

 スケルトン自体がSランクの魔物と同等に強いし、バザールの指揮によって統率は完璧だし、連携もバザールがいるといないでは大きく違ってくる。

 便利だけど、さすがに今回は俺の街とは言え帝国から奪った街だからな、配慮しないといけない部分もあったりするのだ。

 ディストピアやゴーストタウンでは、異種族、魔物の存在が近くにいても問題にならないが、この2つの街以外は、油断するとすぐにトラブルに発展してしまうので、注意が必要だったりするのだ。

 特にバザールの率いるスケルトン軍団は、傍から見ていると正直怖いと思う。この世界のアンデットは、生者に固執するというタイプではないが、死者という印象が強いため、他の街の人間なんかは毛嫌いしている人も多いのだ。

 DPでシェルターのような物を用意しておけばいいかも知れないが、もし帝国と敵対した場合にスケルトンを使うと……面倒になりそうだと思ったので、今回の参加は無しでいいだろう。

 っと、いつの間にかバザールがいなくなっていた。綾乃もいねえな、そんな長い時間考えていたわけじゃないけど、1人だけいきなり残されると寂しいな。

 俺も移動して準備を始めるか。

 準備といって始めに来た場所は、

「「「とーたん!」」」

 娘たちの部屋だ。しばらく直に会えなくなるので、娘ニウムを補給しようと思いここへ来たのだ。娘ニウムといってみたものの、なんだそれ? と冷めた自分もいる。

「みんな元気いっぱいだね! 何してたのかな?」

「今はね、絵本読んでもらってた!」

 えっ? 俺が入ってきた時、ミーシャはシャドーボクシングみたいに、シュッシュ言いながら拳を突き出してただろ! スミレとブルムも柔道の試合といわんばかりに組み合ってなかったか?

 娘たちもそうなのだが、うちらの家族に喧嘩はほとんどない。そんな中で、結構ガチっぽく組み合っていた2人の娘は、俺を見つけると近寄って来たのだから、喧嘩をしていたわけでは無いと思う。

「えっとね! 誰かが冒険に出る絵本を読んでもらってたの!」

 何の絵本か気になるけどそれ以上に、何で絵本を読んでもらっていた娘たち3人が、体を動かしていたのが不明である。

「そっか、絵本を読んでもらっていたんだね。ウルお姉ちゃんは一緒じゃないのか?」

「ウー姉は、ミリーお母さんと一緒に体を動かしてると思う!」

 ウルはミリーと訓練をしているようだ。

「みんなは一緒に訓練しないの?」

「ミリーお母さんが、今日は休憩の日だよ! って言ってた!」

 ウルに比べてまだ体の小さいミーシャたちは、訓練のペースも違うという事か。

「とーたんはどうしたの?」

 俺の右足に抱き着き見上げてくるスミレが聞いてきた。

「またしばらくディストピアから離れるから、ミーシャたちと遊んでおこうかなってね」

「またどこか行くの? ブルムも行きたい!」

 スミレも行きたい! とブルムの声に反応して騒いでいる。

「ブルムもスミレもごめんね。今回は、遊びに行くわけじゃないんだ。仕事とはちょっと違うか……」

 戦争しに行くとは、娘たちに言えなかったので言い淀んでいると、

「こら! 2人共、お父さんを困らせてはいけませんよ。お父さんの街の1つが今狙われてるの。それを護りに行くのよ。だから忙しくなくなった時に、一緒にどこかへ行きましょうね」

 妻たちは、娘たちに俺の事を話す場合は『お父さん』と言っている。理由は分からないが、みんなでそう統一しているのだ。でも、妻たちが俺の事を呼ぶ際は、シュウとかご主人様と呼ぶんだよね。

 娘たちは納得したようで、カエデたちの下へ戻っていった。

 その後は、気の済むまで一緒に遊んだ。
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