1,842 / 2,518
第1842話 問題は多い
しおりを挟む
「思ったより、眠らされているケガ人が多いな……キリエ、眠っている人の大半は、治療済みの部位欠損者か?」
治療が落ち着いてきて、治療が遅れてもすぐに死ぬレベルの人たちはいなくなっている。その中で、錯乱して眠らされている人間が多かったので、キリエに状況を聞いている。
「やはり、部位欠損をしている人たちは、治せないものだと思っているようで、この先の人生に絶望をしており、死なせてくれ……という人が多かったですね。実際、部位欠損をしている人の人生は、ろくでもないモノが多いですからね。
働きたくとも雇ってもらえなくなるため、冒険者や商人として成功してお金を持っていなければ……遅かれ早かれ奴隷になるか飢え死にですからね……成功していても、家族に裏切られるという話も聞きますね。お金を持ち逃げされるとか……」
言いたいことは分かるのだが、特に最後の部分……家族に裏切られるって言うのは、人生に絶望するには十分すぎる理由だよな。
部位欠損でも、まだ歩けるなら話は違うだろう。まず歩けなくなれば、介護が必要になってくるから、お金も家族の負担も大きくなるか……冒険者として成功していれば、奴隷を買って面倒を看させることは出来るけど、限界はあるしな。
「部位欠損の少ない人たちなら、夢だったと言って眠らせている間に治すことは出来るけど、ある程度……そうだな、片足の膝下以上を欠損していたら、点滴していても口腔からの栄養摂取が無いと厳しかったよな?」
「そうですね。死刑囚の人体実験で、片足の膝を切り落とした状態から、点滴だけで部位欠損を直したところ、約半数が栄養失調で死んでいます。そして今回の爆発では、それ以上の部分を部位欠損している人が100名は超えています」
死者もでたが、予想以上に部位欠損者が多いんだよな……指の一部、とかなら俺たちの魔法でも問題なく治せるのだが、手足の先をなくしていたりすると、俺以外には治せないし、治したとしても栄養失調になるから、気軽に治すわけにはいかないんだよな……
「だけど、起こしたまま治療するのは、おそらく厳しいよな。治せると言っても信じてもらえるか分からないし、錯乱する人間の対応に手が取られるのは困るよな……起こさずに治療する場合、起こる問題って何がある?」
ネルも呼び、手の空いている妻たちも呼んで、問題を上げていく。
一番大きいのは、排泄問題だろう。100人以上の排泄管理をする必要が出てくる……この世界には、紙おむつやバルーンなどは無いので、かなり大変な作業になる。
他には、口腔摂取を強引にさせるのであれば、胃ろうのように直接胃に流し込む必要もある。それに点滴もする必要があるので、管理が大変になってくる。
他にも細々したものは出たが、最終的に排泄管理……衛生面の問題が一番大きいと言う結論になった。
自動で体をキレイにできるシステムか……粘液スライムだと、肉体まで食べてしまうから使うことは出来ないし。ニコたちなら可能かもしれないが、スライムにそれをさせるつもりは無い。
残りの治療は治療院の人たちに任せることにして、俺はバザールと綾乃に知恵を求めることにした。
「ん~排泄管理でござるか……確かに面倒というか、大変な作業でござるな。地球と違いステータスで力があるから、体位交換なんかは楽かもしれないでござるが、それでも寝ている人の下の世話はそれだけで大変でござる」
「確かにね。ベッドをゴーレム化して、全自動で体位交換をできるようにできたとしても、下の世話や点滴、胃ろうの管理もあるから……大変よね。バルーンに関しては、こっちの世界なら多少怪我をさせても後で治せるから、強引に入れたとしても何とかなるけど……大きい方はね~」
地球なら意思のない人にバルーンを入れる指示などは、医者が出すと思うが、この世界には的確に指示できる医者がいないからな。それに、バルーンを入れたことのある人間すらいない。そもそも、存在自体を知らないからな……
「そういえば、体位交換って言ってるけど、何で体位交換が必要なんだっけ?」
「えぇ……綾乃、マジか? 動けない人が長時間同じ体勢でいると、特に骨が突出している部分への圧迫が続くから、褥瘡になりやすいんだぞ。だから、定期的に体位を変えてあげないと、最悪体に穴が開くんだぞ」
特に高齢者や精神障がい者の場合は、しっかり体位交換を行っていたとしても、本人にとっては寝づらい体勢になることもあるので、自ら寝返りをうっていて褥瘡になるケースもあるのだ。できやすい部位としては、仙骨あたりだろうか……
「ふ~ん、じゃぁさ、体全体に均等に体重が分散されれば、体位交換が無くても褥瘡が出来ないの?」
「そういう訳じゃないだろうな。全身に等しく体重が分散されていても、他の部位より圧迫される部分はあるだろうし、血流の問題で褥瘡ができる可能性はあると思うぞ」
「じゃぁ、仮にだけど、首の下だけ水中にいるような状況なら、褥瘡にはならないのかな?」
「ぷかぷか浮いている状態でござれば……褥瘡にはならないと思うでござるが、人の体をずっと水に浸けておくことは出来ないでござるよ。いや、浸けておくだけなら数日は問題ないかもしれないでござるが、排泄を考えると危ないでござる。それに、手がめっちゃふやけると思うでござる」
常に水を入れ替えれば、衛生面の問題は解決するか……? 大きい方の排泄なら、多少強い水流を肛門付近に当てられれば、汚いまま……ということは無いよな。
「とりあえず、綾乃の案を一部採用して、水は常に入れ替わるようにして、排泄があったらキレイに洗えるような仕組みを考えてみよう」
「マジか? 自分で言っててどうかと思う意見が採用された……」
「水中って言うのは悪くないと思うし、もし皮膚に悪影響が出たとしても、点滴でポーションを流し続けているから、状態が悪いのなら回復するはずだ。とはいえ、いきなり試すことは出来ないから……グリエルに連絡して、人体実験のできる死刑囚が何人いるか確認しないとな」
人体実験か……日本にいたら絶対に無理だっただろうけど、この世界の死刑囚は人権なんてマジでないからな。どのように扱っても、誰にも文句は言われない……本人には文句を言われるか。
俺がグリエルたちに確認を取っている間に、バザールたちには循環システムを考えてもらうことにした。
治療が落ち着いてきて、治療が遅れてもすぐに死ぬレベルの人たちはいなくなっている。その中で、錯乱して眠らされている人間が多かったので、キリエに状況を聞いている。
「やはり、部位欠損をしている人たちは、治せないものだと思っているようで、この先の人生に絶望をしており、死なせてくれ……という人が多かったですね。実際、部位欠損をしている人の人生は、ろくでもないモノが多いですからね。
働きたくとも雇ってもらえなくなるため、冒険者や商人として成功してお金を持っていなければ……遅かれ早かれ奴隷になるか飢え死にですからね……成功していても、家族に裏切られるという話も聞きますね。お金を持ち逃げされるとか……」
言いたいことは分かるのだが、特に最後の部分……家族に裏切られるって言うのは、人生に絶望するには十分すぎる理由だよな。
部位欠損でも、まだ歩けるなら話は違うだろう。まず歩けなくなれば、介護が必要になってくるから、お金も家族の負担も大きくなるか……冒険者として成功していれば、奴隷を買って面倒を看させることは出来るけど、限界はあるしな。
「部位欠損の少ない人たちなら、夢だったと言って眠らせている間に治すことは出来るけど、ある程度……そうだな、片足の膝下以上を欠損していたら、点滴していても口腔からの栄養摂取が無いと厳しかったよな?」
「そうですね。死刑囚の人体実験で、片足の膝を切り落とした状態から、点滴だけで部位欠損を直したところ、約半数が栄養失調で死んでいます。そして今回の爆発では、それ以上の部分を部位欠損している人が100名は超えています」
死者もでたが、予想以上に部位欠損者が多いんだよな……指の一部、とかなら俺たちの魔法でも問題なく治せるのだが、手足の先をなくしていたりすると、俺以外には治せないし、治したとしても栄養失調になるから、気軽に治すわけにはいかないんだよな……
「だけど、起こしたまま治療するのは、おそらく厳しいよな。治せると言っても信じてもらえるか分からないし、錯乱する人間の対応に手が取られるのは困るよな……起こさずに治療する場合、起こる問題って何がある?」
ネルも呼び、手の空いている妻たちも呼んで、問題を上げていく。
一番大きいのは、排泄問題だろう。100人以上の排泄管理をする必要が出てくる……この世界には、紙おむつやバルーンなどは無いので、かなり大変な作業になる。
他には、口腔摂取を強引にさせるのであれば、胃ろうのように直接胃に流し込む必要もある。それに点滴もする必要があるので、管理が大変になってくる。
他にも細々したものは出たが、最終的に排泄管理……衛生面の問題が一番大きいと言う結論になった。
自動で体をキレイにできるシステムか……粘液スライムだと、肉体まで食べてしまうから使うことは出来ないし。ニコたちなら可能かもしれないが、スライムにそれをさせるつもりは無い。
残りの治療は治療院の人たちに任せることにして、俺はバザールと綾乃に知恵を求めることにした。
「ん~排泄管理でござるか……確かに面倒というか、大変な作業でござるな。地球と違いステータスで力があるから、体位交換なんかは楽かもしれないでござるが、それでも寝ている人の下の世話はそれだけで大変でござる」
「確かにね。ベッドをゴーレム化して、全自動で体位交換をできるようにできたとしても、下の世話や点滴、胃ろうの管理もあるから……大変よね。バルーンに関しては、こっちの世界なら多少怪我をさせても後で治せるから、強引に入れたとしても何とかなるけど……大きい方はね~」
地球なら意思のない人にバルーンを入れる指示などは、医者が出すと思うが、この世界には的確に指示できる医者がいないからな。それに、バルーンを入れたことのある人間すらいない。そもそも、存在自体を知らないからな……
「そういえば、体位交換って言ってるけど、何で体位交換が必要なんだっけ?」
「えぇ……綾乃、マジか? 動けない人が長時間同じ体勢でいると、特に骨が突出している部分への圧迫が続くから、褥瘡になりやすいんだぞ。だから、定期的に体位を変えてあげないと、最悪体に穴が開くんだぞ」
特に高齢者や精神障がい者の場合は、しっかり体位交換を行っていたとしても、本人にとっては寝づらい体勢になることもあるので、自ら寝返りをうっていて褥瘡になるケースもあるのだ。できやすい部位としては、仙骨あたりだろうか……
「ふ~ん、じゃぁさ、体全体に均等に体重が分散されれば、体位交換が無くても褥瘡が出来ないの?」
「そういう訳じゃないだろうな。全身に等しく体重が分散されていても、他の部位より圧迫される部分はあるだろうし、血流の問題で褥瘡ができる可能性はあると思うぞ」
「じゃぁ、仮にだけど、首の下だけ水中にいるような状況なら、褥瘡にはならないのかな?」
「ぷかぷか浮いている状態でござれば……褥瘡にはならないと思うでござるが、人の体をずっと水に浸けておくことは出来ないでござるよ。いや、浸けておくだけなら数日は問題ないかもしれないでござるが、排泄を考えると危ないでござる。それに、手がめっちゃふやけると思うでござる」
常に水を入れ替えれば、衛生面の問題は解決するか……? 大きい方の排泄なら、多少強い水流を肛門付近に当てられれば、汚いまま……ということは無いよな。
「とりあえず、綾乃の案を一部採用して、水は常に入れ替わるようにして、排泄があったらキレイに洗えるような仕組みを考えてみよう」
「マジか? 自分で言っててどうかと思う意見が採用された……」
「水中って言うのは悪くないと思うし、もし皮膚に悪影響が出たとしても、点滴でポーションを流し続けているから、状態が悪いのなら回復するはずだ。とはいえ、いきなり試すことは出来ないから……グリエルに連絡して、人体実験のできる死刑囚が何人いるか確認しないとな」
人体実験か……日本にいたら絶対に無理だっただろうけど、この世界の死刑囚は人権なんてマジでないからな。どのように扱っても、誰にも文句は言われない……本人には文句を言われるか。
俺がグリエルたちに確認を取っている間に、バザールたちには循環システムを考えてもらうことにした。
0
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる