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第1666話 意外な形で終わった
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意識が体深くに浸透していく、俺はアスリートじゃないから、ゾーンに入ったとかいう感覚は分からないが、こんな感じがゾーンなのだろうか?
『あっ! いけない! そこの5人、シュウを止めなさい!』
チビ神が慌てた様子で5人に声をかけている。つか、お前解説者だろ? 何、戦ってる人間に指示出してんだよ。
その後もチビ神が何か言っているようだったが、俺は無視して大薙刀を振るう。本当の意味での全力、肉体活性にも魔力を注いでブーストし、更に複数の属性付与を行い周囲を回転するように薙ぎ払う。
アリスとピーチはガードが間に合い吹き飛ばされるが、シュリはきっちりと大盾で俺の大薙刀を防いだ。
アリスとピーチはいない。シュリを盾にすれば、ライムとマリアは攻撃がしにくくなる。シュリを倒すにはここで押し込む必要があるな。
武器を振るおうとしたら、シュリが装備を手放し抱き着いてきた。戦闘中だったのに意表を突かれてなされるがままだった。
「シュウ様、戻ってきてください」
シュリが耳元でそう囁くのが聞こえた。戻ってこいとはどういうことだ?
『いったん、試合を止めるわよ。あんた、妻相手にどこまで沈むつもりだったのよ。前よりはまだましだったけど、そのままいったら魔王一直線だったわよ?』
「知るかボケ。お前が戦いたくもないのに戦闘を強要するから、自分の心を押さえるしかなかったんだよ! それで、俺は自分の中に気持ちを押し留めて戦ってただけだろうが!」
さすがにチビ神にキレた。
『傷もつかない、死ぬ事もない。そんな場所を用意してあげたのに、何て言い草よ!』
「恩を押し付けるようなことを言うな。傷付かなくても出来れば攻撃したくないんだよ。お前にはこの気持ちわかんねえだろうな! こっちの世界に問答無用で呼び出したんだもんな。人間の気持ちなんて理解できるわけねえよな! 今となっては感謝してるが、身一つでこの地に放り出されたんだぞ!」
『だまらっしゃい! 今がいいならそれでいいでしょうが。過ぎた事をいちいち掘り返すなんて、器が小さいわよ! それはどうでもいいとして、何で魔王になるような戦い方をするわけ? 信じられないんだけど!』
「俺が聞きたいわ! 体の奥に心を押し込めただけだぞ。それで魔王になるとかならんとかわかるわけねえだろ! それだけ、妻たちとの戦闘が苦痛だって事だろ。模擬戦とか練習とは違うんだよ。ここまで本気の戦いになると、洒落にならないくらいくらいの負担って事だろ」
『とんだ肝の小ささね。さっきのは絶対するんじゃないわよ! あんたの奥さんたちも戦いたがってるんだから、ちゃんと相手をしてあげなさい! じゃぁ、試合再開!』
チビ神が試合再開を告げるが、バトルフィールドの6人は動けずにいた。
妻たちはここに来て、やっと俺の気持ちを理解してくれたようだ。生まれた世界が違い育った環境が違うので、簡単には理解出来ない感情だろうが、現状がどれだけ俺に負担をかけているのか理解したのだ。
チビ神が戦えとか言っているが、もう妻たちにも俺にも戦闘をする意思がなくなっている。
俺は装備を全部しまい、新しく小太刀を右手に最上級エリクサーを左手に取り、小太刀を自分の心臓に向かって突き立てる。
死なないとわかっていたが、この試合を止めるためには妻たちか、俺のどちらかがバトルフィールドからいなくなる必要がある。
ならば、妻たちに自決などさせるはずがない。やるなら俺がやるべきだ。もしバリアが働かなくても、俺の持っているエリクサーをシュリが使ってくれるだろう。頭が潰れたりしなければ、すぐに死ぬ事はないので大丈夫だろう。
小太刀が胸に突き刺さる前にバリアのエフェクトが派生し、俺は控室に転送された。
「2週間腹痛が続くのかな? まぁこれで、俺がみんなと戦いたくない事は、分かってもらえたかな? でもわざと負けたから、娘たちとしばらく会えないのかな? それはそれで寂しい」
自分で動く気力も無くなり、控室の床に寝転がる事にした。
時間の感覚がなくなっており、どれだけ経ったのか分からない。長いような短いようなどっちだろうか?
体は回復魔法をかけていたので疲れていなかったが、精神的に疲れていたのだろう。全く動く気がしない。
何やら外が騒がしいな。
控室の扉がすごい勢いで開かれた。
誰かが入ってきたのが分かったが、目を開けるのも面倒になってしまい確認するのも放棄していた。
「「「とーたん!」」」
どうやら入ってきたのは、娘たちのようだ。
「「「死んじゃ駄目!」」」
どういう状況下わからないが、俺は死んだと思われているのかな?
「大丈夫だよ、生きてるから心配しないでいいぞ」
安心したのか縋りつくように泣いている。動くのがダルイとはいえ、娘たちが泣いているのに何もしないわけにはいかないよな。
何とか体を動かし娘たちの頭を1人ずつ撫でていく。
娘たちの泣き声で気付いていなかったが、足音がいくつも聞こえていた。
話の内容から、俺を心配して見に来てくれたらしい。そして、俺がここに横になっていたのは、1時間程らしい。そんなに時間が経っていたんだな。
それで娘たちが横たわってる俺を見てあのセリフか。
娘たちが泣き疲れて寝てから、妻たちから謝られた。俺が本当に戦いたくないと思っていることが分かったらしく、無理強いさせていたことに申し訳なくなり謝ってきた。
妻たちが力試しをしたいのは分かったけど、俺を巻き込まないでほしかったな。
『あっ! いけない! そこの5人、シュウを止めなさい!』
チビ神が慌てた様子で5人に声をかけている。つか、お前解説者だろ? 何、戦ってる人間に指示出してんだよ。
その後もチビ神が何か言っているようだったが、俺は無視して大薙刀を振るう。本当の意味での全力、肉体活性にも魔力を注いでブーストし、更に複数の属性付与を行い周囲を回転するように薙ぎ払う。
アリスとピーチはガードが間に合い吹き飛ばされるが、シュリはきっちりと大盾で俺の大薙刀を防いだ。
アリスとピーチはいない。シュリを盾にすれば、ライムとマリアは攻撃がしにくくなる。シュリを倒すにはここで押し込む必要があるな。
武器を振るおうとしたら、シュリが装備を手放し抱き着いてきた。戦闘中だったのに意表を突かれてなされるがままだった。
「シュウ様、戻ってきてください」
シュリが耳元でそう囁くのが聞こえた。戻ってこいとはどういうことだ?
『いったん、試合を止めるわよ。あんた、妻相手にどこまで沈むつもりだったのよ。前よりはまだましだったけど、そのままいったら魔王一直線だったわよ?』
「知るかボケ。お前が戦いたくもないのに戦闘を強要するから、自分の心を押さえるしかなかったんだよ! それで、俺は自分の中に気持ちを押し留めて戦ってただけだろうが!」
さすがにチビ神にキレた。
『傷もつかない、死ぬ事もない。そんな場所を用意してあげたのに、何て言い草よ!』
「恩を押し付けるようなことを言うな。傷付かなくても出来れば攻撃したくないんだよ。お前にはこの気持ちわかんねえだろうな! こっちの世界に問答無用で呼び出したんだもんな。人間の気持ちなんて理解できるわけねえよな! 今となっては感謝してるが、身一つでこの地に放り出されたんだぞ!」
『だまらっしゃい! 今がいいならそれでいいでしょうが。過ぎた事をいちいち掘り返すなんて、器が小さいわよ! それはどうでもいいとして、何で魔王になるような戦い方をするわけ? 信じられないんだけど!』
「俺が聞きたいわ! 体の奥に心を押し込めただけだぞ。それで魔王になるとかならんとかわかるわけねえだろ! それだけ、妻たちとの戦闘が苦痛だって事だろ。模擬戦とか練習とは違うんだよ。ここまで本気の戦いになると、洒落にならないくらいくらいの負担って事だろ」
『とんだ肝の小ささね。さっきのは絶対するんじゃないわよ! あんたの奥さんたちも戦いたがってるんだから、ちゃんと相手をしてあげなさい! じゃぁ、試合再開!』
チビ神が試合再開を告げるが、バトルフィールドの6人は動けずにいた。
妻たちはここに来て、やっと俺の気持ちを理解してくれたようだ。生まれた世界が違い育った環境が違うので、簡単には理解出来ない感情だろうが、現状がどれだけ俺に負担をかけているのか理解したのだ。
チビ神が戦えとか言っているが、もう妻たちにも俺にも戦闘をする意思がなくなっている。
俺は装備を全部しまい、新しく小太刀を右手に最上級エリクサーを左手に取り、小太刀を自分の心臓に向かって突き立てる。
死なないとわかっていたが、この試合を止めるためには妻たちか、俺のどちらかがバトルフィールドからいなくなる必要がある。
ならば、妻たちに自決などさせるはずがない。やるなら俺がやるべきだ。もしバリアが働かなくても、俺の持っているエリクサーをシュリが使ってくれるだろう。頭が潰れたりしなければ、すぐに死ぬ事はないので大丈夫だろう。
小太刀が胸に突き刺さる前にバリアのエフェクトが派生し、俺は控室に転送された。
「2週間腹痛が続くのかな? まぁこれで、俺がみんなと戦いたくない事は、分かってもらえたかな? でもわざと負けたから、娘たちとしばらく会えないのかな? それはそれで寂しい」
自分で動く気力も無くなり、控室の床に寝転がる事にした。
時間の感覚がなくなっており、どれだけ経ったのか分からない。長いような短いようなどっちだろうか?
体は回復魔法をかけていたので疲れていなかったが、精神的に疲れていたのだろう。全く動く気がしない。
何やら外が騒がしいな。
控室の扉がすごい勢いで開かれた。
誰かが入ってきたのが分かったが、目を開けるのも面倒になってしまい確認するのも放棄していた。
「「「とーたん!」」」
どうやら入ってきたのは、娘たちのようだ。
「「「死んじゃ駄目!」」」
どういう状況下わからないが、俺は死んだと思われているのかな?
「大丈夫だよ、生きてるから心配しないでいいぞ」
安心したのか縋りつくように泣いている。動くのがダルイとはいえ、娘たちが泣いているのに何もしないわけにはいかないよな。
何とか体を動かし娘たちの頭を1人ずつ撫でていく。
娘たちの泣き声で気付いていなかったが、足音がいくつも聞こえていた。
話の内容から、俺を心配して見に来てくれたらしい。そして、俺がここに横になっていたのは、1時間程らしい。そんなに時間が経っていたんだな。
それで娘たちが横たわってる俺を見てあのセリフか。
娘たちが泣き疲れて寝てから、妻たちから謝られた。俺が本当に戦いたくないと思っていることが分かったらしく、無理強いさせていたことに申し訳なくなり謝ってきた。
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