ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2067話 どんどんと作業をしていこう

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 シンラのお風呂の世話をして無駄に疲れた次の日、土木組が積み上げた丘? を見ている。仁王立ちの様な姿で、どう整地していこうか悩んでいるところだ。

 本当は子どもたちを連れてくるつもりは無かったのだが、運動できる場所は俺たちの馬車があり、野営地化しているのでそこで遊ばせておくと、俺がシルキーたちに怒られるので、仕方がなく連れてきた形だ。

 子どもたちの足では俺たちの移動速度についてこれないので、下の子たちはスライムに乗って移動している。まんまスライム〇イトだな。ある程度スライムがバランスをとってくれるからといって、バランスボールに乗っているようなものだ……この子たちの体幹がすごいことになっていそうだな。

 普段俺に興味のきの字も見せないプラムとシオンだが、俺が仁王立ちして考えている横で考えているふりをしているシンラに付き添って、俺の仕事を見に来ている形だ。これだけ言うと、興味を持たれていないように見えるが、土木組も関係しているので興味があるような仕草が見られる。

 これで俺だけだったら、こんな表情をしていないんだろうな。

 さて、子どもたちはウルに任せて、危ない事をしないようにな! 俺たちは、拠点づくりを始めようじゃないか。

 頂上に作るのは、食堂などを中心とした大人数で集まれる広い空間のある建物が真ん中で、その周りに土木組の子たちが滞在する場所、俺たちが滞在する場所、治療院の関係者が滞在する場所が併設される形だったな。大きさは……だいたい決まったんだな。

 俺たちの滞在場所の1階を鍛冶工房のようにするつもりだったけど、反対側の土木組たちの場所にお風呂を作る形になったので、防音性を高めた工房を土木組と治療院関係者の建物にくっつける形だな。

 凸の形で建物が配置される予定だったが、空白の左上の部分に鍛冶工房を設置するのがいいだろうという話だ。じゃぁ、元々鍛冶工房を造ろうとしていた右の部分は? と思ったが、そこは倉庫になるようだ。

 食堂に近い部分は食料庫になるだろうが、端の部分は武具が置かれることになるのではないか? とのことだ。きちんと区画分けをして壁を作るから問題ないだろうが、食料の近くに訓練に使われるであろう武具は置きたくないな。

 訓練用は……運動場の近くに作るのがいいんじゃないかな?

 概要を簡単に話し合ったので、拠点用に整地を始めていこう。

 昨日は特に何も考えずに山になるように盛っておいてもらったので、これを均す作業からだな。

 久々に気合を入れていたのだが、土木組の子たちがササッと移動して、山を囲むように配置された。

 っとマジかい!

 俺は自分の感覚がおかしくなったかと思うような出来事に直面する。3~4人までならユニゾンマジック……魔法を合わせられることは知っていたが、土木組の子たちは15人でユニゾンマジックを行ったのだ。

 ただ規模を大きくするだけではなく、魔力でブーストするメンバーと形を整えるメンバーと統括するメンバーにわかれて魔法を使っていた。

 細かい作業の得意な子、出力は高いけど細かいことが苦手な子、全てをまとめ上げて1つの魔法として完成さる子……自分たちにあった立場で仕事をしているみたいだな。

 妻たちの中でも魔法が得意なライムが目を丸くしていたのは、面白かったな。結構クールなのであんな表情を見せることは無いからね。いい物を見せてもらったよ。

 土木組の子たちが形作ったのは……3段にわけられて段差になっている……部分的なピラミッドとでもいえばいいのだろうか? そんな形だった。ピラミッドなら上に行くほど狭くなるが、土台部分だけしかないような形なので、天辺はかなりスペースに余裕があるね。

 形作りは土木組がしてくれたから、俺たちは細かい部分を作っていこうか。

 段差のままにしておくと落ちる人が出そうなので、少し急だが坂になるように土を盛る。段差の部分に余裕があったので、土を盛っても4人位なら並んで走れるくらいのスペースが全体にあるな。子どもたちには坂は危ないが、大人なら問題ないだろう。

 そんな坂でスライムに乗って滑っているシンラたちがいるけど、見なかったことにしてウルに耳打ちする。あんまり遊んでいるとシルキーたちに怒られるって伝えてきてもらうように……

 それを聞いた瞬間に、周りをキョロキョロと見るのだから、シンラたちもシルキーたちの怖さを分かっているようだな。って、元々俺よりシルキーたちの指示の方が、効果があったからこれくらいは普通か。

 階段を作ったりしたが、土と石だけなので見た目がね……坂になっている部分は、芝生のように短い草が生えている感じが良くないか? ちょっと土手みたいな感じになるけど、悪くないと思うんだよね。

 シンラたちが滑っていたのを見て、何となく川原の土手をイメージしてみたくなったのだ。この周りは水堀になっているし、シチュエーション的には悪くないんだじゃないか? 水堀に落ちないように高めの壁は建てるので、台無しかもしれないけど……

 よし、周りは俺がダンジョンマスターの能力でやっておくから、拠点を建てるための基礎工事をみんなにお願いするよ。設計図があるだろうから、それに沿ってまず枠に線を引いといてくれないかな?

 そう言ってお願いすると、俺以外の全員が移動してしまった。シンラたちも移動してしまい、面倒を看ているミーシャたちも一緒に移動してしまったのだ。

 両足の甲に何やら重さを感じる。ふと視線を下げると……そこには、俺の足の甲をポンポンとしている、白い毛玉の塊と亀がいた。

 ダマとシエルが俺を慰めるためか、ポンポンしてくれているようだな。

 うん、もっと空しくなるからポンポンしないでくれ。さっさと仕事を終わらせてみんなと合流すればいいだけだからな!

 ポチポチと操作をして、坂にした部分に土手の様な雑草を生やして、すぐに階段を駆け上がった。1人が寂しかったから、急いだってしょうがないよね!

 建築関係は、リンドが指揮をとっているみたいだな。その様子をブルムがキラキラした目でみている。長年ヴローツマインで技術集団のトップをやっていただけあるな。指示が的確なのかは分からんが、ドンドンと仕事が進んでいく様子は凄いと思う。

 これが地球だったら、もっと違う手順を踏まないといけないのだろうが、魔法のある世界ではいくつも工程を飛ばして作業するので、ありえない位のスピードで建築とかが進むんだよね。

 横から口を出せるほど精通しているわけでもないので、ミーシャたちの横に並んで座り、妻たちと土木組の子たちの様子を眺めることにした。
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