ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2038話 言葉って難しい

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 横領や賄賂も十分問題なのだが、それと同等くらいには問題視している、ハラスメント行為がそこでは横行していた。行っていた本人たちはその意識が無く、下の者たちが被害を被っていたパターンだったので、とにかく質の悪い状況だ。

 そしてなかなかに珍しいケースも……女が男にセクシャルハラスメント行為を行っていたことだ。

 この世界では当たり前で、黙認というよりは諦めに近い状況なのだとか。それでも貴族が関わらなければ、無理やりに犯されるようなことは稀なのだとか。だからといって、セクシャルハラスメントを許していい訳ではない。無理やりであれば、セクハラではなくただの強姦だ。

 おっと、誤解されがちなのだが、男性が女性に対して行えばセクハラで、女性が男性に行えば逆セクハラというが、本来はどちらかが行ったかで逆とかが決まるわけではない。セクハラとは、性的嫌がらせという意味なので、どちらに対しても、セクシャルハラスメントというのが正解だ。

 だけど、社会的地位は残念ながら男の方が高いことが多く、行う大半が男性上司から女性部下だったため、女性が男性に行うと逆セクハラと言われるようになった。それだけセクハラが横行していたのが原因ということだ。

 他にも、パワハラは当たり前にあったのだとか。トップの2人に隠れて行っていたため、気付けなかったのは仕方がないかもしれないが、予想より酷い状況であったため、ペナルティーを科すことになった。

 中でも酷かったのは、モラハラやレイハラだろう。

 モラハラは、モラルハラスメントの略語で、モラル……道徳・倫理に反したいやがらせで相手を精神的に追い詰める行為だ。

 レイハラは、レイシャルハラスメントの略語で、レイシャル……人種にまつわる差別をさす行為だ。

 特にレイハラは、酷かった。地球では、肌の色で○○人と呼ぶことは、差別に当たるが、こちらは獣人……獣の特徴を持った人も、エルフやドワーフの様な精霊種も、見た目だけで言えば地球とは比べ物にならないほど多く存在している。

 その中で圧倒的に数の多いヒューマンと呼ばれている、見た目は地球の人と変わらない感じの人たちだ。そのために、他種族を差別し下にみることが当たり前になっている。特に聖国の宗教のせいで、その傾向が強い西側にある街だったため、陰湿なことが多かったそうだ。


 差別に取られるかもしれないが、アメリカではアフリカ系や黒人が奴隷の子孫という歴史的な観点で、差別されることがあるそうだ。そのため、黒人という言葉も差別用語に当たる。肌の色で人を呼ぶのだから、差別であるのは間違いない。

 接点がほとんどなかったからだろうか、俺は黒人と聞くと、怖いというイメージがあるが、それは乱暴だったり危険だったりという意味ではない。純粋に強く見えるというものだ。

 遠目で見ていれば、特に人がそこにいるなと思うだけだが、近付くと強い感じがする。実際は分からないが、そう感じるのだ。これは、格闘家相手にも言えることだと思う。遠目で見ればいると感じるだけだが、近くで見れば筋肉の感じからして強そうと感じることが多いだろう。

 何が言いたいかと言えば、黒人というと俺からすると、身体的に優れている人たちの事を指す。だけど、その人たちを指す言葉が分からないので、自分の中では黒人と呼んでしまっている……ということだ。



 聖国のせいで獣人=奴隷の感性が拡大して、この街の庁舎でも獣人に対する陰湿な嫌がらせ、レイハラが行われていたのだ。

 無自覚にかかわっていたのが15人、自覚していたのが5人、横領の人間を含めると25人……庁舎の半数の人間が、ハラスメント行為をしていたのだ。

 自覚していた5人には、矯正プログラムを執行するらしい。それでも改善がみられなければ、解雇する流れだそうだ。思想や考え方は個人の自由なので、私生活にまで踏み込むことはしない。

 だけど、今回は職場でハラスメント行為を行ったため、介入する。考えることを止めろとは言わない。だけど、言葉に出したり態度に出して、他人に迷惑を与えるのであれば、本人だけの問題ではなくなるので、こういう対応になる。

 街の中でぼそっと言う分には取り締まることは無いが、それを大きな声で言ったりすれば捕まるのが俺の街だな。掴まるまでに、近くにいる人たちにボコボコにされるだろうけどな。

 良く分からないが、俺の街に住んでいる人間同士は結束が固い。よそ者が悪口というか、差別するような発言をすると、周りの人間が集まってきて、守ろうとすることが普通なのだとか。自画自賛になるが、いい街だと思う! よく頑張っているな、グリエルとガリアよ!

 っと、話がそれたな。

 無自覚だった15人は移動命令で、各街で再教育を行う。これで改善が無ければ、解雇となるそうだ。日本で言えば、注意されても問題行動を止めず、会社に不利益を与える人間みたいな物かな。

 とはいえ、いきなり庁舎の人間が半数になると、仕事が回らなくなる。特にここの庁舎は、街が大きくないので冒険者ギルドも兼任している。

 問題ない者とそうでない者をきっちりと分けて、補充人員が来るまで今の面子で対応するしかないだろう。

 一時的な派遣として、各街からヘルプに入ってもらい、この街や近隣の街、俺の街から就職希望者を募る感じになるかな。採用面接のときに、しっかりと差別について見極めるようにしないと、同じようなことが起こりそうだな。

 一通り対処が終わったところで息をつく。

「気付かなかっただけで、思っていた以上の問題がありましたね……」

 疲れた表情で話しかけてきたのは、ガリアだ。隣ではグリエルも同じような表情だ。俺も、似た表情をしているのかな。

「他の街は大丈夫でしょうかね?」

「横領や賄賂に関しては、目を光らせていますが、ハラスメント行為に関しては、少し注意が足りていないかもしれないですね」

「調べていくしかなさそうだな。グリエル、ガリア、監査している部署があったよな? そこに、今回の件を伝えて、秘密裏に調べる方法を検討させてくれ。今まで気付かなかったってことは、他の所も気付けない場所で行っている可能性はゼロじゃないからな」

「了解しました。おそらく人手が足りなくなるので、暗部にも協力要請をしてもいいですか?」

 あの部署は、人があまり多くなく、基本的には書類担当の人間が多いからな。実働部隊というか、ひっそりと調べるには暗部の人間が適当だろう。グリエルに許可を出す。

 もしハラスメント行為があれば、しっかりと調べて今回と同じように対処するようにしていこう。
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