ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1891話 予想以上だった

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 宗教に関する公布を行った次の日、俺は頭痛がするような感覚と戦いながら、グリエルたちから報告を受けている。

 たくさんある俺の街で、宗教活動を行ったとして捕まったのは、30人を越えたそうだ。平均すれば、1つの街で2人前後だ。ディストピアには、外部から人が入ってこないので問題はない。ゴーストタウンは、いろんなところから人が集まるので、8人も逮捕者が出ている。

 それでも、ゴーストタウンでは住人が捕まることが無くて良かった。ここに住んでいる人間は、比較的宗教がらみの話を嫌う傾向があるからな。それは本当に助かっているが、商人や護衛で付いてくる冒険者、その他移住希望者などから、今回の逮捕者が出ている。

 本人たちは良かれと思ってやっているのだろうが、有難迷惑なので本当に止めてもらいたい。街の中に入る際にもしっかりと説明しているのに守らないのだから、宗教がらみの人間は邪魔者扱いされているくらいだ。公布して2日目なのに、既に排除しようという流れがゴーストタウンにはできていた。

 聖国の獣人たちほどではないが、色々苦労としている人間が集まってきているからな。移住してきている獣人たちの多くは、宗教アレルギーになっているから、ゴーストタウンのこの流れはおかしなものではないと思う。

 っと、ミューズとヴローツマインでは、逮捕者はいなかったようだ。あそこは行っても意味が無いと分かっているだろうからな。グレッグでは3人捕まって、2人が司祭みたいな奴だったと聞いている。暗部がボコって情報を吐き出させた後、処理したってさ。

 俺は知らなかったのだが、伝道師は暗部の捕縛対象で、秘密裏に処理されることが決まっていたらしい。こいつらの目的は、何教か知らないが広めることが目的だからな。裏の意図を知っている人間が出てくるとは思っていないが、しっかりと捕らえて尋問するんだってさ。

 改心させるのも面倒なので、処理という形をとっていると教えてもらった。昨日捕まった30人の内、5人が伝道師だったらしい。狂信者とまではいかないが、相容れない思考の持ち主だったので、サクッと首を落とされたんだってさ。大した情報も持ってなかったようだしね。

 やはり、自由に行き来する冒険者や商人たちが、宗教に染まっている傾向があるな。普通に考えれば分かるけど、街の中で宗教が発生したのでなければ、外的要因でしか宗教に触れることは無い。街の人間が接する機会なんて、普通はないのだ。

 昨日が初日だったから、これだけの人数が捕まったのだろう。そう考えないと、気分的に疲れるのでそう考えることにした。

 報告が終わった後は、自分の仕事を終わらせて、少し休憩して帰ろうとしたら、グリエルから伝言がありしばらく待っていてほしい、とのことだった。急いでいないし、ソファーでくつろいでおくか。のんびりしていると、今度はゼニスも一緒に入ってきた。

「シュウ様、お待たせしました。追加情報が入ってきました。宗教の大本なのですが、どうやら帝国と王国の間にある小国群にあるようです。既に3ヶ国ほど乗っ取られており、それらの国では国教とされているようですね。今まで情報が入ってこなかったのは、商会の支店がなかったからだと思われます」

「小国群ね。情報を集めにくい場所だな。それに、商会の支店がなかったってことは、それなりの理由があってことだよな?」

「そうですね。悪徳領主のお手本のようなクズが、街の管理をしていたので出店していなかった国です。そんな時に宗教が流れ込んできて、住人の支持を得て領主を排除し、街を乗っ取り国も乗っ取ったそうです」

「国の中で完結しているなら気にしないんだが、他人に迷惑をかけているからな……国では善政をして、裏では金持ちから金を巻き上げている、って感じかね? いまいち意図がつかめないが、その国を潰すのは……面倒だな。どうするかね?」

「少なくとも、商会が深くかかわっている街であれば問題ありませんが、支店を置いているだけの様な浅い付き合いの街は、色々と付け込まれる要素があると思います。他にも、支店がないところは、金儲けに腐心したりしていますので、付け入りやすく宗教に飲み込まれる可能性はあるかもしれません」

 ゼニスの言っていることがいまいち理解できないが、金儲けに腐心すると付け入りやすくなるもんなのか?

 どうやら、そういった奴らは、犯罪の称号を持っていることが当たり前なので、免罪符という切り札は有効的なのだとか。そこから付け込んでいき、いつの間にか乗っ取っているみたいな感じだとか。宗教家だけでなく、その手のプロみたいな人間も多数いる可能性が高いそうだ。

 なるほど……本当に免罪符となるのであれば、買う人間はいるよな。中には、悪いことをしている自覚のない、おバカちゃんもいるそうだが、実際に罰賞が付いているのだから、金で解決する輩も多いのだろう。

「分かったところで、手が出せないのがもどかしいな。神託を降ろしている神の思惑通りに、動いているのかは分からんが、面倒な存在ではあるな。どうするのがいいと思う?」

「国を潰す気がないのでしたら、対症療法しかないと思います。追加の情報で、帝国や王国に情報を流すなりはしておいた方が良いと思います。もし目に余るようでしたら、王国か帝国が動くでしょう。王国や帝国で、乗っ取られた街があれば教えてあげればよろしいかと」

 自分たちの街を守りながら、自分たちで潰すと面倒だから、王国や帝国に潰させるように仕組む感じか。乗っ取られる街は大半が、悪政をしていると考えているようで、国にとっては領主を挿げ替えるちょうどいい口実になるかもな。

 で、いざ潰すとなったら、戦力を貸し出す形で、完膚なきまでに潰せばいいか。事後の統治は王国や帝国任せでいいって感じだな。善政をしている近くの国に、金と一緒に押し付けるのもありかもな。

「では、しばらくは様子を見る形で、王国と帝国には情報を流しておきます」

 ガリアが締め、解散となる。
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