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第1995話 フードロス問題
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「よ~し、頑張るぞ~!」
「「「お~~~!!」」」
うむ、さすがミーシャたちだ。俺のノリに合わせてくれる、いい子たちだ。ウルは少し恥ずかしそうにしながら、右手を上げてくれている。こんなお父さんですまんな、でも楽しくやりたいから、ちょっとだけ付き合ってくれ。
そして、特別ゲストのシンラ君、プラムちゃん、シオンちゃんだ!
この子たちが何でここにいるかと言えば、姉たちが楽しそうに準備を始めると、普段なら追いかけっこかベッドで眠るかのどちらかだったのだが、雰囲気を感じ取ったのか、シンラが参加を表明する。すると、プラムとシオンもついてきた形だ。
下の子たちは良く分かっていないのに参加なので、土遊びをさせておくことで姉たちの真似をしていると錯覚してもらうことになった。土をいじらせておけば、満足だろうと判断したのだ。ただ、口に入れてしまう可能性を否定できないので、子どもたちに影響の少ない土や粘土を準備している。
粘土を準備したのはなんとなくだ。シンラなら、自分の思い通りに形が変えられると分かれば、そっちに意識を持っていかれるかと思ってな。見張り役で、ケットシーとスライムたちがいるから、大きな問題は起こさないと思う。
特別講師のドリアード先生を迎えて、プランターでの栽培と畑での栽培は違うことを教えてもらった。大体同じ感じでいいかな? とか思っていた俺がバカだった。普通に考えれば分かるのだが、俺はプランターとは制限のある畑みたいな物だと思っていた。
だけど実際は全く違うのだ。プランターは、畑と比べて保水力が低いため、1日に数回の水やりが必要になるのに対して、畑は水やりをしなくても育つのだ。美味しく育てるために、水の量を調整することはあるが、素人には加減が分からないから推奨されない。
分かりやすい例として、トマトの話をされた。トマトは、果実を収穫する「果菜類」であり、「葉菜類」、「根菜類」に比べると栽培が難しいと言われている。水の有無で一番大きく味が変わるのが分かる野菜なんだってさ。
他にも色々あるが、ダンジョン農園でしっかりと分けて栽培しているのがトマトなので、それを使っての説明だとさ。
子どもたちも好きな野菜でトマトをあげるのだが、それはフルーツトマトと呼ばれている、甘いトマトがサラダとしてよく食卓に並ぶからである。
普通のトマトとフルーツトマトの違いは何か? と言われれば前にも話したが、水分量の違いだけなのだ。水分をギリギリまで制限して作ると、同じトマトでも甘い物とそうでないものが作れるのだそうだ。
そこまではいいのだが、トマトという野菜は予想以上に繊細で、収穫時期に雨が降ると、水をたくさん吸い上げてしまい、果実に水分を蓄えようとするため、簡単に割れてしまうのだとか。こちらの世界では関係ないが、日本では売り物にならないから大変なんだってな。
そう言った野菜でも、味に問題は無いので見た目にこだわらない、加工食品や調味料に使われている物もあるそうだが、多くの場合は廃棄してしまうのだとか。
食料自給率の低い日本で、何をやってるんだか? とか思うけど、一定の品質を保つための作業とはいえ、食品ロスに繋がるので何か対策は出来ないもんかね? 規格外商品でも、味の問題はないモノが多いのだから、加工食品に回すようなシステムは作れないのかね?
困窮している人たちだってそれなりにいるのだから、規格外商品でも安く買えるようなシステムができれば、お金に困る家庭には福音になったりしないかな?
日本にいない俺は、情報だけをこちらで見ていると、何となくバカバカしく感じてしまうことが多い。
見た目が多少悪くても味は変わらないのだから、ディストピアの主婦たちは日本では廃棄される野菜を好んで買う傾向がある。きれいな物に比べて、多少安くなっているからね。きれいな物は何処に行くかと言えば、少し高めの食堂やブラウニーたちの食堂に仕入れられている。
見た目にもこだわる必要のあるところに、卸されるということだ。保管技術が日本よりはるかに上だから、足りない物を畑エリアに注文して、余っている物は時間経過の無い倉庫で出番を待つ形なんだとか。
俺がドリアードとブラウニーに話を聞いている間も、娘たちは説明を受けながら土づくりに励んでいた。
姉たちが一生懸命頑張っている時に、シンラたちは……体中を泥まみれにして遊んでいる感じだな。本人的にはドヤ顔までしているので、会心の出来の作業なのだと思う。だけどさ……近くのスライムたちが、口の中に入らないように、手を都度キレイにしている、涙ぐましい努力を考えると申し訳ないく感じる。
プラムとシオンからは、何度も文句を言われている様子だが、子どもからの戯言だと受け流してくれる当たり、よくできた従魔たちである。
何で土づくりをしているのかというと、普通の土でも植物を育てることは可能だ。だけど、そうすると栄養が足りなかったりするため、プランターや畑にあった土づくりをすることが、農業の始まりと言ってもいいだろう。
プランターは、普通の土を使ったとしても、水をあげていると次第に細かい粒子の土は無くなっていき、水はけのいい土だけが残るようになる。その場合、植物の栽培に適さないこともあるので、植物を植える前に土を調整しておく必要があるのだ。
畑なら土を全部入れ替える……なんて真似は出来ないが、植物が育ちやすい栄養素を土に混ぜ込むことができるので、土づくりは大切である。
プランターも畑も追肥すること自体は、簡単である。何が難しいかと言えば、そのタイミングだろう。農家の人だったとしても、見極めが難しいこともあるようなので、素人の俺には良く分からない事情である。
プランターへの追肥は、1日数回の水やりで、成分の多くが流れ落ちてしまうこともあるので、根っ子付近に刺すタイプの液肥が初心者には使いやすいと思う。初めから与えるのではなく、成長が遅く感じたりした場合に使えばいいので、使い勝手がいいと思う。
ミーシャとスミレの土づくりは終わり、プランターにどんどん土を入れ始めた。
花畑の方では、ブルムとウルが畑になるエリアに肥料を撒いている。猫車に乗せられた肥料をスコップなどを使い全体に行き渡るように、頑張っているな。
まいた後は、スライムたちが一列になり、少し潜行して畑をほじくり返している。重機で混ぜるところを、スライムたちが担ってくれているみたいだな。
2~3日、土の様子を見てから、タネを植えることになった。
「「「お~~~!!」」」
うむ、さすがミーシャたちだ。俺のノリに合わせてくれる、いい子たちだ。ウルは少し恥ずかしそうにしながら、右手を上げてくれている。こんなお父さんですまんな、でも楽しくやりたいから、ちょっとだけ付き合ってくれ。
そして、特別ゲストのシンラ君、プラムちゃん、シオンちゃんだ!
この子たちが何でここにいるかと言えば、姉たちが楽しそうに準備を始めると、普段なら追いかけっこかベッドで眠るかのどちらかだったのだが、雰囲気を感じ取ったのか、シンラが参加を表明する。すると、プラムとシオンもついてきた形だ。
下の子たちは良く分かっていないのに参加なので、土遊びをさせておくことで姉たちの真似をしていると錯覚してもらうことになった。土をいじらせておけば、満足だろうと判断したのだ。ただ、口に入れてしまう可能性を否定できないので、子どもたちに影響の少ない土や粘土を準備している。
粘土を準備したのはなんとなくだ。シンラなら、自分の思い通りに形が変えられると分かれば、そっちに意識を持っていかれるかと思ってな。見張り役で、ケットシーとスライムたちがいるから、大きな問題は起こさないと思う。
特別講師のドリアード先生を迎えて、プランターでの栽培と畑での栽培は違うことを教えてもらった。大体同じ感じでいいかな? とか思っていた俺がバカだった。普通に考えれば分かるのだが、俺はプランターとは制限のある畑みたいな物だと思っていた。
だけど実際は全く違うのだ。プランターは、畑と比べて保水力が低いため、1日に数回の水やりが必要になるのに対して、畑は水やりをしなくても育つのだ。美味しく育てるために、水の量を調整することはあるが、素人には加減が分からないから推奨されない。
分かりやすい例として、トマトの話をされた。トマトは、果実を収穫する「果菜類」であり、「葉菜類」、「根菜類」に比べると栽培が難しいと言われている。水の有無で一番大きく味が変わるのが分かる野菜なんだってさ。
他にも色々あるが、ダンジョン農園でしっかりと分けて栽培しているのがトマトなので、それを使っての説明だとさ。
子どもたちも好きな野菜でトマトをあげるのだが、それはフルーツトマトと呼ばれている、甘いトマトがサラダとしてよく食卓に並ぶからである。
普通のトマトとフルーツトマトの違いは何か? と言われれば前にも話したが、水分量の違いだけなのだ。水分をギリギリまで制限して作ると、同じトマトでも甘い物とそうでないものが作れるのだそうだ。
そこまではいいのだが、トマトという野菜は予想以上に繊細で、収穫時期に雨が降ると、水をたくさん吸い上げてしまい、果実に水分を蓄えようとするため、簡単に割れてしまうのだとか。こちらの世界では関係ないが、日本では売り物にならないから大変なんだってな。
そう言った野菜でも、味に問題は無いので見た目にこだわらない、加工食品や調味料に使われている物もあるそうだが、多くの場合は廃棄してしまうのだとか。
食料自給率の低い日本で、何をやってるんだか? とか思うけど、一定の品質を保つための作業とはいえ、食品ロスに繋がるので何か対策は出来ないもんかね? 規格外商品でも、味の問題はないモノが多いのだから、加工食品に回すようなシステムは作れないのかね?
困窮している人たちだってそれなりにいるのだから、規格外商品でも安く買えるようなシステムができれば、お金に困る家庭には福音になったりしないかな?
日本にいない俺は、情報だけをこちらで見ていると、何となくバカバカしく感じてしまうことが多い。
見た目が多少悪くても味は変わらないのだから、ディストピアの主婦たちは日本では廃棄される野菜を好んで買う傾向がある。きれいな物に比べて、多少安くなっているからね。きれいな物は何処に行くかと言えば、少し高めの食堂やブラウニーたちの食堂に仕入れられている。
見た目にもこだわる必要のあるところに、卸されるということだ。保管技術が日本よりはるかに上だから、足りない物を畑エリアに注文して、余っている物は時間経過の無い倉庫で出番を待つ形なんだとか。
俺がドリアードとブラウニーに話を聞いている間も、娘たちは説明を受けながら土づくりに励んでいた。
姉たちが一生懸命頑張っている時に、シンラたちは……体中を泥まみれにして遊んでいる感じだな。本人的にはドヤ顔までしているので、会心の出来の作業なのだと思う。だけどさ……近くのスライムたちが、口の中に入らないように、手を都度キレイにしている、涙ぐましい努力を考えると申し訳ないく感じる。
プラムとシオンからは、何度も文句を言われている様子だが、子どもからの戯言だと受け流してくれる当たり、よくできた従魔たちである。
何で土づくりをしているのかというと、普通の土でも植物を育てることは可能だ。だけど、そうすると栄養が足りなかったりするため、プランターや畑にあった土づくりをすることが、農業の始まりと言ってもいいだろう。
プランターは、普通の土を使ったとしても、水をあげていると次第に細かい粒子の土は無くなっていき、水はけのいい土だけが残るようになる。その場合、植物の栽培に適さないこともあるので、植物を植える前に土を調整しておく必要があるのだ。
畑なら土を全部入れ替える……なんて真似は出来ないが、植物が育ちやすい栄養素を土に混ぜ込むことができるので、土づくりは大切である。
プランターも畑も追肥すること自体は、簡単である。何が難しいかと言えば、そのタイミングだろう。農家の人だったとしても、見極めが難しいこともあるようなので、素人の俺には良く分からない事情である。
プランターへの追肥は、1日数回の水やりで、成分の多くが流れ落ちてしまうこともあるので、根っ子付近に刺すタイプの液肥が初心者には使いやすいと思う。初めから与えるのではなく、成長が遅く感じたりした場合に使えばいいので、使い勝手がいいと思う。
ミーシャとスミレの土づくりは終わり、プランターにどんどん土を入れ始めた。
花畑の方では、ブルムとウルが畑になるエリアに肥料を撒いている。猫車に乗せられた肥料をスコップなどを使い全体に行き渡るように、頑張っているな。
まいた後は、スライムたちが一列になり、少し潜行して畑をほじくり返している。重機で混ぜるところを、スライムたちが担ってくれているみたいだな。
2~3日、土の様子を見てから、タネを植えることになった。
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