2,169 / 2,518
第2169話 訓練Part11
しおりを挟む
シュリが突っ込んだ後魔法が着弾し、その穴を広げるためにアリスとリリーも舞い降りた。
シュリとリリーは、きっちりと受け止め反撃をしているが、アリスは2人より小さな盾で、踊るような滑らかさで敵の攻撃を逸らしながら反撃している。アリスは2人に比べて器用なので、こっちの戦法を選んだんだろうな。
攻撃も正面から受けていれば、疲れが溜まり体力が削られていくので、緩急をつけて動くことで攻撃をかわしつつ休みを入れ、消耗を抑えているように見える。シュリとリリーも、防御や攻撃の合間にしっかりと休みを入れ、可能な限り回復に努めているのが分かる。
ピーチより全力でという指示が出ているので、維持できる最大限のパフォーマンスをするために、しっかりと自分のペースを作りだしている。遊撃部隊は一番疲れるがヒット&ウェイで、一、二撃入れてから離脱を繰り返している。
タンクは持久走のように戦っていると表現してもいいだろう。それに対し遊撃は、インターバルのような戦い方と表現するべきだろう。どちらの方が疲れるとは一概には言えないが、後者の方が消耗は激しいだろう。
チャンスがあれば飛び込んで攻撃し戻ってくる。戻ってきている間は、体を休めてはいるが臨戦態勢は解除できない。休んでいても、いつでも動けるように待機している状態なので、上手く休まないと自滅してしまうだろう。
魔法組は、遊撃部隊が突っ込むための隙を作るために魔法を撃ったり、遊撃部隊が逃げやすいように牽制したりするため、集中力は一番使っているかもしれない。複数人で負担しているとはいえ、常に気が抜けないので精神的に疲れる位置かもしれないな。
そういう意味では、ヒーラーが一番余裕があるのかもしれないが、集団戦の生命線なので、やはりと言っていいのか魔法や矢で狙われるため、守りにも力を割きながら回復をしている感じだな。
簡単な回復魔法なら、ここにいる全員が使えるが、他の行動にリソースを割くのは現状ではありえないので、体力の維持などはピーチ・キリエ・ネルの3人が行っている。
俺は、殿に近い位置で魔法を使いながら、みんなを合流させる役目を担っている。近接攻撃はしないようにしているが、近付かれてしまえば格闘で対応している。素手でも兵士たちの相手をできると考えると、なんか兵士が可愛そうになってくるな。
でも、手加減するつもりは無い。支給品と言っても高級品質ではあるのでしっかりと守れる盾のはずが、脆い石のようにボロボロにかけてしまっている。弁償させることは無いから、思う存分使い潰してくれたまえ。
鎧にも拳型の跡が残り、内臓損傷まではいかないが、骨折はしているであろう攻撃を遠慮なく叩き込んでいる。このせいで首より上は攻撃できない。それをしてしまえば、下手をすると死んでしまう可能性があるから使っていない。
みんなを追いかけながら殿を維持して、敵を近寄らせないように何とか頑張っている。みんなと合流してしまえば俺の負担は減るので、瞬間瞬間で全力を出している。
魔力に余裕はあるな。回復は追いついていないが、この消費量であれば1日は軽くもたせることができるだろう。とはいえ、ジリ貧の状況には変わりはないからな。タイダルウェーブで押し流したり、魔法でダメージを与えているとはいえ、向こうは戦闘不能と判断された兵士はほとんどいない。
広範囲に使う魔法では、決定力にかけてしまうため、一時的に数を削る効果しかない。時間が経てば、回復魔法で復活してくるのだ。
可能な限りで全力を出し始めてからは、半々くらいで戦闘復帰不能にしてはいるが、絶対数の差でどうにもならないのが問題だな。魔力はもっても時間が経てば経つほど、こっちの集中力は低下するし、精神力も削られていく。
とにかく、不利な状況としか言えないのだ。
始まる前はここまで苦戦させられるとは思ってなかった……
予想以上に兵士たちの練度が高かったんだろうな。油断をしていたのもある。すべてが負の方向へ働きかける要因となってしまったのだろう。
シュリが気絶させた部隊には追撃の魔法を使い、戦闘不能判定を出しておいた。こっちの素性がバレているので、この魔法で兵士たちは戦闘不能になったと判断されるだろう。魔法でマーキングもしているので、戦場に戻ってきたらすぐに分かるようにしている。
こういった無駄な魔力も使ってしまっているので、こっちには不利になってしまっているんだよな。こういった乱戦の場合って、出動してもらっている暗部たちが判定を下す前に助けられてしまうことがあるので、しっかりとマークをつけておかないと、復帰してくるんだよね……
強い方が配慮しなければ、ただの虐殺になりかねんからな。
ってかさ、今更だけど……この訓練の終了目標が無くねえか? いつもは、俺たちが全員倒すか倒されるかで終わりにしているけど、今回ってそれすると大変なことにならんか?
「レイリー! 今回の終了目標がない。人数もいつもの数倍いることを考えると、この訓練が数日続くことになる。どうする?」
俺の声を聞いた全員がハッとした表情になる。それは、妻たちだけでなく兵士たちも同じ表情だ。
戦闘中なのに、この場の時間が停まったかのように、動くことが無かった。
「目を覚ませ! 戦闘中だぞ!」
唯一動ける俺が、拡声魔法を使って全体に聞こえるように、爆音と言ってもいい音量で活を入れる。
全員が最悪の想定をしたのだろうが、兵士たちには少なくとも休む時間がある。戦闘をこのまま続けるなら、俺たちには休む時間がない。圧倒的不利だが、いざとなれば魔法で地面を掘ってこもれば時間は稼げるだろう。
だけど、訓練と考えるとこの方法は、本当に意味がない。逃げられる前提で考えれば、負けることは無いからね。
今更だけど、思い付きで訓練なんてするもんじゃないな。
それよりレイリーから連絡が戻ってこないんだが……
『訓練中の全員に告げる。今回の訓練は、日没まで。後2時間は無いと思われる。勝敗の判定は、部隊の損耗率で判定を下す。これより、気絶した人間も戦闘不能判定とし、戦闘復帰を禁止するものとする』
おっと、こっちに圧倒的有利な条件だな。
「みなさん、後2時間だそうですよ。本当の意味で出し惜しみなしです」
そのセリフに顔を青くしたのは、兵士たちだった。
シュリとリリーは、きっちりと受け止め反撃をしているが、アリスは2人より小さな盾で、踊るような滑らかさで敵の攻撃を逸らしながら反撃している。アリスは2人に比べて器用なので、こっちの戦法を選んだんだろうな。
攻撃も正面から受けていれば、疲れが溜まり体力が削られていくので、緩急をつけて動くことで攻撃をかわしつつ休みを入れ、消耗を抑えているように見える。シュリとリリーも、防御や攻撃の合間にしっかりと休みを入れ、可能な限り回復に努めているのが分かる。
ピーチより全力でという指示が出ているので、維持できる最大限のパフォーマンスをするために、しっかりと自分のペースを作りだしている。遊撃部隊は一番疲れるがヒット&ウェイで、一、二撃入れてから離脱を繰り返している。
タンクは持久走のように戦っていると表現してもいいだろう。それに対し遊撃は、インターバルのような戦い方と表現するべきだろう。どちらの方が疲れるとは一概には言えないが、後者の方が消耗は激しいだろう。
チャンスがあれば飛び込んで攻撃し戻ってくる。戻ってきている間は、体を休めてはいるが臨戦態勢は解除できない。休んでいても、いつでも動けるように待機している状態なので、上手く休まないと自滅してしまうだろう。
魔法組は、遊撃部隊が突っ込むための隙を作るために魔法を撃ったり、遊撃部隊が逃げやすいように牽制したりするため、集中力は一番使っているかもしれない。複数人で負担しているとはいえ、常に気が抜けないので精神的に疲れる位置かもしれないな。
そういう意味では、ヒーラーが一番余裕があるのかもしれないが、集団戦の生命線なので、やはりと言っていいのか魔法や矢で狙われるため、守りにも力を割きながら回復をしている感じだな。
簡単な回復魔法なら、ここにいる全員が使えるが、他の行動にリソースを割くのは現状ではありえないので、体力の維持などはピーチ・キリエ・ネルの3人が行っている。
俺は、殿に近い位置で魔法を使いながら、みんなを合流させる役目を担っている。近接攻撃はしないようにしているが、近付かれてしまえば格闘で対応している。素手でも兵士たちの相手をできると考えると、なんか兵士が可愛そうになってくるな。
でも、手加減するつもりは無い。支給品と言っても高級品質ではあるのでしっかりと守れる盾のはずが、脆い石のようにボロボロにかけてしまっている。弁償させることは無いから、思う存分使い潰してくれたまえ。
鎧にも拳型の跡が残り、内臓損傷まではいかないが、骨折はしているであろう攻撃を遠慮なく叩き込んでいる。このせいで首より上は攻撃できない。それをしてしまえば、下手をすると死んでしまう可能性があるから使っていない。
みんなを追いかけながら殿を維持して、敵を近寄らせないように何とか頑張っている。みんなと合流してしまえば俺の負担は減るので、瞬間瞬間で全力を出している。
魔力に余裕はあるな。回復は追いついていないが、この消費量であれば1日は軽くもたせることができるだろう。とはいえ、ジリ貧の状況には変わりはないからな。タイダルウェーブで押し流したり、魔法でダメージを与えているとはいえ、向こうは戦闘不能と判断された兵士はほとんどいない。
広範囲に使う魔法では、決定力にかけてしまうため、一時的に数を削る効果しかない。時間が経てば、回復魔法で復活してくるのだ。
可能な限りで全力を出し始めてからは、半々くらいで戦闘復帰不能にしてはいるが、絶対数の差でどうにもならないのが問題だな。魔力はもっても時間が経てば経つほど、こっちの集中力は低下するし、精神力も削られていく。
とにかく、不利な状況としか言えないのだ。
始まる前はここまで苦戦させられるとは思ってなかった……
予想以上に兵士たちの練度が高かったんだろうな。油断をしていたのもある。すべてが負の方向へ働きかける要因となってしまったのだろう。
シュリが気絶させた部隊には追撃の魔法を使い、戦闘不能判定を出しておいた。こっちの素性がバレているので、この魔法で兵士たちは戦闘不能になったと判断されるだろう。魔法でマーキングもしているので、戦場に戻ってきたらすぐに分かるようにしている。
こういった無駄な魔力も使ってしまっているので、こっちには不利になってしまっているんだよな。こういった乱戦の場合って、出動してもらっている暗部たちが判定を下す前に助けられてしまうことがあるので、しっかりとマークをつけておかないと、復帰してくるんだよね……
強い方が配慮しなければ、ただの虐殺になりかねんからな。
ってかさ、今更だけど……この訓練の終了目標が無くねえか? いつもは、俺たちが全員倒すか倒されるかで終わりにしているけど、今回ってそれすると大変なことにならんか?
「レイリー! 今回の終了目標がない。人数もいつもの数倍いることを考えると、この訓練が数日続くことになる。どうする?」
俺の声を聞いた全員がハッとした表情になる。それは、妻たちだけでなく兵士たちも同じ表情だ。
戦闘中なのに、この場の時間が停まったかのように、動くことが無かった。
「目を覚ませ! 戦闘中だぞ!」
唯一動ける俺が、拡声魔法を使って全体に聞こえるように、爆音と言ってもいい音量で活を入れる。
全員が最悪の想定をしたのだろうが、兵士たちには少なくとも休む時間がある。戦闘をこのまま続けるなら、俺たちには休む時間がない。圧倒的不利だが、いざとなれば魔法で地面を掘ってこもれば時間は稼げるだろう。
だけど、訓練と考えるとこの方法は、本当に意味がない。逃げられる前提で考えれば、負けることは無いからね。
今更だけど、思い付きで訓練なんてするもんじゃないな。
それよりレイリーから連絡が戻ってこないんだが……
『訓練中の全員に告げる。今回の訓練は、日没まで。後2時間は無いと思われる。勝敗の判定は、部隊の損耗率で判定を下す。これより、気絶した人間も戦闘不能判定とし、戦闘復帰を禁止するものとする』
おっと、こっちに圧倒的有利な条件だな。
「みなさん、後2時間だそうですよ。本当の意味で出し惜しみなしです」
そのセリフに顔を青くしたのは、兵士たちだった。
0
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる