ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,675 / 2,518

第1675話 混乱の深夜

しおりを挟む
 俺はここにいる中で一応最上位の人間なのだが、指揮権はレイリーにあるので後は任せて自分たちのエリアに戻る。もともと何もしていなかったので、特に何か言われることもなくそのまま帰る事が出来た。

 天幕に入ると、スライムたちが一角にひしめき合っていた。家でよく見る光景なのだが、ここに来てまで見る事になるとはな。

 普段は寝るときなど、長時間行動を起こさないときは憑依を解いて本来の体で過ごすのだが、今回は夕方から夜にかけて憑依を解いてから、向こうで色々してから再度憑依して、寝ていたのが功を奏したかんじだな。

 必要なときだけ憑依すればいいのでは? とか思っていたが、せっかく色々準備したのに使わないのはもったいないと思い、無駄だと知りながら利用している。

 生身でいけない事は簡単に想像できたことなのに、何で俺は移動型執務室を作ったのだろう?

 思えば色々無駄な事をしているよな。それが負荷になっていないので、無視できる無駄だから気にする事もないか?

 妻たちの中で憑依したままなのは2~3人で、今日はシェリルたち3人なのだが、娘たちみたいに仲良く寝ているな。俺が呼ばれたときに一度目が覚めたのだが、寝ていても問題ないと判断したので、起きなくても大丈夫だと伝えるとまた眠っていたのだ。

 俺に付き合って憑依したままである必要はないのだが、一緒に眠れるという特権があるので、俺に付き合ってくれているかたちなのだ。

 俺が戻ってベッドに寝転がろうとすると、目を覚まして俺の体にすり寄ってくる。

 出会った頃はまだまだ子どもだったのに、今じゃ大人の女性みたいだな。イリアの成長が多少遅く感じるが、エルフだからしょうがないよな。年齢的には、シェリルたちと同じように成長していくと聞いていたが、長く生きるだけあって成長期の誤差が軽く年単位みたいだな。

 体は成長しているけど、甘えん坊なところは変わらないな。まるで娘たちみたいだと、感じてしまっている俺がいた。娘たちがいるときはお母さんの顔になるのだが、娘たちがいないとまだまだ子どもっぽい部分が出てくるんだよな。

 頭を撫でてあげると安心したのか、また眠りについている。うむ、娘たちも可愛いが、妻は妻で可愛いな。

 俺も寝るために目をつぶり、意識がなくなっていくのを感じながら眠りにつく。


 なくなっていた意識が一気に覚醒する。俺だけでなくシェリルたちも一緒に体を起こしていた。

 何かは分からないが、俺たちの覚醒を促した異変が起きているのだと思う。天幕の外が騒がしいわけではないのだが、何か肌がチリチリする感じがするのだ。

「3人とも、向こうに戻ってこっちにドッペルが来ているメンバーを、全員こっちに来るように呼んできてくれ。後、監視をしてくれているみんなに、異変がないか確認してきてくれ、俺は従魔たちを起こして……いや、従魔たちもこの様子だと起きてるから、レイリーに様子を聞きに行ってくる」

 3人に指示を出して、妻たちを全員こちらに呼ぶことにした。俺はその間にレイリーに様子を聞きに行ってこよう。

 中央の天幕に向かうと、冒険者たちの中にもちらほら起きてきている人たちがいた。やはり俺たちと同じように何かを感じ取っているのだろうか? 途中で合流しながら天幕に入ると、レイリーも起きており情報を集めていた。

 俺も冒険者たちも何かを感じて起きてきたが、何が起きているのか訳が分からなかったのだ。ここに来れば何か情報があるかと思っていたのだが、そんな事はなく、レイリーもこの状況に混乱している様子だった。

 冒険者たちは自分で確認するために外周の塀に向かい、俺はレイリーと一緒にマップ先生を確認するが俺たちが、何かを感じるようなことが起きている様子は見られない。

 そうしていると、ドッペルに意識を移した妻たちがフル装備で天幕に入ってきた。フル装備?

 ミリーたちが向こうで監視をしていたのだが、そこでも何が起きているか分かっていなかったので、念のためにフル装備に着替えてきたとの事だ。外ではシェリルたちが従魔たちを指揮して、何か情報がないかを探っている。

 とりあえず、バッハ、お前はちょっと空飛んでその辺見て来い。タマの背中にとまってる場合じゃねえぞ!

 追い立てるようにバッハを上空にあげ、近くで待機していたシリウス君に、霧を使い周囲の情報確認をするようにお願いする。

 それでも何も分からないが、肌がチリチリする感覚はなくならない。

 そんな中で、帝国の騎士が慌てて天幕へ入ってきた。

 帝国騎士のリーダーからの命令で伝言に来たようなのだが、その伝言もよくわからない。

 交渉のため敵両陣営に赴き帰ってきた後に、帝国騎士たちがいるエリアで倒れたそうだ。そしてしばらくしているうちに、何人かの騎士たちも倒れてしまったのだとか……

 倒れた? それに続けて他の騎士たちも倒れ始めた? 伝染病か何かか? それにしては、発症までの時間が早い気がするし、マップ先生では敵陣には倒れている人間はいないようだ。何か対策がなされている? 両陣営ともが対策をしていたのか? 合わせて2万人近い兵士たちの?

 可能性が高いのは、魔獣たちがいるかどうか? だけど、基本的に魔物は病気にはかからないと思うのだが……待てよ、魔物、騎獣たちに影響がなくても、人体に影響を及ぼす病原菌がいてもおかしくない。

 実際に地球にも人間に大きな影響があっても、動物には影響の少ない病気みたいなものもあったはずだ。それを考えると、騎獣に対して何かをされて騎士のリーダーに何かがあったのか?

 俺たちが参戦するのは突然決めた事なのに、従魔たちを連れてくるなんて分からなかったはずなのに、騎獣や従魔たちを対象にした、工作ができるとは思わないのだが……でもそれだと、騎士たちが倒れて向こうの兵士に影響がない理由が分からん。

 騎獣たちにもともと何か工作をされていた? 帝国に裏切り者がいるとか? それだとしても、帝国が参戦するのを決めたのは、俺たちより後だったよな。それなのにピンポイントに狙えるものか?

 何が起きているんだ?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい
ファンタジー
 六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。  そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。  そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。 小説家になろう、カクヨムにて同時掲載 カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】 なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...