ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,715 / 2,518

第1715話 対策を考える

しおりを挟む
「シュウ様が考案した索敵補助魔法では、ゴーレムは反応しませんね」

 ソフィーが先ほどのことを思い出して、俺が考案した方法で反応が無かったことに悩んでいるようだ。

「イテテテテ、待て待て、みんなで回復するな。実際には痛くないけど、そう感じてるだけだから。問題ないから大丈夫だって!」

 しっかり防御してダメージは最小限だったので本当は痛くなかったのだが、なんとなくイテテテテって言ってしまったら、心配した妻たちが全員で回復魔法を使ってきた。心配してくれるのは分かるけど、みんなで回復はやり過ぎだっての!

「ビックリした。魔法生物でも無機物を素とした魔物には、聞きにくいかもしれないな。ゴーレムとかってもともと魔法の効きが悪いもんな。一定ライン以上の威力が無いと、魔法の効果が出ないってどうなんだろうな」

「そうかもしれませんが、さすがにシュウ様が不意打ちで、2度目の攻撃を受けるようなことは、避けたいのですが」

「はいは~い。ちょっと前に、ミーちゃんたちがピースを見てカッコいい! って言ったのを思い出したんだけど、あのタイプの銃で攻撃しても反応はないのかな?」

 シェリルが、そんな事を言った。

 む? 娘たちにピース、サブマシンガンをみせたのは誰だ? この世界でセーフティーが銃に罹っているとはいえ、かなり危ないはずなのに、そんな事を考えていると、

『シュウ君、ごめんなさい。シュウ君には話してなかったのですが、ゲームなどで銃を知っていたミーシャたちに質問された時に、ピースを見せてどういうものか教えたの。その際にミーシャたち1人につき3人とスライム3匹を付けて、何度か撃たせてみたの。危ないから、同じような物を見つけても触らないように教え込みながらね』

 無線からミリーの声が聞こえてきた。マンガ好きなミーシャたちなら、銃についても聞きたくなるよな。もし危ないからって言葉だけだったら、あの子たちは絶対に納得しないだろう。ある程度知りたい欲が治まれば、興味をなくすとでも判断したのかな?

『その後に、全員の銃と予備の銃を確認して、すべて娘たちの手が届かない場所に保管しています』

 偶然にも見つけられないように、銃はしっかりと隠してくれたようだな。個人認証用が必要な箱の中にでも隠しているのかな。

「了解、ミリー。ピースか……普段使っている弾丸だと、跳弾が怖いな。物にぶつかった後に変形する、鉛とかに弾丸を変えるか? そうすれば跳弾せずに潰れるんじゃないか? それで反応してくれたらいいんだけどな」

 斥候組の妻たちが自分の腕輪に入っているピースを取り出し、動作確認を行い始めた。腕輪の中に入れていたのなら、時間での劣化も温度による変形もないので、本当に軽く確認するだけで済んでいる。

 俺はチェルシー・マリア・ソフィーの3人に鉛の弾丸を入れたマガジンを3個ずつ渡す。急ぎで作ったので、1人3個分しか作れなかった。

 ピースの元となった銃は、本来は50発まで弾丸が入るマガジンなのだが、改造されているピースは弾薬いらずで、マガジンに100発も詰め込むことができる。推進剤になる弾薬変わりは、銃本体に埋め込まれた魔核が代わりに使う、火魔法なので飛んでいく弾頭の部分だけで問題ないのだ。

 本来の弾頭のサイズであれば、下手したらさらに倍ほどの弾を入れられるかもしれないが、詰まりやすかったので今のサイズにおさまっている。

 少し移動速度を落として進んでいくと、ゴーレムらしき塊をいくつも発見する。銃弾を何発か打ち込んでみたが反応なし。本当に魔物では無いのだろうか? シュリが近くまで行きハンマーで叩いても動かないので、ゴーレムでは無かったようだ。

 それから更にゴーレムらしき塊を見つけては攻撃してみるが、25階で追加で見つかる事はなかった。

「この配置が計算尽くだったら、このダンジョン作った奴、かなりいい性格してるな。この階が適正レベルの冒険者とかだったら、あの不意打ちで何人か死んでいる可能性の方があったかもな。多分、油断した頃にまたゴーレムがいるだろうな」

 思わず口にしてしまった。適正レベルの冒険者たちであれば、進むのにかなり神経をすり減らして進む事になっただろう。気軽に進められるのは、俺たちだからだろうな。

「もしかしたら、あのゴーレムもそこまで強くないかもしれませんよ。不意打ちでケガをさせるくらいに、強さを落としている可能性だってあると思います。ケガをするレベルであれば、戻らずに進む事を考えると思います。神経がすり減った時に、強いゴーレムを置いている、その可能性も高いと思われます」

 キリエの言うことには一理ある。死人が出れば退却をする可能性の方が高いな。怪我をするだけで回復できるなら、進む可能性が高くなる。そう考えると、あのゴーレムは弱かった可能性もあるのか。

 俺が攻撃を受けたせいで、次の瞬間にミンチ、粉々になっていたので、強さを測り間違えたかもな。

 神経をすり減らした後を狙うなら……

「次は29階の可能性が高そうだな」

 何人か頷いているので、俺と同じことを考えた妻もいるようだ。

 26~28階まで神経をすり減らしながら進んだのにゴーレムが湧かずに、29階で油断した所にガブッと! きそうだな。

 でも、もしかしたら29階じゃなくて、魔物の変わる5の倍数の30階で、不意打ちに出てくるかもしれないか? 今までのパターンなら、30階からは亜人の他に魔物が追加されるだろうし。考えても、分からんな。

「サーチアンドデストロイではありませんが、疑わしきはすべて攻撃していきましょう。最低でもシュウ様に攻撃される事はないように行きますよ!」

 う~~ん、過保護が発動した。生身ではなくドッペルの体なのにな。

 俺も妻たちに怪我をしてほしくないと思うのと一緒だと思うけど、今回は俺が不意打ちされたせいで、マウントが妻たちにあるんだよな。まぁしょうがないよね。

 みんなに守られながら、斥候が使う用の弾丸を用意しておこう。移動しながらでも、クリエイトゴーレムで弾頭の形を作るくらい簡単だからな! 20個は1度に作れる。

 左の手の上に20個分の弾頭を作れる鉛を置いてイメージ!

 ・・・
 ・・
 ・

 ほい、完成!

 正直、弾頭を作るより作った弾頭をマガジンに入れる方が面倒だ。手伝ってもらうにも、さっきの不意打ちがあるせいで警戒に力を入れているから、マガジンに入れてくれないんだよね。

 むー、弾頭を入れるためだけのゴーレムでも作るか? いい考えだ! 次の休憩時にでも試作してみるかな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...