ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1462話 子守りその3

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 3人が寝てしまったので、また様子をうかがいながら小説を読み始めた。

 寝てる途中に、ふとぐずりそうになったプラムたちは、すぐにケットシーたちにあやされて、泣く前にまたスヤスヤと眠り始めるので、本当にする事がなかった。世話をできないことが不満というわけではないのだが、ミーシャたちのときはもう少し……いや、こんなもんだったか?

 昔のことを思い出すが、ミーシャたちも手間がかかった覚えがないな。

 新しく読み始めた小説が1巻読み終わった。時間を見ると、ピーチたちから引き継いでから3時間は経過しているな。

 そろそろ、ミルクの準備をしようかな。

 確か、最近になってミルクの量を増やしたって言ってたな。約200ミリリットル程を一度にあげていると言っていたのを思い出した。

 70度位のお湯でミルクを溶いていく。

 シャコシャコシャコ……

 ミルクの素を入れた哺乳瓶を、左手に1つ、右手に2つ持って振り続ける。しばらく振り続けていると、ミルクの素はしっかりと溶けたようだ。

 さすがにまだ熱いな。飲ませる時は大体、40度くらいがいいんだったよな。持っててちょっと熱く感じるから、45度はあるな。少しだけ水につけて冷やしてから、ミーシャたちのときから使っている、お湯を40度に保つ魔導具に投入しておく。

 これで、ご飯で起きたらすぐにミルクを上げられるぞ。

 30分過ぎたが、起きる気配がないな。3~4時間で1回ミルクをあげてるって言ってたけど、すくなくとも前のミルクを飲んでから4時間は経過してると思うんだよな。

 無理やり起こして飲ませるのも良くないから、もう少し小説でもっと、その前にトイレに行っておこう。立ってトイレに向かおうとした瞬間、足が重かった。

 足元を見ると、ケットシーがズボンの裾に噛み付いていた。トイレに行きたいから放してほしいのだが、どうしたんだ?

 俺が口を開く前に、その理由が分かった。

「うんぎゃああああ」

 おっと、この声はシオンかな? やっぱりあってたみたいだな。ケットシーがミルクの前で待機しているから、シオンがミルクが欲しくなったのだろう。

 保温の魔導具からミルクを取り出して、水滴を拭きとる。

 シオンが泣いてしまったせいか、2人も起きてしまった。でも、泣いているシオンを心配しているのか、2人ともシオンに手を伸ばして何かをしている。

 どういう意味なのかは分からないが、おそらく2人は何か意味がある行動なのだろう。でもねミルクの時間だから、ちょっとごめんね。

 シオンを抱きかかえて、お尻を太腿の上に乗せて座るような体勢にさせてから、ミルクを飲ませる。

 おぉ、シオンよ。思ったより勢いよくミルクを飲むんだな。みるみるうちに哺乳瓶の中のミルクが減っていく。首が座っていて力もついてきたのか、哺乳瓶を支えて飲んでいる気がする。

 これはシュウの勘違いで、支えて飲んでいるわけではなく、赤ちゃんの癖のようなものらしい。哺乳瓶を触ったり、他のことに興味を示したり、押し上げてみたり、たまたま支えて飲んでいる状態だったので、勘違いをしてしまったようだ。

 飲み終わったのに、しばらく哺乳瓶から口を離さずにちゅぱちゅぱしている。もっと飲みたいのだろうか? 近くで様子をみていたブラウニーに聞いてみると、どうやら吸啜反射きゅうてつはんしゃという、原始反射の1つらしい。

 俺も、子どもたちが産まれてから勉強していたが、吸啜反射きゅうてつはんしゃという言葉を初めて知った。

 吸啜反射きゅうてつはんしゃとは、原始反射の1つで、口に入ってきたもの(ママの乳首など)を強く吸う反射のことである。

 吸啜反射きゅうてつはんしゃの他に、唇に乳首などが触れると首を回す『探索反射』、乳首が口に入るとくわえる、おっぱいを飲む込む『嚥下反射』など、一連の反射を含めて『哺乳反射』というのだと教えてくれた。

 知らないことって、色々あるんだな。ミルクの入っていない哺乳瓶を吸わせ続けるより、しなければならないことがあるので、タイミングをみて哺乳瓶を口から外す。

 左手をシオンのお尻に当てて、膝を少し折り畳みお尻より少し上に行くように抱き上げて、軽く背中が丸まるような体勢にする。俺の肩にシオンの顎が来るように少し高めに抱きかかえ、軽くさすったりトントンすると、ゲップをしてくれた。

 2~3回に分けてゲップが終わったようで、お腹いっぱいになったシオンは目がトロリとし始めたので、ベッドに横にすると、隣にいたシンラにすぐに抱き着いた。

 この様子を見ていると、本当に赤ちゃんなのだろうかと思ってしまうな。普通は寝返りとかは、まだうてないはずなのにな。

 様子を見ていると、プラムが泣き始めてミルクのタイミングになった。

 プラムのミルクが終わって、シオンのように寝かせると、やはりシンラに抱き着いた。

 そんなシンラもミルクの時間なのだが、2人の姉妹にはさまれ、諦めた表情をして少し遠くを見ているような感じがした。

 おい、くたびれたお父さんみたいな表情をするには、まだ早すぎるだろ! シンラ! こっちに戻ってくるんだ!

 お前は、その歳で諦めを覚えてしまったのか? 苦労かけてすまないな。

 すべてシュウの勘違いなのだが、後にこれが現実となってしまうときがくる。シンラは、俺の子どもの中で一番の苦労人となることが、この時すでに決まっていた。

 シンラを救い出すために、ケットシーたちに協力してもらい抱きかかえてあげると、強く抱き着いてきたので、よく頑張ったな! と、知らない人が聞けば、何を言っているんだとか、頭大丈夫か? と言われるようなことを口走っていた。

 にしても、シンラは他の2人に比べて少し小柄な気がするな。まだ成長期も来てないのに、男や女は関係ないよな? まさか!? 苦労しているせいで……勘違いも甚だしい。

 他の2人と同じように200ミリリットルのミルクを飲んでゲップをさせると、眠気が襲ってきたようなのでベッドに、あれ? さっきまで、プラムとシオンはお互いに抱き着いているような状態だったのに、いつの間にかシンラが寝れるだけのスペースが間に空いていた。

 まてまて、普通はこんな事ありえないだろ! なんで、こんなことが起きるんだ? ケットシーたちが手伝ったとか?

 シュウは混乱しているが、抱き合った状態から2人が仰向けに戻れば、1人分とまではいかないがスペースが空いても、何もおかしいことではない。

 シンラ、すまない。また2人の間に寝かせるが、頑張ってくれ!

 俺の後ろでは、ブラウニーたちが呆れた目でこちらを見ていたが、それに気付くことは無かった。
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