ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,649 / 2,518

第1649話 少し迷走中

しおりを挟む
 5回目のサッカーの授業を終えた。俺が教えに来なかった間も、子どもたちは学校の映像を映し出す魔道具を置いてある視聴覚室でルールを覚えたりしていたようだ。そのおかげで、ミニゲームをできるくらいになっていた。

 完璧とはいかないので、ルールをしっかりと覚えたコーチを準備しており、その都度何がいけなかったのかを教えてもらっている。

 初めは、ファウルに当たるプレーは特に厳しく教えている。いずれ、必要に迫られたり、審判にばれないようにファウルするテクニックについて話す時が来るだろうが、今はそんなことよりもしてはいけないことを覚えてもらうのが優先である。

 俺自身がそこまで詳しいわけじゃないので、しっかり説明しろと言われても困るのだが、サッカーにはマリーシア、狡賢さという言葉が使われるくらいには、ファウルを自演してみたりバレずにファウルをしたりと、色々あるのだと聞いている。

 正直この広いコート内で、審判が複数いるとは言っても全部を見切ることは難しいだろう。

 そうか、審判も育てていかないといけないのか、慌てて色々覚えさせても身に着けられないよな。

 ん~よし、決めた。魔物部隊でサッカー部を作るかな。ゴブリンだとあれだよな。子ども位の背丈だけど、見た目がな……後、カエデの件があるから基本的に使ってないんだよな。ホモゴブリンくらいだな。

 となるとオークだと、サッカーをやる体系じゃないな。やっぱり、前から考えていた通り鬼人族かな?

 後は人造ゴーレムか? いや、あいつらは強くなりすぎるから駄目だな。それなら、普通のゴーレムをスマートに作る方がましか?

 やっぱり鬼人族でチームを作るべきかな。

 とりあえず、魔物の事だからバザールと綾乃にも相談するかな。

 今日は俺たちのたまり場の工房にいたので、相談してみた。そうするとバザールは、アンデッドでも作りたいと言い出したのだ。ゾンビ系だと汚いので、スケルトン系で統一するとか言ってたな。基本的には、鬼人でいいのではという話になった。

 2チームとサブも合わせて、30体くらい召喚しておくか。

 俺は、どうやって教えるべきか悩んだ。ポジション決めもどうしようか。

 とりあえず、指導用動画にあったように教えていってみよう。

 少し時間が経って気付いたが、俺が教えられることは無かった。召喚した魔物は、俺の知識をある程度引き継いでいるため、俺が教えられることは全部知っていたのだ。

 そして、ある程度ルールも理解しており、自分たちのやってみたいポジションに分かれるなど、鬼人族のペースで話が進んでいく。

 この段階でこのチームは俺の手を離れていた。チームを作った以上は責任をもって、俺がフリーキックの練習に使ったコートを練習場として与えた。俺が付けているステータスを抑える装備も与えておいた。Lvで言うと15程に力を抑える形にしている。

 Lv15というと、新人兵士たちより強いくらいだろう。新人を指導する先輩兵士くらいかな? 都市によってここには差があるけど、3大国の平均を考えれば、そんなもんだと思う。

 新人兵士たちでも地球の感覚で言えば、オリンピックに出るようなアスリートたちと同じかそれ以上の身体能力があったりすると思われる。

 教えることはできないけど、見て学べるようにプロサッカーの試合を大量に見えるようにしておいた。

 こんなことで成長するのか不明だが、魔物にはよくわからない成長をするのでそれに賭ける形になった。

 のんびりと練習風景を見ていると、既に召喚された鬼人族の中でリーダーが出来上がっており、その鬼人族の指示のもとにサッカーの練習を始めた。

 コートのどこからでも見れるように大きなスクリーンを準備して、そこに練習する内容の動画を流して真似ながらみんなで訓練していくようだ。

 ん~俺も体を動かしたい。サブコートも作って、俺もサッカーボールを蹴ることにした。

 1時間ほどやってみたが、やはり俺には向いていない気がする。1人でやる分には問題ないと思うが、サッカーは1人でできるわけは無いのだ。なので、俺はサッカーは見るだけでいいや。

 鬼人族を見て、審判は新しく妖精を呼んで、やってもらえばいいのでは? 俺が審判の勉強をしてから呼べば、最低限のことは妖精が俺の知識を引き継いで召喚されるから、ちょうどいいのではないだろうか?

 鬼人族には、3人ほどブラウニーを専属でつけているので、食事の心配などは問題ないだろう。人間に必要な栄養素と鬼人に必要な栄養素が同じなのかは知らないが、ブラウニーたちは何故かそんなことも把握しているので、すごいと思う。

 ブラウニーを大量に召喚しているように思われるが、俺自体は初期以外はほとんどこちらの意志で召喚していない。

 前にも話したが、召喚されたブラウニーたちが待遇のいい俺の家を、妖精ネットワークと言っていい繋がりで、ドンドン情報を流すため、ブラウニー自体が呼ばれたがっている、という状況が出来ているらしいのだ。

 中には、知り合いを通じてこの世界に現れる猛者までいるとか。そのため、ブラウニー過多に陥っている。どんどん仕事を割り振ってあげないと、仕事からあふれてしまう個体が出てきてしまうのだ。

 ここはブラウニーたちに任せて、バザールに話を聞きに行くことにした。

「召喚した相手が知識を引く次ぐ特性を利用して、まずは自分で勉強するでござるか? 悪くない案でござるな。某も、スケルトンたちでチームを作ってみたでござるが、やはり審判がいないとサッカーができないでござるからな」

 そんなこんなで、バザールと一緒に審判の勉強をすることにした。一朝一夕でどうにかなるものでは無いが、必要最低限の知識を詰め込み召喚して、召喚した後に細かいことを覚えてもらう方向で話が決まった。

 その間バザールのスケルトンたちは、俺の召喚した鬼人たちに合流して練習をするように手配しておいた。

 俺たちは、審判用の講習動画を永遠とみて知識を身に着けていく。ステータスの補正のおかげか、筆記に関しては2週間ほどでマスターすることに成功する。実践に関しては、試験官がいないため自分たちの判断で決めることになった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...