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第1840話 一先ず……
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「グリエル、ガリア、ゼニス! 防御態勢!」
何が起きているか理解できていない3人だが、俺の指示によって防御態勢を取った。戦闘を生業としていないこの3人に、魔法の兆候を見極めろと言っても、無理というものだ。
今日のお供である、聖獣4匹と猫トリオは俺が指示を出す前に、俺たちを守れる位置に移動していた。シエルは魔法の兆候を感じた瞬間に、魔法障壁と魔法結界で2重に魔法に対するガードをしている。
何が起きているのかを確認してくる3人だが、今この瞬間にも魔力が高まり暴発しそうな雰囲気なのだ。詳しく説明をしている暇は無いので、魔法の発動兆候を感じた……とだけ伝えておく。
「ダマ、これって……普通の魔法発動の兆候と違うよな?」
『そうですね、なんて言っていいのか分からないですが、無理やり魔力を搾りだしている感じですね……暴走みたいな感じでしょうか?』
「なんだって!」
ダマと普通の魔法と違う雰囲気がするということで話をしていたら、ゼニスが声を上げた。
「シュウ様、今、魔力が暴走しているような感じと言いましたよね? まさか、あの禁薬が使われているのでは……」
「ゼニス、どういうことか分からないが、どうしたらいいと思う?」
「もし、私の想像している物でしたら、魔法が発動した地点から500メートルほどは、更地になる可能性があります……」
マジか!
「グリエル、緊急放送準備! 俺は、ゴーストタウン内をすべてをダンジョンのオブジェクト化する! 準備ができたら教えてくれ」
俺はダンジョンマスターのスキルを使い、ゴーストタウンの街全体をダンジョンに作り替え、建物などをオブジェクト化する。ついでに、DPを注ぎ込みオブジェクトとしての強度も上げておく。
「シュウ様、準備できました!」
『領主のシュウより、緊急放送。緊急事態発生! 今、ゴーストタウン内で、魔力の高まりを検知。屋外にいると危険ですので、至急近くの建物に避難してください。大通りのお店などは、後で補填をしますので出来る限り、大通りの人間を建物の中へ避難させてください。繰り返します……』
「それにしても、この魔力の高まりは何なんだ? シングルの冒険者が全魔力を振り絞っても、ここまで魔力を搾りだせるものじゃないぞ……」
『主殿!』
ダマの叫びと同時に、魔力が弾けた。俺は盾を取り出し、フォートレスを使用する。
魔力の爆発が起きた後、俺たちは現場へと向かう。
パッと見た感じ、一般市民に怪我はあるものの、死者が出た感じではない。だが、避難誘導に当たっていたと思われる兵士たちに、死者が出ていることが見て分かる。
指揮系統が混乱しているな……
「グリエル、ガリア、お前たちは領主館へ行き、ディストピアからの応援を頼む。後情報の統括も頼む。ゼニスは、商会へ走りポーション類の在庫確認、少ないようだったらブラウニーに、制限なしで召喚してもらえ。グダグダしている時間は無いぞ! 走れ!」
グリエルたち3人を走らせ、俺はダマに目配せをする。
GURUOOOOOOOOOOO!!!
ダマの咆哮で、辺りが静かになる。
「お前ら落ち着け! ゴーストタウンの守りを担う兵士が、取り乱してどうする! トリアージを行い、今すぐ対応が必要な人間には、制限なしでポーションの使用を許可! すぐに命の危険が無い人は、近くの広場へ運べ。シエル、お前はその広場で守りを任せる。猫トリオは、暴動が起こったら力で止めろ。
そこの兵士、広場には5部隊は派遣するんだ! そこ! その騒いでいる人間は、死ぬ危険性は無い! 向こうの手足が千切れた人の様子を見ろ!」
現場が混乱しているので、誰かが指示を出さないとこのまま混乱した状態で、何もできないまま終わってしまう。それだけは許されない。
『主殿、魔力を暴走させたと思われる人物を発見しました』
ダマに呼ばれて移動すると……
「なんだこれ?」
『まだ生きています……鑑定結果を見ると、15歳の少女らしいです』
俺の目の前にいたのは、どう見ても80過ぎのやせ細ったおばあさんの様な見た目の、女性だった……
「なんなんだよこれ!」
『主殿! まだ生きています! どうにかして治療を!』
ダマに怒られて、俺はハッとする。手持ちのエリクサーで、一番高品質の物を取り出してやせ細った女性に飲ませる。
「どういうことだ……? 多少回復の傾向はあるが、すぐに状態が悪くなるぞ……」
『こういった事例を見たことがあります。確か、ディストピアで可愛がってくれたおばあさんが、寿命で亡くなる際にエリクサーを飲ませた時と同じような反応です』
「15歳の少女が、寿命で命が尽きかけているって言うのか? 禁薬……もしかして、そう言うことなのか! こんな腐った真似をした奴は、絶対に許さねえぞ! 待て待て落ち着け……怒る前に寿命が尽きかけているこの子をなんとかしないと……」
そんなことを考えていると、俺の近くに一瞬だけ突風が吹いた。
「シュウ様、何があったのですか?」
そこには、シュリがいた。
「シュリか! きちんとしたことは分かっていないが、暴走した魔力が弾けて周囲の惨状を引き起こした。その原因となった人物だが、目の前にいる少女のようだ」
「少女ですか? どう見ても、少女には見えないのですが……」
「混乱するのもわかるが、15歳の少女で間違いない。どういった経緯でこうなったかは、推測でしかないが……禁薬とよばれるもので、魔力と一緒に寿命も吸い尽くされたのだと思う。寿命がほとんどないせいか、エリクサーの効果が無い……」
シュリが一瞬悲痛な顔をするが、
「シュウ様、歳を取らなくなる丸薬を70個程召喚してください」
良く分からないが、妻たちの中には飲み始めた者がいる、歳をとらなくなる丸薬を70個要求された……お願いされているので、70個召喚してシュリへ渡す。
シュリが少女の口に丸薬を運んでいると、辺りがまた騒がしくなってきた。
他の妻たちが到着して、兵士たちに指示を出し始めたようだ。有無を言わせぬ迫力で指示を出しているため、混乱をしている兵士たちも指示に従いてきぱきと動いている。
シュリは、10個ほど丸薬を飲ませた後に、エリクサーを口に注いでいた。そうすると、先ほどまでは80過ぎのやせ細った体をしていたが、多少肉がついた様子だ……
「シュリ、効果は出ているけど、そのこの栄養バランスを考えろよ。そんなやせ細った状態で、回復を続けていたら、栄養失調で死ぬ可能性がある」
俺も忘れていたが、体を回復するのには、大量のエネルギーが必要なのだ。手足が千切れた状態で、その手足を利用して回復するのなら問題はあまりないが、無い所から作るとなると、大量のエネルギーと栄養が必要になるのだ。
シュリは、俺の言いたいことを理解して、近くに来ていたピーチを呼び、近くにある街の施設へ運び込んだ。
俺は魔力を練り、弾けさせることによって、大きな音を立てる。
「傾注! けが人の広場への搬送は終わったか? よし、なら次は……隣の広場に簡易の病院を建てる。兵士たちは手分けをして、建物を建てられる人間をかき集めろ。もし命令に逆らうようなら、奴隷の首輪を使うことを許可する。とにかく数を集めろ!
キリエ、ネル、2人は広場へ向かい、治療の陣頭指揮をとれ。邪魔するものは、実力で排除しろ。治療院から援軍が来たら、割り振りを行いこれ以上の死者を出さないように努めろ。2人に付いて何人か派遣をするように、従魔たちも半分は向こうに付いていけ」
指示を出して、現場の混乱を抑えることには成功した……
何が起きているか理解できていない3人だが、俺の指示によって防御態勢を取った。戦闘を生業としていないこの3人に、魔法の兆候を見極めろと言っても、無理というものだ。
今日のお供である、聖獣4匹と猫トリオは俺が指示を出す前に、俺たちを守れる位置に移動していた。シエルは魔法の兆候を感じた瞬間に、魔法障壁と魔法結界で2重に魔法に対するガードをしている。
何が起きているのかを確認してくる3人だが、今この瞬間にも魔力が高まり暴発しそうな雰囲気なのだ。詳しく説明をしている暇は無いので、魔法の発動兆候を感じた……とだけ伝えておく。
「ダマ、これって……普通の魔法発動の兆候と違うよな?」
『そうですね、なんて言っていいのか分からないですが、無理やり魔力を搾りだしている感じですね……暴走みたいな感じでしょうか?』
「なんだって!」
ダマと普通の魔法と違う雰囲気がするということで話をしていたら、ゼニスが声を上げた。
「シュウ様、今、魔力が暴走しているような感じと言いましたよね? まさか、あの禁薬が使われているのでは……」
「ゼニス、どういうことか分からないが、どうしたらいいと思う?」
「もし、私の想像している物でしたら、魔法が発動した地点から500メートルほどは、更地になる可能性があります……」
マジか!
「グリエル、緊急放送準備! 俺は、ゴーストタウン内をすべてをダンジョンのオブジェクト化する! 準備ができたら教えてくれ」
俺はダンジョンマスターのスキルを使い、ゴーストタウンの街全体をダンジョンに作り替え、建物などをオブジェクト化する。ついでに、DPを注ぎ込みオブジェクトとしての強度も上げておく。
「シュウ様、準備できました!」
『領主のシュウより、緊急放送。緊急事態発生! 今、ゴーストタウン内で、魔力の高まりを検知。屋外にいると危険ですので、至急近くの建物に避難してください。大通りのお店などは、後で補填をしますので出来る限り、大通りの人間を建物の中へ避難させてください。繰り返します……』
「それにしても、この魔力の高まりは何なんだ? シングルの冒険者が全魔力を振り絞っても、ここまで魔力を搾りだせるものじゃないぞ……」
『主殿!』
ダマの叫びと同時に、魔力が弾けた。俺は盾を取り出し、フォートレスを使用する。
魔力の爆発が起きた後、俺たちは現場へと向かう。
パッと見た感じ、一般市民に怪我はあるものの、死者が出た感じではない。だが、避難誘導に当たっていたと思われる兵士たちに、死者が出ていることが見て分かる。
指揮系統が混乱しているな……
「グリエル、ガリア、お前たちは領主館へ行き、ディストピアからの応援を頼む。後情報の統括も頼む。ゼニスは、商会へ走りポーション類の在庫確認、少ないようだったらブラウニーに、制限なしで召喚してもらえ。グダグダしている時間は無いぞ! 走れ!」
グリエルたち3人を走らせ、俺はダマに目配せをする。
GURUOOOOOOOOOOO!!!
ダマの咆哮で、辺りが静かになる。
「お前ら落ち着け! ゴーストタウンの守りを担う兵士が、取り乱してどうする! トリアージを行い、今すぐ対応が必要な人間には、制限なしでポーションの使用を許可! すぐに命の危険が無い人は、近くの広場へ運べ。シエル、お前はその広場で守りを任せる。猫トリオは、暴動が起こったら力で止めろ。
そこの兵士、広場には5部隊は派遣するんだ! そこ! その騒いでいる人間は、死ぬ危険性は無い! 向こうの手足が千切れた人の様子を見ろ!」
現場が混乱しているので、誰かが指示を出さないとこのまま混乱した状態で、何もできないまま終わってしまう。それだけは許されない。
『主殿、魔力を暴走させたと思われる人物を発見しました』
ダマに呼ばれて移動すると……
「なんだこれ?」
『まだ生きています……鑑定結果を見ると、15歳の少女らしいです』
俺の目の前にいたのは、どう見ても80過ぎのやせ細ったおばあさんの様な見た目の、女性だった……
「なんなんだよこれ!」
『主殿! まだ生きています! どうにかして治療を!』
ダマに怒られて、俺はハッとする。手持ちのエリクサーで、一番高品質の物を取り出してやせ細った女性に飲ませる。
「どういうことだ……? 多少回復の傾向はあるが、すぐに状態が悪くなるぞ……」
『こういった事例を見たことがあります。確か、ディストピアで可愛がってくれたおばあさんが、寿命で亡くなる際にエリクサーを飲ませた時と同じような反応です』
「15歳の少女が、寿命で命が尽きかけているって言うのか? 禁薬……もしかして、そう言うことなのか! こんな腐った真似をした奴は、絶対に許さねえぞ! 待て待て落ち着け……怒る前に寿命が尽きかけているこの子をなんとかしないと……」
そんなことを考えていると、俺の近くに一瞬だけ突風が吹いた。
「シュウ様、何があったのですか?」
そこには、シュリがいた。
「シュリか! きちんとしたことは分かっていないが、暴走した魔力が弾けて周囲の惨状を引き起こした。その原因となった人物だが、目の前にいる少女のようだ」
「少女ですか? どう見ても、少女には見えないのですが……」
「混乱するのもわかるが、15歳の少女で間違いない。どういった経緯でこうなったかは、推測でしかないが……禁薬とよばれるもので、魔力と一緒に寿命も吸い尽くされたのだと思う。寿命がほとんどないせいか、エリクサーの効果が無い……」
シュリが一瞬悲痛な顔をするが、
「シュウ様、歳を取らなくなる丸薬を70個程召喚してください」
良く分からないが、妻たちの中には飲み始めた者がいる、歳をとらなくなる丸薬を70個要求された……お願いされているので、70個召喚してシュリへ渡す。
シュリが少女の口に丸薬を運んでいると、辺りがまた騒がしくなってきた。
他の妻たちが到着して、兵士たちに指示を出し始めたようだ。有無を言わせぬ迫力で指示を出しているため、混乱をしている兵士たちも指示に従いてきぱきと動いている。
シュリは、10個ほど丸薬を飲ませた後に、エリクサーを口に注いでいた。そうすると、先ほどまでは80過ぎのやせ細った体をしていたが、多少肉がついた様子だ……
「シュリ、効果は出ているけど、そのこの栄養バランスを考えろよ。そんなやせ細った状態で、回復を続けていたら、栄養失調で死ぬ可能性がある」
俺も忘れていたが、体を回復するのには、大量のエネルギーが必要なのだ。手足が千切れた状態で、その手足を利用して回復するのなら問題はあまりないが、無い所から作るとなると、大量のエネルギーと栄養が必要になるのだ。
シュリは、俺の言いたいことを理解して、近くに来ていたピーチを呼び、近くにある街の施設へ運び込んだ。
俺は魔力を練り、弾けさせることによって、大きな音を立てる。
「傾注! けが人の広場への搬送は終わったか? よし、なら次は……隣の広場に簡易の病院を建てる。兵士たちは手分けをして、建物を建てられる人間をかき集めろ。もし命令に逆らうようなら、奴隷の首輪を使うことを許可する。とにかく数を集めろ!
キリエ、ネル、2人は広場へ向かい、治療の陣頭指揮をとれ。邪魔するものは、実力で排除しろ。治療院から援軍が来たら、割り振りを行いこれ以上の死者を出さないように努めろ。2人に付いて何人か派遣をするように、従魔たちも半分は向こうに付いていけ」
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