ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,638 / 2,518

第1638話 話がそれた

しおりを挟む
「たかとび~はばとび~、何がいいかな~」

 何がいいのか考えながら、召喚したブリザードキャットに寄りかかりながら、尻尾をマフマフしている。

「ジャンプ力のある魔物か、ウサギとかどうかな?」

「にゃご~」

「そっか~微妙か。じゃぁ、ウルフ系はどうかな?」

「にゃごにゃごにゃ~ご」

「ふむふむ、幅跳びの方にムササビみたいなのはどうかって? それはありなのだろうか?」

 会話がかみ合っているようで、俺が考えていることを言葉にしているだけであった。相槌を打ってくれているブリザードキャット、長いな。名前を考えていやるか。

 真っ白な猫だから、シロ? そうするとハクと被るな。ん~タマ? それも違うな。ブリザード……フブキ? ってか、お前は雌なのか雄なのか?

 調べようと思ったが、いくら猫型魔物とはいえ見せてくれっていうのもな、鑑定で性別って出なかったっけ?

 ブリザードキャットに鑑定をかけてみると、性別の項目は無かったのだが、意識的に鑑定を使ってみると性別が分かった。

「お前、雌だったんだな。ちょうどいいから、フブキにしようって、雄でも雌でもありえそうな名前か? 性別気にする必要なかったか」

 フブキと名付けると、嬉しかったのか尻尾が激しく動かした。

 寄りかかっていた体を起こして、そのまま敷いておいたシートの上に寝転がる。木漏れ日を浴びて眠気を誘う状況だな。昼食も食べてるし、昼寝でもするかな。

「フブキ、少し寝るけどお前も一緒に寝るか?」

 にゃっ! と一言鳴いて一緒に寝ることになった。一緒に寝ると言っても、シートの上にエアーマットを敷いて隣で寝るだけなんだけどな。フブキの体が大きいので、9枚分に魔改造したエアーマットを敷いてやる。む? これだけ大きければ、それこそ埋もれて寝れるんじゃないか?

 思い立ったが吉日、フブキの許可をもらって一緒のマットで昼寝をすることにした。

 気持ちよかったため、すぐに眠りについていた。

 何やら騒がしい。目を覚ましたら、暗闇だった。でも、どういう状況かは、何となくわかっている。体の上半分がモフモフに覆われている状況から考えて、フブキが俺に覆いかぶさるように座っているというか寝ているのだろう。

 グルグル喉を鳴らしている。この感じは喜んでいるときの反応だと思う。外では何が起きているのだろうか? 猫の特性なのか、寝返りを打っても重さを感じずに体を回すことができた。

 もぞもぞもがきながらフブキの下から抜け出そうとしている間に、周りの状況が読めて来た。

「この大きな猫ちゃんは、とーたんが出したのかな? 可愛い!」

「ミーちゃん、ズルい! 私もやる!」

 という声が聞こえて来た。ミーシャとブルムの声だ。そして、フブキがにゃ~ご、と鳴きウルとスミレも加わって可愛い! と声をあげている。

「それにしても、シュウ君はどこに行ったのかしら?」

「とーたんは、どこに行ったのかしら?」

 ミリーの真似をするのは、ミーシャのようだ。

「猫ちゃん猫ちゃん、あなたはとーたんがどこにいるか知らない? 知ってたら教えてほしいな」

 ブルムはストレートにフブキに質問したようだ。

「にゃ~ご」

 猫語が分かるのであれば理解できたかもしれないが、猫獣人のミリーやミーシャもさすがに猫語は分からないようで、答えてくれたが苦笑している感じだ。

 声のする方にほふく前進をしていくと、何やらぷにぷにとした感触が。俺の手よりでかい肉球がそこにはあった。大型の猫科動物の肉球って硬いイメージがあったのだが、そこにあったのは普通の猫と同じように、ピンクで柔らかい肉球だったのだ!

 何故ピンクか分かったかといえば、今いる位置には薄っすらと光が入ってきているので、肉球の色を確認できているのだ。

 香箱座りをしているであろうフブキの両前足をかき分け進んでいくと、

「あっ! とーたんだ! 何でそんなところにいるの? 気持ちよさそう!」

 と、ミーシャたちが騒ぎ出した。

「みんな揃ってどうしたんだ?」

「おやつの時間になるから、シュウ君を呼びに来たのよ。そしたら、大きな猫がいて娘たちが興味を持ったって感じね。それにしても、この大きな猫はどうしたの?」

 フブキにどいてもらい、食堂へ歩いていく最中にミリーに、チビ神から魔物の運動会みたいなことをするから参加しろ! と言われ、簡単に内容を説明した。

「その時に召喚した1匹ってことね。名前も付けているみたいだけど、家で飼うの?」

「こんなに大きくて可愛いモフモフを手放すなんて考えられん! クロやギンたちより大きく見えるけど、モフッと感が強いだけで、そこまで大きくないはずだしね」

「まぁ、シュウ君が飼うっていうなら、反対はしないけどその前に、娘たちが気に入ったみたいね」

 フブキが器用に尻尾を使って自分の背中に乗せて、歩いていたのだ。娘たちは、フブキの上で大はしゃぎ。普段そこまで騒がないウルも、テンションが上がっている様子だ。

 そしてこの邂逅の所為で、フブキは俺の部屋ではなく子ども部屋に居座るようになったのだ。俺がさっき使っていた専用のエアーマットも娘たちに取られてしまった。

 何匹も飼うつもりは無いので、娘たちの部屋に遊びに行くついでにモフモフしよう。

 おやつを食べながら、娘たちに高く跳びそうな魔物はいないか聞いてみたら、予想外の魔物の名前が出て来た。

 見た目はともかくとして、バッタとか昆虫系の魔物で高く跳ぶのがいるのではないかとのことだ。他にもカエルさん! とか言っていたな。魔物のカエルって機動力は高くないんだよね。あいつらは、どっちかというと攻撃力に能力が偏っている気がする。毒とか舌の鞭みたいな感じだ。

 ジャンプ力だけで言えば、ノミが身長の何百倍も高く跳ぶらしいけど、さすがにそんな魔物はいなかった。昆虫にしても、大型のものはカマキリ以外に召喚できるものが見つからなかったのだ。

 ムカデは昆虫じゃないのであしからず。

 結局、決めきれずに1日が過ぎてしまった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...