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第1427話 ボスより苦労した
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キリエがキングレイスを撃破して、残りのレイスの掃討に入ろうとしていた。だけど、そこで違和感を覚える。1匹ずつ撃破していくのではなく、均等にダメージを与えている様なのだ。理由は分からないが、何やら細かく指示を出している様子だ。
一方、キリエは、
「ブラッドリーレイスやデッドリーレイスの体力が全員4割をきっているわ。どうせなら、同時に撃破しましょう。もしかしたら、同時討伐がキーかもしれないからね。ダメージ調整の指示は私がするから、指示があるまでは各自攻撃をしてください」
といった感じだった。
キリエはここに来て、念には念を入れて各個撃破ではなく、同時撃破を選択したようだ。シュウがその事に気付くのは、もうしばらく後のことである。
「そっちのブラッドリーレイスは攻撃中止、そっちのデッドリーレイスは残り5回ほど攻撃したら攻撃を止めて、残りはまだもう少しあるわ」
同時撃破するために、細かく鑑定を行いながらダメージを調べていく。この時ばかりは、1匹ずつしか鑑定できないことをもどかしく思うキリエだった。
10匹に対して、ダメージをコントロールするためには、各々に対して鑑定をかけ直さないといけないからである。1人でやるには相手が多すぎた。ゲームみたいに残りのHPが表示されるなら話は違ったんだけどな。
一番減っているブラッドリーレイスへの攻撃を中止したことで、俺はやっとキリエの考えていることに思い当たった。
なるほど、いい手だな。取り巻きのレイスたちから、吸収した魔力や体力がキングレイスに行かないように半分程ダメージを与えてから、キングレイスを撃破したことを考えると、全体が体力が減っている状態なので同時撃破をした方がいいというのは頷ける。
取り巻きのレイスたちも大詰めだな。それなのにこっちは……
ブラウニーたちが安全地帯の構築が終わったということで、従魔たちが前線に出てきたのだ。そこで行われたのが、シリウスによる津波でパイレーツスケルトンたちを押し流す作戦だ。
シリウスは、一度作り出した水を循環させるように操り、津波を発生させパイレーツスケルトンたちを壁に貼り付けている。じゃぁ残りのメンバーと従魔はというと……
呑気に波乗りをしていたりするのだ。さすがにサーフボードを出してということではなく、魔法やスキルの力を借りて、驚くほど楽しそうに遊んでいる。
一番人気なのが、チェインの鎖に掴まって戦闘のフル装備で、水中をすべる感じの……何て言ったっけ? そうだ、ベアフットとかいう競技だったか? それを楽しんでいる。
それにしても、フル装備ってことはかなりの重量があるのに沈まないんだよね。ってことは、シリウスの作り出している水流が早いってことか。でも、これはいいな。調整すれば、子どもたちでも遊べそうだな。近くに俺らがいれば問題ないだろう。
っと、現実逃避していたら、キリエの方の戦闘が終わっていた。
でも、戦闘が終わってこの様子を見れば……
「ちょっと! 私が1人で頑張ってたのに、みんなは何で遊んでるのよ! 遊ぶ暇があったら、援護してくれてもいいじゃない!」
って、怒るのは当たり前だよね。本当にすまん。
キリエを落ち着かせるために時間が必要になったので、
「シリウス、みんなで安全地帯に戻るから、殿を頼む。最後に押し流したら、中に入って扉を閉めるからよろしく」
キュウ、と一声鳴いて、殿を務めてくれた。
俺は、拗ねているキリエを抱きかかえながら安全地帯へと入って行く。
そこからがとにかく大変だった。遊んでいた他の妻たちの言葉は完全無視。俺の言葉に何とか反応してくれる程度。
1時間かけて、やっと会話ができる状態になって、突き付けられた要求は、帰ったら俺を1日独占権、だった。
俺としてはかまわないのだが、妻たちにとってみると、丸1日俺を独占できる事なんてないので、反対の声が上がったが、自宅に繋がっている魔導無線の映像から、
圧倒的にキリエ以外のメンバーが悪い、キリエが怒るのも仕方がない。と言われてしまうと、ぐうの音もでない。例え遊んでいた時間が20分に満たない時間だったとしても、援護に来なかった事実は変わらない。そして、俺への罰でもあるようだ。
普段は、みんなのことを気にかけているが、キリエとの1日だけはキリエだけのことを考えて行動をするように命令された。ミリーたちにね。
そして、プラムたちを生んだ妻たちにも、帰ってきたら何かしてあげること、って命令された。それに関しては、命令されなくても何かするつもりではあるけど、何で命令されたんだろうな?
最後に、娘たちが寂しがっているから、帰ってきたら2~3日は一緒に遊んであげてほしいとの事だった。
魔導無線によって、顔を見ながら話ができるのに何でかと思ったら、顔が見えるのにふれ合えないことが娘たちには不満だったようで、俺には見えない所で苦労しているみたいだ。
初めのころは楽しんでたと思うが、最近はそうでも無いみたいだな。だからといって、連絡しなければもっと機嫌が悪くなるので、連絡は続けるけどね。
ひとまず何とか収まったが、それでもキリエは不満があるみたいだったので、今日はこのまま戦闘をしないで、休む事にした。キリエを中心にお風呂に入ったり、料理を一緒に作ってみたり、キリエが気の済むまでみんなで付き合うことになった。
もちろん寝る時も俺の隣で、腕枕をしてあげている。
でもさ、機嫌を直させるために、俺がこんな事して意味があるのかと思って、みんなに違うことを提案しようとしたら、全力でシュリに頭を叩かれて脳震盪を起こす所だったよ。
どうやら妻たちにとっては、独り占めできることは本当に嬉しいことらしいので、次そんなこと言ったらベッドに縛り付けて一日中合体する! と宣言された。
なんでそっちの方向に行くのか分からないが、男が縛り付けられて搾り取られるとか、誰得なんだろうか? 俺のことを好いてくれるのは嬉しいが、ベッドに縛り付けるってのはどうかと思うぞ。
おっと、ごめんなさい。何も変なことは考えていません。戻ったら、キリエには誠心誠意謝らせていただき、満足してもらえるように頑張ります!
一方、キリエは、
「ブラッドリーレイスやデッドリーレイスの体力が全員4割をきっているわ。どうせなら、同時に撃破しましょう。もしかしたら、同時討伐がキーかもしれないからね。ダメージ調整の指示は私がするから、指示があるまでは各自攻撃をしてください」
といった感じだった。
キリエはここに来て、念には念を入れて各個撃破ではなく、同時撃破を選択したようだ。シュウがその事に気付くのは、もうしばらく後のことである。
「そっちのブラッドリーレイスは攻撃中止、そっちのデッドリーレイスは残り5回ほど攻撃したら攻撃を止めて、残りはまだもう少しあるわ」
同時撃破するために、細かく鑑定を行いながらダメージを調べていく。この時ばかりは、1匹ずつしか鑑定できないことをもどかしく思うキリエだった。
10匹に対して、ダメージをコントロールするためには、各々に対して鑑定をかけ直さないといけないからである。1人でやるには相手が多すぎた。ゲームみたいに残りのHPが表示されるなら話は違ったんだけどな。
一番減っているブラッドリーレイスへの攻撃を中止したことで、俺はやっとキリエの考えていることに思い当たった。
なるほど、いい手だな。取り巻きのレイスたちから、吸収した魔力や体力がキングレイスに行かないように半分程ダメージを与えてから、キングレイスを撃破したことを考えると、全体が体力が減っている状態なので同時撃破をした方がいいというのは頷ける。
取り巻きのレイスたちも大詰めだな。それなのにこっちは……
ブラウニーたちが安全地帯の構築が終わったということで、従魔たちが前線に出てきたのだ。そこで行われたのが、シリウスによる津波でパイレーツスケルトンたちを押し流す作戦だ。
シリウスは、一度作り出した水を循環させるように操り、津波を発生させパイレーツスケルトンたちを壁に貼り付けている。じゃぁ残りのメンバーと従魔はというと……
呑気に波乗りをしていたりするのだ。さすがにサーフボードを出してということではなく、魔法やスキルの力を借りて、驚くほど楽しそうに遊んでいる。
一番人気なのが、チェインの鎖に掴まって戦闘のフル装備で、水中をすべる感じの……何て言ったっけ? そうだ、ベアフットとかいう競技だったか? それを楽しんでいる。
それにしても、フル装備ってことはかなりの重量があるのに沈まないんだよね。ってことは、シリウスの作り出している水流が早いってことか。でも、これはいいな。調整すれば、子どもたちでも遊べそうだな。近くに俺らがいれば問題ないだろう。
っと、現実逃避していたら、キリエの方の戦闘が終わっていた。
でも、戦闘が終わってこの様子を見れば……
「ちょっと! 私が1人で頑張ってたのに、みんなは何で遊んでるのよ! 遊ぶ暇があったら、援護してくれてもいいじゃない!」
って、怒るのは当たり前だよね。本当にすまん。
キリエを落ち着かせるために時間が必要になったので、
「シリウス、みんなで安全地帯に戻るから、殿を頼む。最後に押し流したら、中に入って扉を閉めるからよろしく」
キュウ、と一声鳴いて、殿を務めてくれた。
俺は、拗ねているキリエを抱きかかえながら安全地帯へと入って行く。
そこからがとにかく大変だった。遊んでいた他の妻たちの言葉は完全無視。俺の言葉に何とか反応してくれる程度。
1時間かけて、やっと会話ができる状態になって、突き付けられた要求は、帰ったら俺を1日独占権、だった。
俺としてはかまわないのだが、妻たちにとってみると、丸1日俺を独占できる事なんてないので、反対の声が上がったが、自宅に繋がっている魔導無線の映像から、
圧倒的にキリエ以外のメンバーが悪い、キリエが怒るのも仕方がない。と言われてしまうと、ぐうの音もでない。例え遊んでいた時間が20分に満たない時間だったとしても、援護に来なかった事実は変わらない。そして、俺への罰でもあるようだ。
普段は、みんなのことを気にかけているが、キリエとの1日だけはキリエだけのことを考えて行動をするように命令された。ミリーたちにね。
そして、プラムたちを生んだ妻たちにも、帰ってきたら何かしてあげること、って命令された。それに関しては、命令されなくても何かするつもりではあるけど、何で命令されたんだろうな?
最後に、娘たちが寂しがっているから、帰ってきたら2~3日は一緒に遊んであげてほしいとの事だった。
魔導無線によって、顔を見ながら話ができるのに何でかと思ったら、顔が見えるのにふれ合えないことが娘たちには不満だったようで、俺には見えない所で苦労しているみたいだ。
初めのころは楽しんでたと思うが、最近はそうでも無いみたいだな。だからといって、連絡しなければもっと機嫌が悪くなるので、連絡は続けるけどね。
ひとまず何とか収まったが、それでもキリエは不満があるみたいだったので、今日はこのまま戦闘をしないで、休む事にした。キリエを中心にお風呂に入ったり、料理を一緒に作ってみたり、キリエが気の済むまでみんなで付き合うことになった。
もちろん寝る時も俺の隣で、腕枕をしてあげている。
でもさ、機嫌を直させるために、俺がこんな事して意味があるのかと思って、みんなに違うことを提案しようとしたら、全力でシュリに頭を叩かれて脳震盪を起こす所だったよ。
どうやら妻たちにとっては、独り占めできることは本当に嬉しいことらしいので、次そんなこと言ったらベッドに縛り付けて一日中合体する! と宣言された。
なんでそっちの方向に行くのか分からないが、男が縛り付けられて搾り取られるとか、誰得なんだろうか? 俺のことを好いてくれるのは嬉しいが、ベッドに縛り付けるってのはどうかと思うぞ。
おっと、ごめんなさい。何も変なことは考えていません。戻ったら、キリエには誠心誠意謝らせていただき、満足してもらえるように頑張ります!
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