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第1907話 戦い方は無限大!
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10階の最後の部屋に到着した。10階に突入してから、1時間30分くらいだと思う。上の階より通路が広くなっているから、思った通り攻略速度が上がっている。
中ボス部屋で待っていたのは、オークジェネラル・ゴブリンキング・ゴブリンジェネラルの強化種・コボルトジェネラルの強化種、合計で30体ほどだ。とにかく数が多い。ゴブリンキング以外Lv100まではいかないが、10階の他の部屋より明らかに強いな。
ダンジョンではレベルが上がりやすいとはいえ、突発的にできたダンジョンにしては中ボスが強すぎないかね? 疑問に思っても、実際にそこにいるんだから仕方がないよな。
「ウル、部屋の中を覗いてみて、どうするか決まった?」
「ミリーお母さん、制限を解除しなければ怪我をして、倒しきれずに撤退になると思います」
ウルたちのステータスは、階毎に調整しているし、明らかに不利になる場合も調整していたが、今の状態では倒せないことを理解しているようだ。
「じゃぁ、どうする?」
「…………解除して戦うか、魔物の分断を手伝ってもらって戦う。それがダメなら、撤退します」
ミリーは、ウルの答えを聞いて、目を見ながら何かを考えているようだ。真剣な顔をしていたが、不意に優しい顔になり、ウルの頭に手を置いて撫でている。
「きちんと撤退が視野に入っているのは、褒められる所ね。前の2つは……シュウ君どうする?」
「ん~、綾乃ならすぐに分かってしまうけど、ウルたちでも今の状態で敵を全部倒すことは出来ると思うよ。その方法を考えてみてもいいんじゃないかな? 俺たちも何度か使った手だから、みんなにもすぐわかると思うけど、ゲームの知識を引っ張り出して、4人で考えてみてごらん」
頭を突き合わせて相談を始めた4人。近くにはスライムとメグちゃんとシリウス君が待機している。何があっても不意打ちは不可能だろう。
「シュウ君、格上に近い魔物がいる上に30匹近い同格がいるのに、本当に倒す方法があるの?」
「もちろんあるよ。ミリーやカエデやリンドは、あまりゲームをしないから分からないと思うけど、よくある手法だと思う。実際にこの世界の冒険者たちだって、やっている方法だよ。綾乃ならすぐに分かるよな?」
「もちろん。釣りね!」
「「「つり?」」」
ミリーたち3人は、釣りと言われてもピンと来ていなかったが、ゲームをよくやっている年少組のメンバーは、納得した様子だった。確かにあの戦い方なら、問題ないね! と、反応してくれた。自分なら、何から釣る? みたいな話を始めている。
「もともとは、敵をおびき寄せて囲んで倒すみたいなのが語源だっけ? まぁ分かりやすく言えば、あの中の魔物を釣りだして、1匹ずつ仕留めていくってことよ。タンクがチェインで引っ張り出して通路で倒すか、部屋の中に小部屋を作ってそこに引き込んで倒すってことね。
ボス部屋だと、通路からの攻撃が無効化されることがあるから、部屋に入って隔離できるように準備して戦うって感じかしら?」
「そんなところだな。この部屋は中に入れば閉じ込められるけど、釣りだすことは出来るんじゃないかな? 実際にやってみないと分からないけどね。それに向こうの扉が閉まってるから、ユニゾンマジックを打ち込んで蓋してって繰り返せば、倒せるかもしれないね」
ダンジョンのシステム上、部屋の外から攻撃することは可能だ。だけど、ボス部屋に関しては、高いDPを支払うことによって、通路からの攻撃を無効化することも出来るのだ。海賊船の中ボスと戦った時に知ったシステムだ。
ウルたちに聞こえないように話していたら、娘たち4人が近付いてきて、
「「「「答えは、釣り!」」」」
4人は自信をもって答えた。ミーシャなんかは、若干鼻の穴が膨れたドヤ顔をしている。
「正解。じゃぁ、どういう風に釣りをする?」
「多分、私たちのチェインだと、魔物まで届かないので、物理的に強引に釣りだそうかと考えています」
「物理的?」
聞き返すと、先端が少し膨らんでいるボルトを取り出した。ボルトには細いけど頑丈な金属繊維の紐がついていた。グルっと首を回して綾乃を見ると、とっさに顔をそむけたのでこいつの仕業だな。
何のために作ったか知らないが、釣りという答えに辿り着き綾乃が作ったボルトを思い出して、自分たちが有利に戦える場所へ引き込めると考えたのだろう。この子たちの経験からすれば、満点をあげてもいいだろう。
「なるほどね。じゃぁ試してみる?」
4人は顔を見合わせて、アイコンタクトでも取ったかのように、頷く。
「「「「戦わない」」」」
4人が出した答えは、戦わないだった。
「一応、理由も聞いていいかな?」
「絶対に攻略しなきゃいけないわけじゃないので、無理に倒す必要がないからです」
「4人とも、その判断に辿り着けたのは偉いぞ! ウルたちは無理する必要なんて、どこにもないからな。とはいえ、お父さんたちはこのダンジョンを調査しなきゃいけないので、進む必要があるわけです。ゴチャゴチャした乱戦は、ウルたちにはまだ早いから……骨! お前さんが蹂躙しなさい」
「せめて名前で呼んでほしいでござる。蹂躙ってことは、手加減無しでオーケーでござるか? それなら、S級スケルトンたち、行くでござる」
収納していたS級スケルトンを20体ほど呼び出して、部屋に突っ込ませた。強くてもLv100程度の相手とSランク相当のスケルトンたちが戦えば、火を見るより明らかな戦闘結果が……1分もしないうちに、ゴブリンキングまでドロップに変わっていた。
ミーシャたちは、骨たちが蹂躙する姿を見てはしゃいでいる。何て言うかね、S級スケルトンなんだけど、動きに支障がないように模様が施されてたりするんだよね。最近のスケルトンは、身だしなみにも気を遣うようになったのかな?
後で聞いてみたら、スケルトンは正直見た目が微妙だから、コーティングついでに色々遊んでみた! とバザールと綾乃が言っていた。遊んでみたって……確かに、忌避感はほとんどなくなったけど、見た目が金ピカとか銀ピカに、赤い奴までいるんだから、何て言っていいか困る。3倍早く動いたりしないかな?
特筆することなく、今日は15階の階段まで到達できた。
中ボス部屋で待っていたのは、オークジェネラル・ゴブリンキング・ゴブリンジェネラルの強化種・コボルトジェネラルの強化種、合計で30体ほどだ。とにかく数が多い。ゴブリンキング以外Lv100まではいかないが、10階の他の部屋より明らかに強いな。
ダンジョンではレベルが上がりやすいとはいえ、突発的にできたダンジョンにしては中ボスが強すぎないかね? 疑問に思っても、実際にそこにいるんだから仕方がないよな。
「ウル、部屋の中を覗いてみて、どうするか決まった?」
「ミリーお母さん、制限を解除しなければ怪我をして、倒しきれずに撤退になると思います」
ウルたちのステータスは、階毎に調整しているし、明らかに不利になる場合も調整していたが、今の状態では倒せないことを理解しているようだ。
「じゃぁ、どうする?」
「…………解除して戦うか、魔物の分断を手伝ってもらって戦う。それがダメなら、撤退します」
ミリーは、ウルの答えを聞いて、目を見ながら何かを考えているようだ。真剣な顔をしていたが、不意に優しい顔になり、ウルの頭に手を置いて撫でている。
「きちんと撤退が視野に入っているのは、褒められる所ね。前の2つは……シュウ君どうする?」
「ん~、綾乃ならすぐに分かってしまうけど、ウルたちでも今の状態で敵を全部倒すことは出来ると思うよ。その方法を考えてみてもいいんじゃないかな? 俺たちも何度か使った手だから、みんなにもすぐわかると思うけど、ゲームの知識を引っ張り出して、4人で考えてみてごらん」
頭を突き合わせて相談を始めた4人。近くにはスライムとメグちゃんとシリウス君が待機している。何があっても不意打ちは不可能だろう。
「シュウ君、格上に近い魔物がいる上に30匹近い同格がいるのに、本当に倒す方法があるの?」
「もちろんあるよ。ミリーやカエデやリンドは、あまりゲームをしないから分からないと思うけど、よくある手法だと思う。実際にこの世界の冒険者たちだって、やっている方法だよ。綾乃ならすぐに分かるよな?」
「もちろん。釣りね!」
「「「つり?」」」
ミリーたち3人は、釣りと言われてもピンと来ていなかったが、ゲームをよくやっている年少組のメンバーは、納得した様子だった。確かにあの戦い方なら、問題ないね! と、反応してくれた。自分なら、何から釣る? みたいな話を始めている。
「もともとは、敵をおびき寄せて囲んで倒すみたいなのが語源だっけ? まぁ分かりやすく言えば、あの中の魔物を釣りだして、1匹ずつ仕留めていくってことよ。タンクがチェインで引っ張り出して通路で倒すか、部屋の中に小部屋を作ってそこに引き込んで倒すってことね。
ボス部屋だと、通路からの攻撃が無効化されることがあるから、部屋に入って隔離できるように準備して戦うって感じかしら?」
「そんなところだな。この部屋は中に入れば閉じ込められるけど、釣りだすことは出来るんじゃないかな? 実際にやってみないと分からないけどね。それに向こうの扉が閉まってるから、ユニゾンマジックを打ち込んで蓋してって繰り返せば、倒せるかもしれないね」
ダンジョンのシステム上、部屋の外から攻撃することは可能だ。だけど、ボス部屋に関しては、高いDPを支払うことによって、通路からの攻撃を無効化することも出来るのだ。海賊船の中ボスと戦った時に知ったシステムだ。
ウルたちに聞こえないように話していたら、娘たち4人が近付いてきて、
「「「「答えは、釣り!」」」」
4人は自信をもって答えた。ミーシャなんかは、若干鼻の穴が膨れたドヤ顔をしている。
「正解。じゃぁ、どういう風に釣りをする?」
「多分、私たちのチェインだと、魔物まで届かないので、物理的に強引に釣りだそうかと考えています」
「物理的?」
聞き返すと、先端が少し膨らんでいるボルトを取り出した。ボルトには細いけど頑丈な金属繊維の紐がついていた。グルっと首を回して綾乃を見ると、とっさに顔をそむけたのでこいつの仕業だな。
何のために作ったか知らないが、釣りという答えに辿り着き綾乃が作ったボルトを思い出して、自分たちが有利に戦える場所へ引き込めると考えたのだろう。この子たちの経験からすれば、満点をあげてもいいだろう。
「なるほどね。じゃぁ試してみる?」
4人は顔を見合わせて、アイコンタクトでも取ったかのように、頷く。
「「「「戦わない」」」」
4人が出した答えは、戦わないだった。
「一応、理由も聞いていいかな?」
「絶対に攻略しなきゃいけないわけじゃないので、無理に倒す必要がないからです」
「4人とも、その判断に辿り着けたのは偉いぞ! ウルたちは無理する必要なんて、どこにもないからな。とはいえ、お父さんたちはこのダンジョンを調査しなきゃいけないので、進む必要があるわけです。ゴチャゴチャした乱戦は、ウルたちにはまだ早いから……骨! お前さんが蹂躙しなさい」
「せめて名前で呼んでほしいでござる。蹂躙ってことは、手加減無しでオーケーでござるか? それなら、S級スケルトンたち、行くでござる」
収納していたS級スケルトンを20体ほど呼び出して、部屋に突っ込ませた。強くてもLv100程度の相手とSランク相当のスケルトンたちが戦えば、火を見るより明らかな戦闘結果が……1分もしないうちに、ゴブリンキングまでドロップに変わっていた。
ミーシャたちは、骨たちが蹂躙する姿を見てはしゃいでいる。何て言うかね、S級スケルトンなんだけど、動きに支障がないように模様が施されてたりするんだよね。最近のスケルトンは、身だしなみにも気を遣うようになったのかな?
後で聞いてみたら、スケルトンは正直見た目が微妙だから、コーティングついでに色々遊んでみた! とバザールと綾乃が言っていた。遊んでみたって……確かに、忌避感はほとんどなくなったけど、見た目が金ピカとか銀ピカに、赤い奴までいるんだから、何て言っていいか困る。3倍早く動いたりしないかな?
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