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第2168話 訓練Part10
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嫌な予感が消えないまま、俺たちは壁や全豪のある敵陣へ着いてしまった。さすがにこのまま進むのはためらわれたので、ピーチに声をかける。
「ピーチ、すまないが、相手の陣地を一部更地にしていいか?」
「……一応理由を聞いてもよろしいですか?」
「たいそうな理由じゃないんだけど、少人数に対する防衛としては、壁や塹壕は不適切だと思うんだ。そのことを考えると、嫌な予感がするから、視界だけでも確保しておきおきたいんだよ」
確かに状況は有利に働くのだが、ここまで俺たちの嫌がることを的確にしてきたのに、ここにきて自分たちの不利になるフィールドを作るのには違和感があるのだ。勘でしかないが、もやもやが晴れないと、なんかこうね……
「シュウ様の言いたいことも一理ありますね。私たちクラスになれば、狭い所の方が戦いやすいですし、休憩できるようになると思い進んでいましたが……言われてみれば確かにこのエリアは不自然ですね。分かりました。足場はしっかりとさせておきたいので、土魔法でお願いしていいですか?」
「俺の勘でしかないけど、ありがとな。じゃぁ魔法を使う」
ピーチからの指示を聞いて、土魔法である一定範囲を更地へ変えた。見た目的には、何かしかけられている様子は無いが、壁と塹壕があったにしては、中の敵の配置が偏っているように見える。塹壕の中に隠れていた奴は、本当の敵なら埋めても良かったのだが、さすがに埋めて殺すのは無いので、持ち上げた形だ。
エリアで待っていた敵部隊の兵士たちは驚いているが、指揮官がしっかりと指示を出すことで、ほぼ全員が立て直すことができ、迎撃態勢が整えられている。
嫌な予感は無くなっていないが、視界が確保できている分さっきより気分的にマシだな。妻たちの反応はいいが、疲れが溜まってきている土木組は、若干しんどそうな顔になってしまった。
戦闘がメインじゃない土木組の子たちが大変なのは分かっている。でも、違和感だけは最低限潰しておきたかったんだ。本当にごめんよ。
そして、思っている以上にこのエリアは大きく作られており、300メートルほどを更地にしたのだが、まだ先に壁や塹壕が見えている。短時間でどれだけの範囲を要塞化したんだ?
少し安心したのだが、さらに訳の分からない状況が出てきてしまい、また悩んでしまっている。
「シュウ様、お悩みなのは分かりますが、相手の思惑は考えても分かりません。でしたら、私たちは私たちのできることをしましょう。負けても死ぬわけではありません。向こうの戦略が優れていたというだけです。その作戦を思い付いた、指揮官を褒めましょう。
とはいえ、簡単に負けるつもりはありません。私たちの強み……出し惜しみなしで、押しつぶしましょう」
ピーチが俺にそう言ってきた。
確かに死ぬわけではない。負けるのは悔しいが、負けることも想定はしていた。レイリーは、レベルを引き上げて気を引き締めたいといっており、こちらが勝てるようにしてくれたが、今回の守りの作戦は今の所満点をあげられるレベルの物だ。
作戦は満点でも、兵士たちの気が緩んでいたのは確かなので、そこをしめなおす必要はあるが、本当に上手くやっていると思う。
やるからには最善を尽くす……ピーチの言った通り、力押しで行く方針が決まった。
限られた範囲内で全力でやるつもりだったのだが、まさかピーチがあの指示を出すとは思ってなかった。
「前衛の皆さん、指示をしたら咆哮のスキルを使用してください。後は、降参した人は放置で、それ以外は戦闘不能にしてください。風魔法『拡声』……敵の皆さんに伝えます。これは訓練ですが、これからは本気で戦うことにします。そちらも全力でかかってきてください。スキル発動!」
咆哮とは、獣などが激しく吠えることをさすが、スキルの咆哮は、威圧のような効果を発揮して、更に聞いたモノたちとの実力差で、相手に恐怖心を埋め込むスキルだ。挑発と同じく、精神や心に直接働きかけるスキルなので、強い意志があれば実力差があっても防ぐことが可能だ。
防げたとしても実力差が埋まるわけではないので、精神力などで耐えた所で少数の闘いであれば、負けは確定だろう。今回は人数がいるので問題なく戦える人数が残るだろう。
距離にもよるが、前に出てきている部隊の新兵の半数は、使い物にならなくなるだろう。
一番被害が大きいのは、シュリの周囲にいる部隊だな。その次がアリスで、リリーの順かな? これに俺も加わっていたら、更に被害は大きかっただろう。俺は、前衛ではなく後衛として戦っているので、咆哮は使っていない。
後、魔物にはあまり効果のないスキルなんだよね。理由は良く分かっていないが、通常の殺気や威圧には反応するのに、咆哮のスキルを使っても大して反応を示さないんだよね。音量がデカければ、耳を傷めるがそれだけなのだ。
対人スキルに近いということなのだろう。それとは真逆で挑発スキルは、人間にはあまり効果がないが、魔物にはよく通じるスキルである。
銃の威力を激減させられる世界だし、スキルという訳の分からん法則がある世界だ。何が起こってもおかしくないということだな。
あらら、シュリの咆哮をもろに受けた部隊……半壊どころか、全壊してるな。決して兵士たちも弱いわけではないのだが、シュリの咆哮だからな……下手したら同レベルの人間でも、竦んで動けなくなってしまう強さなので、新兵だけではなく分隊の隊長も倒れてるな。
立て直される前に進むべきだよな?
ピーチの方を確認すると、前に進むように指示が出ている。シュリが担当していた位置なので、ほぼすべての兵士が倒れている。方向の威圧に負けて、気を失ってしまったのだ。そいつらを踏み越えて、シュリが近付いてきている分隊の前に飛び降りる。
すぐさまフォローをするように、魔法組からは爆発系と石礫の魔法が撃ち込まれている。
近距離で使えば、こちらにも被害が出るのだが、こっちのタンクはシュリなので全部防いでくれるという信頼から、自爆に近い攻撃も問題なく使うことができる。
後で文句を言われるだろうけど、最適解に近い答えなので、今は怒っている様子は無い。淡々と自分の役割をこなすために、武器を振るっている。戦闘においては、一番頼れる存在だな。
「ピーチ、すまないが、相手の陣地を一部更地にしていいか?」
「……一応理由を聞いてもよろしいですか?」
「たいそうな理由じゃないんだけど、少人数に対する防衛としては、壁や塹壕は不適切だと思うんだ。そのことを考えると、嫌な予感がするから、視界だけでも確保しておきおきたいんだよ」
確かに状況は有利に働くのだが、ここまで俺たちの嫌がることを的確にしてきたのに、ここにきて自分たちの不利になるフィールドを作るのには違和感があるのだ。勘でしかないが、もやもやが晴れないと、なんかこうね……
「シュウ様の言いたいことも一理ありますね。私たちクラスになれば、狭い所の方が戦いやすいですし、休憩できるようになると思い進んでいましたが……言われてみれば確かにこのエリアは不自然ですね。分かりました。足場はしっかりとさせておきたいので、土魔法でお願いしていいですか?」
「俺の勘でしかないけど、ありがとな。じゃぁ魔法を使う」
ピーチからの指示を聞いて、土魔法である一定範囲を更地へ変えた。見た目的には、何かしかけられている様子は無いが、壁と塹壕があったにしては、中の敵の配置が偏っているように見える。塹壕の中に隠れていた奴は、本当の敵なら埋めても良かったのだが、さすがに埋めて殺すのは無いので、持ち上げた形だ。
エリアで待っていた敵部隊の兵士たちは驚いているが、指揮官がしっかりと指示を出すことで、ほぼ全員が立て直すことができ、迎撃態勢が整えられている。
嫌な予感は無くなっていないが、視界が確保できている分さっきより気分的にマシだな。妻たちの反応はいいが、疲れが溜まってきている土木組は、若干しんどそうな顔になってしまった。
戦闘がメインじゃない土木組の子たちが大変なのは分かっている。でも、違和感だけは最低限潰しておきたかったんだ。本当にごめんよ。
そして、思っている以上にこのエリアは大きく作られており、300メートルほどを更地にしたのだが、まだ先に壁や塹壕が見えている。短時間でどれだけの範囲を要塞化したんだ?
少し安心したのだが、さらに訳の分からない状況が出てきてしまい、また悩んでしまっている。
「シュウ様、お悩みなのは分かりますが、相手の思惑は考えても分かりません。でしたら、私たちは私たちのできることをしましょう。負けても死ぬわけではありません。向こうの戦略が優れていたというだけです。その作戦を思い付いた、指揮官を褒めましょう。
とはいえ、簡単に負けるつもりはありません。私たちの強み……出し惜しみなしで、押しつぶしましょう」
ピーチが俺にそう言ってきた。
確かに死ぬわけではない。負けるのは悔しいが、負けることも想定はしていた。レイリーは、レベルを引き上げて気を引き締めたいといっており、こちらが勝てるようにしてくれたが、今回の守りの作戦は今の所満点をあげられるレベルの物だ。
作戦は満点でも、兵士たちの気が緩んでいたのは確かなので、そこをしめなおす必要はあるが、本当に上手くやっていると思う。
やるからには最善を尽くす……ピーチの言った通り、力押しで行く方針が決まった。
限られた範囲内で全力でやるつもりだったのだが、まさかピーチがあの指示を出すとは思ってなかった。
「前衛の皆さん、指示をしたら咆哮のスキルを使用してください。後は、降参した人は放置で、それ以外は戦闘不能にしてください。風魔法『拡声』……敵の皆さんに伝えます。これは訓練ですが、これからは本気で戦うことにします。そちらも全力でかかってきてください。スキル発動!」
咆哮とは、獣などが激しく吠えることをさすが、スキルの咆哮は、威圧のような効果を発揮して、更に聞いたモノたちとの実力差で、相手に恐怖心を埋め込むスキルだ。挑発と同じく、精神や心に直接働きかけるスキルなので、強い意志があれば実力差があっても防ぐことが可能だ。
防げたとしても実力差が埋まるわけではないので、精神力などで耐えた所で少数の闘いであれば、負けは確定だろう。今回は人数がいるので問題なく戦える人数が残るだろう。
距離にもよるが、前に出てきている部隊の新兵の半数は、使い物にならなくなるだろう。
一番被害が大きいのは、シュリの周囲にいる部隊だな。その次がアリスで、リリーの順かな? これに俺も加わっていたら、更に被害は大きかっただろう。俺は、前衛ではなく後衛として戦っているので、咆哮は使っていない。
後、魔物にはあまり効果のないスキルなんだよね。理由は良く分かっていないが、通常の殺気や威圧には反応するのに、咆哮のスキルを使っても大して反応を示さないんだよね。音量がデカければ、耳を傷めるがそれだけなのだ。
対人スキルに近いということなのだろう。それとは真逆で挑発スキルは、人間にはあまり効果がないが、魔物にはよく通じるスキルである。
銃の威力を激減させられる世界だし、スキルという訳の分からん法則がある世界だ。何が起こってもおかしくないということだな。
あらら、シュリの咆哮をもろに受けた部隊……半壊どころか、全壊してるな。決して兵士たちも弱いわけではないのだが、シュリの咆哮だからな……下手したら同レベルの人間でも、竦んで動けなくなってしまう強さなので、新兵だけではなく分隊の隊長も倒れてるな。
立て直される前に進むべきだよな?
ピーチの方を確認すると、前に進むように指示が出ている。シュリが担当していた位置なので、ほぼすべての兵士が倒れている。方向の威圧に負けて、気を失ってしまったのだ。そいつらを踏み越えて、シュリが近付いてきている分隊の前に飛び降りる。
すぐさまフォローをするように、魔法組からは爆発系と石礫の魔法が撃ち込まれている。
近距離で使えば、こちらにも被害が出るのだが、こっちのタンクはシュリなので全部防いでくれるという信頼から、自爆に近い攻撃も問題なく使うことができる。
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