ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1371話 珍しい部屋

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 別荘で娘たちにおもてなしをされてから1週間、特に何も起きなかった。

 というか、そうそう何かあっても困るのだけどな。今までが色々ありすぎたと思うんだ。特に、妻たちが妊娠していて後3ヶ月もしない内に子供が生まれる予定だ。こんなときに何かあってほしくない! 切実に願う物である。

 そういえば、娘たちが猫たちの餌やり、勉強やトレーニング以外にも日課が増えていた。妊娠した妻たちのお腹を触っている。

 弟か妹か分からないが、動く振動を感じたいらしい。

 この日課をし始めてから、どことなくミーシャ・スミレ・ブルムの3人がウルっぽくなってきた気がするんだよな。何がどうってわけじゃないけど、何となく雰囲気がね。お姉ちゃんになるのが分かってるのかな?

 俺が日本にいたときに聞いたことがある話だと、ミーシャたちにお姉さんになる自覚が出て来たのだろうか?

 触りに行く時間はバラバラだが、あの日から毎日欠かさずに触りに行っている。そういう意味では、トレーニングより頻繁に行っている。トレーニングは体にも負担がかかるので、毎日は行っていないからな。

 今日は休みだから遊びに行こうかなって思っていたのだが、3日前から雨が続いている。降ったり止んだりしているが、出かけるには厳しい天気だ。

 ディストピアで今までこんなに長く雨が降ったことってあったかな? 降っても1日とかくらいだった気がするんだよな。

 娘たちも雨が続いて外で遊べていないがダンジョン農園は、天候を調整することが出来るので家にこもらずダンジョン農園に行っている。

 昨日までは普通に仕事だったから気にならなかったけど、外に出て遊ぼうとしているときに雨が降っていると萎えるよね。こんな天気でもキャンプ好きならキャンプに行ってしまうのだろうが、この世界でキャンプは娯楽にならんからな。

 何かすることに悩むか……よく悩んでいる気がするけど、直面すると久しぶりと感じる不思議。

 こんなときは大体、ゲームか小説を読んでいる気がするけど、あ~アニメや映画も見るか。でも、そんな感じだよな。

 久しぶりにホームシアターでも使うか。でも、映画じゃなくて音楽でも聴きたいな。あの部屋のスピーカーってどんな奴だったっけな?

 そう思ったら行かずにはいられないので、足早にホームシアターに向かった。

 そっか、部屋に内蔵型のスピーカを配置した奴か。しかも魔改造してかなり音質が良くなってるやつだったな。

 そうだ、動画サイトで色んなアーティストのカバーをして、ネットライブで歌っているグループの曲を聞いてみたいな。個人でも歌を出しているのだが、その個人が集まってグループを作って、ネットライブをしている珍しいグループが好きだったんだよな。

 オリジナルの曲も好きだけど、カバー曲をアレンジして楽しそうに歌っている姿を見ると、何かほっこりするんだよな。

 調べて衝撃の事実を知ってしまった。

「マジか! あのグループって解散したのか……ん? 解散と言っていいのか? よく分からんけど、メンバーが旅立って名前が変わってる」

 俺は驚きのあまり5分程止まってしまった。

 とはいえ、動画サイトには残っているみたいなので、DPで音楽を取り寄せ聞いてみるか。

 すげえ数の歌があるな。確か月1回のネットライブで4~5曲だっけ? それなのにこんな色々カバー曲があるんだな。

 懐メロから多分最新のものまで色々とラインナップがある。全部聞くとなるとさすがに数が多すぎるな。この中でも好きな曲だけ選んで2時間くらいになるようにするか。

 選んだ曲をランダム再生で流していく。古い映像もあるのだが、そこはDPで補正して召喚しているので、実際に見ているような映像がスクリーンに映し出される。

 みんな楽しそうに歌うよな。女の子は可愛いし、男性陣もカッコいいというかイカすよな。俺もあんな歌声だったらアーティストを目指したのかな?

 そりゃないか。歌声だけが良くてもアーティストにはなれないもんな。覚悟や気持ち、センスに技術がなければ成功するわけないもんな。それにこの世界に来てしまったから、歌手になるなんてありえないな。

 歌っているメンバーが違って、それぞれのグループの良さがあっていいな。

 2時間のライブ感覚で25曲ほど聞いた。部屋から音が消え、余韻に浸っていると扉を叩く音が聞こえた……え? このタイミングでこの部屋に来るってことは、何かしらのトラブルがあったのか?

 2時間前に何もないのが当たり前みたいな事を言っていたフラグを回収してしまったか?

 扉を開けると、

「「「わっ!!」」」

 ミーシャたち3人が母親に抱かれて、俺に向かって大きな声を出してきた。不覚にも驚いてしまった。その様子を見て、母親と一緒になりケラケラと笑っている。

 ミーシャたちが叩く音と違ったから油断していたのもあるが、まさかミリーたちが協力するとはな。

「シュウがこの部屋にこもったって聞いたから、娘たちを連れて来たわよ。この子たちはまだきたことなかったからね。ここって使うのはシュウだけだからね。確かにいい音質で大きな画面で見るのも悪くないけど、私は普通のテレビでも十分かな?」

 リンドはここら辺はあまりこだわらないんだよね。だけど鍛冶道具にはとことんこだわるのにな。やっぱり違うんだろうな。

 そんなことしている間に、ミーシャたち(ウルも含め)がホームシアターのある部屋を探検している。ゲームもできるようにしているので、椅子の前にある机には各種のゲーム機が準備されている。

 知っている物を発見して騒いでいるが、クリアケースになっており開け方が分からず怒っている。

 一生懸命開けようとしているミーシャを抱き上げて、開け方を教えてあげた。ここには猫が入ってこれるようにしているので、間違って入らないように少し工夫しないと開けれない物を準備している。

 あ~そう考えると、猫たちが一番利用しているかもな。

「娘たちをここに連れて来ただけか?」

「それもあるけど、一番はそろそろお昼だからよ。遅れるとまた怒られるわよ」

 おっと、それは拙いな。ミーシャよ、いじりたいのは分かるがシルキーたちに怒られるぞ!
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