ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1805話 計画中

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 ミーシャたちは、罰というか反省のため母親たちの手伝いへ行き、食堂には俺とウルが残っている。従魔たちもそこらへんで自由にしているが、人数にカウントしていない。

「ウル、こっちおいで。離れてたら話ができないだろ?」

 ちょっと離れた位置で困っていたウルを近くに呼んで、明日のことを決めようと思うが……その前に、

「最近、調子はどうだい? 勉強とか大変じゃないか?」

「そんなことないです。スカーレットさんは、厳しいけどそれは私のことを思って、厳しくしてくれているのは理解しています。それに、昔は自由になる時間も無かったのに、今では好きな時に好きなことができて、知らないことを学べて嬉しいんです」

 昔のことを思いだして、少し暗い顔をしている。ミスったかな……

「ウル、少ししゃべり方がかたいんじゃないか? 俺たちは親子なんだぞ。シンラみたいに太々しくとは言わないけど、余りかたいと……なんだか、距離を置かれているようで寂しんだけどな」

「でも……スカーレットさんの話では、偉い人には家族でもそれ相応の態度が必要だって、言ってました。お父さんは、国王とは名乗ってないけど、実質は国の王様と同じかそれ以上に偉い人なんですよね? なら、普段の話し方も、気を付けた方が良いと思うのです」

「……お父さんは、悲しいよ。お父さんはね、一度も偉くなりたいとか考えたことは無いんだ。自分たちが穏やかに過ごすために頑張ってきたら、いつの間にか街が増えていてね。権力のようなものはあるけど、実際には街のことはグリエルたちに任せてるからね。

 それに、俺たち家族の中で、堅苦しく喋る妻はいるかな? 昔はご主人様とか呼ばれてたけど、今は名前で呼んでもらえるようになったんだよ。俺はね、王様がいない国で育ったんだ。君主制なんて当の昔に廃止されている国でね。

 俺が生まれるもっと前には、色々あったみたいだけど、そんな時代を生きていないから俺には過去の話なんだ。俺が育った時代は、平和ボケと呼ばれる言葉があるくらいだからな。

 そんな平和な時代を生きていたせいか、みんなとは根本的な考え方が違うんだと思う。上下関係が無いとは言わないけど、家族の中で堅苦しいのは嫌だと思っているんだ。もちろん、バカにするような発言とかは許容できないけど、普通に話す分には緩い感じの方がすきなんだよ」

 ウルは複雑な顔をしているが、スカーレットが近くに来て、

「ウル、あなたの学んでいる帝王学はこの世界におけるものであって、ご主人様に適応するのは難しいですよ。指導しているときにも話していますが、世の中枠に囚われない者も存在するのです。そのいい例が、ご主人様です。臨機応変とは違いますが、柔軟に考えられるようになることも必要ですよ」

「さっきの話でもあったけど、俺に注意してくる子どもがいたんだぞ。もしこれが三大国の何処かだったら、その子どもは打ち首だったかもしれないけどね。俺は、堅苦しいのは嫌いなんだ。特に家族という、一番近しい人に距離を置かれた話し方をされるのは、寂しいんだよ」

「……分かった、お父さん」

 ウルの頭を撫でてやりながら、食堂に置いてあるテレビの前へ移動する。そこには俺のお気に入りのソファーが置いてある。大きいソファーなので、2人で座っても何の問題も無い。

 ウルを抱きかかえて、股の間に来るように座らせ、後ろから抱き着く形でソファーに座った。

「……恥ずかしいよ」

「お父さんに、寂しい思いをさせたので、その分をスキンシップで補っているから、放しません! ウルニウムを補充しないと、お父さんは干からびてしまうので、大人しく抱き着かれていてください」

「そんな変な成分なんてないよ。小説や漫画にあるネタを、はさまないでよ……」

「こんなお父さんじゃ、嫌か? 世間で言われているような、貴族や王族のようなお父さんの方がいいか?」

「……こっちの方が良い」

「素直な子は好きだぞ! じゃぁ、明日何をするか決めようか。ウルは巻き込んでしまう形になったけど、妹たちのためだと思って付き合ってくれると嬉しいんだけど、本当に大丈夫か?」

「問題ないよ。夜とかは一緒にいるけど、昼間は半々くらいになってきたし、一緒に何かすることが減ってきたから私も嬉しい。でも、何をするの? 罰ってわけじゃないんだよね?」

「そうだな。反省していたけど、自分たちが許せない感じだったから、俺に付き合うことを罰として、勢い任せであの子たちを納得させたからな。細かいことは特に考えてなかった」

「う~~ん、そうするとただ遊ぶだけだと、あの子たちが納得するとは思えないけど、そこらへんは何か考えてるの?」

「そう言われると、一緒に遊ぶだけじゃ、あの子たちが納得しないかもしれないな……とはいえ、怒っているわけでもないのに、厳しくすることも出来ないからな~」

「それなら、雨と鞭みたいに、罰っぽいものの後にご褒美を準備するのはどうかな?」

「どういうことだ?」

「例えばだよ。ワインを作る時に果汁を搾るために、果肉を入れて圧搾する工程があったよね。あれを、ミーシャたちにやらせて罰だと思わせて、搾って疲れた後に絞った果汁を一緒に飲む……みたいな?」

「なるほどね。例えとして、力仕事を出した感じだね。方向性は悪くないな。特に子どもは、精神的な物や体罰的なモノはトラウマになりやすいからな。肉体労働のように体を使うものなら、罰っぽく感じるかもしれないな」

「でも、畑仕事は罰にならないと思うから、やめた方が良いと思うよ」

「確かに罰ではないけど、肉体労働としては結構きつい部類だと思うんだけどな」

「辛いか辛くないかで言えば辛いけど、畑仕事はよくやっているから、本人たちが罰だと思うか……納得しないと思う」

「そういうことか……肉体的に辛いけど、普段からしている事なら、納得しないかもしれないな。ん~肉体的に辛いけど、無理が無いことか……いざ考えるとなると、難しいな」

「……そうだ! 塩作りとかはどうかな? 製塩所の中に入らずに外からしか見たことないから、あの中って熱いんだよね? その中で作業するのは、大変だと思う。あの子たちはサウナで多少慣れているけど、その中で働くのは大変だと思うの、どうかな?」

 製塩所の中って、マジで熱いんだよな。小まめに休憩を取るように指示を出しているし、休憩時はゆっくり休めるように配慮もしているからありかもしれないな。

「良いかもしれないけど……問題は、体調管理だよな。スカーレット、シルキーかブラウニーから、子どもたちの体調を見るための要員を出してもらえるか?」

「問題ありません。私たちはあれですが、ブラウニーから3人つけましょう。ついでに製塩の指導も出来るように、人員を選んでおきます」

「よろしく頼む。でもさ、ウルはそれでよかったのか? いるだけでも大変な場所だぞ」

「気にしないで、一度体験してみたいと思ってたの。街の中で一番二番を争う大変な職場だけど、それだけ街に貢献している場所でもあるって聞いて、興味があったんだ。体験した後には、涼しくなれるような物を食べたり、自分たちで作った塩を使って、バーベキューで食べてみたいな」

「そういうことか。なら、明日の夕食は、浜辺でバーベキューだな。塩で食べる何かも考えておかないとな。休憩時間には、氷菓を出してもいいかもな。よーし、細かい予定を立てたら、お母さんとシルキーたちに知らせに行こうか」

 ウルを股の間に座らせたまま、細かい予定を立てていく。
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