ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,786 / 2,518

第1786話 娘たちの心配り

しおりを挟む
 仕事が終わり、のんびりと帰路についた。勇者たちは、本当に何もないのだろうか? リュウたちが気になった魔法使いの男は、何かを企んでいるのだろうか? 情報が少なすぎて、まだ判断できないな。

 俺が難しい顔をしていたため、家に帰ると上の子たちに心配されてしまった。眉間にしわが寄っていたようで、しゃがんで娘たちを迎え入れたところ、眉間をナデナデされてしまったのだ。

 子どもに心配かけるなんて、父親失格だよな……つい最近、同じようなこと言ってなかったっけ?

 今日のご飯は何かな? 娘たちに聞いてみると、少しニヤニヤしながら「しらな~い」と返してきたので、おそらく何かあるのだろう。今日は何を仕掛けてくるのだろうか?

 食堂へ着くと、下の子たちは食事を始めていた。時計を見ると、いつもより少し遅い時間だったので、シルキーたちが先に食べさせていたようだ。あまり時間が変わると、この子たちに良くないもんな。シルキー、グッジョブ!

 今日は、天ぷらみたいだな。色々な野菜の天ぷらを準備してくれているようだ。ライブキッチンみたいに、俺の前で調理してくれるあれだ。度々目の前で作ってもらっているけど、今日は雰囲気が違う……何が違うのだろうか?

 シルキーたちが使っている調理道具に、あれ? 包丁は、いつも使っている奴じゃないな。シルキーがいるのに、調理が始まらない……妻たちもニヤニヤしている。

 なるほどね、娘たちの姿が見えなくなったし、多分着替えているのだろう。今日は、娘たちが俺のために天ぷらを作ってくれるのか。っと、推測して驚かなかったら、娘たちが悲しむかな? 大げさにならない程度に驚けるかな?

 しばらく待っていると、シルキーが少し甘い匂いのするタレを持って来てくれた……天ぷらだけじゃなく、天丼にしてもいいよってことか!

「お父さん、いらっしゃいませ!」

「「「いらっしゃいませ!」」」

 俺の前に立ったウルが、俺にあいさつをしてくる。それに続いてミーシャ、スミレ、ブルムの3人も声を合わせる。

「今日は、4人が調理してくれるのかい?」

「「「そうなの!」」」

「最近、お父さんが疲れているみたいだから、私たちに何かできないかと思って、シルキーさんたちに相談しました。そしたら、お父さんは天ぷらが好きだから、作ってあげてみては? と言われたので、練習したんです!」

 ウルが気合の入った声で、話してくれた。

「嬉しいよ。今日はどんな天ぷらを出してくれるのかな?」

「お父さんの注文を聞いてから、調理します!」

 大丈夫かな? とか思うのは失礼だと思うが、天ぷらは料理の中でも難しいと思うんだけどな……そんな心配をしていると、隣に座ったミリーから

「シュウ君を喜ばせるために、一生懸命料理の練習をしたんだよ。私たちも、ドワーフのお爺さんたちも、みんなが協力して練習で作った天ぷらを食べてるの。最初は仕方がないと思うけど、最後の方はそれなりの味になっていたから大丈夫よ」

 と、耳打ちされた。

「何でもいいのかな?」

「もちろんです!」

「じゃぁ、海老天を1本、シシトウとレンコンも1つずつお願い」

「注文承りました!」

「「「承りました!」」」

 微笑ましいな。そしてシンラよ、お前は真似しなくていいから、自分の食事に集中するんだ。

 一から十まで全部を自分たちで出来るほどではないので、シルキーたちからアドバイスを貰いながら調理を進めている。

 エビはあらかじめ処理をしてあるものを取り出して、てんぷら粉をつけて揚げ始めた。あげるのは、ウルの役目のようで、真剣な表情で油の中を泳いでいるエビを見ている。少し気負い過ぎじゃないか?

 その隣で、スミレがレンコンを切っている。危ない様子もなく、程よい厚さに切っていた。うむ、才能があるかもしれんな。

 俺は普段お酒を飲まないのだが、今日は娘たちが用意してくれているので、久しぶりに飲もうかな。

 俺は炭酸系が好きなので、チューハイを注文する。グレープフルーツでお願い。

 ミーシャがグレープフルーツを搾り、ブルムが炭酸水とお酒を準備していた。搾った果汁をシャーベット状に凍らせ、コップの底へ、その上に氷を入れお酒を注ぐ。そうすると、シャーベット状だった果汁がほぼ溶けていた。

 そこへコップを傾けて、炭酸水を注いでいく。出来るだけ泡の立たないように、静かに注いでいた。軽く混ぜた後、俺の前に出される。

 ちょうど、海老天が揚がったようで、お酒と一緒に俺の前に……

 塩を少しかけ、海老天を一口かじる。しっかりと揚がっているな。濃厚なエビの旨味と衣のバランスがいいね。次は天つゆにくぐらせて、残りの半身をいただく。こっちも悪くないな。

 口の中をリセットする感じで、チューハイを流し込む。口の中がシュワシュワして、グレープフルーツの味もしっかりあり、アルコールは少し弱めで作ってくれている。俺の好みに合っているな。

 その隣では、お酒大好きミリー、カエデ、リンドの3人が、日本酒をカパカパ飲んでいる。こっちは、ブラウニーたちが作ってくれている天ぷらを楽しんでいるようだ。

 シシトウとレンコンが揚がり、美味しくいただく。ブラウニーたち程ではないが、一生懸命特訓をしたんだろうな。

 次に頼んだのは、カボチャ、サツマイモ、ナスを注文する。野菜は俺の前で切るように特訓したのか、ちょうどいい厚さに切っていく。ナスは、輪切りの提供のようだ。みんな美味しかった。

 じゃぁ、これには対応できるかな?

「キスの天ぷらはあるかな?」

「承りました!」

 さすがに魚は捌けないようで、スカーレットが捌いたものをあげてくれた。一緒に、マイタケの天ぷらも注文する。キノコの天ぷらって好きなんだよね。

 次の注文は天丼用に、アナゴと大き目のかき揚げを注文した。

 アナゴはスカーレットが捌いていたが、揚げるのはウルが中心になっている。大き目のかき揚げは、俺の好きな玉ねぎを中心に、ニンジンやホタテの貝柱、小エビを混ぜたものをあげてくれるようだ。野菜を切ったのは、ミーシャたちだ。

 彩りに大葉の天ぷらもついてきた。

 アナゴは一本で揚げてもらっているため、丼に乗せるとはみ出て大変なので、別のお皿に置いてもらっている。かき揚げは、丼にちょうどいい大きさなので、お米の上に乗せタレをかけかき揚げをほぐしながら食べた。

 アナゴは、天つゆをちょっとつけて口へ運び、そこへご飯をかっこむ。

 今日は、違う意味で満足できた。これはお返しが必要かな? 食事が終わり少し休憩をした後、娘たちを連れてお風呂へ入ることにした。お返しになるか分からないが、一緒にいる時間を楽しもう!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...