ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,987 / 2,518

第1987話 黒幕判明!

しおりを挟む
 苦しくて目が覚めた。

 あ~、デジャヴュやな。何でこうやって起こされるのか意味が分からんけど、空気を取り入れるために息を吸い込むと、シンラの匂いがする。匂いだけで子どもたちの判断ができるのは、普通なのかね? 娘たちも一人ひとり匂いが違うから、分かりやすいんだよな。

 っと、シンラの匂いはいいのだが……若干臭いぞ。寝ている間に自分ではけるパンツタイプのオムツに、小便をしただろ。俺の顔に張り付くならな、せめてお漏らしをしないでほしいのだが……こいつに言っても無駄なんだろうな。

 クスクス笑っている声も聞こえるから、妻たちの何人かは現状を見ているんだろうな。どういう状況でこうなったのか聞いてみるかな。

 顔に張り付いたシンラを引き剥がしながら小脇に抱え、水を使っても問題ない場所へ移動する。

 眠気眼の息子をくすぐって起こし、自分で服を脱ぐように促す。目が覚めて違和感があるのだろう、すぐに服を脱ぎ捨てたので、魔法で再現したシャワーで体を流してやる。自分で体を擦っているのが、何となく面白いな。

 別に本人的には、汚れているからやっているのではなく、シャワーを浴びる時はこうする! みたいな感じで、この行動をとっている。最近は自分でやりたがることも増えてきたから、その一環なんだろうな。

 一連の流れを見ると、お漏らししたからキレイにしているように見えるのだから、不思議である。

 身体を洗っているつもりなのだろうが、手には何も持っていないので手を肌に擦り付けているだけなんだよね。洗っているふりをしているみたいで、面白い。

 最後には、俺が手に子ども用のボディーソープをつけて泡を立ててから、シンラの体を泡まみれにしていく。

 ってお前! 体を洗っている最中にお尻の穴に軽く指が当たった刺激で、大きい方をし始めた……庭で脱糞ですか。子どもだから自由でいいんだけど、俺の手に付いたのを見て笑うな。

 近くにいたブラウニーが慌てて準備してくれたお丸に座らせ、思う存分に大きい方を出させる。

 俺は、ダンジョンの穴を作り、そこで手をきれいに洗う。3回ほど洗ったが、まだ匂いが付いている気がするんだよな。そんなことないのだが、気持ちの問題なのでどうしようもない。

 トイレの訓練を始めてはいるが、不意打ちの刺激で出てしまったのだろう。それに、たまにもらしてもおかしくない歳ではある。

 すっきりしたシンラは、眩しいほどの笑顔で俺を迎えてくれた。自分では拭けないので、妻の誰かに手伝ってもらったのだろう。まだ体の所々に泡が付いているので流してやり、再度軽く泡まみれにして流してやると満足したようで体を拭き始めた。

 自分で拭けるようになったのかと、少し感動したのだが、拭くのは体の前だけ……後は俺が拭くのな。初めからやらせてもらえた方が手間は無いのだが、自分でやらせることも大切だからな。もう少し大きくなったら、自分でやるんだぞ!

 陰部やお尻にかぶれは見えないが、一応ベビーパウダーをつけてやると、満足したように自分で服を着始める。パンツは問題なく自分では蹴るみたいだな。ズボンは……面倒だからはかない感じか? 上着は脱げるけど着れないらしい……あれ? 普通って逆じゃなかったっけ?

 脱ぐ方が難しくて、切る方が簡単だった気がするのだが……どっちがどっちだ?

 こいつの事だし、どっちでもいいか。そのうち自分でできるようになるだろう。服を全部着せてやると、訳の分からないポーズをとってからエアーベッドに戻っていった。まだ寝るのか?

 シンラはすぐにまた寝てしまったので放置をして、妻たちにシンラがどうやって顔の上に来たのか聞いてみた。

 どうやらシンラ1人の力であの位置に来ているわけではないそうだ。それは考えれば分かることなのだが、どうしてそういう状況になるのかを知りたくて聞いているんだけど……

 そう聞くと妻たちは苦笑するように俺から視線を外して、シンラたちの寝ているエアーベッドの方を見る。俺もその視線につられて振り向くと……エアーベットの影から、こっそりとこちらを覗いてきている丸い物体がそこにいた。

 やっぱりあいつらが協力していたのか。前もお前らが協力していたとかいう話だったよな……ニコから分裂したスライムがやっていたと思ったのだが、近くに行き捕まえてみると、色を変えていたニコだった。

 バレた! みたいな感じで体をプルプルと揺らして、いろんな色に変化し始める。

 ため息をついてから、プールに放り投げておいた。ニコの指示でシンラを顔の上に乗せているのか? 何でそんな行動をとっているのかは分からないが、あいつらが主体ではないと思う。

 ニコたちスライムは、自由意志は持っているが基本的に、いたずらに分類される行動では自分たちの体を使うのだ。他人……スライム以外の協力を仰ぐこともあるが、それは協力関係なだけである。

 今回の件で言えば、スライムたちが中心なら、あいつらの内誰かが俺の上に鎮座するのだが、シンラを顔の上に乗せているんだよな……シンラは起こされるたびに不服そうな顔をしているから違うと思う。

 誰かがスライムたちに指示をしていることになるのだが……家族以外で指示できる人なんていないし、家族の中で誰かの指示を受けているのか? 妻たちはそんなことしないだろうし、ウルもミーシャたちもそんなことはしないだろう。シンラも違うとなると……もしかして!?

 バッと音がする勢いでエアーベッドを振り返ると、たまたま目を覚ましていたプラムとシオンと目があう。何かを察したようで、目は合っていませんよ~と言わんばかりに視線を逸らして、シンラの方へ2人して転がっていき、ピトリと張り付いて寝始めた。

 この行動には妻たちも苦笑いだ。まさか、プラムたちからの指示で、シンラを俺の顔の上に乗せていたとは……俺を領主の座から引き下ろしたいのは、シンラではなくプラムたちだったのか!

 パシンッ

「だから痛いって……」

「シュウ君が変なことを考えるからでしょ。その顔は、プラムちゃんたちがあなたを亡き者にして、シンラを領主の座につけようとしている! みたいなことを考えていたんでしょうけど、それは無いから。それにシュウ君が、あんなことで死ぬわけないじゃない。ただの悪戯みたいなものよ」

 呆れたような顔でミリーが突っ込んできた。

 悪戯でも毎回やられると、結構しんどいんだぞ。苦しくて目が覚めるのって、寝起きが良くないからな。シンラと寝る時は注意が必要ってことだな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...