ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2230話 遺跡の探検開始

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 お揃いの服を着た子どもたちは、隊長っぽい少しゴージャスな探検服を着ているウルを先頭に、遺跡群の中へ入っていく。ゴージャスというか、着けているネッカチーフやエンブレムが違うみたいだな。こんなに細かく準備したのは……妻たちみたいだな。

 少し遠くで望遠カメラを使って、子どもたちの写真を撮っている。

 おっとシンラよ、その格好ならこの木の枝を持つんだ。この前、ユグドラシルからもらった枝だぞ。たまにくれるんだけど、使い道が無いのでこういう時に使ってあげないとね。

 ユグドラシルが枝をくれるのは自分で剪定しており、素材として使えるので俺たちに渡してくれるのだ。そのまま下に落とすと大惨事になるので、俺たちに渡してくるのだ。有り余っているので、その枝でシンラが振り回せそうな物を渡している。

 ウルやミーシャたちはレベルが上がっているので、それ相応の体力もあるので、シンラたちのスライムの騎乗移動でも問題なくついていける。シンラたちもレベルはあげているが、足の長さ諸々の関係で速度がでないのと、子どもの所為か疲れが溜まりやすいのでスライムでの移動だ。

 ウルが先頭を歩き、その横をシンラが進んでいる。一番前を進みたいであろうシンラは、ウルに先に行ったらお母さんたちを呼ぶよと言われて、前に行こうとしていたのを止めている。まだトラウマになってるみたいだな。

 俺の言うことは聞かないけど、ウルの言うことなら聞くみたいだな。今なら俺でも同じことができたかね?

 俺もゆっくり見て回りたいけど、子どもたちについていないといけないので、1人でゆっくり見るのは無理だな。周りを見てたら子どもたちに置いてかれそうだから、しっかりと見てないとな。

 そんなことを考えていると、隣に久々に見たギンが近くで寄り添ってきて、首輪につかまるように促してきた。何かと思えば、掴まっていれば移動するから、気になるところがあれば引っ張っていくぞ! みたいな感じで言っている気がする。

 後ろにはクロが待機しているので、遅れたら押してくれるみたいだな。

 これで俺も少しは楽しめそうだな。プラムたちと話しているミーシャたちに声をかけて、もし遅れそうになったら呼ぶようにお願いした。もう1つセーフティがあれば、大丈夫かもしれないな。

 遺跡群の中に入っていくと、外から見ている時と全く違う面を見せてくれた。

 同じ遺跡群でも見る位置でこんなに変わるんだな……

 そう考えると同時に、中学生の時の登山の事を思い出した。

 かなり遠くから見る山と登る時の山は、まったく違う顔を見せるからな。そのことを思い出し、眺める楽しみと中に入ってからの楽しみがあることを思い出す。

 ということは、子どもたちには悪いが、楽しめる部分は俺も楽しませてもらおう。本物と違うので、自由に触っていいのが今回の良いところだよな。

 それにしても、滅んでから何世紀も経っているのに、土台が綺麗に残っているもんだな。壁も残っている場所もあるし、こういう建築だと残らない気がするんだけど、それは日本人の感覚なんだろうな。

 風化が進みにくいのかは分からないが、日本では地震があるから崩れそうな気がするんだよな……あれ? そう言えば、日本の城に使われている石垣も何百年も耐えてる奴があったな。中には崩れてしまったのもあるけど、かなり頑丈なイメージがあるな……

 でも、家や塀だと考えると、長く耐えている気がするんだよな。

 俺は考古学者とかではないので、細かい事を考えることは無いよな。なんとなく自己満足で考察するから面白いんだよな。

 こんなところでどうやって生活してたんだろうな。山の上だから井戸なんて掘っても水は出ないだろうし、水源らしい水源が無いけど……水の確保はどうしてたんだろ? 雨水をためてろ過と化して飲んでたのかね?

 パッと見た感じ、水路は見当たらないのに、水の流れている場所があるのは何でだ? やっぱり溜めた水を流しているのかな。

 食料は畑を近くに作ってたのかね? 見れば見るほど不思議な都市だな。

 正解が欲しいわけじゃないけど、どんな風に生活していたのかとか考えるのって面白いよな。

 こっちの世界でこんな街があれば、水の確保は魔導具か魔法で話が進むだろうが、地球には魔法は無いのでどんなふうに生活していたのか、考えるだけでも楽しいな。

 雨が降る地域ではあるみたいだけど、この遺跡のどこにそんなに水をためておけるのやら。

 おっと、足が止まっていたみたいだな。掴んでいる首輪に引っ張られ、背中をグイグイと押されて気付く。

 ミーシャたちも探検を楽しんでいるようで、プラムたちと騒いでいた。あ~、一応セーフティを頼んだけど、子どもたちだって色々みたいんだから、セーフティの役目を果たせると思い込んでた俺は間違っていたな。

 気になることはあるけど、遅れると大変なので早く追いかけなきゃな。距離にして20メートルくらいなんだけど、それでも子どもはあまり長い間目を離すと何をするか分からないからな。

 追いつくと、離れるなよ! みたいな視線で俺の方を見てきたシンラ……立場が逆転してる!

 シンラは、建物だと思われる壁の中に入ったりするだけで満足しているようだ。1メートル以上の高さのある段差を、スライムでジャンプして登ったりしている。高い所に登っては、手に持った枝を天に向けてドヤ顔をしている。

 何がしたいのか良く分からないが、本人が楽しそうなのでまぁいいとしよう。スライムたちがいなければ、絶対に許さない行動ではあるが、スライムたちが安全確保をしているので心配はしていない。

 しばらく遺跡の中を歩いていると遠くから、ごはんの時間だと声がする。

 その声に一番初めに反応したのは、やっぱりと言っていいのかシンラだった。

 スライムに命令して一目散に向かおうとしていたが、ウルの命令で上書きされたスライムは急に止まった。

 先に言ってはいけないと怒られ、片方の手をウルが握って離さなかった。プラムたちはそれを見ていたが、いつの間にかミーシャたちに抱っこされており、なんか満足しているので騒ぐ様子は無かった。

 しばらく進むと、見晴らしのいいところでブラウニーたちが食事の準備をしているのが見えた。
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