ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,994 / 2,518

第1994話 お酒って不思議

しおりを挟む
 あまり乗り気でなかったブルムも、何とかヤル気になってくれたので、そのヤル気が消える前にさっさと作ってしまわないとな。明日は……午前中に土づくりして、午後に庁舎へ行こう。早速メールでぽちっとな。これで明日の朝には、メールを呼んでくれるだろう。

 正直なところ、俺がしているのは報告書を読んで決裁の必要な書類を精査するだけだからな。2~3日いなくても問題は無いから、午前の出勤が午後になった所で、書類関係でトラブルなど起きることは無い。緊急なら、連絡が入るから問題ないだろう。

 決裁が必要な書類は、グリエルたちを含め3~4人で確認しているので、俺は判子を押すだけでも問題はないのだが、仕事なのでしっかりと確認はしている。数字遊びと言ったら失礼だが、数字の違和感は結構気付きやすい人間なので、俺的にはあっている仕事だと思う。

 先に精査してくれているグリエルたちは、同じような書類をたくさん見たり作ったりしているので、細かい違和感に気付けないこともあるんだよな。何も作っていないからこそ気付けるものだったりね。

 決裁系の書類に関しては、本当に決裁が必要な日から1週間以上早く期限が設定されているので、半日の誤差など気にもならない。その分、担当者が大変になることもあるが、これは俺の行動を考えたグリエルたちから出された命令なので、現場には頑張ってほしいモノである。

 妻たちとも相談して、明日の予定を立てていく。アドバイザーとして、ドリアードを呼んでおくか。アドバイスというよりは、間違っていないか聞くだけなんだがな。あの人らのアドバイス通りにやれば、ほぼ100パーセント成功するから、子どもたちのためにならないからな。

 娘たちは、良く分からないがテンションが上がっていて、元気になっているのが気がかかりだ。

 よし、そろそろ夕食を食べるか! ウッドデッキが完成したので、そのままそこで食事をすることにした。だけどドワーフたち、お前らはダメだ! ウッドデッキの下に席を準備するから、そこで騒げ! 子どもたちの近くでは騒ぐなよ!

 ウッドデッキの上にピザ窯を置いていないので、ドワーフたちはピザ窯の方に押し込めておく。ドワーフサイズの席も準備しているから、何も言わなくても自分たちで向かったんだけどね。

 お酒が中樽……ディストピアでは、大体40リットルほど入る樽を、10個もセットしていた。ここに来たドワーフは、20人くらいなのだが1人20リットル近く飲む計算か? いや、さすがに全部飲み切るってわけじゃないよな。

 あっちには、ドワーフたちの好きな酒のアテを自分たちで焼けるように、バーベキューコンロを出しているので、後は勝手に食べてくれるだろう。ブラウニーたちもいるし、バカなことはしないはずだ。

 俺たちも食事を食べようか。シンラなんか、早く食べたいと言わんばかりに涎を垂らしているからな……お前って、食いしん坊キャラだったっけ? なんてどうでもいいことを考えながら、食事が始まる。

 普段お酒を飲まない俺なのだが、ブラウニーたちが試飲としていくつか準備を始めた。お酒は飲んだとしても、ジュースの様な味付けで飲む感覚なので、ドワーフの爺さん方には酒を冒とくしている! とか、よく言われるんだけどな。

 うちの家族でお酒を飲むのって、ミリー、カエデ、リンドの3人だけなんだよね。他の妻たちも、付き合い程度では飲むのだが、それ以外では基本的にお酒は飲まないメンバーが多い。

 そんな妻たちにも、飲み物が準備されている。今日は、割って飲むように作られた蒸留酒をいくつか準備してくれたそうだ。俺たちが飲みやすいお酒を作ってくれたってことか……基本的に飲まないのに、わざわざ作らんでもいいのにな。

 最初だけはお酒を感じてほしいと、ロックでお酒が振舞われた。それならストレートなんじゃないかと思ったが、割ることと冷たい状態で飲むことを前提に作られたお酒なので、ロックが最適なんだとか。

 俺には分からないので、ブラウニーたちの指示に従って、少量入れられたお酒を口に含む。

 ん~、何か舌触りがなめらかと言っていいのかな? 強いお酒だと焼けるような感覚があるが、度はそれなりに強いのだが、飲みやすい感じだな。これって、調子に乗ってカパカパ飲んじゃうタイプのお酒じゃないのか? 二日酔いなんてしたくないんだが……

 あれ? 飲んだ後にちょっとしたほろ苦さがあるな……ライウイスキーとか言ってたから、これってライ麦の味なのかね? なんて思っていたら、違った。樽の内側を焼いて殺菌消毒をした際の焦げが、熟成させるために寝かしている期間に、お酒に風味が移るんだとさ。その苦みらしい。

 ライウイスキー自体も多少ほろ苦さはあるらしいのだが、俺には分からないので、フンフンと分かったふりをして聞いておく。

 俺の真似をしているのか、シンラもフンフンと頷いている。隣に座っているプラムとシオンまで真似して、妻たちが苦笑しているな……って、シンラのその適当な頷きって、俺の真似だったのか!? ちょっとショックを受けるが、親子ということで似ててもいいよな、と思うことにした。

 子どもにお酒を飲ませる訳もないが、シンラはニオイを嗅いだだけで嫌がるのに、お酒の話をしている俺の真似を何でするのかね? 意味が分かっていないだけかな?

 どうでもいいことを考えていると、次の飲み物が出される。お酒を作った後に、ショットグラスの様な小さなグラスに入れて、俺の前に出される。度としては強くないので、一口分を出しています、だってさ。

 ニオイを嗅ぐと、柑橘系……おそらくレモンの匂いがする。アルコール分も含まれているので、若干匂いが強く感じる。口に含むと、お酒の苦みとレモンの苦みに炭酸水の苦みがマッチして、良い感じになっている。その後に酸味が来てスカッとする感じかな?

 レモンサワーだから、揚げ物……鶏のから揚げとかあいそうだな!

 そう思っていると、飲兵衛の妻たち3人の机の上には、唐揚げが置かれており、俺と同じお酒を飲みながらぱくついていた。

 その後は、味が濃くなっていくと言えばいいのか、色々な果実を使ったお酒が振舞われた。普通に飲めたけど、わざわざ飲むほどではないかな? ドワーフたちの方を何となく見ると、既に空樽が7つもあった……飲みすぎだろ!

 呆れた表情をしていると、最後のお酒です! と、俺の目の前に出されたのは、緑色のお酒だった。ん~何のお酒だろうか? キウイはもう飲んだし、あれは最後に出すお酒じゃないしな……思いつかないが、口に運ぶとすぐに分かった。

 飲む時に微かに鼻に抜けた香りは、緑茶の匂いだ。緑茶割りってことか? しかも、王蜜が少し使われていて、ライウイスキーや緑茶の嫌な苦みが無くなり、心地のいい苦みだけが残っていると言えばいいのだろうか? とにかく飲みやすくて、後味も好きだな。

 それでも、出されれば飲むが、自分から飲もうとは思わないかな。

 俺はこんな感じだったのだが、妻たちの半数位は、これならミリーたちに付き合って飲むのも悪くないかな? みたいな感じで、自分の好みをブラウニーたちに伝えていた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...