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第1564話 想定内のトラブル
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ライムの提案を受け図書館へ向かった。
「思ったより、でかいな」
「でかいね」
「でかいでござる」
日本の人口が20万人ほどの街に対して考えれば、かなり小さい部類に入ると思うが、この世界というか、技術力という面から考えれば明らかに大きいと思う。
建物だけ大きくて、中身はスッカラカンって可能性もゼロではないし、気を引き締めていこう。
「ようこそ、いらっしゃいませ。図書館のルールをご存じでしょうか? そうですか。決まりを説明させていただきます。本の破損などについては弁償することになりますので、入館料とは別に保険料を支払っていただくことになります」
司書っぽい人が、図書館について説明し始めた。
簡単に言えば、食うな・飲むな・壊すな・静かにしろ・何かあったら弁償な! って感じだった。問題ないので、人数分の入館料と保証金を支払い、見せ武器やカバンなどを預けた。持ち物などは簡単なチェックしかしなかったので、少し時間がかかったが何が入ってるのかきちんとメモを取らせた。
「あっ、もし何か無くなってたら、マジで暴れるから誰にも触らせるなよ?」
司書たちは、私たちが盗むわけない! と言っていたが、この図書館の管理をしているのは、お前らだけじゃないだろ? 入る前にダンジョンマスターの能力で簡単に調べているんだぜ。なんで繋がっているかわからないが、地下で隣の家と行き来できるようになってるからな。
単純に考えれば、金持ちしか利用できないんだから、そいつらの荷物を盗むってところじゃないかな? おそらく、考えすぎではないんだよね。隣の家で待機している奴らの称号に、窃盗って普通に書いてあるから、状況的に盗む可能性が高いのは、あっちの家の人間だ。
盗まれても痛くも痒くもないのだが、盗まれっぱなしというのは性に合わんからな。カバンの中にわざと金貨を入れてあったりする。それも結構な量だ。目の前で数えさせて、目の前でカバンに入れさせたからな。調べているときは一切荷物に触れていない。ここ重要ですよ!
「シュウ、あそこまでする必要あったの?」
「あったかどうかは、正直無いと思うけど、司書たちはおそらく、盗まれていることを知らないぞ」
「そうなの?」
「そうでござるね。隠し通路のある位置を考えるとでござると、知らない可能性が高いでござるね。しかもこの造りだと、入る前に覗き穴もきっとあるんじゃないでござるか?」
それだけ変なつくりをしている場所があるし、荷物保管庫に直通の地下通路とか怪しい通り越してるわ。通路の先に窃盗犯がいるしな。
「まぁ、盗まれたらその時に対処すればいい。けどさ、図書館に来る奴の荷物からちょろまかしてたら、普通バレんじゃね? って思うんだけど、どう?」
「金持ちが、100枚あった金貨の内1枚が無くなってても、気付かないんじゃないの? 正直、日本で1万円札が100枚あって、1枚無くなってもすぐには気付けないでしょ? それとおんなじじゃない?」
言われてみれば、気付かんな。でも、全員が全員そこまで金持ってるわけじゃないだろうし、そもそもそこまで利用する人間がいるのか? って疑問はあるけどな。
「そんなことよりも、情報を手分けして探しましょう」
ライムに背中を軽くたたかれ、情報収集に入る。
3時間ほど粘って、手に入れたい情報はあらかた入手できたと思う。
ここの領主は一応いるのだが、長命でエルフではないかと言われている。表に出ることが無くなってから300年は経っているので正確なことはわからないのだとか。領主に代わって政務を取り仕切っているのが、各種の権力者たちということらしい。
合議制の議長は持ち回りで、一応毎回何を話し合ったのか、という議事録を取り図書館に収めて、住人が見れるようになっているが、保証金が高くて入られる人が限られる。この議事録が本当の内容かなんて、市民にはわからないしな。
大体は、この街の政策について、今年の外壁拡張の進行状況と今後の予定って感じだったな。後は、細かい政策について微妙な内容がつらつらと書かれていたかな。
領主のような人間はいるが、一般人は誰も知らないらしい。おそらく、会議に出ている人間は知っているだろうが、それでも不明な点が多すぎるな。だけど、詳しくダンジョンマスターのこと調べてみたら、領主っていう称号を持ってたから、こいつで間違いないんだよな。
なぜ存在を隠しているのだろうか? 何か理由がある?
悩んでたら、分からないことを考えても答えは出ないと言われ、考えることをやめた。
街の情報もある程度調べてみたが、ただ街が大きくなっただけって感じだな。
「シュウ様、それよりも紙の質がよすぎると思うのですが、この世界ではこれが普通なのでしょうか?」
メアリーに言われて、俺・バザール・綾乃の3人がハッとする。
「街の情報誌もそうだったけど、紙の質がやたらにいいし整っているな。これって、召喚された紙か?」
「その可能性は高いでござるね。生産施設もなさそうでござるが、ダンジョンマスターが出しているのでござろうか?」
「その可能性は高いかもね。街の運営は自分でやっていないみたいだけど、こいつ何がしたいのかしら?」
「合議制のためか、議員がお互いがお互いを牽制しあってて、大きな犯罪や汚いあれこれは少なそうだな」
「そだ、いろいろ調べてて気になったんだけど、なんでこの街の情報を集めてるの?」
「それは初めて来た世界の初めての街だからな! 情報は大切だろ?」
「大切だけどさ。この大陸って、街が1つ1つ独立してるから、ここで情報集めても他の街では違うんじゃない? ここまで詳しく調べる必要ってなくない?」
「言われてみれば、必死になって調べる必要ってないな。情報も大事だけど、もっと大事なのは俺たちが生身でこっちに来て平気か? ってことだけだよな?」
どうやら、変なところで迷走していたみたいだ。
「ですが、多少でも情報が手に入ったというのは、いいことですので気になさる必要はないかと」
何で情報を集めようと思ったのだろうか? いつも通りの行動をしただけ? ん~わからないな。
まぁ、この街の領主は300年以上生きているらしい、ということがわかった。
だから何だと言われればそれまでなのだが、直接かかわらなければ問題ない。
それより問題なのは、目の前の司書たちだよな。
「そんなはずはない! 何でお金が無くなっているんだ!」
と叫びながらカバンの中を探している彼ら彼女らだろう。鍵がかかっており、出入りするときは2人以上で入ってお互いを見ているのに、俺たちの荷物から何故か金がなくなっていたのだ。持ってきた金貨の3割ほど。
俺たちは犯人がわかっているが、こいつらにはわかっていないみたいだからな。
さて、宣言通りに暴れた方がいいのだろうかって、それはないな。おそらくそれをすれば捕まって、俺たちが悪いということになるだけだよな。
俺たちは予想していて、盗まれると思って行動してたからよかったのだが、嫁2人がわかってても盗まれたことにイラ立っており、司書たちの顔色が悪い。
ドッペルとはいえ、俺たちが操る体なのでレベルは500程あるのだ。その体でイラ立ちを醸し出せば、一種の圧力がうまれるよな。
妻たちは、盗まれたことに怒っているというより、俺の持ち物を盗んだことに怒っているらしい。後で、バザールのだったらよかったのか? って聞いたら、笑顔でハイって答えが返ってきて、ちょっと背筋が寒くなったよ!
さてさて、現実逃避はここまでにして、どうするよ?
「思ったより、でかいな」
「でかいね」
「でかいでござる」
日本の人口が20万人ほどの街に対して考えれば、かなり小さい部類に入ると思うが、この世界というか、技術力という面から考えれば明らかに大きいと思う。
建物だけ大きくて、中身はスッカラカンって可能性もゼロではないし、気を引き締めていこう。
「ようこそ、いらっしゃいませ。図書館のルールをご存じでしょうか? そうですか。決まりを説明させていただきます。本の破損などについては弁償することになりますので、入館料とは別に保険料を支払っていただくことになります」
司書っぽい人が、図書館について説明し始めた。
簡単に言えば、食うな・飲むな・壊すな・静かにしろ・何かあったら弁償な! って感じだった。問題ないので、人数分の入館料と保証金を支払い、見せ武器やカバンなどを預けた。持ち物などは簡単なチェックしかしなかったので、少し時間がかかったが何が入ってるのかきちんとメモを取らせた。
「あっ、もし何か無くなってたら、マジで暴れるから誰にも触らせるなよ?」
司書たちは、私たちが盗むわけない! と言っていたが、この図書館の管理をしているのは、お前らだけじゃないだろ? 入る前にダンジョンマスターの能力で簡単に調べているんだぜ。なんで繋がっているかわからないが、地下で隣の家と行き来できるようになってるからな。
単純に考えれば、金持ちしか利用できないんだから、そいつらの荷物を盗むってところじゃないかな? おそらく、考えすぎではないんだよね。隣の家で待機している奴らの称号に、窃盗って普通に書いてあるから、状況的に盗む可能性が高いのは、あっちの家の人間だ。
盗まれても痛くも痒くもないのだが、盗まれっぱなしというのは性に合わんからな。カバンの中にわざと金貨を入れてあったりする。それも結構な量だ。目の前で数えさせて、目の前でカバンに入れさせたからな。調べているときは一切荷物に触れていない。ここ重要ですよ!
「シュウ、あそこまでする必要あったの?」
「あったかどうかは、正直無いと思うけど、司書たちはおそらく、盗まれていることを知らないぞ」
「そうなの?」
「そうでござるね。隠し通路のある位置を考えるとでござると、知らない可能性が高いでござるね。しかもこの造りだと、入る前に覗き穴もきっとあるんじゃないでござるか?」
それだけ変なつくりをしている場所があるし、荷物保管庫に直通の地下通路とか怪しい通り越してるわ。通路の先に窃盗犯がいるしな。
「まぁ、盗まれたらその時に対処すればいい。けどさ、図書館に来る奴の荷物からちょろまかしてたら、普通バレんじゃね? って思うんだけど、どう?」
「金持ちが、100枚あった金貨の内1枚が無くなってても、気付かないんじゃないの? 正直、日本で1万円札が100枚あって、1枚無くなってもすぐには気付けないでしょ? それとおんなじじゃない?」
言われてみれば、気付かんな。でも、全員が全員そこまで金持ってるわけじゃないだろうし、そもそもそこまで利用する人間がいるのか? って疑問はあるけどな。
「そんなことよりも、情報を手分けして探しましょう」
ライムに背中を軽くたたかれ、情報収集に入る。
3時間ほど粘って、手に入れたい情報はあらかた入手できたと思う。
ここの領主は一応いるのだが、長命でエルフではないかと言われている。表に出ることが無くなってから300年は経っているので正確なことはわからないのだとか。領主に代わって政務を取り仕切っているのが、各種の権力者たちということらしい。
合議制の議長は持ち回りで、一応毎回何を話し合ったのか、という議事録を取り図書館に収めて、住人が見れるようになっているが、保証金が高くて入られる人が限られる。この議事録が本当の内容かなんて、市民にはわからないしな。
大体は、この街の政策について、今年の外壁拡張の進行状況と今後の予定って感じだったな。後は、細かい政策について微妙な内容がつらつらと書かれていたかな。
領主のような人間はいるが、一般人は誰も知らないらしい。おそらく、会議に出ている人間は知っているだろうが、それでも不明な点が多すぎるな。だけど、詳しくダンジョンマスターのこと調べてみたら、領主っていう称号を持ってたから、こいつで間違いないんだよな。
なぜ存在を隠しているのだろうか? 何か理由がある?
悩んでたら、分からないことを考えても答えは出ないと言われ、考えることをやめた。
街の情報もある程度調べてみたが、ただ街が大きくなっただけって感じだな。
「シュウ様、それよりも紙の質がよすぎると思うのですが、この世界ではこれが普通なのでしょうか?」
メアリーに言われて、俺・バザール・綾乃の3人がハッとする。
「街の情報誌もそうだったけど、紙の質がやたらにいいし整っているな。これって、召喚された紙か?」
「その可能性は高いでござるね。生産施設もなさそうでござるが、ダンジョンマスターが出しているのでござろうか?」
「その可能性は高いかもね。街の運営は自分でやっていないみたいだけど、こいつ何がしたいのかしら?」
「合議制のためか、議員がお互いがお互いを牽制しあってて、大きな犯罪や汚いあれこれは少なそうだな」
「そだ、いろいろ調べてて気になったんだけど、なんでこの街の情報を集めてるの?」
「それは初めて来た世界の初めての街だからな! 情報は大切だろ?」
「大切だけどさ。この大陸って、街が1つ1つ独立してるから、ここで情報集めても他の街では違うんじゃない? ここまで詳しく調べる必要ってなくない?」
「言われてみれば、必死になって調べる必要ってないな。情報も大事だけど、もっと大事なのは俺たちが生身でこっちに来て平気か? ってことだけだよな?」
どうやら、変なところで迷走していたみたいだ。
「ですが、多少でも情報が手に入ったというのは、いいことですので気になさる必要はないかと」
何で情報を集めようと思ったのだろうか? いつも通りの行動をしただけ? ん~わからないな。
まぁ、この街の領主は300年以上生きているらしい、ということがわかった。
だから何だと言われればそれまでなのだが、直接かかわらなければ問題ない。
それより問題なのは、目の前の司書たちだよな。
「そんなはずはない! 何でお金が無くなっているんだ!」
と叫びながらカバンの中を探している彼ら彼女らだろう。鍵がかかっており、出入りするときは2人以上で入ってお互いを見ているのに、俺たちの荷物から何故か金がなくなっていたのだ。持ってきた金貨の3割ほど。
俺たちは犯人がわかっているが、こいつらにはわかっていないみたいだからな。
さて、宣言通りに暴れた方がいいのだろうかって、それはないな。おそらくそれをすれば捕まって、俺たちが悪いということになるだけだよな。
俺たちは予想していて、盗まれると思って行動してたからよかったのだが、嫁2人がわかってても盗まれたことにイラ立っており、司書たちの顔色が悪い。
ドッペルとはいえ、俺たちが操る体なのでレベルは500程あるのだ。その体でイラ立ちを醸し出せば、一種の圧力がうまれるよな。
妻たちは、盗まれたことに怒っているというより、俺の持ち物を盗んだことに怒っているらしい。後で、バザールのだったらよかったのか? って聞いたら、笑顔でハイって答えが返ってきて、ちょっと背筋が寒くなったよ!
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