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第1747話 お父さん頑張る
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このままシンラを放置しておくと、起きたときに何を思われるか分かったもんじゃないし、今日帰ってきたときに何をされるか分からんから助け出してやるか。
シンラの服を掴んでいるプラムとシオンの手を優しく広げて、シンラを抱きかかえる。抱き着く相手がいなくなると目を覚ますことがあるので、どんな形にでもなるスライムたちを2人に与えると、娘たちに合わせてスライムたちが変形していく。
さすがスライム、変幻自在だな。
それにしてもシンラよ。お前はこれだけ体を動かされたのに目を覚まさないんだな。
俺の肩に顎を乗せるような形で抱き上げ、食堂へ向かう。
途中でピーチと遭遇して、シンラを預ける。俺が抱いているときはうんともすんともいわなかったのに、ピーチに抱かれた瞬間に目を覚まして、ピーチに甘えだした、ちょっと凹むな。助けてやったのに、恩を仇で返すのか? 次は助けないぞ。
そんなことを考えていると、シンラの動きとは思えないような速さでこちらを振り返り、手を伸ばしてきた。
その様子にピーチは苦笑して、俺の方へ渡してくれた。何やら、いつも助けてほしいと訴えられているような表情だ、俺の思い違いだろうか?
抱いたまま食堂へ向かっていると、ミリーと遭遇した。
シンラが今度はミリーに手を伸ばした。ただの女好きなのではないだろうか? 俺の血を継いでやがるな。こいつに色々求めても意味ないかもしれない。
そんなことを考えていると、またシンラがこっちを向いた。今度はジト目でふくれっ面になっている気がするな。
気にしたら負けだな。
さて、今日も仕事頑張ろうか。
今日も昨日までと同じく報告書の処理を進めていく。ガリアはいつものように、自分の持ち分を終わらせた後に新しい街の建設指揮へ向かった。
慣れて来たとは言ってもまだ5日。昨日はガリアに助けてもらって何とか仕事を終わらせたが、手伝ってもらえなければ日付が変わっていたかもしれないな。
昨日に比べて報告書の数は少ないが、処理する速度を考えれば時間内に終わる量ではないな。
文字を読むスピードがそこまで違うとは考えられないのだが、何かコツがあるんだろうな。俺は2人が送ってきた報告書を思い返す。
基本的には、街の治安や政策に関することが多かったっけな。今は、それに加えて商人たちの真っ当な訴えや、住人からの意見などがあるな。他にもこまごましたものはあるのだが、大体はこんな感じの内容の報告書が多い。
商人たちの訴えに関しては、上の判断が必要なものが多いので今は俺に回ってくるだろうが、この程度の内容であれば部下の人たちが処理しても問題ないと思われるものは多い。要は、権限の差によるものなのだろう。
ガリアが戻ってきたら、そこら辺を話してみるかな。
他にも、予算をきちんと組んでいれば、俺が対処しなくても問題ないものもいくつも存在している。今、俺に回ってくる報告書ってお金絡みのものが結構あるんだよな。
今まで読んでいなかったタイプの報告書は、全部グリエルたちが処理してくれていたってことだよな。グリエルたちクラスとは言わないが、それなりの権限があれば問題なく対処できるってことだよな。
やっぱりガリアに話を聞くのが一番だな。
俺は、今まで読んでいたタイプの報告書を先に読むことにした。真っ正直に全部を読んでいたら、絶対に時間内に終わらないのは目に見えているので、何かしら工夫が必要だろう。
昨日までも仕分けをしてから読んでいたが、今日は大胆に分けることにした。細かく分類するのではなく、大きく分けて3つに分けてみた。
報告書の内容が分かるタイトルがついているので、仕分けの判断はすぐにできる。今まで読んできた報告書のタイトルを思い出して、近い物とそうでない物、気になるタイトルの3つに分類したのだ。
緊急性の高い報告書はマークがついているので、先ほど全部読み終わっている。
今まで読んできたタイプの報告書は、判断が楽で助かるな。そういうことか! 全部読まなくても、ポイントを掴めば問題ないんだよな。
経過や細かな訴えの内容まで書かれているが、経過や細かな訴えの内容は今までにも似た内容が多く、ポイントをおさえれば処理するスピードが速くなるのだ。
昨日までは張り切って仕事をしていたせいか、端から端まで全部を読んでいた。報告書なのにそんな処理の仕方でいいのか? みたいなことを思われるだろうが、グリエルたちに送られてくる報告書が数百枚とあるのだ、馬鹿正直に全部を読んでたらそれだけで時間が足りなくなる。
なるほど、ガリアと俺の処理の速さの差はそこら辺の判断の差なんだろう。ガリアやグリエルは、今までの経験があるから、俺より早く処理できるのか。それにしては、早すぎる気がするんだよな。
今はそんなこと言っている場合じゃないな。できることを全力でやらないと!
昼休憩をはさみ、報告書の処理を行っていく。その合間にちょこちょこと決裁の必要なものが上げられてくるので、手を止めざるを得ないのだが昨日より処理のペースが速くなっていると思う。
おっ! ガリアが帰ってきたな。
ガリアからも進行状況の報告があるが、写真や動画を使った報告なので簡単に終わった。俺のことを考えての写真や動画などによる報告なので、本当に助かるな。
昼間に感じたことをガリアに話して相談してみた。
「お気付きになられましたか? シュウ様が読んでいた報告書は、私より量が多いんですよ。こんな時にシュウ様を試すようなことをするのはどうなのかと思いましたが、グリエルも部下もシュウ様の能力を確認したいとお願いされたので、本当にすいません」
どうやら俺は、試されていたようだ。
昔の俺。多分、ディストピアを作ったころの俺なら怒っていたかもしれないけど、ガリアたちの仕事量を知って大変なことを任せているのは、理解しているから怒る気持ちはない。むしろ感謝している。
俺はガリアたちに庁舎へ来なくても、いているだけでいいと言われている。政務が出来なくても俺がいることで、管理している街が動いているらしい。俺には自覚がないが、俺という存在がいることによって街が平和でいられるんだとさ。
カリスマとは言わないが、この街の頂点に君臨する俺たちは圧倒的に強い。その一点だけで街を管理しているようなものだ。
一見すると力で支配する暴君に見えるが、住人のための政策や安全や衛生管理、病気や怪我を安価で治してくれる治療院の設置、ゼニスが管理してくれている商会の協力、すべては俺のおかげだと知っているので、住人たちは俺のことを暴君ではなく善政をしてくれるいい領主という認識なのだそうだ。
そんな存在の俺でも、一緒に働くとなれば最低限の能力が無ければ、下の者たちが困るのだ。だから、俺のことを試したのだ。それが俺に理解できたので、怒る気持ちのかけらもなかった。
上司が使えないと部下たちは苦労するって、何かので見た覚えがあるからな。結果はどうだったのだろう。
シンラの服を掴んでいるプラムとシオンの手を優しく広げて、シンラを抱きかかえる。抱き着く相手がいなくなると目を覚ますことがあるので、どんな形にでもなるスライムたちを2人に与えると、娘たちに合わせてスライムたちが変形していく。
さすがスライム、変幻自在だな。
それにしてもシンラよ。お前はこれだけ体を動かされたのに目を覚まさないんだな。
俺の肩に顎を乗せるような形で抱き上げ、食堂へ向かう。
途中でピーチと遭遇して、シンラを預ける。俺が抱いているときはうんともすんともいわなかったのに、ピーチに抱かれた瞬間に目を覚まして、ピーチに甘えだした、ちょっと凹むな。助けてやったのに、恩を仇で返すのか? 次は助けないぞ。
そんなことを考えていると、シンラの動きとは思えないような速さでこちらを振り返り、手を伸ばしてきた。
その様子にピーチは苦笑して、俺の方へ渡してくれた。何やら、いつも助けてほしいと訴えられているような表情だ、俺の思い違いだろうか?
抱いたまま食堂へ向かっていると、ミリーと遭遇した。
シンラが今度はミリーに手を伸ばした。ただの女好きなのではないだろうか? 俺の血を継いでやがるな。こいつに色々求めても意味ないかもしれない。
そんなことを考えていると、またシンラがこっちを向いた。今度はジト目でふくれっ面になっている気がするな。
気にしたら負けだな。
さて、今日も仕事頑張ろうか。
今日も昨日までと同じく報告書の処理を進めていく。ガリアはいつものように、自分の持ち分を終わらせた後に新しい街の建設指揮へ向かった。
慣れて来たとは言ってもまだ5日。昨日はガリアに助けてもらって何とか仕事を終わらせたが、手伝ってもらえなければ日付が変わっていたかもしれないな。
昨日に比べて報告書の数は少ないが、処理する速度を考えれば時間内に終わる量ではないな。
文字を読むスピードがそこまで違うとは考えられないのだが、何かコツがあるんだろうな。俺は2人が送ってきた報告書を思い返す。
基本的には、街の治安や政策に関することが多かったっけな。今は、それに加えて商人たちの真っ当な訴えや、住人からの意見などがあるな。他にもこまごましたものはあるのだが、大体はこんな感じの内容の報告書が多い。
商人たちの訴えに関しては、上の判断が必要なものが多いので今は俺に回ってくるだろうが、この程度の内容であれば部下の人たちが処理しても問題ないと思われるものは多い。要は、権限の差によるものなのだろう。
ガリアが戻ってきたら、そこら辺を話してみるかな。
他にも、予算をきちんと組んでいれば、俺が対処しなくても問題ないものもいくつも存在している。今、俺に回ってくる報告書ってお金絡みのものが結構あるんだよな。
今まで読んでいなかったタイプの報告書は、全部グリエルたちが処理してくれていたってことだよな。グリエルたちクラスとは言わないが、それなりの権限があれば問題なく対処できるってことだよな。
やっぱりガリアに話を聞くのが一番だな。
俺は、今まで読んでいたタイプの報告書を先に読むことにした。真っ正直に全部を読んでいたら、絶対に時間内に終わらないのは目に見えているので、何かしら工夫が必要だろう。
昨日までも仕分けをしてから読んでいたが、今日は大胆に分けることにした。細かく分類するのではなく、大きく分けて3つに分けてみた。
報告書の内容が分かるタイトルがついているので、仕分けの判断はすぐにできる。今まで読んできた報告書のタイトルを思い出して、近い物とそうでない物、気になるタイトルの3つに分類したのだ。
緊急性の高い報告書はマークがついているので、先ほど全部読み終わっている。
今まで読んできたタイプの報告書は、判断が楽で助かるな。そういうことか! 全部読まなくても、ポイントを掴めば問題ないんだよな。
経過や細かな訴えの内容まで書かれているが、経過や細かな訴えの内容は今までにも似た内容が多く、ポイントをおさえれば処理するスピードが速くなるのだ。
昨日までは張り切って仕事をしていたせいか、端から端まで全部を読んでいた。報告書なのにそんな処理の仕方でいいのか? みたいなことを思われるだろうが、グリエルたちに送られてくる報告書が数百枚とあるのだ、馬鹿正直に全部を読んでたらそれだけで時間が足りなくなる。
なるほど、ガリアと俺の処理の速さの差はそこら辺の判断の差なんだろう。ガリアやグリエルは、今までの経験があるから、俺より早く処理できるのか。それにしては、早すぎる気がするんだよな。
今はそんなこと言っている場合じゃないな。できることを全力でやらないと!
昼休憩をはさみ、報告書の処理を行っていく。その合間にちょこちょこと決裁の必要なものが上げられてくるので、手を止めざるを得ないのだが昨日より処理のペースが速くなっていると思う。
おっ! ガリアが帰ってきたな。
ガリアからも進行状況の報告があるが、写真や動画を使った報告なので簡単に終わった。俺のことを考えての写真や動画などによる報告なので、本当に助かるな。
昼間に感じたことをガリアに話して相談してみた。
「お気付きになられましたか? シュウ様が読んでいた報告書は、私より量が多いんですよ。こんな時にシュウ様を試すようなことをするのはどうなのかと思いましたが、グリエルも部下もシュウ様の能力を確認したいとお願いされたので、本当にすいません」
どうやら俺は、試されていたようだ。
昔の俺。多分、ディストピアを作ったころの俺なら怒っていたかもしれないけど、ガリアたちの仕事量を知って大変なことを任せているのは、理解しているから怒る気持ちはない。むしろ感謝している。
俺はガリアたちに庁舎へ来なくても、いているだけでいいと言われている。政務が出来なくても俺がいることで、管理している街が動いているらしい。俺には自覚がないが、俺という存在がいることによって街が平和でいられるんだとさ。
カリスマとは言わないが、この街の頂点に君臨する俺たちは圧倒的に強い。その一点だけで街を管理しているようなものだ。
一見すると力で支配する暴君に見えるが、住人のための政策や安全や衛生管理、病気や怪我を安価で治してくれる治療院の設置、ゼニスが管理してくれている商会の協力、すべては俺のおかげだと知っているので、住人たちは俺のことを暴君ではなく善政をしてくれるいい領主という認識なのだそうだ。
そんな存在の俺でも、一緒に働くとなれば最低限の能力が無ければ、下の者たちが困るのだ。だから、俺のことを試したのだ。それが俺に理解できたので、怒る気持ちのかけらもなかった。
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