ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1877話 後釜?

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「へ~エイダたち4人を見かけたんだ。あの子たち思いのほか上手くいって結婚したのはいいけど、マッシュ君もルック君も今じゃゴーストタウンで、上から数えた方が速いくらい偉いし、エイダとトモは怖がられるくらい優秀だからね。なかなか交代要員が育たなくてね。

 どっちか一方ずつなら問題ないけど、さすがに仲のいい4人を2つに分けるわけにもいかず、後輩が育つのを待っている感じよね……特にエイダとトモは、優秀過ぎるせいか交代要員になる人間がビビっているのよね」

 ミーシャたちは大満足するまでスポーツジムで遊んで、家に帰ってきた後にミリーたちに今日の話をしたのだ。そこでウルから聞いた、子どもの相談について聞いてみた所、こんな感じで返ってきたのだ。

「ん~気後れしてるのか……あの女傑2人の交代要員だもんな、尻込みする人間の方が多いよな。明日、グリエルに相談でもしてみるか」

 女傑2人の老化を止めているとはいえ、子どもが早くほしいのは4人とも同じみたいなので、何とか手を打たなきゃいけないよな。

 ミリーにもお願いされたし、明日はグリエルたちに相談してみよう。

「ということで、相談があるからお昼食べたら来てもらっていい?」

「相変わらず、何がどうなって『ということ』なのかさっぱり分かりませんが、相談事があるのですね? 私1人ですか? それともガリアや他の人もですか?」

「さすがグリエルさん! 分かってらっしゃる! 相談したい内容的に、ガリアも来てほしいかな。ゼニスも来れそうだったら呼んでほしいね」

「了解しました。ガリアは違う部署に少し顔を出しているだけなので問題ないでしょう。ゼニスの方は、一応商会の本部にいることになっているので、大丈夫かと思われます。では、昼食を食べたら向かいます」

 俺の部屋で昼食にしても良かったのだが、食堂が近くにあるのにわざわざ別に作ってもらうのもあれだから、久しぶりに庁舎の食堂で食べることが決まった。

 今日も妻の中から2人が付いてきており、サクッと仕分けを終わらせてくれているので、俺は仕分けされた報告書をフンフン言いながら読んでいる。最近は、俺が読んでいるのに妻たちが暇になる時間が増えたので、仕分けが終わったら自分の持ち場の仕事へ行くことが多い。

 今は窓際に3匹のネコ魔物と、足元にダマがいる。ダマのお腹を足で触りながら、報告書を読んでいると突然足を引っ掻かれた。どうやら気付かない間に、デリケートな部分を触ってしまったようだ。

 ごめんごめんと謝りながら、顔をお腹に埋めてグリグリする。本当に謝っているのか怒られたけど、それはダマが可愛いから仕方がないのだよ! お前の可愛さが、俺をこんな風にするのだ!

 とか適当なことを言ったら、肉球パンチをくらった……人間的に言えば、パンチより平手の方が近いか?

 ダマと戯れていたら、テトたちもかまってほしいと、窓際で寝ていたのに俺にすり寄ってきた。テト、ライ、ランの順番でモフってやったが、ランは大きくて全身をモフるのも一苦労だったぜ。

 食事が終わり、グリエル、ガリア、ゼニスの3人が揃った。エイダ、トモ、マッシュ、ルックの4人の話をして、

「……で、ミリーに話を聞いたら、エイダとトモが子どもを欲しがっているって聞いたわけだよ。確かにあの2人の仕事をすべて引き継げる人間はいないと思うけど、分担すれば別けられたりしない?」

「そうですね。シュウ様の奥様たちが仕分けをしてくださるようになって、大分こちらの手が空くようになったので、何人かで分担すれば大丈夫かと思います」

「エイダたちのやっている仕事を、1人ずつに任せる必要なんてないですもんね。2人ずつで分担すれば問題は無いと思いますが……2人の後だと考えるとプレッシャーが強いですからね、私なら遠慮願いたいですかね」

 はっはっは、と笑いながらグリエルとガリアが答えてくれた。

「私も、何度か一緒に仕事をさせてもらっていますが、確かにあの女傑たちの後を引き継ぐ人は、尻込みしそうですね。息子も首を縦に振らないと思いますね」

 ゼニスもそんなこと言うのか……確かにあの2人は優秀だからな。

「それだとさ、女傑たちの後釜がずっと決まらないよな。う~ん。もうさ、プレッシャーになる部分だけでもいいから、マッシュかルックに担当してもらうか? 2人の内どちらかなら、ゴーストタウンから引き抜いても問題ないよな?

 穴埋め要因は必要かもしれないけど、優秀過ぎる奥さんの尻拭いじゃないけど、あの2人の内どちらかなら尻込みなんてしなくね?」

 俺以外の3人が黙って、頭の中で計算を始めた……気がする。しばらくして、

「それはいい案かもしれませんね。プレッシャーに感じる部分は、大半が私たちに絡んでくる要件ですからね。マッシュもルックも同じようなことをしているから、問題ないでしょう」

「少し頭が固くなっていたようですね。他の街から人材をディストピアへ引き抜くと言うのは、考えてもいませんでしたね。優秀なら、上の立場に立たせて統括してもらっていますからね。さっそく、ゴーストタウンへ連絡してきます」

 そう言って、ガリアは走って魔導無線の所へ向かってしまった。

「あの2人は、財務関係もしていましたよね? その部分であれば商会からも、人材を派遣できると思いますので、選んでおきますね。さすがに庁舎の仕事については、庁舎の人間で引き継いでもらえると助かりますが、その辺はどうですか?」

「私たち関係と部署統括をマッシュかルックに、財務をゼニスの派遣する人材にお願いできるのなら、後は今いる部下たちに割り振れば、何とかなると思います。それに産休に入るまで最低でも半年はあるわけですので、その間に引継ぎや人員の追加をすれば、問題ないでしょう」

 うむ、何とか話がまとまったようだ。

 またこの話とは別だが、3ヶ月後にエイダとトモの妊娠が発覚した。どう考えても、ミリーが2人に話してから1週間以内に妊娠したと計算された。そう言えば、ミリーが2人に話した後1週間くらい、ディストピアの担当になったルックがやつれていた気がするな。

 俺も搾り取られる側だから、その気持ち良く分かるぜ!
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